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工藤精一郎

著者情報
著者名:工藤精一郎
くどうせいいちろう
クドウセイイチロウ
生年~没年:1922~

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このランキングは1日1回更新されます。
      罪と罰
      カテゴリー:小説、物語
      4.6
      いいね! tomato charo
      • 【『「罪と罰」を読まない』に触発されて再読してみましたよ~。これはさすがに古いか……。】

         先日、「『罪と罰』を読まない」をレビューしましたが、そこでも書いた通り、私自身、高校生の頃『罪と罰』は読んでいるのですが、その内容をかなり忘れてしまっていました。
         こりゃあ、もう一度読まなきゃね、ということで再読してみましたよ。

         ストーリーは、多くの方がもうご存知で、今さらネタばれもないでしょうからそのまま書かせていただきます。
         ラスコーリニコフは大学の法科に通っていたのですが、実家も貧しく十分な仕送りもない上に、家庭教師の職も勝手に辞めてしまい、当然大学にも通えなくなり、屋根裏部屋の下宿でただただ悶々として暮らしていました。

         少しは働くなり何なりすれば良いものを、一向に働こうともしないため、金もなく、ろくに飲食もできず、下宿代も溜めまくっている体たらくです。
         その頭の中には、一つの計画とも言えない計画が渦巻いていました。
         それは、自分が質入れをしたことがある金貸しの老婆を殺して金を奪おうというものでした。

         ある時、酒場で聞くとはなしにこんな議論を聞いてしまったのです。
         唸るほどの金を持っていながら、社会の害悪でしかない人間がいる。
         一方で優れた才能を持ち、もしその才能を発揮することができれば人間社会にとって素晴らしい成果をもたらすであろうに、貧困のためにそれができないでいる者もいる。
         そんな時、優れた才能を持つ者が社会の害悪でしかない金持ちを殺してその金を奪ったとして、その金により志を果たすことができるのであればその方が人間社会にとって数倍も良いことなのだ、と。

         ラスコーリニコフは独善です。
         そして傲慢でもあるのでしょう。
         金貸しの老婆を殺して金を奪うという自分の計画を正当化してくれるであろう議論に力を得て遂に実行してしまうのです。

         確かに、金貸しの老婆は強欲だったでしょう。
         また、腹違いの素直な妹を酷使し、打擲し、良いように下働きとして使役もしていたのです。
         しかも病気持ちでもう長いことはないでしょう。
         にも関わらず、自分が死んでもこれだけ尽くしてくれた腹違いの妹には遺産を一銭も残さず、自分の供養をしてもらいたいがために全額修道院に寄付してしまおうと言うのです。

         ラスコーリニコフは、老婆の頭を用意してきた斧で叩き割り、血まみれになった老婆の死体から財布を奪い取ります。
         更に鍵を奪うと、次の間にある抽斗を開けようとし始めます。
         そこに、腹違いの妹が帰ってきました。
         ラスコーリニコフは、有無を言わせず腹違いの妹も撲殺してしまうのでした。

         そこへさらに来客がやってきます。
         急いで扉に栓(閂のようなもの?)を差し込み、息を殺して外の様子を窺います。
        どうやら、異変が起きたことに気付いた来客は、庭番を呼びに行くことにしたようです。
         ラスコーリニコフは、一瞬の隙をついてかろうじて脱出することに成功しました。

         老婆から奪ったのは、財布に入っていたいくらかの金と質草のいくつかの品物だけでした。
         本当は、抽斗の中には多額の金が入っていたというのに。
         こんな物のためだけに俺は老婆を、妹を殺したのか……。
         証拠隠滅のため、一度は盗んできた物を捨ててしまおうかとも思いましたが、いざ捨てるとなると人の目もありなかなか上手く行きません。
         ラスコーリニコフは、奪ってきた金品の扱いに困り、結局、手をつけないままある場所の石の下に埋めてしまいました。
         そして何喰わぬ顔をして下宿に戻るのですが、事件を起こしてしまった衝撃からか体調を崩していきます。

         そんな時、ふらふらと外出したラスコーリニコフは、以前酒場で知り合った元下級官吏のマルメラーゾフが酒に酔って馬車に轢かれた現場に出くわします。
         マルメラーゾフは、娘のソーニャを売春婦として働かせて家計を支えさせ、その稼ぎすら一人で飲み潰していたのです。
         しかし、マルメラーゾフは、内心ではそれを悔いに悔いていたのですが、自分ではどうにもできずに遂に轢死してしまうのですね。
         マルメラーゾフを助け出してその家に運び込んだ際、赤貧洗うがごとしの家の様子を見てしまったラスコーリニコフは、母が苦労して工面して送金してきた金を寡婦に葬儀代として全部くれてやってしまうのでした。
         
         ちょうどその頃、ラスコーリニコフの妹のドゥーニャに結婚話が持ち上がり、婚約者に会うために母と妹がラスコーリニコフが住むペテルブルクにやって来ました。
         ラスコーリニコフとしては、妹が家計を助けるために吝嗇家の弁護士である婚約者に嫁ぐつもりであり、自分を犠牲にしているのだと思えてならず、妹の結婚に猛反対します。
         ドゥーニャは、自分は犠牲になどなるわけではないと言うのですが……。

         そんな中で、ラスコーリニコフが殺人犯ではないかという疑いを持つ者がいました。
         それは予審判事のポルフィーリィでした。
         彼は、ラスコーリニコフの唯一の親友であるラズミーヒンの親戚筋に当たる切れ者でした。
         ポルフィーリィとて、ラスコーリニコフが犯人であるという確たる証拠を握っているわけではないのです。
         ただ、疑いを持ち、ラスコーリニコフに慇懃に語りかけて罠をしかけようとするのですが……。

         さて、上巻ではこんな辺りまでが語られますが、私が読んでいる本は高校生の頃買った新潮文庫で、米川正夫氏訳のものです。
         奥書を見ると、昭和26年発刊で、この本は第52刷となっていますが、特に改訂等の記載が無いので、基本的に昭和26年の訳のままなのかもしれません(実際、この版が出版された時点は米川氏がお亡くなりになった後なのですし)。
         そのせいか、さすがに古さを感じます。
         ラスコーリニコフをはじめとして、登場人物の口調が古すぎるのです。
         こんな言葉遣いはしないよねと思わざるを得ません。
         ラスコーリニコフは、設定では頭脳明晰で美貌の元大学生ということになっているのですが、その口調はどこか時代がかった農民の口調のようで、イメージと合いません。

         私が高校生の頃読んだ時には「こんなものか」とでも思ったのか、特に訳語等について何らかの感想を持ったという記憶は無いのですが、読み直してみると、さすがに今この訳を高校生に読めというのはいささか酷のように思われます。
         非常にとっつきにくいですし、読みづらいと思います。
         高校生では意味の分からない言葉も多いのではないでしょうか?(例えば「陋劣」なんていう言葉は使わないでしょ?)。

         今では、他に新訳等もあるのではないかと思うので、特に米川氏の翻訳に思い入れがあるという方以外は、もっと読みやすい本を選んだ方が良いと思います。
         特に、この作品は、ラスコーリニコフをはじめとして、登場人物の独白が大変多い作品ですから、その部分が読みづらいとかなり辛い読書になるかもしれません。

         また、ラスコーリニコフの思想自体、今読み返すとかなり幼稚で陳腐ものとしか思えず、それが延々と続くわけで、さすがにこれを真に受けて読むのは今は辛いと感じました。
         この時代の、こういう社会情勢の中で生まれた考えであるという注釈付きで、そういうものだとア・プリオリに了解した上で読まないと、「素」で読むのはなかなかにしんどいというのが上巻までを再読した印象です。

         取りあえず、下巻に読み進んでみましょう。
         全体を読んだ上で、改めてこの作品について考えてみたいと思います。



        * 私が読んだ本は新潮文庫の旧版、米川正夫訳のものです(旧版が出なかったので新版でレビューをさせていただきました)。
        >> 続きを読む

        2019/02/04 by ef177

    • 他2人がレビュー登録、 27人が本棚登録しています
      未成年
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • ヴェルシーロフ公爵の私生児、アルカージィの自伝のような描写。

        一部では、アルカージィの生い立ちから理想への追及が描かれてます。
        アルカージィの理想。
        それは、ロスチャイルドになること。
        貧しきながら富豪なり。
        ホームレスになり、パンと水だけで暮らしながら金を乞う。
        莫大な金額を残して死んでいくのが、彼の理想であり、また試験的に実践する。
        実践により、その意志はより固くなり、第二部へ。

        挫折と堕落を味わうアルカージィ。
        理想は甘美な誘惑に呑まれ、意志が崩れ落ちるも、理想への肥やしで流れ落ちる。
        父性愛が一部では求められ、二部では手に入れたアルカージィは、ほとんどこれを理由に堕落してゆく。

        妹のリーザが、敵の男に凌辱され、前からあった決闘の約束がより間近になる。

        当時のロシア情勢のこと、思想の為に命を絶ったり、凌辱のために命をを絶つといった、殺伐とした、階級の差が激しい様が描写されています。

        色々と勉強にもなるところが良い。
        >> 続きを読む

        2016/06/16 by 扉の向こう

      • コメント 2件
    • 3人が本棚登録しています
      罪と罰
      カテゴリー:小説、物語
      4.2
      いいね! tomato
      • 【再読してみて、さて、この作品を他者に勧めるか?/『「罪と罰」を読まない』も踏まえてのレビューだよ】

         「『罪と罰』を読まない」に触発されて、再読を始めた『ツミバツ』の下巻レビューいきますよ~。
        せっかくですから、『読まない』の方のレビューに出てきた点にも触れつつ進めてまいります。

         さて、上巻で『因業ばばぁ』ことアリョーナと、その腹違いの妹であるリザヴェータを撲殺し(斧が凶器なのですが、みねで殴って殺すので撲殺が正しいです)、多少の金品を盗んだラスコーリニコフですが、妹のドゥーニャの結婚話には猛反対したという辺りまで上巻のレビューに書きました。

         ドゥーニャは美人ということもあり、ラスコの親友、『馬』(あるいは『修造』)ことラズミーヒンもドゥーニャに一目惚れしてしまいます。
         このラズミーヒンが、様子がおかしいラスコを心配してラスコの近くに引っ越して来るのですが、その転居先が、吉田浩美さんが付箋を横貼りにした『ポチンコフの家』(私が読んだ本では『アパート』ではなく、『家』と訳されていました)なのですね。

         その後、ドゥーニャの婚約者である弁護士のルージンは、打算的で吝嗇家であるという馬脚を顕してしまい、ドゥーニャの逆鱗に触れ、結婚はお流れになってしまいます。
         ですから、『読まない』で4人が期待した、ページ稼ぎのために1週間続くであろうドゥーニャの結婚式(ロシアの宴)は発生しないのでした!(笑)

         このルージンっていう奴、本当に嫌な奴です。
         ラスコも嫌いだけど、こいつが『ツミバツ』の中で一番キライなキャラですね。
         己の結婚相手は貧乏で苦労した人が良いなんて言うのですが、それは苦労した経験の尊さを評価したり、貧しい身分のドゥーニャを受容してそう言っているわけではなく、そういう身分の人を嫁にもらってやれば一生恩を売り続けることができ、妻を奴隷のように従わせられるからという全くさもしい根性からそう考えるような大馬鹿野郎です。
         しかも、後にドゥーニャとの関係修復を狙って、ソーニャに盗みの無実の罪を着せようとする(回りくどい計略なのです)ふざけた野郎ですよ!

         一方のラスコですが、ソーニャが売春をしている部屋を訪れ、そこで自分の犯行を告白してしまいます。
         何故、そんなことをしたのか?
         罪悪感からではないでしょう。
         だって、告白の後、自首を勧めるソーニャに対して、「自分は懲役に行くつもりはない」と言い切るのですから。

         ラスコはとことん甘ったれなんですよ。
         予審判事の『愛之助』ポルフィーリから犯行を疑われて苦しくなり、また、自分なりの傲慢な理屈から犯行を正当化してきたのにそれを誰にも理解してもらえないという鬱屈した不満から、ソーニャなら同情し、理解を示し、泣いてくれるであろうという勝手な算段で告白したと読みました。

         ところがこの告白を隣の部屋で、薄い壁越しに聞いていた奴がいました。
         それがスヴィドリガイロフという、ドゥーニャが昔家庭教師を務めていた家の主人でした。
         スヴィドリガイロフは、妻がいたのにドゥーニャに言い寄り拒絶されるという『前科』があったのですが、ドゥーニャが妻の紹介でルージンと結婚することになったと知り、ドゥーニャを追いかけてペテルブルクまでやって来ていたのですね(妻は死亡しています。それはスヴィドリガイロフが殺したという話も……)。
         何だってルージンが婚約相手なんだと。
         自分だって妻を捨てて莫大な財産をもってドゥーニャを迎えようと口説いたというのにそれを拒絶された。
         ところが、ルージンなんぞに金のために身を売ろうとしているなんて、俺とどう違うというのだ、納得できね~と言うわけですね。

         スヴィドリガイロフは、ドゥーニャのことを諦めておらず、ラスコに「聞いたぞ、聞いたぞ」とほのめかし、ドゥーニャとの橋渡しを要求するのですがすげなく断られます。
         これはどうにもならないと悟り、兄思いであるドゥーニャの心理につけ込み、ラスコの重大な秘密を知っているとほのめかす手紙を出し、ドゥーニャを誘い出し、そこで手籠めにしようとするのですが、これにも失敗し、遂には自殺してしまうのですね。
         何で自殺までしちゃうんでしょ?
         どうもその心理には納得できない部分が残りました(いや、スヴィドリガイロフは、ドゥーニャの他に何と16歳の少女とも結婚話を進めていたのにですよ)。

         このすったもんだの過程で、スヴィドリガイロフは、ドゥーニャに対して、『因業ばばぁ』とその妹を殺して金品を奪った犯人はラスコであるということを暴露してしまいます。
         ソーニャからもその裏付けを取るドゥーニャ。
         ドゥーニャは、ソーニャならたとえラスコが刑に服したとしてもついていってくれる人だと確信し、ラスコに自首を勧めます。

         妹にまで知られてしまった……。
         八方ふさがりになったラスコは、自殺もできず、結局、自首を選択するのですね。
         自首減刑もされ、裁判でも何も争わず正直に罪を認め、奪った金品に手をつけなかったことや、さらには『修造』らがラスコの過去の善行を証言するなどしてくれたこともあって、懲役8年という寛刑に処せられシベリア送りとなります(そうそう、ドゥーニャは『修造』と結婚するのですよ……『ロシアの宴』はありませんけどねっ)。

         この後エピローグがつくのですが、ソーニャはラスコに付き従ってシベリアに移住するのですね。シベリアでお針子などして生計を立てます。
         そして、献身的にラスコに面会に行きます。
         シベリアでの獄中生活は結構ルーズで、面会者は自由に刑務所の中に入って行けるようで、ソーニャは他の受刑者とも顔見知りになり、他の受刑者からまるで女神のように慕われる存在になっていくのです。

         一方のラスコは相変わらずの人嫌いを発揮し、他の受刑者からも嫌われるのですが、ある時、ソーニャが売春していた部屋で見かけた聖書のことを思い出し、聖書の差し入れをソーニャに求めるのです。
         その後、信仰に目覚め、深く反省するに至り、ようやくソーニャへの愛に気付き、まだ7年残っている刑期を勤め上げてソーニャとやり直すことを決意し、ソーニャもそれを分かり喜びの涙にくれるというところでこの物語は終わります。

         再読してようやく内容を把握し直しました。
         そうそう、こういうお話でしたっけね。
         とは言え、登場人物のモノローグが大変長い作品です。
         みんな、本当によくしゃべります。
         中には、必ずしも筋とは関係がない、どうでも良いことを延々としゃべる場面もあり、そういうところで量を喰っている小説とも言えます。
         枝葉を払って整理したら、もっと短くまとめられる小説とも言えましょう。
         無駄(?)な枝葉が多く、そこで分量を喰ってしまっている分、全体の印象がぼやけがちになって、だから読んでもよく覚えていないと言われてしまうのかもしれません。

         大きな筋は、自分勝手な理屈から、そしてその理屈を実現できない自分が嫌で、その理屈通りに強盗殺人事件を起こすラスコと、そのラスコが自分の罪に気付き、ようやく人間らしい存在となってソーニャと新しい人生を歩む決意をするまでのお話と言えるのですが、そのラスコの気持ち、テーマがなかなかストレートには伝わりにくい作品と言えるかもしれません。
         ラスコ自身の右往左往する感情や振る舞いが現在の我々には理解し難い部分もあり、今の若い読者にはヴィヴィッドに響かないことが懸念されます。

         また、人間には弱者(平凡な存在)と、強者(優れた存在)があり、後者は前者を犠牲にして良いのだという理屈も、今となってはかなり陳腐な思想と言わざるを得ず、なかなかこんな思想をストレートに前面に出すなんていう作品は今は無いのではないでしょうか?
         昔のロシアの、非常に貧富の差が激しく、貧しい者はとことん虐げられており、極貧から這い上がるなどまず不可能という背景を承知しないとなかなか成立しないお話なのでしょう。
          
         登場人物、特にラスコの場当たり的な、無計画な行動にも疑問符がつくでしょう。
         金が無いというのに、将来設計などまるでなく、ただ怠惰に家でゴロゴロして、挙げ句の果てに強盗殺人に及び、さらにその後もふらふらし続け、金を浪費し、結局何もできない男がラスコです。
         頭脳明晰で美貌の青年と描かれてはいますが、これほどまでにその設定が活かされない、伝わってこないキャラというのも珍しい。
         とことん甘ちゃんであり、三浦しをんさんから「きさま、いいかげんにせえよ!」と怒られるのもよく分かるところであります。

         とは言え、これだけ人口に膾炙している古典であることは間違いなく、だからこそ読んではいなくても何となくその筋は知っているということにもなるのでしょう。
         『読まない』では、実際に『ツミバツ』を読んでみて、さあ、この作品を他人に読めと勧めますか?という問いかけがあります。
         みなさん、結局オススメするわけですが、さて、私はどうしましょうか……。
         読まないなら読まないで良いかもしれません。
         ドストを読むのなら、『ツミバツ』ではなく『カラマーゾフの兄弟』の方を双手を挙げて推挙します(こちらは是非読むべきだとお勧めします)。
         さて、『ツミバツ』どうしましょうかねぇ……。
         興味があればもちろん読んで損は無い作品だと思いますが、必読とまでは言わないかな。
        >> 続きを読む

        2019/02/05 by ef177

    • 15人が本棚登録しています
      戦争と平和
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 『戦争と平和』[全四冊](トルストイ/工藤精一郎訳)<新潮文庫> 読了です。

        充実した読書時間を過ごすことができた! というのが第一感です。

        今年の「年越本」に選んだのですが、読み終わったのが結局今になりました。 :-)

        ロシアの長編小説というと、何だか難解で退屈なイメージもありますが、この作品は全く違います。
        多彩な登場人物と次々と起こる出来事で書面が埋め尽くされており、非常に濃密な作品で、全く飽きることがありません。

        登場人物が多いのがややネックではありますが、
        ・誰と誰が兄弟/姉妹なのか。
        ・誰が誰の息子/娘なのか。
        ・誰と誰が一緒に住んでいるのか。
        ・誰と誰が友達なのか。
        といったところに留意して読んでいれば、普通に読んでいても理解できる人間関係になっています。
        また、物語の構成に直接関わっている重要な人物はそれほどいませんし、だんだん明らかになってきます。

        一人の人物を表現する(呼ぶ)方法はいくつもあって、そこは混乱するかもしれません。
        例えば、
        「マリヤ・ニコラーエヴナ・ボルコンスカヤ」
        という人物がいます。
        「マリヤ」が名前、「ニコラーエヴナ」が「ニコライの娘」という意味、「ボルコンスカヤ」が姓です。
        彼女は「マリヤ」と呼ばれたり、「マリヤ・ニコラーエヴナ」と呼ばれたり、「公爵令嬢マリヤ」「ボルコンスキイ公爵令嬢」と呼ばれたり、単に「公爵令嬢」と呼ばれたりします。
        しかも、「マリイ」「マーシャ」などの愛称で呼ばれることもあります。
        こんな風に、一人の人物をいろんな方法で表すことを知っていれば、大体問題ないと思います。
        # なお、女性と男性とでは少し呼び方が異なります。
        # 「アンドレイ・ニコラーエヴィチ・ボルコンスキイ」は彼女の兄ですが、
        # ごらんのとおり、「ニコライの息子」という言い方や姓が妹と異なります。

        とにかく、ロシア人の名前に関する少しの知識と注意力さえあれば、全く問題なく読める作品です。
        ぜひとも、この読書体験をみなさんにも味わって欲しいです。
        >> 続きを読む

        2016/02/04 by IKUNO

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