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綾川梓

著者情報
著者名:綾川梓
あやかわあずさ
アヤカワアズサ

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      スリーピング・マーダー
      3.0
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      • 若くて美しい人妻グエンダ・リードは、イングランド南部の海辺のひなびた町ディルマスで、その売り家を見た時、「ほとんど確信に近い胸さわぎを覚え」ながら、「これが、わたしの家だ!」と思った。

        確かに、今は名前こそ違ってはいるが、このヒルサイド荘は、彼女が幼かった頃、ニュージーランドの親類に引き取られる前、父と義母と一緒に住んでいた家だった。

        しかも、グエンダは、そこで女が死んでいるのを見た。「誰が死んでいたの?」と聞く、詮索好きの老嬢、ミス・マープルの問いに、彼女は「素早く機械的に」答える。「ヘレンが------」。

        こうして、二十年近い昔の殺人事件が、にわから浮かび上がってくるのだった。

        この「回想の中の殺人」の謎を解決するのは、もちろんミス・マープルであり、それがミス・マープル最後の事件となる「スリーピング・マーダー」は、1976年に85歳で亡くなったアガサ・クリスティーの遺作なのです。

        彼女の死後に出版されて、イギリスとアメリカではベストセラーになりましたが、このマープルものが書かれたのは、どうも1930年代の終わりごろらしいと言われています。

        しかし、読みようによっては、この「スリーピング・マーダー」は、偉大な女流推理作家の遺書とも受け取れると思います。

        初めて海外の推理小説を読むなら、アガサ・クリスティーからというのが、無難なところだろうと思います。

        謎があり、トリックがあり、名探偵が登場し、最後には邪悪な犯人が明らかにされる。つまり、伝統的な"探偵小説"なのです。

        もちろん、絶対にアガサ・クリスティーでなければならないということはありません。エラリー・クイーンでも、コナン・ドイルでもかまいません。

        この作品は、過去の殺人の謎を解き明かすという、いかにもクリスティーらしい推理小説だけれども、彼女の作品の中では、少し不満が残ります。翻訳がたどたどしくて、素人くさいせいかも知れません。

        この「スリーピング・マーダー」に少し失望しても、クリスティーを見捨てないで、彼女の短編を集めた「クリスティー傑作集」(深町真理子訳)を読んでみると、クリスティーが創造した名探偵を知ることができます。

        シャーロック・ホームズ以来の名探偵と言われる、口髭をワックスで固め、卵形の頭をしたエルキュール・ポワロ、夫婦探偵のトミーとタペンス、幽霊探偵ハーリー・クイン、私立探偵パーカー・パイン、それに、平和な村の生活を楽しみながら「人間の極悪なすべてを知りつくしている」、この作品にも登場するミス・マープル。とにかく、この作品と違って、翻訳が格段にいいので、安心して読むことができます。

        その後で、「アクロイド殺人事件」や「そして誰もいなくなった」など、クリスティーの傑作を読んでみるのがいいと思います。


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        2018/01/22 by dreamer

    • 2人が本棚登録しています
      スリーピング・マーダー
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • またまた面白かった。

        マープル夫人シリーズ。
        アガサC最後の作品。


        トリックやストーリー展開(こいつが犯人だったのか!)は然程でもない。
        (「そして誰もいなくなった」に較べればすべからく「然程でもない」となってしまうかもしれないが。)

        惹きつけられるのは、筆者自身が人生の終焉期に至って、この作品を書いたという点だろう。

        殺人は闇に葬られ、世間的には単なる「失踪」(殺された妻は、不倫相手と駆け落ちしてどこかへ逃げた)として、18年間世間的な関心から抹殺されていた。
        それを、主人公の幼い時の断片的な記憶から、殺人があったのではないか?という推測で事件を蘇らせる。

        筆者はマープル夫人をして何度も語らせる。

        眠っている者はそのまま眠らせておく方がいいの。
        安易に寝た子をおこして恐ろしいことになるのが何よりも怖い。

        と。

        それでも若い主人公2人は、「真実」の把握こそが「正しさ」として道を進み、物語は展開していく。



        仕事でも人間関係でもそうだけれど、
        「欲求不満」を「もう仕方のないもの」として置くことはある。
        自分の欲求を殺す、という意味で、そこにあるのは抽象的な殺人であり、
        それをそのまま触れずに放置するというのは、まさに、スリーピングマーダー、そのものである。

        やりたい仕事じゃないんだけどな。
        あんまり評価されてない気がするんだけどな。
        愛情関係ってもう完全に冷えてるな。

        なんて、
        思いながらも、さりとて「求めるところ」を求め、今の事実をありのままに発現させて迎えるだろう展開に恐れをなし、或いは、その面倒を忌避し、
        そうした思いや事実を見ず聴かず言わず触らずにしておく。

        そんなことは多い。

        でも、「いい」か「悪い」かといえば、その放置は「良くない」んだろう。
        臆病か保身かは分からないものの、とはいえその「良さ」を徹底するエネルギーはとてつもなくハードルが高い。

        だからこそ、この作品で憂れえたのは老婦マープルであり、
        「正しさ」を求めたのは、若い2人なのであったろう。

        以上は妄想の域を出ないものの、
        トリックが大したことないだけに、この作品を晩年に書いた筆者の意図という部分に思いを馳せると、なかなかに味わい深い作品と感じる。
        >> 続きを読む

        2017/08/19 by フッフール

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