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小林多喜二

著者情報
著者名:小林多喜二
こばやしたきじ
コバヤシタキジ
生年~没年:1903~1933

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      蟹工船
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • 一見とっつきにくそうな、プロレタリア文学でありながら2008年に再度ブームとなった『蟹工船』。今さらながら手にとってみましたが、割と読みやすかったです。
        一気に書き上げたかのような荒削りでごつごつした文章からは情景が、においが、息づかいが、目の前にあるかのように感じられました。うがった見方をすれば、あえて文章を洗練させないことで過酷な肉体労働とは対極にあるインテリっぽさを排除しようとしたのかもしれません。

        物語の舞台はもちろん蟹工船。オホーツク海上で蟹を獲り、船上で缶詰に加工するのが漁夫たちの仕事です。彼らは不衛生でろくに食事も与えられない環境のなかで、監督の浅川によって徹底的に働かされます。
        沈没しそうな船を助けようとする船長に対して、船を借りる金を出してもいないのに勝手に寄り道するなと叱り、さらに「人情味なんか柄でもなく持ち出して、国と国との大相撲がとれるか!」と一蹴する場面からは、資本家や国際競争によって人間よりも一部の者の富や経済が重んじられる事態にあったことがうかがえます。
        もはや労働者たちは人間として扱われておらず、作中では27歳の漁夫が命を落とします。

        湯灌をしてやるために、着物を解いてやると、身体からは、胸がムカーッとする臭気がきた。そして不気味な真白い、平べったい虱が周章ててゾロゾロ走り出した。鱗形に垢のついた身体全体は、まるで松の幹が転がっているようだった。(中略)
        「カムサツカでは死にたくない。」彼は死ぬときそういったそうだった。しかし、今彼が命を落すというとき、側にキット誰も看てやった者がいなかったかも知れない。そのカムカツカでは誰だって死にきれないだろう。漁夫たちはその時の彼の気持を考え、中には声をあげて泣いたものがいた。

        もともと雑多な集団であった労働者たちが人権を踏みにじられる怒りを共有し、ひとつにまとまってゆく力がその後描かれることになります。思想としては過去の産物にすぎないのかもしれませんが、徐々に力がわきあがっていくその「うねり」の力強さと面白さがあるからこそ、今でも広くこの作品が読まれているのだろうと思いました。
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        2017/01/03 by カレル橋

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【小林多喜二】(コバヤシタキジ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)

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