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有吉佐和子

著者情報
著者名:有吉佐和子
ありよしさわこ
アリヨシサワコ
生年~没年:1931~1984

この著者の本を読んでいる会員ランキング

このランキングは1日1回更新されます。
      悪女について
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
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      •  成功を極めていた美貌の女性実業家、富小路公子の突然の死。
        自分のビルから突然、飛び降りて死んだのは、自殺か他殺か。

        それを27人の公子を知っている人物の語りでもって、描きます。肝心の富小路公子、本人の一人称は全くありません。大勢の他人からみた「あるひとりの女の姿」

         27章すべてが「話し言葉」なのですが、老若男女、元華族から職人まで、その「語り言葉」の豊かさに圧倒されます。

         ちょっとしか知らない者から何十年とつきあってきた者まで、「富小路公子」という人物像は万華鏡のように変る。

         公子を悪く言う人は、公子によって損をした者たちであり、得をした者たちは、こぞって公子を褒め称えます。

         当然の人情と言えるかもしれませんが、そこから浮かぶのは、語っている人間も後に証言をする他の人からしたら、自称とは全く違う人物に見えていたこと。

         公子を語る人々が、ほとんど言うのは「声がきれい」ということです。
        そして、大声は出さず、ひそひそとした美しい声で、人々を魅了します。特に男性は。

         10歳年を若く偽ってもわからない肌や体つきであっても、とにかく「話をするとうっとりとするような声」また「宝石がよく似合う美しい手」の持ち主。

         宝石というものをまず売るために、自分が美しく指輪をはめているところをさりげなく見せる。そして、自慢することなく、おとなしい美しい声で説得力ある説明をする。

         戦争が終わってもう華族制度は廃止されても、結局それにしがみついているような人々はそれにだまされ、また、人の使い方が上手かった公子の下で働いた者は「悪女」などではないと頑なに言い張る者もいる。

         公子はある人々にとっては「聖女」でもあったのです。

         事実を追求する、というより、「記憶がどう改ざんされていくか」の課程も見事に描いています。単なる魔性の女、の一言ではすまない女性像を描いた「悪女とはなにか」

         100%悪人、100%善人もいない、人というのはその間の無数の中に生きているのです。
        >> 続きを読む

        2018/07/12 by 夕暮れ

    • 他1人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      女二人のニューギニア
      5.0
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      • お腹を抱えて笑った。有吉さんが豚の丸焼きよろしく運ばれるところ。今でも思いだしては、にんまりする。 >> 続きを読む

        2017/05/25 by ayaka0920

    • 1人が本棚登録しています
      乱舞(みだれまい)
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 久しぶりの有吉佐和子さん。

        「連舞」の続編と言える作品。
        日本舞踊梶川流家元の突然の事故死。
        夫である家元の死により、後継者問題に巻き込まれる妻秋子。
        秋子には実子がいないため、妾腹の子供と後援者が次々と名乗り出てくる。
        家元の腹違いの妹に当たる秋子の妹千春も新しい家元になりたいが、秋子には千春に決めかねる思いもある。

        いつもながら有吉作品においてのヒロインは、所謂小股の切れ上がったいい女である。
        和服をピシッと着こなし、粋で頭の良い女性。
        そういう女性が、自分の秘められた本質に気づき、立ち上がり自分らしく生きていく様が描かれる。
        今作では控え目に家元夫人として生きてきた秋子が、後継者争いに巻き込まれた中、自分にも家元になりたい気持ちがあることに気づく。

        有吉さんの美しいとはこういうことだという美学のようなものが、今作でも満ちている。
        有吉作品を読むといつも思うが、ヒロインのモデルは有吉佐和子自身だろうと思う。
        好きなもの嫌いなものをはっきり口に出来る、凛としたものを好み、だらしなさを嫌う芯の通った女性。
        わたしは、こういうひと、大好きです。
        でも、だって、どうせ、こういう言葉や言い訳をしなさそう。
        いいと思います。すごくいい。

        残念でならないことは、もう有吉佐和子はいないこと。
        もっと彼女の描く女性に出会いたかった。
        残り少ない未読の有吉作品と、一度読んだ有吉作品から、これからも有吉佐和子を偲びたい。
        >> 続きを読む

        2015/05/28 by jhm

      • コメント 12件
    • 1人が本棚登録しています
      紀ノ川
      カテゴリー:小説、物語
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      •  和歌山の紀ノ川の生まれのある素封家の女たちを描くこの物語はまさに、紀の川の流れのように途切れる事はありません。
        明治、大正、昭和と祖母、母、娘・・・と受け継がれていく家という川。

         紀ノ川の素封家の娘、花。母を早く亡くし、祖母から教養としつけをされた花は、家の言われる結婚をしても、「女の三従と七去の教えに懐疑を持たぬ」良妻賢母。
        政界へと進む夫を立て、子どもを育てて家を盛り上げています。。

         しかし、花の娘、文緖は全く逆であり、大正デモクラシーにかぶれて、男勝りで東京の大学へと進みます。
        なにかと反発しあう母娘、というより、娘、文緖が常に母に対して「古い」と切り捨てるのです。

         しかし、文緖は口では女性人権だとか、リベラリストだとかいっても、結局は親の仕送りだけで、非生産的。思想は左翼、実生活はブルジョワ。

         銀行家とすぐに結婚して、「自分で働く」なんてことはしないくせに、何かあると懐の深い母に、代議士の父の威光にすがる。

         しかし、その文緖の娘、花の孫、華子になると日本は戦争に突入し、生活が苦しくなる中、奨学金とアルバイトをして自力で大学に通う孫。そして華子は、働く女性、キャリアウーマンとなります。

         結局、戦争で生活が苦しくなると皆、花の家(実家)によってくる。
        勝手といえば勝手だけれども、明治の素封家というのはそのくらい懐が大きくないと人びとの尊敬は得られないのです。

         時代は変わり、夫婦、親子、家族の在り方も変わり、女性の立場も変わっていく、流れが変わっていくのです。

         そんな変化を川の流れに見立てた作者の目は、とことん厳しく、そして静かです。
        >> 続きを読む

        2018/06/13 by 夕暮れ

    • 2人が本棚登録しています
      香華
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
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      • 明治、大正、昭和と、朋子という女性を通して描く母娘の愛憎。

        時代の流れ、花魁や芸者のことなどが描かれ、過ぎた日本の姿も読み取ることができる。
        時代背景が伺え、歴史物という見方でも楽しめる。
        また、有吉さんの文章は、色彩の表現が素晴らしく、読んでいると鮮やかに見えるようなところも好きだ。
        赤、黄というのではなく鶸色、鴇色といった一見どんな色かわからないような日本ならではの表し方も美しい。
        最近の作家の多くが誤用する表現も、有吉さんの文章ではないことなので、安心して読めることも良い。
        和装洋装にも造詣あるかたなので、着物のあれこれを学ぶこともできる。

        美しいばかりで母親としての愛情も、妻としての貞節も、人間としての魅力も一切持ち合わせない郁代。
        そんな郁代とは似ても似つかない娘の朋子。

        親として何もしないどころか迷惑をかける一方の郁代を、憎みながらも憎みきれず、どこかで愛しつづける朋子。
        どうしようもない親を追いつづける子というものは、現代でも変わらない姿かもしれない。

        あんな親、捨ててしまえばいいものをと思ってしまうが、そうできない娘の真っ直ぐさが、哀しくも美しいと思えた。
        >> 続きを読む

        2015/01/20 by jhm

      • コメント 2件
    • 2人が本棚登録しています
      一の糸
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • 久しぶりに有吉佐和子さん。

        造り酒屋の一人娘である茜は、甘やかされて育つ。
        ある日父親と共に出掛けた文楽で、露沢清太郎の弾く三味線の音色に心を奪われる。

        こうはじまる物語で、茜の清太郎への想いと芸一筋に生きる清太郎とを大正末期から戦中戦後にかけて描いている。

        観たこともなく、正直それ程興味もない文楽。
        日本の芸能の中でも歌舞伎や能や狂言などに比べ、文楽は余り知られていないのではないかと思う。
        文楽とか浄瑠璃、義太夫など聞いたことはあるが、恥ずかしながら区別がつかない。そういう世界に生きるひとたちの物語でもあるが、そもそもわからない世界なので想像しづらい面はあった。
        それでも知らない文楽の世界にも、興味を憶えるような一冊だった。

        甘ったれた茜が時に大胆に時に密やかに、ただ直向きに清太郎を想う姿。
        気ままに生きてきた茜が、義理の子供たちのために奔走する姿。
        芸に生きる清太郎を支え気遣う姿。
        様々な茜の描写の中に、女性としての成長と成熟がうかがえる。
        ただ清太郎への想いが激しく、深く考えずに行動してしまうところがある茜に心情としては寄り添いにくいものがある。

        戦中戦後は有吉佐和子さんの作品には多く描かれているが、戦争を知らないわたしからすると呑気とも思える程変わらない日常を送るひとが多いように感じる。
        空襲が激しくなっても疎開もせず三味線を弾きつづけた清太郎や、恐怖を感じながらもそばを離れない茜といった記述からも清太郎の芸事への姿勢がうかがわれると共に、戦中であっても文楽を楽しむひとびとの日常が感じられる。

        清太郎が三味線の糸についてのこだわりが厳しいことに対し、茜が経済的に苦しいため反問したときの言葉が芸事に命を懸ける想いが伝わってくる。

        「三の糸が切れたら、二の糸で代わって弾ける。二の糸が切れても、一の糸で二の音を出せば出せる。そやけども、一の糸が切れたときには、三味線(弾き)はその場で舌噛んで死ななならんのやで」

        ラストは概ね想像通りではあるが、有吉さんの手にかかると場面が鮮やかに見えてくるようで、予想通りでつまらないとは思わなかった。

        茜は有吉さんがよく描く、弱そうでいて芯の通ったキリッとした女性とは少し違うが、寄り添えないと感じたのにも関わらず最後には知らないうちに寄り添ってしまえるのは、有吉佐和子の文章だからだろうか。
        >> 続きを読む

        2016/03/14 by jhm

    • 1人が本棚登録しています
      恍惚の人
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
      いいね!
      • 平時は妻や嫁を罵倒し、自分の胃弱を盾に常に嫌味を言う。孫は可愛がらず友人もいない
        そんな舅との間に入ってくれていた姑は、ある日突然他界してしまった。
        姑の死と同時に痴呆が始まった舅は、突然の徘徊、夜中に飛び起き昭子を探し回り叫ぶ、
        いくら食べさせても満腹にならず10人前の煮物を平らげる。

        そんな舅の介護を余儀なくされた昭子。
        いびられ続けた毎日を思うと憎しみも湧くが、
        息子、娘を忘れても、何故か昭子と孫だけは忘れなかった舅茂造。
        実の息子の信利はそれをいい事に、他人事のように昭子に全てを押し付けようとする。
        職場でもベテランとして頼りにされているが、職と介護の両立の困難さが身に染みる。
        昭子は女性であるが故に厳しい現実に直面して行くのであった。


        実は前職で迷子になった徘徊老人を探す任務も有り、発信機を付けた老人を追跡して保護した事があります。
        足腰の頑強な老人で、見た目が健常者と全く変わらなかった為、何度すれ違っても発見出来ませんでした。
        おっかなびっくり該当しそうな方に話しかけると、ニコニコしながら「ご苦労様です!」と返事して再び高速歩行。
        後ろから追跡しつつ近親者に連絡をするとタクシーにて娘が登場しました。
        娘「お父さん!何しているの!」
        父「おお!久しぶり!元気にしてたか?」
        娘「もう!勘弁してよう!もうイヤ!」
        父「すみませんなあ。ご迷惑お掛けします!」

        受け答えが若干おかしいですが、見た目全く変わらず健康体の為とても大変そうでした。
        娘さんの憔悴した姿が見ていてつらかったです。

        僕はまだ親が元気な為介護は当分先だとは思っていますが、介護の厳しさは祖母と同居していたので十分知っているとは思います。
        寝たきりですが頭がはっきりしている為大分助かっていますが、一次意識混濁して幻聴、幻視が始まった時は暗澹たる思いがしました。
        この小説は40年前の物ですが、介護を取り巻く現状が劇的に改善したようには感じられません。
        シビアに介護の現実を描いているので重いのですが、文章がとても読みやすいので一気に読み通しました。
        僕自身祖母の下の世話には参加した事が無いので(男には下の世話されたくないそうです。乙女なので)
        僕には信利を攻める事は出来ません。反省。
        >> 続きを読む

        2015/06/03 by ありんこ

      • コメント 8件
    • 4人が本棚登録しています
      華岡青洲の妻
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • かつて愛読した有吉佐和子の「華岡青洲の妻」を久し振りに再読。

        この小説は、何度も映画化やTVドラマ化され、舞台でも上演されたベストセラー作品ですね。

        華岡青洲が母や妻の身体で、人体実験をして麻酔薬を開発し、世界最初の全身麻酔による乳癌手術を成功させたという史実に基づいているんですね。

        テーマは医学史でも人体実験でもなく、男と女の問題だと思います。
        青洲をめぐる妻と姑との陰湿な嫉妬合戦の果てに、互いに競って人体実験の材料になりたがり、妻は盲目となってその争いに勝利するという物語なんですね。

        その中でも、二人があてこすり合う言葉の応酬が、実に陰湿で嫌らしく、多分、それゆえに映画、TVドラマ、舞台でもよく演じられる人気作となったのかもしれません。

        ただし、この作品の本来のテーマは、嫁姑の葛藤ではなく、そうした悲劇を知りながら、女たちの心を都合よく利用しつつ、偉業を成し遂げ、名誉を一人受けた華岡青洲という男への疑問、そのような男女関係、つまりは、「家」の連綿たる歴史を批判する"フェミニズム"に立脚したものだと思いますね。

        >> 続きを読む

        2018/05/08 by dreamer

    • 1人が本棚登録しています
      青い壺
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 久しぶりに有吉佐和子さん。
        有吉さんの作品を読むときは、また楽しませてもらえると安心して思える。

        陶芸家により生みだされた青磁の壺。
        その壺が、売られたり贈られたり盗まれたりしながら、様々なひとの手元に渡る。
        青い壺は、所有者と浅く深く関わりながら、それぞれの生活を見つめる。
        ひとつの作品であるが、全13話ひとつひとつが独立した物語になっている。

        壺など命を持たないものが、人間の生活を見つめる話はよくある。それ自体に珍しさも意外性もないが、ありきたりな設定も有吉佐和子の手にかかれば素晴らしい作品に仕上げてしまう。
        今回の有吉佐和子にも間違いなしというところだ。

        どの物語も面白く読めるが、その中で特に印象に残るもの。

        第二話
        会社を退職した寅三は、妻の勧めもあり世話になった上司にお礼をするため百貨店へ行く。品選びに迷う中、青磁の壺に出会う。
        寅三は青磁の壺を持って会社に向かうが…。

        何ということのない物語だが、会社を辞めた寅三が上司にお礼してからが切ないというか物悲しいというか。
        生活の張りを失くした男の悲哀がある。

        第七話
        バーのマダムが忘れ物の青磁の壺を届けてくれる。
        その壺を見て戦争中の夫との思い出を回想する母親。

        裕福な暮らしを送っていても、戦争の影響は必ずある。
        海外にもよく行き、都度高価な食器などを土産に買ってきた夫は、生活の変わってしまった妻のためにディナーを用意してくれるのだが、夫の心遣いと心の豊かさがじんわりとする。

        第九話
        年老いた弓香が、京都へ50年ぶりの同窓会のために行く。
        若い頃に別れたままの旧友に、腰も痛んでまっすぐ伸びなくなってから会う。
        弾む気持ちで新幹線に乗る弓香だが…。

        旅行の準備でわらわらする様、旅先での色々、青磁の壺に思いがけず出会い手に入れるまでなどの文章が面白い。
        クスリとしながら読んだ。

        最終的に、青磁の壺は陶芸家本人の目の前に戻ってくる。
        そこでまたひとつ物語があり、最後に陶芸家の感じたことで話は纏めてある。
        陶芸家が生み出して始まり、陶芸家の気持ちで締めくくられ、上手くひとつの物語として構成されている。

        壺は次にどんな生活を見るのかと気になって、一息に読んでしまった。
        和服にも詳しく、歌舞伎など舞台にも造詣の深い有吉さんが青磁の壺を描写するところなどに、日本の文化を大切にされ、作品それぞれにも表れている有吉さんらしさがあった。
        文章も弾むように活き活きしている良い作品だった。
        >> 続きを読む

        2015/10/02 by jhm

      • コメント 4件
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【有吉佐和子】(アリヨシサワコ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)

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