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菅野昭正

著者情報
著者名:菅野昭正
かんのあきまさ
カンノアキマサ
生年~没年:1930~

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      九鬼周造随筆集
      5.0
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      •  『「いき」の構造』で有名な九鬼周造の随筆集です。さまざまなテーマについて書かれていてとても面白いです。戦前のインテリは違うなと思わされます。面白かったものを紹介します。「外来語所感」という章があり、最近日本語に外来語が増えていると批判的に書いています。昭和4年に帰朝したら日本に外国語が氾濫していて驚いたという話です。最近名古屋だったと思いますが、NHKが訴えられた事件がありました。外来語が多すぎて意味が分からなくて苦痛だと言う話でした。九鬼が言っていたことは全然改善はされていないようです。
         九鬼は昔の日本人が外来語を何とか日本語に翻訳して使っていたことを評価しています。外国語をよく理解していた本当のインテリが言う言葉だけに重みがあります。外国語を身につけていない人が外来語を使いたがる。本当の意味をきちんと分かっている人からみれば、忌々しいことでしょう。パリ留学中に最も日本的な概念である「いき」などについて研究している人だけのことはあります。
         思うに、外来語がそのままの形で受容されるようになった背景は、日本人が外国語をよく習得するようになったからではなく、日本人の日本語力とくにその漢語の能力が低下したからです。明治の知識人が外国語を漢語に翻訳できたのは、当時の知識人は漢詩をすらすら作れるくらいの能力があったからです。大正時代ぐらいになるともうその能力は衰退してしまいます。それでも戦前まではまだマシだったと思うのですが、戦後の漢字能力の低下は恐ろしいものがあります。それに平行して英語力がかつての漢語力並みに高まったかというとそんなことはありません。
         最近は英語は陳腐になったようで、フランス語がよく現れています。でも意味を分かって使っている人がどれくらいいるのだろう。日本語の達人であり、フランスに留学しているホンモノから、指摘されると本当に恥ずかしくなる現在の日本人だと思います。
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        2013/07/21 by nekotaka

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      不滅
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • ギリシャ・ローマ古典の旅の終焉となるゲーテのことを書き始めたのですが、途中でカフカが登場したり、先日は、ミラン・クンデラの「存在の耐えられない軽さ」を再読すると、なんとゲーテが登場するという「不滅」を読んでみたくなって、楽しい道草に迷い込んでいる今日この頃です。

        物語の語り手(必ずしも作者ではないですが限りになく近い)が紹介するアニュスとポール、そして、時空を超えたゲーテとベッティーナが織りなす愛と不滅の物語です。
        この作品では、男女の愛やエロスのほかに、家族というものにも力点がおかれています。精神性の象徴となるアニュスとその父親、その対立軸となる感性・俗性の象徴となる妹ローラと母。アニュスの亡父に対する思慕、追憶、妹ローラへの複雑な葛藤も見事に描かれています。

        クンデラさんの作品の語り方は普通の手法や感覚ではありません。一見すると、バラバラの短い断章が訥々と語られながら何本もの糸を紡いでいくようです。同一場面のアプローチを微妙に変えながら、読者の短期記憶を何度もリハーサルすることにより中期記憶へと移行させていくのですが、この手法とタイミングが絶妙です。そうやっていくつもの糸を織りなすうちに、見事な絵のような大島紬!(すみません……織物芸術が好きなのでこんな表現になっちゃいます)があらわれるような高揚感が味わえます。多分こういったところを音楽で表現される方もいて、その点でも多彩な作品なのでしょうね♪

        「存在の耐えられない軽さ」に比べると、その独特の手法はさらに進化して、しかも時空を超えて、一見すると脈絡のないゲーテを取り巻く話、そこに同時代のベートーベン、ナポレオン、はたまた時代の異なるヘミングウェイといった歴史上の人物が、違和感なく縦横無尽に動き回りながら、著者の哲学・思弁が織り込まれていきます。ゲーテ「ファウスト」のくだりや「ゲーテとの対話」のエピソードが顔を出すと、なんだかゲーテと久々の邂逅をえたような心もちになります。

        「火星という惑星が苦しみそのものでしかないとしても、火星の石さえも苦痛で呻いているとしても、それでわれわれは心を動かされたりはしないさ、火星はわれわれの世界には属していないからね。世界から離れてしまった人間は、世界の苦痛に無感覚なんだ」

        「人間がただ自分自身の魂と戦うだけでよかった最後の平和な時代、ジョイスとプルーストの時代は過ぎ去りました。カフカ、ハシェク、ムージル、ブロッホの小説においては、怪物は外側から来るのであり、それは<歴史>と呼ばれています。……それは非個人的なもの、統御できないもの、計りしれないもの、理解できないものであり――そして誰もそこから逃れられないのです」(「セルバンテスの貶められた遺産」と題する講演記録)

        ここで言う「最後の平和な時代」というのが、近代に焦点を当てたものなのか、どこを起点にしたものなのか、いまひとつ定かではないのですが、このあたりをみても、クンデラが、いかに小説戦略として現代世界の実存の探求をしているかということがわかります。自ずと、不滅(不死)と愛というテーマはヒントになるのでしょうが、いずれにしても形容しがたい作品です。
        別の作品も読んでみたいと思わせる魅力に溢れていますし、ゲーテ「ファウスト」のテーマ、愛と不滅に呼応して、クンデラ独自の哲学・思弁を織り込んだ、思索に富む現代的な作品に仕上がっていると思います。

        >> 続きを読む

        2016/01/24 by アテナイエ

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