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池内紀

著者情報
著者名:池内紀
いけうちおさむ
イケウチオサム
生年~没年:1940~

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このランキングは1日1回更新されます。
      香水 ある人殺しの物語
      カテゴリー:小説、物語
      4.3
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      • (ネタバレあり)



        唯一無二の超人的な嗅覚を持つグルヌイユ。彼の世界は全てのものが匂いだけで認識・構成されている。
        悲惨な生を受け数奇な運命を辿り、調香師として天賦の才を発揮していく。
        女性の美しささえも匂いであり、匂いを奪い取ったら、残りは花弁の残骸と同じで捨てるだけ!究極のフェティシズム。殺人という行為も精油を採取するための花摘みなのだ。
        存在するモノの本質を匂いでしか捉えられない彼が、自らは無臭である絶望。世界を掌握出来る力を持つ愛の香りを纏っても拭えるものではなかった。
        処刑場での衝撃的なシーンよりグルヌイユの最期が壮絶!
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        2017/11/05 by ももっち

    • 他3人がレビュー登録、 9人が本棚登録しています
      ファウスト
      カテゴリー:戯曲
      3.0
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      •  休みに入ったので、まとまった時間で名作を読むことにする。訳者の池内紀が第二巻巻末で述べているとおり、「有名な名作であれば、たいていの人が名前を知っている。そしてたいていの人が一度も読んだことがない」からである。名作と呼ばれるものはたいてい長くて難解なものが多いが、戯曲はとりわけ手を付けにくい。原語が美しく韻を踏んだ気の利いたしゃれに満ちているからだ。それなら原語で読めばいいのだが、そこまでの語学力がないので翻訳に頼ることになる。そうするとしゃれや韻は味わえない。意味の取りにくいだらだらした詩句をひたすら読むことになる。訳者の池内氏はその辺をよくわかっているのか、第一部巻末で次のように述べている。「……しかしながら翻訳すると、ゲーテがドイツ語で苦心した一切が消えてしまう。韻律が乏しく、まるきりべつの構造をもった日本語にあって、詩句を踏襲しても、はたしてどのような再現ができるだろう。詩句をなぞるかわりに、ゲーテが詩体を通して伝えようとしたことを、より柔軟な散文でとらえることはできないか。いまの私たちの日本語で受けとめてみてはどうだろう。そんな考えで、この訳をつくった。」そういうわけで、この「ファウスト」は小説のように読める。宮澤賢治のオノマトペの豊穣さや、谷川俊太郎の詩であえてすべてひらながにしている面白さや、詩歌における掛詞がたぶん翻訳不可能であるのと同じだろう。

         ファウスト博士が学問を究めながら、年老いて退屈で何も楽しみを見いだせない姿には、超高齢化社会の日本の孤独な高齢者と重なって見えてくる。幸福が何であるのか、若い時には自分の学問が認められることや、地位が高くなることや財産が増えることなどが成功だったと思うが、それらを手に入れているように見える晩年の博士は幸福そうではない。そこに悪魔メフィストフェレスがつけいる隙がある。悪魔というからにはもっと無制限に魔法などが使えるのかと思えば、人間に知恵を貸したり、そそのかすくらいで、実行するのは人間である。メフィストフェレスがファウストから依頼されて実行する場合にも、普通の人間のようにするばかりなのが面白い。第一部で誘惑される処女グレートヒェンにしても、相当に手間をかけ、普通に女の子を口説くのとそう変わらない。この辺が妙にリアルである。魔法の力であっという間に虜にしましたということなら、話は簡単だが詩にはならない。

         第二部はとても読みにくかった。第一部とどう繋がっているのかがわからないし、ファウスト博士は現実にはどこにいるのか、夢なのか、わかりにくい。ファウストよりもメフィストフェレスの方が魅力的に立ち回っている感じがする。最後の最後で現実的な場面に戻ってきて、ファウストが契約の言葉を口にして死に、天使たちがメフィストフェレスを出し抜いてファウスト博士を天国へ連れていく。そこにはグレートヒェンまで天使のような姿で出てくる。これには少し驚いた。こういう形でハッピーエンドなのか?と。「協同の意思こそ人知の至りつくところであって、日ごとに努める者は自由に生きる資格がある。どのように危険にとり巻かれていても、子供も大人も老人も、意味深い歳月を生きる。そんな人々の群れつどう姿を見たいのだ。自由な土地を自由な人々とともに踏みしめたい。そのときこそ、時よ、とどまれ、おまえはじつに美しいと、呼びかけてやる。」というファウスト博士は冒頭の孤独な老人とは違う、大勢の中の一人として、人々の一人として協同する幸せをかみしめている。そういう意味でファウスト博士の二回目の晩年はより優れたものとなったと言える。しかし、罪のない処女を誘惑して堕落させ、母親を殺させ、兄をファウスト自身が殺し、嬰児を殺させ、グレートヒェンは処刑される。最後の多くの人に「協同」の場を提供する干拓地を完成させるために、立ち退きを拒む、菩提樹のそばに住む老夫婦を殺害する(殺害はファウストの意思ではなかったにしても)。このような罪を犯しても神はすべてを赦すということなのだろうか?釈然としない幕切れである。私の経験が不足しているだけなのだろうか。
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        2017/12/27 by nekotaka

      • コメント 2件
    • 2人が本棚登録しています
      なぜかいい町一泊旅行
      カテゴリー:日記、書簡、紀行
      2.0
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      • 旅行好きだが行先は大きな町が多い。行きたい所が多くて、この本に出てるような町までまだ辿り着けていないのだ。きっと楽しいに違いないから、いつかは行こう。 >> 続きを読む

        2013/06/15 by freaks004

    • 1人が本棚登録しています
      変身
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • カフカの『変身』です。池内紀さん訳のカフカはいくつかあるようですが、前に読んだのは新潮文庫版だったので、こっちは初です。読みやすい。

        というか、巻末の解説が非常に充実していて素晴らしかったです。さすが!

        最近カフカをいろいろ読んでいますが、やはりカフカといったら『変身』ですね。虫になってしまうところを完全にスルーしている不可思議さもありますが、家族の反応が非常に気になるところです。気味悪がりながらも世話をする妹とか、まるでびびらない家政婦とか。
        何度読んでも「わかった!」とは思えない小説ですが、ユーモラスでもあるし、悲しさもあるし、カフカが文学史上で重要視されているのがよくわかります。

        ちなみに池内さんは「90年以上も前にこのような小説が書かれていた」と驚いていますが、私はそうは思いません。『変身』が執筆されたのは1912年なのですが、たかだか100年前なら、まぁ最近の部類ではないですか。日本でいえば大正時代。個人的な感覚では、20世紀の小説なら十分現代的だと思います。19世紀になるとさすがにちょっと感覚が違うな、とは思いますが、心理的なところではあまり変わらないですよね。小説の書き方という点でいえば、書簡形式でもなく語らい形式でもないものが生まれたあたりから十分現代的だと思うし、「21世紀的」という意味でリアルタイムの文学は、インターネットが当たり前にある世代なので、もっとぶっ飛んでいる、けど、明らかにカフカの影響を受けているので、あまり遠いとは思わない。

        そもそも古い小説ってなんだろうか?クラシック音楽に形式があるように、古典小説にも形式があるのだろうか?戯曲の時代を抜けて、フィクションというものがそれだけで成立するようになったのって、いったいいつごろなのだろうか。

        …などとあまり関係ないところに思考が飛んでしまいましたが、この池内さんの解説は非常にわかりやすくて助かりました。良いですよ。
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        2017/05/08 by ワルツ

    • 1人が本棚登録しています
      失踪者
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
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      • カフカの3つの長編小説の一つ。
        ヨーロッパを追いやられた少年カールが、アメリカで放浪の生活を強いられる物語。
        他2つの長編と比べると、「あれ、これカフカ?!」と一瞬思うような、小説の作り(見た目)になっている。
        カフカ独特の異様な感じがそんなになかった。

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        2017/05/23 by Reo-1971

    • 1人が本棚登録しています
      音楽家の恋文
      カテゴリー:音楽史、各国の音楽
      4.0
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      •  思いかえせば、わたしは恋文を書いたことがない。
         テーブルスタンドのみが灯るほの暗い部屋のなかで、この、どうにも抑えられない気持ちを、はじめて文字に起こす誘惑にかられていた。もちろん文才に乏しく、お世辞にも男ぶりがいいとはいえないわたしにとって、この試みはある意味で無謀であるせいか、使いなれた羽ペンをもつ手は震えていた。

           
            九条櫻子 さま

        前略 
         とつぜんのお便りで戸惑われるかもしれませんが、骨になってから打ち明けるのでは手遅れと意を決し、この手紙に思いの丈を言づけます。
         私にはあなたしかいないことはひと目みてわかりました。恥ずかしい話ですが、幼少のころの私は考古学に熱をあげる少年で、故郷にある土井が浜遺跡でみた石鏃が打ち込まれた人骨に魅せられ、高校時代を過ごした岡山でもたくさんの遺跡群や貝塚を巡ったものです。
        櫻子さん(お名前で呼ぶ不躾をお許しください)を見かけるたびに、弥生時代の人骨を発見し、日本人は混血民族であると声明した金関丈夫について語らいたくなります。いや、櫻子さんの骨トークを延々と聴きたい、いつまでもあなたのそばに居たいのです。蝶骸骨だけでなく、私のすべてはあなたのものですから、互いが白い骨になっても抱きしめる栄誉を私に与えてください。と、あまり婚約者のいるあなたを困らせるものではありませんね。
         それでは、桜の花びらが足下を敷きつめる季節に逢えることを夢みて……
               草々
                             
                       素っ頓狂な男しるす

         とりあえず草稿はできたけれど、恋文とはなんとぎこちないものだろう!! これまでの人類の歩み、太古のむかしから、いったいどれだけのチラシの裏が恋文の犠牲になったのであろうか。
         推敲するためにスタンドの灯りを机に寄せると、草稿をしたためた便箋を押さえる左手の薬指が妖しく光る。
         ふいに暗然とした気分になったわたしは、せっかくしたためた便箋をクシャクシャに丸めて、待ち構える暗やみの屑籠へと投げ入れた。

          
          <本編>
         いや~、遊び心が暴走してしまって本当にごめんなさい。図書館でこの「音楽家の恋文」を見かけたら最後、人生はじめての恋文を書いてみたくなったのです。思い起こせば、ぼくの人生最大の敵は「恥じらい」でした。恋文を渡すなどという、顔から火がでるような行為はぼくには無理です。いいえ、本音をいうとやってみたいのだけれど、その恥じらいを凌駕するほどのつよい衝動にかられたことがないのです。人生損していますね。ああ、恋文。みなさんはどうですか?
         それでは本の感想。分量が多く、すべてを読んでいませんが、ショパンとブルックナー、リムスキー=コルサコフの章がおもしろかったです。そして、ぼくはブラームスに親近感をもちました。結びにリストを付けておきます。
         それと一応念のため、訳者は池内紀とクレジットされていますが、池内さんは監訳で、実質的な翻訳者は池内さんの教え子らしい。だからぎこちない訳というわけではなく、恋文とはいつの時代もぎこちないものなのでしょう。

          
          <総覧>
        お願いがたくさんある        モーツァルト
        ご主人が亡くなるのを期待します   ハイドン
        何という人生            ベートーヴェン
        ぼくの頭はがんがんしている     ヴェーバー
        どうか我慢しておくれ        ロルツィング
        どうぞご心配なく          ベルリオーズ
        君を胸に抱きしめたくて       シューマン
        ただ君一人のために弾いている    ショパン
        愛は正義ではありません       リスト
        決してわれを裏切るなかれ      ヴァーグナー
        もういい、ほっといてくれ!     ヴェルディ
        前より貧しくなりました       スメタナ
        私は希望をもっていいのでしょうか  ブルックナー
        ぼくたちには愛がある        コルネリウス
        あなたがいなかったら        ブラームス
        人は一度しか生きられない      ヨハン・シュトラウス
        あなたがしてくださったこと     チャイコフスキー
        ひとことでいえば、大成功だ!    ドヴォルザーク
        私も退屈し、君も退屈する      リムスキー=コルサコフ
        私を忘れないでください       ヤナーチェク
        望みどおりにすればいい       プッチーニ
        あなたに名誉を与えたい       マーラー
        幸福だが悲しい           ドビュッシー
        真夜中の鐘が鳴っている       リヒャルト・シュトラウス
        死ぬまで君のもの          グラナドス
        ひと目みてわかりました       レーガー
        なぜ愛さずにいられたのか      ベルク
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        2015/11/01 by 素頓狂

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