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幸田文

著者情報
著者名:幸田文
こうだあや
コウダアヤ
生年~没年:1904~1990

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      台所のおと
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね! niwashi
      •  この短篇集では、病気と食べ物と家族、夫婦がクローズアップされます。

         「台所のおと」は、料理人をしている佐吉という男が病気で寝込む。3人目の妻である、あきが立てる台所のおとに敏感になる佐吉。

         料理を味ではなく、音で表現、出来たものでなく作る課程でたてる音に敏感に、粗雑だ、とか、丁寧だとか何を洗っていると敏感にならざるを得ない病気で寝ている身という設定にうなる。

         これが普通に働いている時はそんなに気にならなかったでしょうが、台所の鍋を、食器を扱う音に耳をそばだてる夫。それが料理人という仕事である怖さ。

         前の2人の妻が料理で、台所でたてる音は佐吉にとっては、耐えがたい、許しがたいものでした。

         「食欲」という短篇では、やはり病気になった夫を看病する妻がでてきます。

         夫婦といっても、もう離婚を考え始めたような微妙な時に、結核で夫は病院に入院。かいがいしく看病し、入院や薬や手術の費用に奔走する妻。何度も、妻はもう嫌だな、なんか急にかいがいしくなる自分が嫌だ、と思うのですが、わがままを言って困らせる夫。

         最後に手術が成功して、快方に向かう時に、夫がみせる食欲は、「自分しか考えてない」そのもので、この夫婦のあやうさを旺盛な食欲でもって描きます。

         美味しいとか、見た目がきれい、といった結果や表面でなく、その作る課程の音や食欲の影にある思惑、人間の食欲というものを別の面から、冷静に見つめ、描写する。

         また、匂いや温度など体感といったものの使いかたの上手さもあります。

         「草履」という短篇で息子の病気に苦労する母が出てきます。
        その母は、金策に苦労する訳ですが、最後にはなんともいえない余韻を持ちながらもおさまるところにおさまる。苦労というものをさんざしてきた女の内面の言葉で短篇は終わっています。

         「若い女のひとは、春の感じの人も秋の感じの人もいます。
        それがおばあさんになると季節から外れて、無季の女といったふうになります。私は当分、焚火のにおいを身につけている女でありたく思うのです」

         若い頃、知らず知らずに季節感を体から出している女たち。そして焚火のにおいを身につけている女になりたいと願う、ささやかだけれども的確な言葉でもってその気持を表す。

         幸田文のこの短篇集の女たちは、若さを謳歌する、というより焚火のにおいを身につけている女たちです。
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        2018/07/08 by 夕暮れ

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      きもの
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      •  ふらっと始めた読書ログ、楽しくなって来たさなか、そろそろ弾が尽きてきて、浅学菲才の我が身を恥じ入る。
         いや~、三月が去りましたね。もう四月。来月になったその時、わたしは「知命」に近づきます(四捨五入したら知命になる)。けどね、この頃腰を入れて本を読むようになりました。将棋と競馬とアニメは止めて、散歩と読書が生きがいの中年に戻ろうか。あ、4月公開のコナンの映画は見なきゃ。やっぱり止められないかも。
         今日は幸田文の『きもの』。わたしは取り上げる本に困った時、とりあえず好きなものを想像する。それが着物姿の女性だったわけ。単純な男でしょ。「きょうの料理」で時々お見かけする大原千鶴さん、彼女の着こなし方がこれまた凄い。着物姿で生まれたのではないかしら。大体、京都の女性、いや日本の女性は着物が似合う。『細雪』の四姉妹が洋装ばかりじゃ拍子抜けするでしょう。やっぱり和服なんだ。和服美人バンザーイ。
         よし、字数は稼いだ。ついでに作品の紹介も少しだけ。
         とその前に、幸田文の小説を一つ読むなら、『流れる』を読んでみて欲しい。いろいろ読むつもりなら『きもの』から入って結構、それで見限るのも個人の自由。
         『きもの』は、幸田文が残した最後の長篇小説。未完のまま遺稿となり、死後出版された。自伝的性格がとてもつよく、いわゆる私小説と見なすこともできる。しかし、解説の辻井喬が指摘するように、狭い生活を細やかに描いたのではなくて、生活の背景にある社会性や歴史性を意識した、ヨーロッパの自伝的小説の衣鉢を継ぐものである。
         殊に、「着る」ことに悩みながら成長していくという趣向がおもしろい。こういう趣向、とりわけ趣味の良し悪しが物をいう小道具、ないし、生活文化は長篇小説を豊かにします。バルザックが得意とするところですね。登場人物では祖母がいい。るつ子(主人公)のよき理解者で、万金に値する知恵を授けてくれる、一家に一人は欲しい人。
         着物が買えない男子諸君(わたしもだが)、これを意中の人に贈るのはどうだろう? それで仲が拗れても責任は持ちませんが……。
        >> 続きを読む

        2015/04/02 by 素頓狂

      • コメント 16件
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      雀の手帖
      3.0
      いいね!
      • 雀といえば、落語では「雀のお松」。
        しゃべりで亭主を尻にひく、気の強い女性の代名詞であるが、
        この本の、雀、幸田文さんは、いたって上品。

        初稿は、西日本新聞に連載されたのであるが、
        日本の古き良き時代を、淡々とした文章で綴る。

        入試のところでは、入学願書を出すときが梅で、試験が沈丁花、
        卒業式が辛夷、入学が桜ではじまる・・・・・と。
        暦とは違う、肌で感じる季節感が羨ましい。

        思いがけなくいい美術品を見たとき、きょうは眼の福を頂きました。
        美味しいものを、ごちそうになったとき、口の果報にあずかりましてと。
        今では聞くことのできない、言い回し、あいさつがかかれている。

        都会のおばあちゃんの家に行ったような、
        日本の古き良き文化を知ることのできる、本である。

        この本を読むなら、一年中で、この季節が一番のお勧め。

        というのは、連載が、1月26日から5月5までの100日間で、
        「雀百まで」の洒落か・・・・・・私は、目次に日付を入れて
        寝る前に日記替わりに、1ページずつ読んでおりました。
        >> 続きを読む

        2013/05/24 by ごまめ

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