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皆川博子

著者情報
著者名:皆川博子
みながわひろこ
ミナガワヒロコ
生年~没年:1930~

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このランキングは1日1回更新されます。
      開かせていただき光栄です DILATED TO MEET YOU
      カテゴリー:小説、物語
      4.3
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      • 「双頭のバビロン」が余りに読み応えがあって、今でも雰囲気に呑まれた感じがある。

        皆川さんのミステリで、聞いたことのある作品が少し前に話題になっていたのを思い出した。
        早速読み始めたが、こんどは解剖教室の話、グロテスクな描写は前のものでお手合わせ済みなので、余り気にしない。
        ただ、読み始めると、教室の五人の生徒が、本の中や頭の中を走り回るので、登場人物一覧をジッと眺めて、ひとまず先生と生徒の名前を覚えた。

        容姿端麗、眉目秀麗のエド(エドワード)が一番出番が多いが、彼と同室の天才細密画家ナイジェルも重要。
        後は、おしゃべりなクラレンス、太目のベン、やせっぽっちのアル。

        さて、時は18世紀のロンドン、舞台は外科医ダニエル先生の解剖教室。

        わが国では「解体新書」の腑分けが始まるよりも7.80年先んじているのかな。やはり江戸幕府の下で、西洋医術は遅れに遅れている。

        英国でも外科医の地位は低く、特に解剖医となると、薄気味悪い印象で住みやすくはない。解剖死体を手に入れるのもやすやすとは出来ない。裏から手を回し、墓あばきに金を払ってやっと手に入る貴重品だった。
        弟子の5人は先生を慕って集まっていて、向学心に燃えている。
        そこに妊娠6ヶ月の貴族令嬢の死体が運ばれてくる。視察団から隠した暖炉から取り出してみると、下に重なっていた覚えのない死体が出てくる。
        そうこうしているうち開けてなかった隣の部屋の解剖台に、四肢を切断された少年の死体が乗っかっていた。

        この三体の死体を巡って、事件が展開する。

        死体になって解剖台の乗っていた少年は、町に出たときエドとナイジェルがふと知り合った詩人志望の少年だった。
        彼は、独学で中世の文学を学び、当時の筆致(古語)で文章や詩が書けた、その上教科書にしていた貴重な古文書を持っていた。
        この少年と弟子たちのつながりが物悲しい挿話になっている。

        ダニエル先生は世事に疎いが、兄の内科医は上流階級に取り入り、富と名声を手に入れていた。屋敷の一部を解剖教室にし、経費の面倒を見ていた。

        それが、どうも詐欺に会って高額な投資に失敗し破算寸前らしい。その上許せないことは、貴重な標本を抵当にして資金を借りているらしい。

        弟子たちは、解剖室の将来と尊敬する先生のために、増えた死体の真相を探り始める。

        そこに、盲目の名判事、ジョン・フィールディングが登場する。
        貧民が増え世情が乱れている、彼は裏金では転ばない高潔な人物だった。盲目のハンデは微妙な声を聞き分ける聴覚と、手に触れることで感じる触覚を備えていることで補って余りある。そのうえ、明晰な頭脳をもち行動力もある、出来事の経緯を整理して分析する。厳格な中に柔らかいハートも持ちあわせている。
        眼の代わりをする賢い姪もついている。

        右往左往しながら、死体が増えた原因になった殺人事件が解決する。

        法廷場面で、思いがけなく胸が熱くなるシーンもある。

        エンタメ要素満載で堪能した。
        弟子たちが歌うアルファベットの歌が楽しい、話の最後でやっと「Z]の部分が完成する。
        皆川さんの作詞らしい。

        題名は、解剖前に弟子たちが揃って言う言葉。



        うれしいことに続編もあるとか。解剖教室を解散した弟子たちのその後の話で、また見つけて読もうと思っている。
        >> 続きを読む

        2014/11/04 by 空耳よ

      • コメント 2件
    • 他4人がレビュー登録、 10人が本棚登録しています
      開かせていただき光栄です DILATED TO MEET YOU
      カテゴリー:小説、物語
      3.2
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      • はじめて読む作家さん。
        最近知った作家さんだが、随分長く活躍されている高齢の方らしい。
        こんなに高齢なのに、精力的だなと感服する。

        18世紀ロンドン。
        医師ダニエルは私設解剖教室を持ち、弟子たちに指導している。
        ダニエルの教室から、四肢を切断された少年と顔を潰された男の屍体が見つかる。

        ちょっとワクワクしちゃう設定だったので、期待して読んだ。
        18世紀のロンドンの街の様子も感じられ、医学も解剖学もまだまだ現在程解明されていないという時代を感じさせる表現も多く楽しめる。
        肝心の謎の究明についても、どんでん返しが用意されており、決してお粗末なものではない。

        でも何か物足りない。
        何が足りないのか自分でもよくわからないけれど。
        多分、単純に好みの問題ではないかと思う。

        古い時代設定にするため、作者が随分調べて書いたのだろうことも十分伝わるし、四肢欠損屍体など、ミステリアスな要素も満たしているのだけれど。

        思ったより面白くなかった。
        何故なんだろう。
        読んだ方々の評価が高く、勝手に期待しすぎたのかもしれない。
        物凄く残念。

        別の作品を読んでみる。
        まだまだ皆川博子さんを合わない認定はしないぞ。
        >> 続きを読む

        2015/07/01 by jhm

      • コメント 10件
    • 6人が本棚登録しています
      アルモニカ・ディアボリカ
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 前作『開かせていただき光栄です』の続編。
        前作を読んでないと話の内容が判らない。
        回も皆川ワールド。
        18世紀のイギリスの風景が目に浮かぶ。

        あの事件から5年。
        エドとナイジェルを失い
        残された解剖医ダニエルの弟子達は
        犯罪摘発情報新聞『ヒュー・アンド・クライ』の発行編集をしていた。

        採石場の坑道内で空を舞う天使の目撃情報と共に屍体が発見され
        その事件の情報が欲しいという広告依頼が
        『ヒュー・アンド・クライ』に……。
        この屍体には謎の言葉が書かれていて…
        ダニエルの元弟子達と
        盲目の治安判事ジョン・フィーリング、助手で姪のアンが
        事件の謎を追う事になるが
        坑道の中で発見された屍体はなんと
        5年前に出奔したダニエルの弟子・ナイジェルだった!!(゚Д゚;)

        何故、ナイジェルが殺されたのか?
        ナイジェルの屍体に書かれてる
        “ベツレヘムの子よ、よみがえれ!アルモニカ・ディアボリカ”とは?
        調べていくうちに判る
        ナイジェルの過去と精神病院ベドラムの実体
        14年前に隠蔽された洞窟事件

        視点変わり話が進む
        そしてナイジェルの手記
        過去が現在に繋がった時に判る真実
        重厚な物語。

        最後の一行が物悲しい…。


        読み応えがあり面白かったけど
        切なさと悲しみが後を引く。
        まさかこんなに悲しくなるとは……。


        『アルモニカ・ディアポリカ』とはグラスハープのこと。
        >> 続きを読む

        2014/06/07 by あんコ

      • コメント 2件
    • 2人が本棚登録しています
      聖餐城
      カテゴリー:小説、物語
      いいね!
      • 17世紀初頭の欧州とか遠すぎな世界やろと思いきや、さにあらず。まるですぐそこで生きて呼吸する当時の人々の間に潜入したかのような生々しさを体感できた。
        学生のとき読んでたら三十年戦争あたりの世界史はかなり面白く頭に入ったに違いない。
        激動の時代を生き抜くために誰も彼もがキョーレツな個性を放つなか、主人公アディの普通っぷりに癒される。
        読後の達成感と爽快感は、ハンパない。
        (なにせ分厚いですから。でもいったん読み始めたらギャロップでいっちゃった)
        >> 続きを読む

        2014/09/08 by 中山佳映

      • コメント 1件
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      双頭のバビロン = Doppel-Babylon
      カテゴリー:小説、物語
      7.0
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      • 単行本、二段組、540ページ。分厚くて重たかった。それに見合うように、最高に面白くて読み続けた。
        作者の博識が、ストーリーの展開、時代背景、登場人物の動きまでいきわたって、興味が尽きない上に勉強にもなった。
        文章は耽美的、幻想的なのに読みやすく、舞台になった都市の描写も、物語にしっくり馴染んでいた。

        題名のように、双頭は双子の意味で、脇腹で癒着した子供が4歳の時、手術で分離されて、お互いに数奇な運命を辿る。
        オーストリアの貴族の家に生まれた子供は二人になり、ひとりは家の跡を継ぎ、一人は存在を消されて「芸術家の家」と呼ばれる施設に入れられる。
        そこは精神に異常がある人たちを収容した施設だった。

        あとを継いだゲオルクは順調に教育を受け陸軍学校にすすむ。そこで決闘騒ぎを起こし、家からは廃嫡され、アメリカにわたる。
        もう一人ユリアンは施設で高度な教育を受けて育つ。そこには一つ年下のツヴェンゲルという少年がいた。

        ゲオルクはアメリカで死亡したとされ、折から勃発した戦争に、ユリアンはゲオルクになり、ツヴェンゲルとともに志願して戦場に出て行く。
        そこで初めて非在であった身分が公に認められ、国籍を持てることになる。

        だが、ゲオルクはアメリカで映画監督になっていた。

        二人の運命が交差する様子は夢のようで、胎内の記憶が現れること、自動書記の形で覚えのない出来事が記録されること。まだ会ってもいない頃から不思議な現象で繋がっている。

        ゲオルクは映画を作るために上海に来ていた。

        ユリアンは映画館のアルバイトでピアノを弾いていた。そこで画面にゲオルクの名前を見つける。

        教育係で父親のように親しんでいたヴァルターが殺された、ゲオルクの影を見たと思う、かれの仕業ではないか、問い詰めるために彼もアメリカへそして上海に渡る。

        いつ二人は出会うのか、読むのが止められなかった。

        ツヴェンゲルもアメリカにわたり、速記士のなってゲオルクのもとで助監督をしていた。

        こうしてそれぞれの行く先は奇妙な偶然が重なり、時に意図的で絡まった糸が次第にほぐれてくる。

        ゲオルクの生家(養家)は戦後の民主化で没落していたが、教育係をしたブルーノもまたユリアンのいた収容所で死んだ。

        これらの真相がミステリの部分で、最後には悲劇的な形で明らかになる。

        ゲオルクとユリアンの交互の語りという形で時間が進み、それにツヴェンゲルが絡む。

        上海の、眼を覆うばかりの汚泥と糞尿、貧民屈、鴉片の臭いの立ち込めた風景を生生しく描写した所もある。

        無声映画時代のハリウッドの映画事情、当時の俳優たち、まさにトーキーにうつる頃の映画界も興味深い。

        二人の見る悪夢のような共通の記憶も、距離のある場所でそれぞれに現れる幻影も、それに悩まされ、過去の姿を見ることが悲劇的で哀しい。
        忘我の中で白紙の書き連ねられる文字、現れる過去の出来事など。不思議な繋がりを重厚な物語にした、実に読み応えのある作品だった。
        >> 続きを読む

        2014/11/01 by 空耳よ

      • コメント 4件
    • 2人が本棚登録しています
      少年十字軍 = La Croisade des enfants
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 実際に起こったとされる出来事をモチーフに描かれた作品。

        果たしてエティエンヌ達がエルサレムへたどり着くことができるのか手に汗を握り、一気に最後まで読んでしまった。

        2014年に劇団スタジオライフが舞台化。
        >> 続きを読む

        2014/02/19 by HITTON

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【皆川博子】(ミナガワヒロコ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)

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