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楠悦郎

著者情報
著者名:楠悦郎
くすのきえつろう
クスノキエツロウ
生年~没年:1930~2011

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      不思議の国のアリス
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • 「不思議の国」と「鏡の国」の物語のモデルだったアリス・リデルをご存知ですか?
        これは、作場知生(さくばともみ)氏の挿画・装丁のすばらしい芸術的な美本。

        ルイス・キャロルは写真が趣味で、少女達の写真を数多く撮影しており、
        アリス・リデルの写真も多く残されていますので、
        彼女の顔立ちはアリス・ファンには非常に広く知られているのです。
        アリス・リデルの写真はこちら ルイス・キャロル本人(チャールズ・ドジソン)が撮影
        http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Alice_Liddell.jpg

        作場氏は、アリス・リデルのイメージを活かし、
        定番として親しまれているテニエル画のアリスとのいいとこ取りをしたといえましょう。

        この「アリス」は発表当時はかなり話題になったはず。
        アリスにはコアなファンがいますので、下手をしたらとんでもない悪評がつきかねません。
        テニエル→ディズニーがインプリントしたアリスのイメージは強固で
        それを覆す、黒髪ショートボブヘアのアリスを描くことは
        裏社会(笑)ではありましたが、正規の児童書という出版物としては
        異例の冒険だったと思います。
        金子國義さんの有名なアリスもテニエルのアリスから
        大きく逸脱するものではないですから。

        ヨーロピアンな香りのつまった挿絵の数々に魅せられます。
        特に異なる点は「時計を持った白うさぎ」のウサギらしく美しく愛らしいこと。
        テニエルのうさぎはおじんくさいですが、こちらの白うさぎはかわいいですよ~♪
        テニエルはテニエルとして好きですが、このアリスも一見の価値アリ。ということです。
        テニエル・ファンをも納得させる画力ではないでしょうか。
        非常に緻密で装飾的で絵画的でメカニックでもある上手い絵です。
        マンガチックな部分もあり、リアル一辺倒ではありません。
        …う~ん。これじゃ、わかんないだろうな…。
        見てみてください。としか言い様がないです。

        絵のことばかり述べましたが、翻訳は楠悦郎氏

        アリスはナンセンスな言葉遊びが中心なので完璧な翻訳は不可能な作品です。
        数多くの翻訳本が出ていますので、翻訳の好みは、どうぞご自身でご判断ください。

        最もスタンダードなテニエル絵の生野訳は、児童書を意識して、
        英語がわからない前提にたっており、英語のダジャレの語感は考慮されていません。

        にせガメの話で、カメの先生の話題が出てきます。
        「先生はウミガメ(タートル)だった――わたしたちは陸生のカメ(トータス)ってよんでいた」
        「タートルなのにどうしてトータスっていうの?」
        「ぼくたちを教えた(トータス)からそういったのさ」
        Tortoise-taught usのダジャレです。

        生野訳では
        「なぜ単にカメ先生って呼んだの」「担任だったからタンニンカメ先生」
        ダジャレが無視されています。

        Reeling and Writhing=Reading and Writing
        (→よろよろ読み方とのたくり書き方)
        Mystery =Historyy(→アホラ史)
        Seaography =Geography(→バッ地理)
        など。
        苦しいですが、これらを訳者がどういう言葉を選んで表現しているか。
        これが、アリスの翻訳のセンスの問題になってきます。

        英語の知識、マザーグースや古い遊び歌のナンセンス度合いを知らないと
        アリスは意味不明の言葉の連続と子供っぽすぎるおふざけのイメージの連続に過ぎない童話になってしまいます。
        子供にとってはそれでも十分楽しいのですが、
        大人が読むのであれば、英語の言葉遊びも意識して読みたいものだと思います。

        チャンスは滅多にないと思うのですが、「不思議の国のアリス」がお好きな方には、この本はぜひ目にしてもらいたい一冊です。
        >> 続きを読む

        2012/11/05 by 月うさぎ

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