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浅倉久志

著者情報
著者名:浅倉久志
あさくらひさし
アサクラヒサシ
生年~没年:1930~2010

この著者の本を読んでいる会員ランキング

このランキングは1日1回更新されます。
      あなたの人生の物語
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね! Tukiwami KEMURINO
      • 前評判通りに素晴らしい後味を残すSF作品。

        特に表題作の話が見事で、エイリアンが地球に訪れるという話。
        そのため言語学者のルイーズが招集され、エイリアンの言語の解読に挑む。

        エイリアンのコンタクトと同時に挟まれるのが、あなたへの語り。

        ヘプタポッドと名付けたエイリアンのための言語が、これに掛かっていき、自身の娘の出生から各年代が明かされていく。

        そしてこの2つが最後に繋がっていく部分で、エイリアンがいることの意味が鮮やかに浮かび上がってくるという構成。
        見事としか言いようがないです。
        >> 続きを読む

        2020/05/26 by オーウェン

    • 他7人がレビュー登録、 17人が本棚登録しています
      タイタンの妖女
      カテゴリー:小説、物語
      4.2
      いいね! Tukiwami
      • おもしろい!楽しい読書の時間を過ごすことができました。私、SFって大抵の作品で二度読み三度読みしてるんですよ。意外なことに、この作品の世界観は始めからすっと入ってきて、読み返しなしでいきました。コミカルでリズム良い会話が心地よくて。ストーリーもおもしろかったです。はちゃめちゃだけど(笑)

        主人公のマラカイ・コンスタントが、火星でラムファードの元妻との間に子をなし、水星、もう一度地球を訪ね、最後にタイタンでラムファードと会います。コンスタントの一生の物語であり、そして彼の物語を通して、様々な問題提起を投げかけられるように感じました。それは自由意志だったり、生きる目的だったり。

        ボアズがハーモニウムを音楽を使って幸せにしたエピソードが忘れられません。違う星の異なる種族に対して傍で寄り添うことができるのに、武器を手に取り殺し合いもする愚かな人間たち。また、トラルファマドール星のある生物についての伝説で、『彼らの目的はいったいなんであるかを見出だそうとする試みで、ほとんどの時間を費やしていた』にドキッとさせられました。人間がどうであるか機械の目を通して淡々と描かれており、それがあまりに的確すぎて、居心地の悪さを感じてしまう。

        と、こんなことを考えながら読了したのですが、この作品が総じて何を訴えているのか全くわからず、しばらく途方にくれました。メッセージはたくさんありましたが、結局作者は一番何を言いたかったのか自分の中で纏まらなくて。感想に困りながら訳者あとがきを読むと、だんだんすとんと落ちてきました。それぞれのエピソードで感じたことが、ヴォネガットのメッセージだったのだと。身近なテーマをおもしろいお話にしており、読みながら自然と自分のなかに入ってくる。すんなり受け入れることができすぎて、逆に違和感を覚えたのでした。
        なんだか不思議な読書体験。

        うんうん、良い物語でした。課題図書になったとき購入していてよかった。2年以上前の話ですが(^^ゞ
        >> 続きを読む

        2020/01/05 by あすか

      • コメント 10件
    • 他7人がレビュー登録、 29人が本棚登録しています
      たったひとつの冴えたやりかた
      カテゴリー:小説、物語
      3.8
      いいね! Tukiwami
      • デネブ大学の中央大図書館。
        主任司書モア・ブルーが、若いコメノのカップルに選んだ物語3編。

        *たったひとつの冴えたやりかた
        黄色い髪、団子鼻にソバカス、緑の瞳、金持ちのはねっかえり娘。
        少女コーティーは、16歳の誕生日プレゼントに両親から貰った小型スペース・クーペを改造し、内緒で宇宙に旅立ちます。
        冷凍睡眠から目覚めたコーティーの頭の中から、イーアという生命体の声が聞こえ・・・

        とても可愛らしい女の子の冒険、友情、そして選択。
        ラストの選択は死への恐怖が一切描かれず、爽やかだったのが印象的でした。
        最後まで落ち着いているコーティーが切なく、そして読了後は虚しさも感じました。
        「これがたったひとつの冴えたやりかた」
        ぎゅっと締め付けられるような物語です。


        *グッドナイト、スイートハーツ
        冷凍睡眠の70年、目覚めていた30年。
        まだ青年といっても通る、30歳の男のバイタリティーと肉体をもつ男、レイブン。
        燃料切れとなった宇宙船を救う業務の中、初恋の女性と再会します。

        ストーリーが今ひとつだったので、アクションシーンを楽しみました。
        ラストの選択は、主人公が男性だからこそ有りかなぁと納得。好みではないですけどね。


        *衝突
        20年以上昔の<リフト>横断探測船からのメッセージパイプ。連邦基地九〇〇の司令室の再生機からは不安な声が再生され・・・
        異星人とのファースト・コンタクトが描かれています。

        3作の中で一番お気に入り。
        登場人物が多かったのでメモを取りながらの読書でしたが、それぞれの関係を理解出来た辺りからページを繰る手が止まりませんでした!
        一触即発の雰囲気の中、アッシュ船長によるカタコトの説得に感動。
        このお話の最後の一文に痺れました。

        不安なやりとりの中、女性翻訳のジラがとても愛らしいのも魅力です。


        *3編を読み終えて
        SFは世界観(宇宙観)を理解することが難しくとても労力がかかりますが、読了後の充実感は他では味わえないものがあります。
        今回も大満足の読書でした!
        この本をおすすめしてくださった月うさぎさん、どうもありがとうございました☆
        >> 続きを読む

        2016/04/03 by あすか

      • コメント 7件
    • 他3人がレビュー登録、 12人が本棚登録しています
      ゴ-ルデンボ-イ 恐怖の四季春夏編
      カテゴリー:小説、物語
      4.3
      いいね! kimiyasu
      • 『刑務所のリタ・ヘイワース』
        ラストシーンは鳥肌が立つほどの爽快感。
        集中しすぎていたせいか、電車を一駅乗り過ごしました。 >> 続きを読む

        2016/03/17 by one

    • 他2人がレビュー登録、 8人が本棚登録しています
      ガラパゴスの箱舟
      カテゴリー:小説、物語
      4.2
      いいね! Tsukiusagi Tukiwami
      • 巨大脳・・・これが諸悪の根源ね。

        人間が、そのできそこないである巨大脳で”考えた”ことが、ありとあらゆる問題を起こす。

        はてしない欲望と野心。愚行の数々。

        このことはお釈迦様が2500年以上前から指摘されてますね^^;
        (ちなみに養老孟司さんは”脳化社会”と言ってましたね)
        「わたし」のように100万年のあいだ世界を見続けることができれば、人間のことも分かってくるのかもしれないけど、今生きてる人間は、実際自分の年齢分しか物事を見てないからねえ。しかもありのままには見えてない。

        脳はでかいけど、でかくなった分うまく使えない。できそこないの巨大脳に支配され右往左往する人間。

        >事実、そのミサイルの発射は、生殖行動における男性の役割と瓜ふたつだった。レイエス中佐に期待されているのはこういうことだったーーご用命に応じ即時配達します。
         そうーーそしてあっという間に丸い点に変わり、つぎにけし粒から無になった円筒は、いまやほかのだれかの責任になっていた。いまからすべての活動は、それを受け取った側で起こるのだ。レイエスは自分の役割を果たした。いまや彼はこころよい眠気におそわれていたーーそして愉快で誇らしい気分でもあった。

        ・・・地球上でもっとも大きな勝利をおさめているのは、つねに微生物である。。。(微生物にとってミサイルの爆発など、べつに苦にならない。)

        >あの当時でも大部分の人間は正気だったし、レイエスにもその普遍的な賛辞を呈したいと思う。ここでも大きな問題は狂気ではなく、人びとの脳があまりにも大きすぎる上に嘘つきなので、実用にならないことだった。

        >百万年前、なぜあんなにおおぜいの人間が、わざと自分の脳の大部分をノックアウトするためにアルコールを飲んだのかは、いまも興味のつきない謎として残っている。ひょっとすると、われわれは進化を正しい方向へ押しやろうとしていたのかもしれないーーより小さい脳という方向に。

        ・・・皮肉というか。



        >今日では、だれも静かな絶望の生活を送ってはいない。百万年前の大多数の人間が静かな絶望の生活を送っていたのは、彼らの頭蓋の中の呪わしいコンピュータが、ほどほどにするとか、遊ぶとかいうことができず、人生がとうてい提供できるはずのないとびきりの難問を、もっともっとと、ひっきりなしにせがむからだった。

        ・・・ブラックユーモアというか。
        その通りだなあというか。



        百万年後の人類の姿は・・・・・・  言うのは止めておこう。
        >> 続きを読む

        2016/11/21 by バカボン

      • コメント 2件
    • 他2人がレビュー登録、 8人が本棚登録しています
      愛はさだめ、さだめは死
      3.0
      いいね!
      •  短編集なのでいくつか気になったものの感想を。

         乙女に映しておぼろげに
         未来から女の子との軽妙な会話を描いた短い作品。未来人の感覚と言葉にちょくちょくついていけなくなくて、振り回される主人公とシンクロしてしまいます。年代の違う人と会話すると、実際こういう感覚と言葉のズレがありますね。笑

         男たちの知らない女
         作品を読むことでフェミニズムの本質を感覚的に理解できる作品。男女で感想が別れそうで興味深いです。
         こういう作品にとっては覆面作家であることが非常に利点なのではないでしょうか。本作では作者の詳細がなぜか冒頭で紹介されていまして、読者にとっては全く覆面ではなくなってしまうのですが……。
         覆面作家といえば、私の中ではグレッグ・イーガンや舞城王太郎が思い浮かびます。なかなか一癖ありますね。

         断層
         特に古い作品ですが、個人的には好きです。
        時代の流れから切り離されることが罰である、というのは面白い発想ながら真実をついているように思います。

         全体的に70年頃の時代背景を理解していることが望まれます。小説というのは少なからずそういう部分がありますし、SFの元々を突き詰めれば、時代背景は大切です。好きな音楽の関係で古い時代のことを調べたことを思い出しました。本から時代に興味を持つのもありかもしれませんね。

         ティプトリーの作品では異星人が一つの重要な位置を占めます。
         異星人は自分と全く違う価値観を持っている可能性がある存在です。それを理解できることも、理解できたと思えて実は全く分かっていないこともありえます。

         未来人や男から見た女、社会から切り離された人も、あるいは異星人と言えるかもしれません。そして、作品の背景にある社会の諸々さえも。

         異星人に出会った時、それを分かりたいと思う気持ちは大切ですが、自分の価値観で理解しようとした時点で、それは理解でなく解釈に過ぎなくなってしまうのではないでしょうか。

         理解できない存在をそのまま受け入れる。それは身近な他人に関しても時に大切だと思います。

         はじめの2編、すべての種類のイエスと楽園の乳がイマイチよくわからなくて挫折しかけてしまい、危ないところでした。でも2編とも異星人の出てくるお話なので、地球人の私には謎な部分もあるさ、と思っています。
         え?それを書いた作者?きっと人類を超越した存在なんですよ。
        >> 続きを読む

        2015/03/11 by あさ・くら

      • コメント 7件
    • 他1人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      輝くもの天より墜ち
      カテゴリー:小説、物語
      3.3
      いいね!

      • 「たったひとつの冴えたやりかた」で興味を覚えた作家ジェームズ・ティプトリー・ジュニアの「輝くもの天より堕ち」を読み終えました。

        銀河系の周縁部にある惑星ダミエムに、多数の観光客がやって来ます。
        ノヴァ化した恒星のガス殻が通過する様子を見物しようというのだ。

        カメラマンと俳優たち、惑星の王位継承者、光彫刻家、水棲人など13名の客を、行政官夫婦と医師の三人が出迎える。

        ノヴァの通過を背景に、原住民虐待を巡る陰謀とノヴァの裏に隠された驚くべき秘密を描く、壮大なドラマの幕が切って落とされる-------。

        息をもつかせぬスピーディな展開、登場人物一人一人の丁寧な性格描写、ダミエム人の儚い美しさ、そのどれをとっても非の打ちどころのない出来栄えであり、あまりの読みやすさに、かえって物足りなさすら感じてしまうのは贅沢な悩みかもしれません。

        >> 続きを読む

        2018/07/01 by dreamer

    • 他1人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      きょうも上天気 SF短編傑作選
      カテゴリー:小説、物語
      いいね!
      • 「きょうも上天気」は映画も見たが、オチも含めて原作が数倍いい。無理やりの皆の考え方は、日頃真似してもいいのでは。今ある状況は、丁度いいのだよ、これでいいのだよ。 >> 続きを読む

        2014/01/06 by 紫指導官

      • コメント 2件
    • 2人が本棚登録しています
      クロ-ム襲撃
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 【ヤバくて、ぶっ飛んでて、アナーキなサイバー・パンク】
         本書が書かれたのは1982年。
         その当時、こんな作品が出たのですから度肝を抜いたことは想像に難くありません(残念ながら、私はこんな世界があるとはつゆ知らず、リアルタイムで読めなかったのです……こういう作品を読み始めたのは、それからしばらく後のことでした)。
         サイバー・パンクものは、今ではティーン・エイジャー向けのアニメでもごく当たり前の仕掛けで、何も特別なことは無いのだけれど、最初に出た時の衝撃と言ったら。

         ウィリアム・ギブスンの代表作と言えば『ニューロマンサー』なわけで、まさにあの小説はそういう衝撃と共に世に出たのですが(1984年のことでした)、その原型となったと言われているのが表題作の『クローム襲撃』です。
         本書は、同作を含めた11作を収めた、ギブスンの第一短編集です。

         ギブスンの作品に出てくる登場人物は、みんなまともじゃないです。
         どこか壊れていたり、社会からはじき出されていたり、ある意味での敗者、アウトローなわけです。
         そして、彼らがどういう存在か、どういうことをやっているかというのがものすごくぶっ飛んでいるのです。

         例えば、本書の冒頭に収録されている『記憶屋ジョニー』に出てくるジョニーは、自分の脳内に他人の記憶を保持することで金を稼いでいるというとんでもない奴です。
         当然、ヤバい記憶が預けられるわけですよね。

         ギブスンの作品は、ひりひりするような焦燥感と、諦念、サイコで、壊れちゃってる感覚と悲しさで満ち満ちています。
         分かり易い例えでは、『ブレード・ランナー』の世界です。
        作中で詳しい説明なんてしてくれません。
         読んで分かってくれよというわけでしょう。
         非常にタイトで、目まぐるしく場面が変わり、その場面の多くはサイバーな世界なのですから慣れないとついていくのが大変という作品です。

         ですが、作中にも多く登場する、ドラッグめいたところがあるのですね。
         酔うのです。
         この感覚がイヤだという読者も(特に発表当時は)沢山いることでしょう。
         でも、今の私たちは、相当に免疫ができていると思います。
         だから、きっと、大丈夫。

         さて、問題の『クローム襲撃』ですが、これはイカれた2人組の、そうですね、今の感覚で分かり易く言えばハッカー?の物語。
         ヤバい組織の上納金を集めている『クローム』という電脳空間にあるターゲットを襲おうという大それた物語です。
         ソフトウェア、端末の操作に長けた、カウボーイことボビイと、この物語の語り手で、ハードに滅法強いジャックの二人が、『クローム』のセイフティ・ガードである『氷』(ICE)を侵食してそのコアにある莫大な金を手に入れようとする物語です。

         『ニューロマンサー』では、人間の脳と電脳空間を直結する『ジャック・イン』(没入)という概念で説明されていましたが、おそらく本作でもそういうことをやらかしているのでしょう。
         ほんのわずかでも侵入が探知されたら、二人は廃人になる運命です。

         こんなヤバいことを始めたのはボビイ。
         ジャックは、偶然手に入れることができたソビエト製の相当イカれたヤバヤバなプログラムが収められたカートリッジを解析し、対クローム兵器として投入します。
         ほんの少しでもセキュリティに感知されたら一巻の終わりです。
         しびれるような緊張感と、カットバック手法で描かれるこの作品は傑作でしょう。

         この流れは、『甲殻機動隊』、『マトリックス』、『エヴァンゲリオン』へと進展していくわけですよ。
         始まりはウィリアム・ギブスンにある!
         さあ、『ニューロマンサー』も必読だけど、最初の最初、その原型となった作品が含まれている本作を読んでみようぜ!


        読了時間メーター
        □□□     普通(1~2日あれば読める)
        >> 続きを読む

        2020/07/13 by ef177

    • 1人が本棚登録しています
      ディック傑作集 パーキーパットの日々
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • ディック傑作集第1巻。
        面白すぎて、過去に何度読んだかわからない。傑作集2巻から4巻、その他の短篇集も読んだが、本書がベスト中のベストだと思っている。それほど面白い話が集められている。特に、「報酬」と「パーキー・パットの日々」は圧巻である。ラストで突き放されたような気分になる「ウーブ身重く横たわる」「変種第二号」「にせもの」「植民地」、冷戦の恐怖が色濃い「たそがれの朝食」「フォスター、おまえ、死んでるところだぞ」など、ページをめくる手が止まらない。

        今回読み直して、1970年代に第三次世界大戦の可能性と水爆の恐ろしさに、子供ながら怯えていたことを思い出した。「パーキー・パットの日々」は、水爆戦争後の地球で生き残った人々が人形遊びに夢中になっている世界を描いている。戦争を生き延びながらもなお、競争に興じる大人を冷めた目で見つめながら、子供たちはナイフや原始的な飛び道具で狩りをする。たとえ世界が滅んでも、歴史は繰り返される。「フォスター、おまえ、〜」は核シェルターに異常に固執する少年の話だが、シェルターに限ってみれば今日の引きこもりにも通じるような現代的な問題もはらんでいる感じがした。
        ディックの描く世界を象徴するようなカバー絵も印象に残る。

        >> 続きを読む

        2017/09/14 by Kira

      • コメント 3件
    • 1人が本棚登録しています
      青ひげ
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 【ねぇねぇ、どうしてこれが「青ひげ」なの? 何で?何で? ……それはね。】


         軽妙洒脱というのが、カート・ヴォネガット(・ジュニア)の持ち味でしょうか。
         最初に、お読みの方が多分気になっているであろう括弧書きの(・ジュニア)のことから書いておきますね。
         「ジュニア」が付いた名前でも著作を残しているのですけれど、お父様が亡くなった後はジュニアを取った名前で書いているのだそうです。それで、両用の表記があるということでご了解を(「ジュニア」あるなしにかかわらず同一人物なのだ……あーややこし!)。

         まぁ、飄々とした文体です。
         一つの短い章の中に短い文章の塊があって、その後にアスタリスクを入れて休符し、また続けるような。独特のリズム感があります。
         文体はシニカルであり、ユーモラスであります。「まぁそういうものだ」などという言葉が、短い文章の塊の最後に繰り返されたりもします。

         私が最初に読んだヴォネガットの作品は「スローターハウス5」でした。
         作者の名前は知っていました。それとなく興味はあったのですが、色々な書評を読んでみても今ひとつピンとこなかったこともあり(あ、読み終えたから言えますが、これは書評が悪いのではなく、こうとしか書けなかったのだろうと納得しています)、ずーっと手を出さずにいました。
         でも、気にはなっていたのですよ。

         それで(大分以前ですが)意を決して読んでみることにしたのですが、さて、何から読もうか?
         「スローターハウス5」は、大昔に映画化されています。……今、調べたら1972年の映画ですね。映画化されているということは知っていたので、まずそれを読みました。
         う~ん、これをよく映画化したもんだ。
         それよりも何よりも、この作品は、それまでにカート・ヴォネガット(・ジュニア)が書いてきた様々な作品の登場人物があちこちに散りばめられているという趣向。
         これを最初に読むのはいかんですよねぇ(面白さ半減になっちゃう?)。

         では、ということで次にとっかかったのがこの「青ひげ」でした。
         「青ひげ」(Barbe-Bleue)ってご存知ですか?
         一般には、童話で取り上げられているあのイメージかもしれませんが、モデルはジル・ド・レイという貴族であるという説もあります。
         ジル・ド・レイについては澁澤龍彦が大好きだった様で、散々書いているのですけれど、澁澤が書く「青ひげ」は猟奇的な方。

         主たるストーリーは、何度かの結婚歴がある侯爵だか伯爵だかの青ひげが、城中に初々しい新妻を迎えるお話だったと思います。
         広い城の中の全ての鍵を渡し、この城のどこでも自由に見てよろしいと言います。しかし、ただ一つの部屋だけは開けてはいけないと。
         こう言われると余計に開けたくなるのが人情ってもので(この辺はヴォネガットも皮肉っているのですけれどね)、新妻は青ひげの留守の間についにその部屋を開けて中を見てしまうのですよ。
         その中には、これまでの青ひげの妻たちの白骨化などした死体がごろごろと……(きゃー!)
         で、お約束です。そこに青ひげが現れ、「お前は、見てしまったのだな」と……

         というのが、オリジナルの「青ひげ」なのですが、今回ご紹介する青ひげはそんなのとはぜ~んぜん関係ない(あ、換骨奪胎的テイストは散りばめてあるのですけれどね)です。

         主人公は、老齢の域に達した画家であった復員兵です。
         2度目の結婚で得た(奥さんは亡くなってしまってその遺産を相続したのですね)海辺の広壮な屋敷にしょぼくれて住んでいた男やもめです。
         彼は、若い頃非常に絵画の素養があり、まぁ、すったもんだの末、極めて写実的な絵を書く有名画家の弟子になります。
         しかし、その後、紆余曲折あり、彼自身素晴らしい写実的技術を持っていたのに、抽象絵画の道に進んでしまいます。
         そこでもそれなりの成功をおさめたのかも知れませんが、悪いことに粗悪な塗料を使っていたため、高額で買い取られた彼の作品があちこちで一夜にしてはがれ落ちる始末。
         もう、絵なんか描かないぞ~というわけで、当時のアトリエにしていた(今は亡き妻の相続で自分の物となっている)ジャガイモ貯蔵納屋に「ある物」を入れて固く封印してしまいたのでした。

         その後は、同じ復員兵の作家と広壮な屋敷で共同生活をしてうだうだと暮らしていたのですが、ある日、プライベートビーチに30代なんですかね、魅力的な女性が入り込んでいるのを見つけます。
         まぁ、侵入をとがめることもないけれど、一応挨拶でもと声をかけたところ、その女性曰く「ねえ、あなたのご両親はどんな死に方をしたの?」
         それがきっかけで、彼女(未亡人ね)に、有り余っている部屋を貸して一緒に生活することになります。
         彼女は、その地(実は今では結構なリゾート地になっていて、若者達が来たりもするようです)を舞台にして小説を書くつもりだと言うのです。

         同居していた仲間の復員兵作家は、素人が何でも書けると思ったら大間違いだよみたいな警句をやんわりと与えたりしますが、が!
         実は、彼女は大ベストセラー作家だったのでした!
         しかも、好奇心旺盛。勝手に主人公の家の隅々まで、あるいは使用人のプライベートまですんなりと調べ上げてしまいます。
         そして、しょぼくれていた主人公には、自伝を書くように勧め、その結果書かれたのが本書という構成になっています。

         ヴォネガットは、冒頭で謝罪を書いています。
         「青ひげ」の物語を書くつもりだったけれど、書いてみたら結局はしょぼくれた老人の自伝のようになってしまってすまん、と(まったく人を食った謝罪ですこと)。
         もう、にやにやしちゃいます。
         いいえ、もちろん、この作品は「青ひげ」なのですよ。
         ヴォネガットは、ちゃんと伏線(というよりもっと分かりやすいですけれど)を書いています。
         
         一番分かりやすいのは、この物語の感動的なエンディングにも使われている「ジャガイモ貯蔵納屋」のことです。
         好奇心旺盛なベストセラー作家の彼女は厳重に閉ざされているこの納屋を開けたくて仕方ないのです。
         それはまるで、青ひげが開けてはいかんと厳命した部屋のようではありませんか。
         それが、最後の数頁に描かれていて、とても良かったなぁという読後感を与えるところなのですが、いいえ、それだけじゃなく、実はよく読むとあちこちに「青ひげ」があります。

         一読しただけですが、カート・ヴォネガット(・ジュニア)の作品は、結構凝っているのではないかって感じました。
         もっと読み込んでみたら、沢山の「仕掛け」に気づけるかもしれないですね。
         テイストは軽く。でも良い作品だったのでご紹介させていただきました。
        >> 続きを読む

        2019/06/22 by ef177

    • 1人が本棚登録しています
      スキャナー・ダークリー
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 1977年に刊行のフィリップ・K・ディックの後期の作品。
        主人公ボブ・アクターは、一方では麻薬のおとり捜査官であり、他方では自宅でバリスとラックマンという2人のジャンキーと一緒に暮らす独身者、という2つの顔を持つ人物です。

        警察ではフレック、自宅(私生活)ではアクターという名です。
        私生活のシーン、職場でのシーンが入れ替わりつつ、作品は進んでいきます。
        作品のほぼ大半は、麻薬常習者たちの日常をユーモアを交えつつ描いている。薬を売人から買い、服用し、ラリっておかしな言動をする。そんな話の繰り返しが続きます。

        そのうち、オトリとして働いていたアクターは、やむを得ず服用していた物質Dの影響が出てきてそして・・・。

        ディックは本編とは別に作品の最後に「著者覚え書き」というのを書いています。
        それを読む限り、この作品はデイックの薬物中毒者の友人たちへの鎮魂歌の意味もあるようです。
        それらの人の生き様を記憶に留めておけるように作品として残したそうです。
        そういう意味でディックの他の作品とはちょっと色合いが違う感じでした。

        ラリった人たちの面白おかしい話かな、と思って読んでいましたが、最後の最後にディックらしいメッセージが垣間見れたと思います。

        書き出しの所の、ジェリー・フェイビンの見る幻覚が強烈でした。鳥肌!
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        2017/10/22 by Reo-1971

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      昔には帰れない
      カテゴリー:小説、物語
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      • ダメな人間だからと自分の代わりに物事を行うロボットを作る皮肉が面白い「素顔のユリーマ」、バスを途中下車する男性の話かと思ったら妻絡みのオチが面白かった「月の裏側」、薄暗い飲み屋でみんなから恨まれてる男が最後に気付いた事が私好みのブラックな状況の「パイン・キャッスル」が良かった。最初にこの3作が収録されてたので勘違いしたが、後は私には合わなかった。事が起こる迄が退屈な作品が多かった。
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        2015/04/18 by 紫指導官

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      鎮魂歌
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
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      • グレアム・ジョイスの英国幻想文学賞受賞作「鎮魂歌」を読み終えました。

        誰でも一生に一度くらい確信することがあるものです。
        「この人が運命の女(男)だ」とか、「この愛は永遠だ」とか。

        ところが、大抵の場合、無惨なことに、その幻想は打ち砕かれるものなんですね。
        この小説「鎮魂歌」の主人公のトムがそうであるように-------。

        物語の冒頭、トムはパーティで酔っ払った挙げ句、ある女性のくるぶしを摑んでしまう。
        そして、そのくるぶしの所有者ケイティーの顏を拝んだ瞬間、「うん、これだ」と恋に落ちるトム。

        トムからの熱心な求愛に負けたケイティーも、「うん、もしかしたらこれかも」と考えるようになり、二人は1年後、めでたく結婚するのだけれど、13年後トムは単身でエルサレムへと向かうことになる。

        それはケイティーが生前一緒に行きたがっていた聖地にして、学生時代からの親友シャロンが待つ休息の地。
        トムは、テロや暴動が日常茶飯事になっている、この血塗られた地で、謎めいた人物と出会い、面妖な体験をする。

        マグダラのマリアや、亡き妻やシャロンに姿を変えて、トムに何かを伝えようとする黒いベールの老婆。
        キリストの受難にまつわる真実が記された死海文書を、トムに託して死ぬ老人。

        ジン(魔物)にとり憑かれた学者。聞こえるはずのない声が、リアルな幻覚に襲われるようになったトムは-------。

        この作品は、確かに現実世界と幻想世界の混交を、濃密な筆致で描いた一級品の"ダーク・ファンタジー"に違いない。

        でも、通底しているのは、失われた愛への"レクイエム"なのだ。
        ゆえに、この作品は、愛すべき人を愛せなかったことに苦悩する男の"アイデンティティ・クライシス"を描いたリアリズム小説でもあるのだ。

        なぜケイテイーは死んだのか? ケイティーがあり得ない事故で命を落とした運命の日、トムは何をしていたのか?
        トムはなぜ、永遠の愛を手放してしまったのか?

        愛は哀しい。愛は厳しい。愛は儚い。
        世界の中心で叫んだって届かない愛の諸相を描いて、愛にまつわる残酷な真理を凝視して、胸に痛い物語だ。

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        2019/03/02 by dreamer

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      アンドロメダ病原体
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
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      • マイケル・クライトンの作品は「ジュラシック・パーク」の次に読んだ作品である。SF小説で、軍の人工衛星が町の郊外に落ちた事件を切っ掛けに科学者の五日間の奮闘を描いているが、科学や物理学、生物学などの難しい説明や言語が多く出てきて意味がわからないが、それでも面白い。ストーリーに引き込まれやすく、意味がわからない言葉も必要なだけを分りやすく登場人物の行動やセリフで表している。五日間と言った短期間の時間制限も面白さの魅力ではないだろうか。
        時間を置いてからまた繰り返し読み返し、また映画も観てみたいと思った。
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        2012/11/14 by Kenobi

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      追憶のハルマゲドン
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
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      • 彼は 「戦争の嘘」 を知っている。
        カート・ヴォネガットの作家としての本質を端的に伝えてくれている一冊。
        収められた短編は未発表作で、戦争体験に基づいて創作された初期の作品が主となる。

        「カート・ヴォネガット上等兵が家族に宛てた手紙」
        「二〇〇七年四月二十七日、インディアナポリス、バトラー大学のクラウズ・ホールにおけるカート・ヴォネガットのスピーチ原稿」は死の直前に書き上げられたものだ。
        そして、ドレスデン大空襲の体験を語ったエッセイ「悲しみの叫びはすべての街路に」は愁眉。

        戦勝国アメリカの兵士でありながら、捕虜として滞在中だったドレスデンで、英米による空爆を体験したヴォネガット。
        ドイツの民と共に被災し、破壊された町の荒廃を目の当たりにした彼は
        アメリカ人の「加害者としての罪」をも背負うことになる。

        ドレスデンの死は不必要であり、故意に仕組まれた残酷な悲劇だった。
        子供たちを殺すことは―"ドイツ野郎(ジェリー)"のガキどもであろうと、
        "ジャップ"のガキどもであろうと、将来のどんな敵国のガキどもであろうと―
        けっして正当化できない。
               「悲しみの叫びはすべての街路に」より


        戦争の非道は凄まじく、文字通り九死に一生を得た彼は、戦争を憎み、罪を糾弾する。
        すべての殺戮を否定する。
        心の底から発せられた真摯な訴えは、非常に強く心を打つ。
        ドレスデンは、東京であり、広島であり、長崎でもあった。

        しかし、それでも、ヴォネガットは 愛国心とオプティミズムを失わない。

        それが、彼が多くの読者に愛された真の理由なのではなかったか。

        カート・ヴォネガット(Jr.)のヒューマニズムの真意を私は初めて理解したのかもしれない。

        心から、すばらしい作家だった と。
        そう伝えたい。
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        2012/02/09 by 月うさぎ

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      たったひとつの冴えたやりかた
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
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      • 【何と悲しい結末を迎える物語でしょう】
         本作は、15歳の宇宙大好きな女の子、コーティー・キャスが主人公の中編小説です。
         コーティーは、15歳の誕生日に両親から小型宇宙船をプレゼントしてもらいました。
         その宇宙クーペの基本性能ではそんなに遠い宇宙まで行くことはできないので、両親も近くの星々を巡ったりするのがせいぜいだろうと考えてプレゼントしたわけですね。
         そうですね、私たちの両親が子供に自転車をプレゼントするようなものなのでしょう。

         ところがどっこい。
         コーティーは宇宙オタクだったため、小遣いを貯めたクレジットをはたいて宇宙クーペを改造し、長距離航行が可能な船に仕立て上げてしまったのです。
         そうして、たった一人で遙かな未知の宇宙を目指して飛び出して行ったのです。

         コーティーは、その旅の途中で、巡回補給船が消息不明になったというニュースに接します。
         コーティーは、消息不明になった船に乗っていた2人の宇宙飛行士を発見することができたら大活躍だと考え、消息を絶った宙域に向けて宇宙クーペを航行させ始めました。

         その途中で、コーティーは宇宙を飛行中の通信カプセルを回収します。
         そのカプセルを開けてみたところ、何やら知らない金色の花粉のようなものが舞い上がりました。
         中の音声データを再生してみたところ……何とびっくり!これは消息を絶った巡回補給船からの通信ではないですか!
         彼らが向かった先も分かったため、コーティーは地球の連邦政府に連絡すると共に、この通信カプセルを連邦政府に向けて再射出します。
         そして、巡回補給船が向かった新たな行き先に向けて宇宙クーペを発進させたのです。
         何と勇敢な女の子でしょう。

         ところで……。
         さっきから宇宙クーペの中に誰かいるような気がして仕方がないのです。
         そんなことはあり得ないのですが……いた!
         しかも、コーティーの頭の中に!

         先ほど回収した通信カプセル内には寄生生命体が潜んでおり、それがコーティーの体内に侵入し、コーティーの脳と接続してコーティーの生態機関を利用して話しかけてきたのです。
         あの金色の花粉のようなものはこの寄生生命体の胞子だったのですね。

         傍目から見ればコーティーが独り言をつぶやき続けているように見えるわけですが、そうやってコーティーと寄生生命体が会話を始めたのです。
         その生命体はイーオという種族で、コーティーに寄生した単体はシロベーンという名前なのだとか。
         消息を絶った巡回補給船の2人の乗組員にもイーオが寄生したと言います。

         何だか気持ち悪い話ですが、シロベーンが言うには、イーオは宿主を傷つけるようなことは決してせず、むしろ宿主に病気などがあれば治しもするというのです。
         シロベーンは、イーオの個体としてはまだ若く、寄生の技術も十分に学んでいないものの、冒険がしたくて通信カプセルに侵入してここまで来たというのですね。
         まるでコーティーとそっくりじゃないですか。

         ここにコーティーとシロベーンとの友情が確立し、二人(?)は協力しながら地球の連邦政府に色々な情報を送りつつ、消息不明になった巡回補給船を探す冒険に出ていくのです。

         元気いっぱいで可愛らしいコーティーを主人公にした本作は、ほほえましいところもあり、大変楽しく読める作品です。
         でも、それは途中まで。
         ラストは書けませんが、悲しい結末を迎えなければなりません。
         コーティーは、「これがたったひとつの冴えたやりかた。」と言って、そのラストへの道を選択するのです。

         楽しさと、面白さと、感動を与えてくれる佳作だと思いました。
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        2020/07/23 by ef177

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      どんがらがん
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
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      • ミステリ・SF・ファンタジー作家アヴラム・デイヴィッドソンの短編集。
        本格ミステリ作家・殊能将之が編集している。
        本作では16作もの短編が収められている。
        ただし、解説で殊能が述べている通り、おそろしく読みにくい文章で、しかもそれが翻訳されているため、翻訳作品を読み慣れていない人にとっては辛い作品かもしれない。
        印象的な短編のみピックアップしていくが、集中のベストは疑いなく「物は証言できない」である。
        黒人差別を扱っているが、本格ミステリとして屈指の出来栄えである(本作は、EQMM短編小説コンテスト第一席受賞作)。
        解説で述べられている通り、デイヴィッドソンの「弱者への共感」が伺える作品である(ちなみに殊能はweb日記で障害者差別ネタを展開したことがあるが、あれはNGである)。
        「さあ、みんなで眠ろう」の「囚人たちにあてがう割り当てが、雌1匹に囚人ふたり以上になったら、もう貨物室は大荒れですよ」というセリフには失笑した。
        「さもなくば海は牡蠣でいっぱいに」は、この短編集の中で一番わかりやすい作品かもしれない。
        「眺めのいい静かな部屋」の「そうですの、わたしいつも言ってるんですのよ、鶏の腿肉ほど美味しいものはないって。背中はゴツゴツしてるし、胸肉はこってりしすぎて、足は白いのがいっぱいついているし、手羽だとーまあ何もついてないけど、腿はー腿がちょうどいいって、わたしいつも言ってるんですの」というセリフは、料理が好きな人なら首がもげそうなほど頷けるものであろう。
        ちなみに、デイヴィッドソンはエラリー・クイーン「第八の日」「三角形の第四辺」を代筆したそうである。
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        2019/10/31 by tygkun

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      デス博士の島その他の物語
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
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      • デス博士の島その他の物語 (未来の文学)。ジーン ウルフ先生の著書。私はSF小説が好きで今までたくさんのSF小説を読んできたけれど、こんなに難しくて考えさせられたのは初めて。単純なSF小説ではなくて、奥が深いSF小説を読みたい人には自信を持っておすすめできる一冊です。 >> 続きを読む

        2019/02/10 by 香菜子

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      妖魔と二剣士
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • 第三巻の翻訳から二十年以上たってやっと翻訳されたファファード&グレイマウザーシリーズ第四巻
        ほんとに待ちました。
        三巻を読んだときはまだ十代だったが今は中年になってしまった。
        月日の流れは速い・・・

        本書の構成は中編の物語二本とそれぞれの物語の導入部のショートストーリー二本で構成されている。

        1.魔女の天幕
        イリック・ヴィングの街で魔女に冒険の助言をしてもらっている最中に悪党に奇襲される二剣士の物語。
        これが次の物語”星々の船”につながる。

        2.星々の船
        ネーウォン世界の最高峰”スタードック”(恐らくエベレストレベルの山ではないかと思われる)の頂上にあると伝えられる宝石を求めてファファードとグレイマウザーが決死の登山を行う。
        ”スタードック”の登攀の様子がかなり詳細に描写されており、様々な難所を切り抜けていく二人の剣士の様子がスリリングで息をつかせない。
        ファンタジー小説でこれほど登山の様子を克明に描写したものは初めてではないだろうか?
        またライバルとなる他の冒険者との壮絶な戦いあり、山頂に住む超自然の存在、”雪王”とのその王子・王女達も関わってくる。


        3.ランクマー最高の二人の盗賊
        スタードックの王女たちから渡された不思議な宝石をランクマーで売って一攫千金を狙う二剣士だが、その宝石の本当の価値を知らない彼らは、狡猾な故買屋の女達に騙されすべての宝石を巻き上げられてしまう。彼らは自棄になって酒場で自暴自棄になるが、そんな時クォーモールからの使者が彼らに依頼をもちかける。


        4.クォーモールの王族
        星々の船とは打って変わって地下深い世界が舞台。
        巨大な地下迷宮内にある王国クォーモール。
        王クォーマルと二人の王子ハスジャールとグワーイの権力闘争が続くこの地下王国に雇われた二剣士の物語。
        ファファードとグレイマウザーはお互いがそれぞれの王子に雇われていることを知らない状態で物語が始まります。
        暗く淀んだ地下王国内で繰り広げられるお互いを亡き者にしようとする王子たちの暗闘。
        そして新たに生まれる子の為に、王座に不適格な王子二人の抹殺を謀る王。
        この恐ろしい権謀術数の中、巧みに立ち回って生き延びる二剣士の活躍が楽しい。


        ファファード&グレイマウザーシリーズの特徴はなんというか演劇っぽい感じではないだろうか。
        「魔女の天幕」とか「ランクマー最高の二人の盗賊」なんかは、絶対に演劇(映画ではなく)にしてやってみたら面白いんじゃないかな。

        シリーズ中には凄惨な戦いあり、恐ろしい妖魔も登場する物語であるが、全体としてどこかお芝居っぽさを感じさせるユーモラスさが漂っている。
        そこが私の感性に合っているのか、すごく好きなヒロイックファンタジー物語の一つになっている。
        >> 続きを読む

        2020/05/04 by くにやん

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【浅倉久志】(アサクラヒサシ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)

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