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読書ログを初めてしばらくした頃にレビューを見かけてぜひ読みたいと思っていた本。5年ごしくらいでやっと読んだ。世にも奇妙な物語的な、ブラックで後味の悪い短編の数々。星新一のようなメッセージがあるストーリーではないけれど、どれもエンターテインメント性十分。エンターテイメント性が強い短編は、オチを目掛けてストーリーが進んでいく印象があったり、オチが読めたりすることも多いが、この本でそんなことを感じることはなかった。安心して楽しめる、期待通りの本。ただし、色々な意味で気持ち悪い話も多いのでpo1415さんもレビューされている通り、万人向けではないと思う。どれも面白かったけれど、特に「知らない旅」は本当に気味が悪くて夜中に読み進めることができずかなり印象に残った。ホテルで昔の恋人と待ち合わせをする男性。しかしそこまでの道のりに、入院しているはずの妻らしき女性が立っている気がする。昔の恋人を待ちながら、ふと妻が昔、強く強く願うと自分の分身が自分の知らないうちに現れるのだという話を聞いたことがあることを思い出すのだった…。鳥肌…! >> 続きを読む
2017/07/16 by chao
日本語にまつわる楽しさをあれやこれや、えとせとらで紹介。凄い、国文学者顔負け、阿刀田高って凄い。漢字の伝来からはじまった、漢字の音読みと訓読み。漢字を崩して、平仮名をつくり、漢字では表現しにくい日本語のいろんな部分、助詞や語尾の部分に、当てる。そして、漢字とひらがな、カタカナの二つの仮名を持つユニークな言語を定着。それに、近来はローマ字まで参入。・・・と。この、言葉の豊富さが、思考の豊富さにつながる・・・と。阿刀田高さんが、日本語の豊かさ、おもしろさを綴る。語源でおもしろいのを二つばかり紹介すると“狼狽”よく使う言葉だが、なぜオオカミが・・・・狼も狽もオオカミのことなのだが、狼は前足が長く、うしろ足が短い。狽はその逆。だから一緒に走るとギクシャク、ギクシャク、歩調が乱れうろたえてしまう。そこで狼狽、というわけ。“おなら” “人は、小天地なり。天地に雷あり。人に屁あり。”語源は音から来てるとか“ブ”“プ”では日本語なじまいと“へ”を使い日常語では、おなら。“鳴る”から転じて、それに美化語の“お”がついたもの。小倉百人一首の名句“いにしえの奈良の都の八重桜けふ九重に匂いぬるかな”に因んで“奈良の都”と言い、略して“奈良”、それに“お”ついたのだと・・。そして落語では“転失気”というのがあるが、〈日本国語大事典〉によると、“屁が肛門まで来て、外に出ないで、音が中に反転すること”失気が転ずるとの意。“転失気”とはおならのこととは、落語の中で語られるが、語源までは知らなかった。あと土佐の“よさこい”、“たそがれ”なんぞが、どんどん続く。日本語って、愉しいですな。“はい”“まったく”“そうですよ”“そうなんですか”“よくわかりませんけど”これって、あいづちの打ち方の項で、述べられている言葉。どんどん拡がる、ウンチク日本語、興味ある方は、この本をお手に・・・・。 >> 続きを読む
2013/09/29 by ごまめ
ディベートやっていた時に先輩に薦められて読みました。「詭弁」とはWikipediaによると「詭弁(きべん、sophism)とは、主に説得を目的として、命題の証明の際に、実際には誤りである論理展開が用いられている推論。」ということです。この本は世の中に溢れている詭弁を具体例をまじえてテンポよく、軽快に紹介している本です。とても面白いです。詭弁はあまり良い意味ではありませんが、色々なパターンの詭弁を知っておくことでディベートにおいても役立つことはたくさんありました。主に使う方ではなくて、相手の詭弁を見抜くことですが、時にはわかっていて詭弁を使うこともあります。こういうことを言うと口だけ達者で言いくるめるのがディベートだとまた誤解されてしまいそうですが…^^;そういうわけではありません。でも誰かに伝えたい時、必ずしも真実を言えばいいというわけではないと思うのです。詭弁を使いましょう♪ということではありませんが、世界の色々な詭弁を知ることで頭がちょっと柔らかくなる気はします。そんなわけで、大学時代にだいぶお世話になりました。著者の豊富な知識も楽しめて、オススメです。 >> 続きを読む
2012/11/21 by ただひこ
八百万の神が住まう日本。すべてのものに神が宿るという考え方のルーツが、古事記にある。古事記は、大和朝廷の基盤が強固になったとき、自らの血筋がいかに正当なものか、後追いの形で作られたもの。それは、神が国土を造ったところまでさかのぼり、神話・伝説を経て、歴史へとたどり着く。「ヤマタノオロチ」「因幡の白兎」「ヤマトタケル」等、我々になじみ深い古事記のエピソードを含め、作者が面白いと思うエピソードを中心に紹介しているように思う。信じるかどうかはともかく、古事記の痕跡は、日本各地に点在しているから、旅をするとき訪れてもいいなあ。なんて興味を持った。これを読む前に、小学生向けの漫画で古事記を読んでいたので、さらにわかりやすかった。 >> 続きを読む
2015/10/27 by shizuka8
阿刀田高さんの文章は、妙な熱気のようなものがあります。この『ナポレオン狂』は、昭和40~50年代に書かれた短篇小説集です。 13編の短篇ですが、どの短篇も最後の数行で「あっ!」という逆転の連続で、「驚き、すとんと腰がくだけてしまうような余韻」が見事に詰まっている短篇です。 短篇は文字数が限られているため、出だしでさっと読者をひきこまなければならない難しさにあると思います。表題作となった『ナポレオン狂』では「気と正常とは、ある明確な一線を堺にしてキッカリと左右に峻別されるものではあるまい。もちろん大部分の人間は完全に正常であり、またひとめで狂気とわかる人間もいる。だが、その境界線あたりに位置するというのも当然存在するはずである。」 つまり、出だしの文章でこの物語の骨子をすでに手際よく語ってしまっていながらも、「私」が出会った、ナポレオンが好きを通り越して「ナポレオン狂」とでもいいたいぐらいの収集家との出合いにつながります。 犯罪を扱ったミステリ短篇が多く、『来訪者』は、赤ちゃんという新しい家族が増えてきた中に入り込もうとする「来訪者」が不気味で、執拗なところがラストの逆転の伏線となっています。 昭和の時代の短篇集ですが、エスプリ、ユーモア、アイロニーといった少々、ひねくれた味付けでありながら、匂いたつような空気を持つ短篇は今読んでも十分に読み応えがあります。 ただただ「面白いもの」では単なる娯楽で終わってしまいますが、その先に鋭い人間心理、行動の観察というものがあるので、読み終わった後の余韻がたっぷり。それが13編もあるなんて贅沢な一冊だと思います。 >> 続きを読む
2018/07/04 by 夕暮れ
42編のショートショート。ブラックユーモアに彩られた作品群。ショートショートは、どちらかと言うと苦手なジャンルなのだが、本作品は比較的楽しむことが出来た。さすがに42編も有ると質にバラ付きが有るのは否めないが、これだけ多くの切り口が用意されていることで、より多くの読者に受け入れられることが有るのかもしれない。気分転換用に持ち歩いてサッと読むのにちょうど良い。 >> 続きを読む
2011/04/22 by ice
トロイア戦争時代を生きた英雄アイネイアスの物語。 中国や日本の武将をあつかった小説ばかりの日本においては ちょっと珍しい一冊。 文庫本ですが674ページもあり、なかなか読み応えがあります。 全体のちょうど半分くらいまでがトロイア戦争のくだり。 アイネイアスはトロイア側の武将として戦いました。 うわさに名高い「トロイの木馬」のあつかいは 著者オリジナルの解釈となっており賛否分かれるところでしょうが、 現実にはどうだったかという視点を大事に 物語を構築していった努力がしのばれます。 のこりの半分はトロイア滅亡により イタリアの地にまで長旅をし、 トロイアの復興 ⇒ ローマ建国の礎となるまでが描かれています。 長い作品ですが読みやすい文章でテンポもよく、 飽きることなく最後まで楽しむことができました。 今年のGWは例年以上に大型ですし、 こんな時に読むにはオススメです(笑) >> 続きを読む
2019/04/29 by kengo
阿刀田高氏が狂気の笑い“ブラック・ジョーク”をまとめ撃ち。でも、中にはエロ・グロ的なものもあって、結構苦手。著者もあとがきで言っているように、ブラック・ジョークには、甘口と辛口があるようで。私的に言えば、後味が良いものと悪いものがある。一つ一つは、ショートコント風ですぐに読めそうだったのになかなか進まなかったのは悪いものが続くと、消化不良なのか、すぐ胸焼けをしてしまったようで・・・・・結構、読破辛かったでおます。ズバリ・・・・・、「わたい、“ブラック・ジョーク”口に合いませんわ」の巻でおました。 >> 続きを読む
2013/10/10 by ごまめ
膨大な数のギリシャ神話の中から代表的な話をピックアップし、そのエッセンスを軽妙な語り口で解説した本。著者は様々な文芸に通じており、ギリシャ神話をモチーフにした演劇や映画などのエピソードも豊富だ。それにしても登場する神々のなんと自由奔放なことか。美女を見つけたら本人がいやがっていようがお構いなし。愛する夫の姿に化けて人妻に夜這いをかけるわ、意に沿わなかった者には呪いまでかけてしまうわ、やりたい放題でとんでもなく人間臭いのである。ギリシャの人々にとって神々は畏れ多いが身近な存在であったのだろう。私が一番印象に残っているエピソードは第一章の「トロイアのカッサンドラ」である。美しく聡明なトロイアの王女だった彼女は、神の一人であるアポロンに見初められ、予知能力を手に入れる。しかし関係を持つ前に、アポロンにみじめに捨てられる自分を予知してしまい、アポロンのもとを逃げ出してしまう。その結果、アポロンに「誰にも予言を信じてもらえない」という呪いをかけられてしまうのである。有名な「トロイアの木馬」では、木馬を城内に引き込もうとした兵士たちに必死でやめるよう忠告したカッサンドラだったが、誰にも信じてもらえることはなく、トロイアは火の海となった。神に見初められたがために悲惨な運命をたどったカッサンドラがなんともあわれで哀しい。古代ギリシャといえば明るくて自由なイメージを持っていたが、女性にとっては決して生きやすい時代ではなかったのかもしれない、と思う。各エピソードは作者の想像で肉付けされており、読み物としておもしろい。ギリシャ神話への興味を持つきっかけとして良い本である。 >> 続きを読む
2020/09/05 by matatabi
「読んだら忘れない読書術」で著者樺沢紫苑おすすめの、この本。なるほど、わかりやすい。旧約聖書なんて、古典中の古典。難解で取っつきにくいコレを、信仰のない作者が、信仰のない読者にでもわかりやすいように、作者独自の切り口で書かれている。書く方に信仰がないので、信仰を持つ人の手によって書かれた解説書に比べ、面白みがあってわかりやすい。カトリック系の学校に通って(でも信仰はナシ)、聖書には触れてきたけど、その時にこれに出会っていたら、スッキリとした頭で聖書に向き合えたかもしれないなあ。一般教養を深めるにもおすすめ。 >> 続きを読む
2015/10/14 by shizuka8
「ねえ、私、生れてから一度も<怖い>と思ったことがないの。あなたのお話で、私に<怖い>ってどんなものか教えて下さいな」――。(裏表紙あらすじ より)形式:短編集内容:7編 236頁巻末解説者:該当なしレビュー 阿形田高 、宮部みゆき、高橋克彦、乃南アサ、鈴木光司、夢枕獏、小池真理子による書下ろしの短編集です。怪奇小説という共通の題材の下、様々な作風をみることができます。乃南アサ 氏の『夕がすみ』は、立て続けに家族を失った小学生の従妹かすみちゃんを”私”の家で引き取ることから始まります。私と私の家族は、その可愛らしさゆえに彼女を喜んで受け入れますが、徐々に彼女をとりまく不気味な雰囲気を感じはじめたとき、ある事件が起こります。読み進めるにあたって従妹のかすみちゃんが何か怪しいと思いながらも最後のシーンには少し背筋が凍る思いをしました。 夢枕獏 氏の作品『安義橋の鬼、人を噉らふ語*1』は江戸時代が舞台なっています。鬼が出るという橋の噂を聞いた武士達が互いに意地を見せるため、その橋を訪れることとなります。オチもコミカルで面白かったのですが、時代特有の敬語を用いたナレーションのような地の文も見どころだと思います。本書は2009年、2010年の「新潮文庫の100冊」にノミネート作品の一つです。その時の紹介文は「超お買い得!!この値段でこの作家陣 あまり本を読まない方もこの本から!!」というもので、そのコストバリューの高さを推していました。内容自体も十分に面白い本書ですが、気に入った作家の別作品を読んでいくのもまた一興かもしれません。*1読みは「あぎのはしのおに、ひとをくらふこと」 >> 続きを読む
2016/04/17 by SakaI
久々に「xxを知っていますか」シリーズ。イソップと言うとアリとキリギリスくらいしか思いつかなかったが、読んでみると「へぇ~これもイソップなの?」という感じ。大岡裁き、一休さん、3本の矢など日本になじみの話が随所に・・・と言うか、それらの話は紀元前のイソップが出所だったの?ところどころに「これがミステリー小説xxのさきがけでは?」という見方はいかにも著者らしい。気楽に読める文章の作りもよい。が、寓話はやはり故人の教えが詰まったもの。数千年?と思うと気楽に読んでいいのやら・・・折りしも今日は3.11 >> 続きを読む
2012/03/11 by minomu-
【阿刀田高】(アトウダタカシ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)
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