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丸谷才一

著者情報
著者名:丸谷才一
まるやさいいち
マルヤサイイチ
生年~没年:1925~

この著者の本を読んでいる会員ランキング

このランキングは1日1回更新されます。
      ボートの三人男
      カテゴリー:小説、物語
      4.8
      いいね! starryeyed
      • 犬は勘定にいれません。この言葉が頭の片隅にこびりついて離れなかった。ボートに三人の男と犬のモンモランシーが乗っているのだが、タイトルは「ボートの三人男」になっているのだ。なんだか面白いなぁと思いつつも、そっかぁ犬だから勘定にいれてもらえないのか……とちょっぴり切ない気持ちを抱えながらこの本を手にとった。

        イギリスのユーモアは皮肉というパンに挟む具のようなものだと思っていたけれど、この小説の面白いところは滑稽さと親近感にあると思う。例えば、あるパーティで歌手がドイツの悲劇の歌を披露する場面がある。パーティの参加者たちは事前に二人の若者にこれはコミックソングなのだが、彼はそれを悲壮感あふれる雰囲気で歌いあげるところがとても面白いのだと吹きこまれて、ドイツ語が分からない参加者たちは二人の若者にあわせて笑う(あれはどうも卑怯な態度だと思う)。結局ドイツ人の歌手は聴衆の態度に怒ってしまうのだが、この場面は滑稽以外の何者でもない。しかし、大人になってしまった今では「王様は服を着ている」と言ってしまう人々にどこか親しみやすさを感じてしまうのだ。

        また、本書はユーモアあふれる掛け合いに加えて、美しい情景描写や土地の歴史的なエピソードがごった煮になっている。それが、色々な具材をぶちこんだ鍋料理のように絶妙な味わいとなっているのだ。お調子者のジョージ、実務的で神経質で酒好きなハリス、好戦的なのにへたれなモンモラシー、ユーモアたっぷりの語り部のJ。休日にはボートに揺られて美しい景色を見ながら、世俗にまみれた愛すべき彼らのエピソードを楽しもう。
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        2016/08/30 by けやきー

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      負けた者がみな貰う
      カテゴリー:小説、物語
      4.3
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      •  まずは雑談から。昨日は5月3日。毎年、この日は『名探偵コナン 世紀末の魔術師』を見ることに決めています。だから仕事の資料作りに精を出し、そのあと思いっきりコナン映画を楽しみました。どうして5月3日なの? それはね、映画に出てくるコナン界きっての美女香坂夏美さんの誕生日だからだ。整理すると以下のようになる。

          5月1日  わたし  本上まなみ 
          5月2日  デイヴィッド・ベッカム
          5月3日  夏美さん
          5月4日  コナンくん  工藤新一
          5月5日  映画の犯人(スコーピオン)

         映画のなかで、夏美さんが誕生日トークに熱をあげるシーンがあり、とても可愛い。ぼくは好きですね、誕生日とか、おみくじとか、ジンクスとか、占いとかが好きな女性。もちろんハマり過ぎるのは困りもので、ほどほどに夢中になる感じがよい。なぜならそれらは、「何か特別なもの」を感じさせるからである。

         先日、グレアム・グリーンの『ヒューマン・ファクター』を面白く読んだ。そして、宙(そら)を翔るうさぎからの便りのせいかしら、彼の『負けた者がみな貰う』も気になって、少し真剣に読んでみる(ちなみに、二度繰りかえし読んだ)。すると、前に読んだのはおそらく学生の時だった為か、年月を経ることにより読み方に違いが生じ、その違いが面白かったゆえレヴューを投稿しました。
         とりあえずあらすじを、Amazonにも載ってある記述を引用します。
         さえない中年会計係のぼくと若い恋人のケアリーは、つましい結婚式を計画していた。ところが、勤め先の有力者の気まぐれな勧めにさからえず、高級リゾートのモンテ・カルロで式をあげることに。市長立会いの挙式、美しい海、そして豪華ヨットが待つ港町へむかったぼくたちはしかし、ギャンブルをめぐる不器用な愛のすれちがいにはまりこむ。

         うーん、ふつうに読めばこれはラブコメであり、なるほど読み物としての面白さも抜群。この原作自体も映画になっているし、少し前の映画『ラスベガスをぶっつぶせ』も、この作品の影響下にある気もする。しかしこのたび再読してみて、この作品の核はもっとべつの部分、恋人関係からそれ以上の結びつき、要するに生涯の相手が決まることへの「心のゆらぎ」にあると思ったのだ。
         それは単なるマリッジブルーともいえるし、そうでないともいえる。わたしたちは多分、その人を好きだという理由だけでは結婚へと踏み切れない。もしそうなら、毎年のように結婚式をイメージしてしまうだろう。そして、金銭面や向こうの親族などの外面的条件も事の本質ではなくて、問題は、自らの相手に「何か特別なもの」を感じることができるか否かではないか? 
         英国の閨秀作家アイリス・マードックの『何か特別なもの』で描かれた、このもっとも複雑かもしれない男女の機微を、グリーン一流のユーモアで仕立てあげた物語こそ、この『負けた者がみな貰う』なのだと今は思う。そう考えると、なかなか奥深い一篇といえる。が、少しご都合主義なのが鼻につくかな、仕方ないけどね。
         しかし結婚生活がはじまり、その時は感じた何か特別なものが、たちまち色褪せてしまう事実には、触れないでおくのがお互いの為である。

        (アイリス・マードックの『何か特別なもの』は絶品です。図書館で借りて読むことを薦めます)
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        2015/05/04 by 素頓狂

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      ポー名作集
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • 前に読んだ江戸川乱歩の傑作選があまりにも面白かったので、こっちも押さえておかないとと思って読んだ一冊。「モルグ街の殺人」「黄金虫」「黒猫」「アシャー館の崩壊」など有名な8篇の短編集。

        読みながら、江戸川乱歩はこういうところに影響を受けたんだなぁ~と思える箇所が色々登場して面白かった。

        「黒猫」だけは以前読んだことがあって、ものすごいインパクトがあり忘れられない話だった。じわじわと怖いけれど途中で読むのをやめられない感じ。こんな少ないページ数で、こんなに楽しめる作品を生み出せるなんて凄い。

        八篇読んだけど私の中ではやはり「黒猫」が1番だなぁ。
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        2014/09/13 by chao

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      アンクル・トムの小屋
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
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      • 子供向けの愉快な話をイメージして読んだらとんでもない。
        嗚咽混じりの大号泣。

        2016/03/17 by one

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      あいさつは一仕事
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      •  丸谷才一さんのスピーチ、祝辞など人前で挨拶をしたものを集めた本は3冊あってこれが最後です。
        『挨拶はむずかしい』『挨拶は大変だ』『あいさつは一仕事』

         最後に和田誠さんとの対談がありますが、和田さん曰く「つまり挨拶はむずかしくて、大変で、一仕事なわけですね。」

         こうして見ると最後の丸谷さんのスピーチは、結婚式の祝辞は少なくて弔辞や偲ぶ会が多いのと賞をたくさんもらっての挨拶が多くなっています。

         どうして、丸谷さんの挨拶の本がこんなに出たかというと、丸谷さんは必ず原稿を用意して、長すぎたり、まとまりなくなったりしないよう、聞く人を考えて、原稿を書くそうなので今、録音がある、といってもやはり原稿があった方が楽でしょうし、と書かれています。

         悪口を言ってはいけない、というのが大前提ですが、年をとって、挨拶の経験も豊富になってきて、ひとつ悪口言ったら、十も二十も褒めること、としています。

         さんざ、褒めておいて「欠点だらけでもありました。それはいいません」と終わらせる。

         途中で病気をされて入院されたりして、ご自身で「晩年の仕事」と言うところが、今となっては寂しいけれど、体調のせいで、それまでの職(賞や書評の選考委員など)を一切辞めた丸谷さん。その功労会などやはり人脈というかわかりますね。

         挨拶というのは「自分話」ではなく「褒める」ことだ、という姿勢はずっと貫かれています。

         だからこそ、下準備と原稿が必要なのだそうです。リンカーンのゲッティスバーグの演説(人民の人民による人民のための政治)というのは2,3分の演説でも、ちゃんと原稿があったと言います。

         ただ、原稿を棒読みするのは興ざめで、そこら辺、聞く人を考えて、うんちくや博覧強記からのおもしろいトリヴィア話も織り交ぜて話す。

         やはり丸谷さんは「挨拶でも文学者」だったのだと思います。
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        2018/06/24 by 夕暮れ

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      ハムレット役者 芥川比呂志エッセイ選
      5.0
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      •  そう。あなた、そんなに芥川龍之介が好きですか。ほう。
         ほう、なるほど。では、このエッセイ集をお読みなさい。えっ、芥川が嫌いだって、うーん、きみは相当の文学通か、もしくは国語嫌いですね。でもまあいいよ、わたしの文章読んでる所を見るとお暇でしょう、すこしだけ付き合ってよ。
         本の紹介はまじめにやります。
         著者は芥川比呂志、あの芥川龍之介の長男である。比呂志は演劇畑の人でありながら、稀代の随筆家の一面もあり、『決められた以外のせりふ』をはじめ多くの名エッセイを残した。なにより文章がすばらしい。とくに、漢字とひらがなの混ぜ方が絶妙で、いつ読んでも安堵の息が漏れる。そのうえ、いい材料を持っているから、上手いエッセイを書かない訳がない。息子の眼からみた芥川龍之介、ご興味ないだろうか。すこしでも食指が動いた人は、ぜひ手に取ってみて欲しい。
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        2015/01/16 by 素頓狂

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      別れの挨拶
      5.0
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      •  本書は丸谷才一の死後発行された文集であるため、『別れの挨拶』と題され、表紙には丸谷才一氏とおぼしき人物がスピーチ原稿を持って立っている絵が描いてある。本書の装丁は和田誠である。丸谷才一はスピーチの時に必ず原稿を用意する。話がだらだらと長くならないためだそうである。思いつきの内容ではなく、吟味された言葉でスピーチをするのである。和田誠は毎日新聞の書評欄「今週の本棚」を丸谷才一が主幹した時から表紙絵画家として起用された人である。この装丁を見るだけで、丸谷才一がどれだけ愛されていたかが分かる。

         本書は文集であるため、さまざまな話題が書いてあるが、大きく5つに分かれている。「批評と追悼」「王朝和歌を読む」「日本語、そして男の小説」「書評15篇」「最後の挨拶」これらを読んでいると、丸谷才一の幅広い知識と教養に圧倒される。批評や書評というものがそれだけで読み応えのある文章になるのだということを教えられる。毎日新聞の「今週の本棚」は今もとても面白い。私は日曜日にこのページを読むのを楽しみにし、だいたいここで紹介されて本を読むことにしている。丸谷才一がこういうスタイルの書評欄を新聞に作ってから、他紙の書評欄も充実していったそうだ。そういう意味では丸谷はまさに文化を創り出したのだと思う。

         丸谷才一というと現代仮名遣いを否定し、歴史的仮名遣いを使い続けたことでも有名だが、その理解が正確にされていないということを知った。「わたしの『歴史的かなづかひ」や「テフとドゼウ」に詳しく書いてある。ちょっと引用する。

         「私は蝶をチヨウと書く。なぜテフとしないかといふと、これは漢字音で、和語ではないからである。つまりわたしは国語改革には反対だが、漢字の音に関する限り、新仮名方式に賛成なのだ(ただし拗音、促音のとき、ャ、ュ、ョ、ッを小さくしない。蝶はチョウではなく、チヨウ)。

         われわれの祖先は漢字を取り入れたとき、随唐の音をなるべく律儀に移さうとして努力した。たとへば、升と勝はシヨウ、昌と賞はシヤウ、妾と摂はセフ、小と昭はセウなどと発音し分け、かつ書き分けたのである。それが字音仮名づかひといふものだった。

         しかしこれはやがて、升も勝も昌も賞も妾も摂も小も昭も、みな、shoと発音するやうになつたし、さうなつた以上、シヨウと表記してかまはない。といふよりもそのほうが便利である。昔の外国語の発音に義理を立てる必要はない。」

         この後丸谷は、漢語は外来語であり、その発音が時代を経て変化していけば、その発音に近い表記を使うべきだが、和語は私たちの深層に関わる、文化の起源に関わる言葉だから、変えるべきではないと言っている。

         歴史的仮名遣いと言われると、どうしても学校で覚えた古文の仮名遣いを思い起こすが、あれは平安時代が中心のものだから、古すぎる。丸谷は国語改革以前に戻すことを主張していると言っている。残念なのは、私がすでに新仮名で育っている世代なので、旧仮名が自由に使えないことである。福田恒有なんかは旧仮名・旧漢字に戻せと言っている。活用の問題(「思ふ」はハ行だが、「思う」はワ行とア行が混在してしまう)や漢字の語源が分からなくなってしまう問題(「売る」「賣る」なんかは、「貝」が入っている旧漢字の方がお金に関わることというニュアンスが出ている)など。新仮名・新漢字には問題が多い。発音と表記が異なるのは昔からのことであり、同じようにしようというのに無理がある。「読む」「書く」と「話す」「聞く」は全く別の回路を使っているのだ。
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        2014/01/20 by nekotaka

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      笹まくら
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
      いいね!
      • 徐々に追い詰められていく現在と、過去の逃避行の記憶が繊細に折り重なって緊迫感が増していく。
        「女ざかり」のイメージとはまったく異なる。
        咀嚼して自分の中に落ち着けてからでないと再読は出来ないが、定期的に読みたくなる。
        ホラーでもサスペンスでもないが微かな恐怖が残る。
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        2016/12/14 by birddw0t

    • 3人が本棚登録しています
      文章読本
      カテゴリー:文章、文体、作文
      4.3
      いいね! Tukiwami
      • 濃密な文章論だった。精神面から技術面まで微に入り細にわたり記されているが、結局は第二章の「名文を読め」に尽きる。たくさんの言葉やレトリックを知っているだけでは良い文章を書くことはできない。

        古今東西の名文を読み、その息遣いを感じること。文章の型を学び自分のものにすること。これは名文家であれば誰しも通る道なのだろう。多読家が名文家とは限らないが、名文家は必ず多読家であるはずだ。

        本書の中に引用されている文章は読んだことのないものばかりだった。谷崎潤一郎、佐藤春夫、折口信夫、石川淳、その他いろいろ。今年も大いに読まなければ。
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        2015/02/01 by seimiya

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      思考のレッスン
      4.5
      いいね!
      • 丸谷才一という作家には大きな興味を持っていました。
        幅広い興味と知識とユニークな鑑賞眼。
        そして勇気ある言論は、ケンカを売ってるの?という位の激しい自信に満ちています。
        知的にカッコイイ文学者じゃないか。と。

        と言いながら、丸谷氏の「翻訳」以外のオリジナル小説を読んだことがないのです。
        それは彼が旧仮名遣いで小説を書いていることがハードルになっているという点もあります。

        これは、丸谷さんのインタビューから彼の人となりや、作家としての意識や姿勢、
        文学を愛し研究者としての側面と裏話、思考法・読書法・文章の書き方の心得などを
        忌憚なく語ってくれている、お得な一冊です。
         
        ちょうど、彼自身が
        「回想録、自伝、伝記、インタビュー、これはその人のものの考え方がはっきりと出ることがあって、とても参考になります」
        と語っているように。

        丸谷氏は、明治40年以後の日本文学の不健全さ、
        イデオロギー中心主的現代日本文藝評論のあり方へなどに対し、
        皮肉とユーモアを交え痛切に批判しています。

        「人生論とか、哲学論とか、政治論とか、そんなことばかり。
        白樺派とか、鎌倉の文学とか、中央線文士とかね。
        これじゃあまるで、相撲部屋の世界だよ。」

        「文筆業者は、まず第一に、新しいことを言う責任がある。…
        正しくて、おもしろくて、そして新しいことを、上手に言う」
        「すでに読んだことがあるような、誰かが書いたことの総まとめみたいなことを書くのでは、
        僕はお金をもらうのが恥ずかしいな」

        傲慢な言葉というよりも、私には誠実でストイックだと感じますし、
        かねがね感じていた同じことを、こんなエライ人も思っていて、
        こんなにストレートに言い放ってしまうのかという爽快さがあります。

        「僕は、「遊び心」をとても大切にしています。」

        というところが、ポイントなのだと思います。


        10代のころ不思議で不思議でたまらないことがいっぱいあったという丸谷氏の2つの最大の謎とは、
        「なぜ日本はこういう愚劣な戦争を始めてしまったのか」
        「日本の小説は、なぜこんなに景気が悪いことばかり扱うんだろう」

        これも、私の不思議とマッチしていました。


        「志賀直哉の小説(長編)『和解』『或る男、其姉の死』とか、
        ああいうものを読むと、ゲンナリしてしまうんだなあ。
        この男が父親と喧嘩しようが、しまいが、僕にはどうでもいい

        どうやら日本の小説というものは、ただ嫌なことを書く、
        読んでいて不愉快になるようなことを書くということが大事なことらしい。
        読者に対して嫌がらせをするように書けば、文学的だということになるらしい。」

        (^-^)//""ぱちぱち
        拍手したくなりました。


        私は、意図的ではないのですが、外国の言語や文化に馴染んだ人の文章が好きなんですよね。
        夏目漱石、芥川龍之介、丸谷才一さんは「英文科」ですし、
        村上春樹は演劇科だけど翻訳はずっとやっていたし。

        日本文学しか頭にない人の作品って苦手なんですよ。

        他にもとても面白いことを思い切り言ってくれちゃっています。
        いくつかご紹介。



        「『おもしろくない本は読むな』。
        誰から勧められた本でも、読みはじめておもしろくないと思ったら、そこで止める。
        よく『必読書百選』といった類があって、読んでないとどうも具合が悪い思いをすることがあります。
        でも、おもしろくないと思ったら、断固として『これは読まなくてもいい』と度胸を決める。それが大事ですね」

        「本というものは考えたこと全部を書くものじゃないでしょう。小説だって同じですよ」
        「人間にとって最高の遊びは、ものを考えること」

        「文体に気を配って読まなければ、ほんとうに文章を理解することはできないんじゃないか」
        「ほとんどの人は、もっぱら内容だけで本を読もうとして、文体というものをなおざりにしている。
        これは日本文化にとって重大な損失だし、われわれの文明の病弊の一つだという気がするんですね。
        読者はもっと文体に気を配らなければならない。」

        「文章力がないと、考え方も精密さを欠くようになります…文章力と思考力はぺアになるわけですね」

        「ロジックがしっかり通っているからこそ、レトリックが冴える」

        「吾輩は猫である」は「坊ちゃん」とはまったく対照的に、構成がめちゃくちゃでしょう。
        よけいな話がいっぱい入る。
        ローレンス・スターンの「トリストラム・シャンディ」。いまの言葉を使えば「反小説」


        【内容】一部抜粋
        レッスン1 思考の型の形成史
         読んではいけない本を乱読する/俗説を覆す言論に喝采 /「白玉クリームあんみつ」を排す
        レッスン2 私の考え方を励ましてくれた三人

        レッスン3 思考の準備
         考えるためには本を読め/本をどう選ぶか/言葉と格闘しよう/ホーム・グラウンドを持とう

        レッスン4 本を読むコツ
         インデックス・リーディング
         
        レッスン5 考えるコツ
         謎を育てよう/定説に遠慮するな/慌てて本を読むべからず/比較と分析で行こう/
         仮説は大胆不敵に/考えることには詩がある/大局観が大事
         
        レッスン6 書き方のコツ
         文章は頭の中で完成させよう/
         レトリックの大切さ/言うべきことを持って書こう
         
        鹿島茂さんの解説が簡潔に言い得て役に立ちます。
        本文の内容が多岐にわたり、迷路に迷う感覚になったなら、解説を読みましょう。
        鹿島さんの読解力と文章力にも脱帽させられることでしょう。
        >> 続きを読む

        2013/09/16 by 月うさぎ

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      文学全集を立ちあげる
      4.0
      いいね!
      • ▶「BOOK」データベースより
        まったく新しい文学観、「いま読んで面白いもの」という大原則で、古典から現代までの世界・日本文学全集を編み直す壮大な試み。ディドロ1巻、ジイド1/3。「プーシキンは原文対訳で」。谷崎3巻、芥川1/2。「大江健三郎は現代の私小説である」などなど。全300巻を選ぶ侃々諤々の編集会議のすべて。

        ▶著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
        丸谷/才一
        1925(大正14)年鶴岡市生れ。『年の残り』(1968)で芥川賞受賞。『たった一人の反乱』(1972、谷崎潤一郎賞)『樹影譚』(1988、川端康成文学賞)『輝く日の宮』(2003、泉鏡花文学賞)などの小説、『忠臣蔵とは何か』(1984、野間文芸賞)をはじめとする評論など、数多くの作品がある

        鹿島/茂
        1949(昭和24)年横浜市生れ。専門は19世紀フランス文学だが、書評、パリや古書に関するエッセイ、性愛論、小説など、広範な執筆を続けている。『職業別パリ風俗』(1999)で読売文学賞、『成功する読書日記』(2002)で毎日書評賞を受賞。明治大学教授

        三浦/雅士
        1946(昭和21)年弘前市生れ。雑誌「ユリイカ」(青土社)、「大航海」「ダンスマガジン」(新書館)などの編集長をつとめながら、文芸、現代思想、バレエなどについて活発な評論活動を続ける。『身体の零度』(1994)で読売文学賞、『青春の終焉』(2001)で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。
        ▶<読書百冊意自通ズ覚書>
        三人の対談でまずびっくりしたのは、丸谷があまりしゃべっていない、ということだ。
         まぁ丸谷もお年だし、オブザーバーとしてと考えていたのかな、と思うけれど、それにしてもびっくりするくらいしゃべっていない。今までの対談では、だいたい丸谷の様々な知識や見解が展開されていくパターンだったと思うのだけど。
         それは、一つには、丸谷もお年で、若い二人に任せるか、的なところもあったと思われる。そしてもう一つには、この二人の知識量と意見がハンパない。だから丸谷も、自分がわざわざ言わなくても、この二人が言ってくてるから自分は必要なとこだけ突っ込んでおけばいいや、と思っていたのかもしれない。
         そう、とにかく、鹿島・三浦両氏の人間文学辞書とも言えそうな知識がハンパないのである。
         あまりの博識ぶりに#1、如何に本を読んでいないか痛感させられることになった。なぜなら、名前は知ってるけれど読んだことはない、ならまだしも、名前すら見たことも聞いたこともねえ!という作家がいっぱい出てくるのだ。それも外国文学ならまだしも、日本の文学で、である。
         ある程度は知名度はあるだろうが、マイナーなのだろう、と片づけたいところではあるけれど、この対談のコンセプトを思い出すとそうも言っていられない。そもそもこの本、架空の文学全集を作るとしたら、誰の何の作品を選出するか?という主旨の対談本なのである。丸谷が最初に述べているように、いわゆるキャノン#2的なものにしたい、と言っているのだ。ということは、ここで挙げられている作品及び作家は、それなりに知り、読んでおくべきということで……。

         と、見聞きもしない作品てんこ盛りながらも、中には読んだことのある作品ももちろんある。漱石とか芥川とか太宰とか、外国文学でいうとディケンズとかブロンテ姉妹とかドストエフスキー、ガルシア=マルケスなどである。そういう作家に言及しているところになると、なるほどと思うし、的外れだと感じるところはないので、恐らくこの人々の審美眼は確かで、自分が全っっくわからない作家についても、妥当な、もしくは的確な意見を述べているのだろうと思われる。
         とにかく、今からでも読まなければ!と再認識させられた。同時に感じたのは、読むべき本が多すぎる、ということだ。
         この架空の全集を見るとよくわかる。日本人は日本の歴史が長いので、自国の文学というものがそもそも莫大な上に、現代文学とのつながりという意味でも西洋文学にも重要な書物がたくさんあり、それにプラスして日本の古典と密接な中国文学があり(これは日本の古典を理解する上では必要最小限でもある程度読まなければならないだろう)、さらに日本及び出版の中心・NY発の現代文学、アメリカ文学、そして南米の文学…と、本当に読むべき本が多すぎる。千年以上の歴史のある自国の文学だけ見ても、相当な分量である。こりゃ大変なわけだ。
         そして、人間は一生に読める本の量は決まっている。とも思った。
         どんなに時間があっても、人生のすべてをかけたとしても、世の中のすべての本を読むことはできない。
         そう思うと、読むべき本は種々あれど、限られたチャンスの中で厳選する必要がある。
         そういうことのためのキャノンであり、この全集(架空だけど)なのだろう。

         また、最後の方の、今の若い作家が本を読まない(文学を学ばない)ゆえに才能を枯らしてしまう、という部分が印象に残った。
         感覚だけで書いてデビューして、でも読書量が少なく学んでいないので、技量が身についておらず、そのまま衰退してしまう。出版界でも、その作家が五十、六十代になることを考えて育てることはせず、十代でもヒットしそうならデビューさせて売って終わりだから育たない、もったいない、と。
         そういうことに気づいて、デビューした後、自ら勉強したのが大江健三郎で、彼は今の作家のさきがけというかはしりみたいなところがあるねという話だった。まことに納得させられる。
         文学というのは奥が深く、幅も広くて上を見ればキリがないけれど、とりあえず自分のできることから始めよう。
         さしあたって、この架空の全集から次に読む本を選んでみようか。
        August 7, 2008

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        2018/05/24 by rikugyo33

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【丸谷才一】(マルヤサイイチ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)

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