こんにちはゲストさん(ログインはこちら) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト →会員登録(無料)


池波正太郎

著者情報
著者名:池波正太郎
いけなみしょうたろう
イケナミショウタロウ
生年~没年:1923~1990

この著者の本を読んでいる会員ランキング

このランキングは1日1回更新されます。
      剣客商売 剣客商売)
      カテゴリー:小説、物語
      4.2
      いいね!
      • 図書館本。再読。

        シリーズ最終巻まで読んだ後にこの第一巻を読み返すと、初読みのときにはわからなかったことに気がついた。第一話の「女武芸者」の冒頭から、もうすでにシリーズの魅力全開なのだなと。

        父の小兵衛が建ててくれた道場の井戸のそばに、秋山大治郎がたたずんでいる。道場を開いて半年になるが、門人は一人もいない。おかずは朝も夕も、ネギの味噌汁に大根の漬物だけという暮らし。そこへ、立派な身なりの侍が仕事の話をもちこんでくる。人ひとり、その両腕をたたき折ってくれたら、報酬は五十両。大治郎はどうするのか。

        この第一話には、シリーズの主要な登場人物がほぼ出そろっている。
        巻末の解説によれば、「小説新潮」で連載がはじまったのが昭和四十七年の一月号で、三年にわたって毎号掲載されたという。『鬼平犯科帳』と藤枝梅安シリーズの連載とともに、こんなに面白い話を毎月休まずに書いておられたとは、驚くばかり。


        ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

        初読み 2018年11月23日読了

        4/5 
        老剣客秋山小兵衛と、その息子で同じく剣客の大治郎が活躍するシリーズの第一巻。短編七編収録。

        鬼平や藤枝梅安シリーズとともに人気があるらしいが、始めのうちはあまり面白さがわからなかった。それが、「まゆ墨の金ちゃん」で命を狙われた大治郎を心配しながらも突き放してしまう小兵衛の迷いとためらいが丁寧に描かれていて、うまいなぁと唸らされてから愛着がわいてきた。

        鬼平や梅安に感じる刺激は少ないが、小兵衛にはどことなく仙人のような味わいがあって魅かれる。これからゆっくり楽しんでいこうと思う。


        >> 続きを読む

        2021/03/09 by Kira

    • 他3人がレビュー登録、 9人が本棚登録しています
      殺しの四人
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • 図書館本。
        表の顔は親切な鍼医者だが、裏の顔が殺しを請け負う冷酷な仕掛人藤枝梅安と相棒の彦次郎を描くシリーズ第一巻。連作短編五話収録。

        第一話「おんなごろし」では、梅安が本当に女を殺してしまうので、ちょっと驚いた。表題作「殺しの四人」では、仇として狙われた梅安と、その手足となって仕掛けをしていく彦次郎の絆が描かれる。

        剣を持たない梅安の必殺の道具は殺し針である。梅安も彦次郎も冷徹な殺し屋だが、二人が交わす会話はのんびりとしておだやかなものが多い。それがこのシリーズの魅力のひとつだと感じた。続きを読むのが楽しみ。

        >> 続きを読む

        2018/11/22 by Kira

    • 他1人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      幕末遊撃隊
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
      いいね!
      • 図書館本。
        幕末の動乱を駆け抜け、二十七歳で命を散らした美貌の剣士の物語。

        心形刀流伊庭道場の後継ぎ伊庭八郎は、ある秘密を得た十六歳で剣の道に進み、天才剣士の名をほしいままにする。幕臣として将軍の上洛に従い、大政奉還で幕府の崩壊をまのあたりにした八郎は、同士を募って遊撃隊を組織し、薩摩長州の官軍に挑む。

        八郎の秘密が語られるあたりから面白さが倍増して、幕末の動乱を垣間見たような気分になれた。美貌の剣士が若くして内乱に身を投じるというだけでもドラマ性に富んでいるが、八郎に想いを寄せる遊女小稲や、最後まで忠誠を尽くす板前の鎌吉などの脇役たちの活躍もすぐれている。

        今年は池波氏の作品をもっと読みたいと思う。

        >> 続きを読む

        2021/01/01 by Kira

    • 他1人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      雲霧仁左衛門
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 図書館本。大長編の前編。

        本格の盗め(つとめ)の掟を厳しく守る盗賊の頭雲霧仁左衛門の次の標的は、尾張の豪商松屋吉兵衛。商用で江戸に来た吉兵衛に、美貌の尼が近づく。謎めいた美しさに夢中になった吉兵衛は、盗賊の一味だとは思いもよらず、尼を尾張へ連れ帰る。一方、仁左衛門に煮え湯を飲まされてきた火付盗賊改方は、江戸を引き払った雲霧一味の後を追う。

        厳しい掟で統率されていたはずの雲霧盗賊団にほころびが生じ、他の盗賊につけこまれる。そこで仁左衛門が大胆な行動に走り、手下だけでなく読んでいるこちらもびっくりするカオスな展開。

        尾張では、紀州徳川と尾張徳川の確執による隠密殺害がひそかに進行していて、江戸の剣客がそれに関わる。それが後編に、どのようにからむのか。
        またしても仁左衛門に逃げられてしまった火盗改は、どう対処するのか。
        後編もまた、カオスで楽しめそう。


        >> 続きを読む

        2021/03/26 by Kira

    • 他1人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      あほうがらす
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 池波氏の多彩な小説世界を味わえる十一篇をおさめた短編集。

        特に気に入ったのは「元禄色子」と「男色武士道」の二篇で、作者の作品に時々出てくる男色をきわめたような物語だった。

        「元禄色子」は、大石内蔵助が赤穂浪士討入り前に自分の息子で十五歳の主税(ちから)に女遊びをさせようと送り出すのだが、世話人が主税を連れて行ったのは陰間茶屋。そこで主税は、幸之助という美貌の色子と運命的な出会いをする。死を前にした主税と元武士の子である幸之助が魂深く結びついていくストーリーは、へたなBLより艶があって感動した。

        十一篇のいずれも面白くて、大満足の作品集だった。


        >> 続きを読む

        2020/05/14 by Kira

    • 他1人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      真田太平記
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
      いいね!
      • 図書館本。
        シリーズ第一巻。

        戦国時代の事情に疎い私でも夢中になった。池波氏のストーリーテリングと、読み心地のよい文章にどっぷりつかる至福を味わった。

        この巻では武田家の滅亡から本能寺の変までを描く。もうすでに真田幸村の魅力が全開で、続きを読むのがとても楽しみ。読みながら、なぜか「つわものどもが夢の跡」という言葉が何度も思い浮かんできた。


        >> 続きを読む

        2021/07/03 by Kira

    • 他1人がレビュー登録、 8人が本棚登録しています
      人斬り半次郎
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • 図書館本。

        維新後、陸軍少将となった中村半次郎は桐野利秋と名を変える。出世して高給取りになった半次郎が浮かれている間に、西郷隆盛は朝鮮問題で新政府と対立し、故郷の薩摩に帰ってしまう。後を追った半次郎は、荒野に住みついて開墾を始める。やがて、新政府に対する士族の不満は西南の役へと発展する。

        故郷を離れて京都に上り、動乱を生き抜いてから西南の役で戦死するまでの半次郎の半生は、密度の高いものだったと思う。陸軍少将としての得意の絶頂から転げ落ち、賊軍の将として討たれてしまうのだが、半次郎はいつも明るい。

        死に臨む最期のときまで西郷を守った半次郎の生き様が、熱くて格好いい。



        >> 続きを読む

        2021/02/13 by Kira

      • コメント 2件
    • 他1人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      辻斬り 剣客商売)
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 図書館本。再読。
        読むのは二度目だというのに、面白すぎて困る。

        「悪い虫」で辻売りの鰻屋又六が初登場する。秋山父子の教えを受けた又六は、今後もたびたび登場して活躍する。

        大治郎は一日おきに、老中田沼意次の本邸で家来たちに稽古をつけるようになっている。少しずつ剣術が商売になってきているが、剣客は恨みをもたれる宿命にある。

        このシリーズの時代背景は田沼意次が権勢をふるった時代だが、歴史的評価はともかく、意次はそれほど悪しざまに描かれてはいない。


        --------------------------------------------------

        初読み 2018年11月28日読了

        4/5 
        剣客父子秋山小兵衛と大治郎が活躍するシリーズ第二巻。

        第一巻では父子で戦う場面はほとんどなかったが、この巻では二人で悪人をこらしめる話がいくつかあった。表題作の「辻斬り」は特に面白かった。辻斬りに襲われた小兵衛はびくともせずに相手を気絶させ、尾行して身元を探ると目付衆の旗本だった。剣術自慢の試し斬りなど許せないと、小兵衛は大治郎とこらしめにかかる。

        斬り合いになると父子の息はぴったり合って、向かうところ敵なしになる。最後の詰めは父の役目で、息子は父の技に感服して尊敬の念を深める。飄々とした小兵衛と真面目で朴訥な大治郎の物語が面白くて、続きを読むのが楽しみになってきた。



        >> 続きを読む

        2021/03/10 by Kira

    • 他1人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      陽炎の男 剣客商売)
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 図書館本。
        再読。安定した面白さのシリーズ第三巻。

        作者もまだ若いから秋山小兵衛も元気いっぱいで、難儀している知人の問題解決に忙しく立ち回る。

        「陽炎の男」で老中田沼意次の愛娘三冬が、初めて大治郎を男として意識し始める。美貌の女剣士三冬と、たくましい剣客大治郎の恋の行方が気にかかるところ。秋山ファミリーは、ますます好調である。


        -----------------------------------------------------

        初読み 2018年12月3日読了

        4/5
        剣客父子の剣が冴えるシリーズ第三巻。七篇収録。

        カバーイラストに描かれた、素裸で男を投げ飛ばそうとしているのは三冬という女剣士である。男装の麗人で、剣術はもちろん武術にもすぐれ、自分より弱い男には嫁がないと豪語している。自分よりもはるかに強い小兵衛にしばらく懸想していたが、三冬の気持ちに変化が現れる(「陽炎の男」)。

        新たに心惹かれる男の前に出ると、無意識に女らしい口調になる三冬がかわいい。ただ、その男と三冬の恋の行方については、第一巻の巻末で解説者がネタバレしてくれたので(いらんことをしてくれる!)、二人がどうなるのかというドキドキ感が薄れているのが残念。
        来たるべき場面に期待しよう。


        >> 続きを読む

        2021/03/13 by Kira

    • 他1人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      天魔 剣客商売)
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
      いいね!
      • 図書館本。
        再読。この第四巻は、個人的にとても気に入っている。

        まず「天魔」から再読を始めた。初読みのときから印象深い話だったが、再読すると、なお心に残る。小兵衛の弟子たちのすべてが、いい剣術つかいになったわけではない。教え子を斬らなくてはならないという運命も、剣客商売のうちである。

        「夫婦浪人」も味わい深い。池波氏の男色ものはどこかユーモラスなものが多いが、この作品もおかしくて、やがて哀しい結末になる。

        その他の六篇のいずれも面白くて、何度読んでも楽しませてくれる。


        -----------------------------------------------

        初読み 2018年12月9日読了

        4/5
        シリーズ第四巻。八篇収録。

        表題作の「天魔」がちょっと怖かった。
        韋駄天の神が体内に宿ったと自称する最凶の若武者が、かつて師事した小兵衛に勝つために江戸に戻ってくる。高く跳躍して剣を繰り出す剣術で道場破りを繰り返しては無益な血を流すこの化け物に、小兵衛と大治郎はどう立ち向かうのか。
        最後のオチがいかにも剣客父子らしくてよかった。

        他に気に入ったのは「夫婦浪人」で、作者は男色を描くのにあまり抵抗がなかったように思う。


        >> 続きを読む

        2021/03/14 by Kira

    • 他1人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      狂乱
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 図書館本。再読。

        表題作の「狂乱」は、初読みのときからずっと印象に残っている。周りから疎まれて、孤独を深めてきた人間の鬱屈した感情が爆発するときの恐ろしさが描かれる。似たような殺人事件は現代にも起きている。人間のすることは、いつの世にも変わらないというわけか。

        シリーズの真ん中にきた。ここから先は、小兵衛の老いの心理に注目しながら再読してみようと思う。


        -------------------------------------------------------

        初読み 2020年1月25日読了

        4/5
        シリーズ第八巻。六篇収録。
        久しぶりにシリーズ読みを再開したら、やはり面白くてどんどんページをめくった。

        表題作の「狂乱」は重苦しい話で、現代にも通じるものを感じた。
        剣術に長けてはいても身分が低いために周りから疎まれ、長年にわたって孤独を深めてきた男が、狂気に走り人を殺める。秋山小兵衛がかけた救いの言葉も間に合わなかった。その男の死に顔が安らかだったことが、せめてもの救いか。

        お金にもならない揉め事に巻き込まれてばかりの小兵衛だが、むしろ楽しんでいるようなところが面白い。


        >> 続きを読む

        2021/04/01 by Kira

    • 他1人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      雲ながれゆく
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
      いいね!
      • 読んだのは新装版だが、なぜか登録できないのでこちらで代用。
        再読。とはいえ、結末をほとんど忘れていたので初読み気分で、面白すぎて一気読みした。

        老舗菓子舗の若後家お歌はある日、雨宿りした小屋で行きずりの浪人に手ごめにされるが、なぜかその男を憎みきることができない。そのうちに不思議な縁でその浪人馬杉源吾と再会し、やがて二人の恋情は敵討ちの若侍の助太刀に発展していく。

        勝ち気なお歌は、傾きかけた菓子舗の再建に取り組む一方で、実家とも縁が切れず、仔細ありげな若侍を匿ってその世話もする。頼りにされて次から次へと厄介事を押しつけられるが、ぼやきながらも用事を片づけていくお歌の姿がすがすがしい。源吾への想いの変化も丁寧に描かれている。

        この源吾が常人ではない剣客で、仙人のような穏やかさの中に恐ろしいほどすぐれた武術と剣術を秘めている。道場破りと助太刀のシーンは胸のすくような見所が満載で、全編を通じて読みごたえたっぷりの長編だった。

        >> 続きを読む

        2018/11/19 by Kira

    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      鬼平犯科帳
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 読むのは三回め。

        急に思いついたのが「鬼平犯科帳をちゃんと読もう」だった。12年も前に六巻まで買っていながら、未だに第一巻しか読んでいない。再読したときにも同心と与力の区別がつかず、岡っ引きや下っ引き、中間が出てきても混乱するだけだった。何より、火盗改に対する親近感がなかった。それでもここしばらく、どういうわけか時代小説をせっせと読んでいるので、鬼平に対するハードルも少しは低くなったかもしれないと。

        今なら鬼平を楽しめるかもしれないと思って読んだ第一巻で今回気がついたのは、この巻は捕物帳というより盗賊たちの生き様を中心に描いた短編が多い。その中で、平蔵にすさまじい拷問を加えられながら、後に心酔して密偵となる粂八が今回も印象に残った。悪党が惚れ込むほどに、平蔵は格好いいのである。

        ---------------------------------------

        再読 2017年3月22日

        初めて読んだのは2006年だった。私が持っているのは2005年新装版第13刷。第1刷は2000年となっている。5年間でこれである。ならば、最近になって「決定版」が出るまでに何刷重ねたのだろう。いかに人気のシリーズかがわかる。

        第一話でまず驚いたのが拷問シーン。しかも責められた男がその後鬼平の「狗」になるからすごい。冷徹だが、罪人の子を引き取るほど人情に厚い鬼平の魅力が、この一巻だけでたっぷり味わえた。

        >> 続きを読む

        2018/11/07 by Kira

    • 他1人がレビュー登録、 9人が本棚登録しています
      炎の武士
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 図書館本。
        短編四篇収録。

        表題作は戦国時代の話、残りの三篇は幕末の物語で時間的に開きがあるが、共通しているのは生き方を貫いた男たちの姿といったところか。

        「炎の武士」では、時代背景をわかりやすく物語にからめてくれているので、日本史オンチの身でも読むことができた。間宮林蔵の生涯を描いた「北海の猟人」でも、シーボルト事件を知ることができた。

        池波氏の作品を読みながら日本史を少しずつわかってきたかな、というのがうれしい。このぶんだと『真田太平記』を読める日も近いかな、という気になってくる。歴史時代小説にも、少しずつなじんできたような感じがする。


        >> 続きを読む

        2021/04/29 by Kira

    • 1人が本棚登録しています
      梅安蟻地獄
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 図書館本。
        シリーズ第二巻。四篇収録。

        表題作で若き剣客小杉十五郎が登場する。十五郎のターゲットに間違えられて梅安は襲われかけるのだが、自分と同じ仕掛人の匂いを感じとって親しくつき合うようになる。

        その後、道場の後継者争いに巻き込まれた十五郎とともに梅安は大坂へと旅をする。その道中で十五郎の追っ手を彦次郎と組んで始末し、梅安は大坂で難しい仕掛けをおこなう(「梅安初時雨」)。

        梅安と彦次郎の会話が、読んでいて心地いい。「彦さん」「梅安さん」と呼び合いながら仕掛け(暗殺)の話をしているのに、まるで物見遊山の相談でもしているようなのどかさなのである。その穏やかさと仕掛けの非情さとの対比が面白い。梅安の強烈な個性にちょっと当てられている。

        >> 続きを読む

        2018/11/25 by Kira

    • 2人が本棚登録しています
      梅安最合傘
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 図書館本。シリーズ第三巻。
        中編を含む六篇収録。冷徹な梅安にしては珍しく迷いの多い巻だった。

        「梅安鰹飯」では、梅安に仕掛けを依頼する元締めと、その元締めへの依頼人が互いに相手を殺害しようとして、その仕掛けの仕事が二つとも梅安のもとにくるという皮肉な展開だった。

        「梅安最合傘」では、十年前に自分の命を救ってくれた浪人が悪辣な辻斬りを働いていることを知った梅安が、恩義と仕掛けの間で苦悩する。「梅安迷い箸」でも、殺しの場面を見られてしまった女を殺さなければならないとわかっていながら、梅安は悩み抜く。

        そんな苦悩に満ちた梅安を傍らで見守る彦次郎は、梅安の決心を尊重する。二人の絆を象徴するような最合傘で互いの指が触れ合う描写に、なんだかときめいてしまったのは、BLの読みすぎかな。

        江戸に舞い戻ってきた小杉十五郎も、やはり仕掛人の世界に入り込んでしまうが、梅安はそれを残念に思っている。三人がこれからどうなるのか、ますます楽しみ。

        >> 続きを読む

        2018/12/02 by Kira

    • 2人が本棚登録しています
      梅安針供養
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 図書館本。
        シリーズ第四巻にして初の長編。

        梅安はある夜、闇討ちにあって瀕死の若侍を助けるが、命を取りとめた侍は記憶を失っていた。同じ頃、依頼された仕掛けは女殺しで、若侍に関わりがあるのではと梅安は探り始める。しかし、十五郎を仕掛人の世界から足を洗わせようとしていた梅安の命が狙われる。

        この巻も仕掛人の非情さと、梅安や彦次郎の見せる人間味との対比がよく描かれていた。十五郎も加えた三人でおこなう仕掛けの場面はスリルに満ちていて、読みごたえたっぷりの長編だった。

        >> 続きを読む

        2018/12/04 by Kira

    • 2人が本棚登録しています
      梅安乱れ雲
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 図書館本。シリーズ第五巻。
        短編一篇と表題作の長編を収録。

        梅安の命を狙い始めた大坂の元締め白子屋が、二人の刺客を江戸に向かわせる。同じ頃梅安は、白子屋と決着をつけようとして一人で旅立った十五郎を追って東海道を上る。その途中の宿で腹痛に苦しむ侍の治療をするが、その侍こそ刺客の一人田島一之助だった。
        素性を明かさずに別れた二人だが、やがて田島は自分を治療してくれたのは暗殺の標的である梅安ではないかと気づく。梅安に深く感謝する田島は、恩義と仕掛けの間で悩む。

        前作に続いて、この巻もさらに緊迫した展開だった。その中で、暗殺者の二人がなんとなく間抜けな感じで、緊張感が少し緩むのが面白い。
        緩急のリズムが心地いいのも、作者の語り口の特徴だと思う。

        >> 続きを読む

        2018/12/06 by Kira

    • 2人が本棚登録しています
      梅安影法師
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 図書館本。シリーズ第六巻で長編。
        面白すぎてページをめくる手が止まらなかった。

        前作で大坂の元締め白子屋を暗殺した梅安は、白子屋の残党たちから引き続き命を狙われる。世話になった薬種屋の病を治療するために泊まりこんでいる梅安を、彦次郎が陰で助ける。十五郎も刺客に襲われた梅安を間一発のところで救う。

        三人で協力して敵に逆襲をかけるくだりはスリルに満ちていて、たっぷり楽しませてもらった。

        >> 続きを読む

        2018/12/07 by Kira

    • 2人が本棚登録しています
      捕物小説名作選
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 捕物シリーズの第一回作品を収録したアンソロジー第一弾。
        この巻には中編一篇を含む六篇がおさめられ、知らなかったシリーズの魅力をたっぷり楽しんだ。

        最近気になっていた『半七捕物帳』からは「お文の魂」。この一篇だけで、半七に夢中になりそうな予感がした。どちらかといえば、もの静かな感じの半七は登場シーンからして粋である。

        『風車の浜吉捕物綴』からは、「風車は廻る」を収録。シリーズの続きを読みたいので、図書館で探そうと思う。

        柴田錬三郎氏の『貧乏同心御用帳』から中編の「南蛮船」が収録されていて、思わずうれしくなる。この一篇だけは、何度読んだかわからないほど気に入っている。

        柴錬以外の五人の作家さんは初読みだったが、いずれも面白くて、図書館で見かけたら手に取って読んでみたいと思う。というわけで、個人的には大収穫のアンソロジーだった。


        >> 続きを読む

        2021/05/14 by Kira

    • 1人が本棚登録しています

【池波正太郎】(イケナミショウタロウ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)

会員登録(無料)

今月の課題図書
読書ログってこんなサービス
映画ログはこちら
読書ログさんの本棚

レビューのある本