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今谷明

著者情報
著者名:今谷明
いまたにあきら
イマタニアキラ
生年~没年:1942~

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      籤引き将軍足利義教
      カテゴリー:日本史
      5.0
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      • 大売出しの福引から、あみだクジ、プロ野球のドラフト制度まで、抽選・クジ引きは、いまだに我々の身近な存在であり続けている。

        クジはゲーム感覚で現代人に受け入れられており、首相や国会議員の選出ならば、クジ引きで済まそうと思う人はまずいないだろう。
        しかし、かつて日本には、クジで選ばれた最高権力者がまぎれもなく実在したのだ。

        この中世史研究の歴史学者・今谷明著の「籤引き将軍 足利義教」ではまず、室町幕府第六代の「籤引き将軍」足利義教誕生までの経緯が、臨場感あふれた筆致で詳細に描き出され、「義教選出のクジにいかさまがあった」という説が批判される。

        次いで、これ以前にも鳥羽天皇などの皇位継承に際して、卜占やクジ引きが広く用いられた事実を指摘し、国王位さえもが神意によって決定された点に、中世日本の特色がみられるとする。

        クジによる国王選出の伝統があったこと自体、非常に興味深いが、この本の真骨頂はむしろこの先にある。
        著者は、古来からの卜占の歴史や中世の神仏観、世界各地のクジ文化にまで視野を広げ、卜占の世界史の中で、なぜ日本だけに、こうした現象が起こったのかを究明しようとするのだ。

        中世の神仏観に限ってみても、「神仏に寄進した土地は取り返せない」という法理や、熱湯に手を入れ、主張の真偽を火傷で判定する、室町時代の「湯起請」など、著者の目配りは驚くほど広範囲にわたっている。

        著者はそうした中世固有の諸現象と、それとは一見、無関係にみえるクジ引きによる国王選出が、根底において密接に結びついていることを明らかにしていく。

        もっぱら政治史や国家史が取り上げてきた王位継承の問題を、その背景にある神仏観やコスモロジーと関わらせて、いわば精神史の次元で読み解こうとした、注目すべき試みであると思う。

        それにしても、神意に基づいてクジで選ばれた足利義教が、その自信を背景として神がかりの恐怖政治を行ない、やがて家臣によって暗殺されるという結末は、歴史の皮肉としか言いようがない。

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        2018/10/06 by dreamer

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