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森鴎外

著者情報
著者名:森鴎外
もりおうがい
モリオウガイ
生年~没年:1862~1922

この著者の本を読んでいる会員ランキング

このランキングは1日1回更新されます。
      舞姫
      カテゴリー:小説、物語
      3.9
      いいね!
      • 昨年の課題図書で読んだとき、読書ログでいろいろ語り合えたのでこの作品に関してはほぼ満足していたのですが、久々に読みたくなり手に取りました。
        2回目なので文体も、豊太郎が置かれている立場や葛藤も落ち着いて読むことができましたが、身重で不安定なときにこの仕打ちはショックだろうなという女性目線で、やはり好きになれない作品でした。

        前回はちくま文庫の「舞姫」オンリーな一冊だったので、集英社版「舞姫」に収録されている他3作が気になっていました。
        「雁」がとても良かったです。

        *普請中
        日本はまだ普請中だ、と繰り返し言い、相手と壁をつくる冷淡さ。
        この女性はエリスなのか、舞姫のときとは違う印象。
        子どもを出産したことで、逞しく生きてくれたのなら良いと思いました。舞姫のエリスは、あまりに儚げだったので。
        近代国家として、日本と西洋との差を「普請中」という言葉で表現していることに良さを感じました。


        *妄想
        ここに登場する「白髪の主人」も二十代の頃ベルリンにいたと書かれているので、鴎外自身と思われます。
        ショーペン・ハウエルや今まで人の書いたものを見れば、老いが迫ってくるにつれて、死を考えることが切実となるが、主人の考え方は違うという。
        哲学的で難しかったです。
        幾何もない生涯の残余で師について考えたけれど、結局はそれも自分はこうだという妄想でしかない、ということでしょうか。


        *雁
        高利貸しの妾・お玉と大学生・岡田の淡い恋心。
        150頁と一番長いお話なのですが、とてもおもしろく、最後まで楽しく読みました。
        この人の作品でこんなに熱中したのは初めてかも。(正直)
        気になるイケメンから会釈してもらえるようになり、女性としてキラキラしていくなんて可愛らしいじゃないですか。
        岡田の友人が語り手となっており、視点が主役二人から離れているのが良いと感じました。
        >> 続きを読む

        2018/07/12 by あすか

    • 他4人がレビュー登録、 17人が本棚登録しています
      舞姫・うたかたの記
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 2017年5月の課題図書、「舞姫」を含む。

        文体が読みにくい。自分にとっては英語の本を読むのと同じくらいの理解度だったと思う。晩年に書かれたらしい「普請中」だけは普通に読めた。

        舞姫が妊娠したときの、豊太郎(主人公)の感想がもう、やべえ、妊娠しちゃったよ!俺、子供とか無理だよ!って感じに読み取れたので、多分あの時から逃げる気満々でしょう。だから、その後の感傷的な描写とか、ただ悲劇のヒーロー気取りで酔ってるようにしか思えない。
        雪の情景描写なんかは、綺麗だった。古い文体でもそう思わせるのは、素晴らしい描写力なんだと思う。褒められるところはそれくらいかな。上から目線で恐縮だけど。

        鴎外先生の傑作は、もっと後に書かれた歴史小説らしいから、機会があればそっちを読んでみよう。
        >> 続きを読む

        2018/12/11 by たい♣

      • コメント 2件
    • 他1人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      ちくま日本文学全集
      4.0
      いいね!
      • ちくま日本文学全集025

        2017/10/27 by Raven

    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      阿部一族 他二篇
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね! Tukiwami
      • 恥ずかしながら、やっと森鴎外の『阿部一族』『興津弥五右衛門の遺書』『佐橋甚五郎』を読んだのだけれど、予想外に面白かった。

        なんといえばいいのだろう、文体の中にこもっている精神が、独特な、すごいものがあった。

        おそらく、鴎外は、近代化や文明化の中で失われていった、かつて日本にあったものを描こう、記念にとどめよう、としたのだろう。
        全く現代とは異質な、現代日本人には理解できないような、かつての武士たちの生態や生死のありかた。

        我々の先祖たちはこうした世界を生きていたんだなぁと、なんとも不思議な気がする。

        個人的には、『興津弥五右衛門の遺書』が面白かった。
        何が面白いと説明しずらいのだけれど、生死ということを現代人と全く違うところから感じて生きていて、そして人はこのようにも生きれるし、生きていたんだなぁということを、善し悪しを抜きにして、ある種の感慨を持って眺めることができるからだと思う。

        佐橋甚五郎の話も興味深った。
        実際のところはどうだったのだろう。

        正直、これほどの歴史小説は、その後山ほど書かれた日本の歴史小説の中にも、あまり多くはないのではないか。

        鴎外の魅力に溢れた一冊だと思う。
        >> 続きを読む

        2014/10/30 by atsushi

      • コメント 3件
    • 2人が本棚登録しています
      山椒大夫
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 今回、新潮社の森鴎外の全集を読んだ中で一番、僕が感銘を受けたのは、『高瀬舟』でした。

        僕は、この『高瀬舟』において3つのテーマが存在すると感じましたが、『高瀬舟縁起』を読むと、そのうち2つは森鴎外自身が、この話の大元である翁草(おきなぐさ)を読んで感じた大きなものでした。

        一つは財産という観念である。
        二百文を財産として喜んだのが面白い。
        今一つは死にかかっていて死なれずに苦しんでる人を、死なせて遣ると云う事である。

        すでに、この時代に安楽死という考えが、医学社会にあり、陸軍軍医でもあった森鴎外は、その考え方を知っていたようです。

        同じく『高瀬舟縁起』から
        ここに病人があって死に瀕して苦しんでいる。
        それを救う手段はない。

        従来の道徳は苦しませて置けと命じている。
        しかし、医学社会には、これを非とする論がある。
        即ち死に瀕して苦しむものがあったら、楽に死なせて、其の苦を救って遣るが好いと云うものである。
        これをユウタナジイという。
        注)ユウタナジイ(仏) 極楽往生、安楽死

        明治時代に既に“安楽死”という概念があったのですねぇ。
        これには少し驚かされました。

        [解説]
        テーマ
        1.財産と云うものの観念
        2.安楽死
        3.僕が考えるに、鴎外の一般庶民と権力の観念

        「最後の一句」(モバイル:最後の一句)に見られる娘の「お上の事には間違は ございますまいから」という痛烈な権力批判のように、鴎外は官という立場にありながら、それも高い地位に、そういう庶民のしたたかさを知っており、愛情もあったのではなかろうか、と僕はそう考えるのです。

        その他引用、詳しくは、
        森鴎外「高瀬舟」解題 | KI-Literature(文学) http://j.mp/XXe75H にて。
        >> 続きを読む

        2013/03/07 by togusa

      • コメント 4件
    • 1人が本棚登録しています
      山椒大夫・高瀬舟・阿部一族
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • 日本の文学に触れようキャンペーン実施中(自分の中で)のときに読んだもの。
        大夫というくらいだから、めくるめく煌びやかで大人な花魁の世界なのかと期待した。哀れで仲むつまじい兄弟が登場し、いつ売られていくのだろう?なんて読んでいたが、最後の最後まで煌びやかな話は出て来ず、苦労して生き別れた母に会えたという感動的な話で締めくくられ、なんとも恥ずかしい思いをした。

        日本文学、触れておかないといけないですね。触れておいてよかった。

        本書は短編がいくつも入っているものだったが、面白かったのは山椒大夫と他の数話で、残りは読むのが辛かった。
        ただ、この時代の人がどのような心持で生きていたのかを垣間見れ、勉強になると共に、時代によって世間全般が間違っているときもあるんだものなぁ、などと当たり前なことを再認識して不思議な気持ちがした。

        日本文学、触れておいてよかった。
        >> 続きを読む

        2013/04/10 by chika

      • コメント 7件
    • 4人が本棚登録しています
      高瀬舟
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • くっくっく・・・暗い。

        色々考えさせられる作品です。
        高校生の頃、教科書に載ってて、大人になってもう一度
        読んでみました。



        自分が同じ立場になったら、楽にしてあげられるかな・・
        無理だろうな・・とか・・
        主人公と同じ様に楽にしてあげたとして、やっぱり苦しむんだろうなぁと・・・。

        だからこその、罰を受けて安心するって言う心理なのかな・・・

        読んだ後、高校生の時以上に色々考えました^^;
        >> 続きを読む

        2014/04/16 by ♪玉音♪

      • コメント 7件
    • 5人が本棚登録しています
      阿部一族
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • とても面白かった。

        特に「かのように」はすごい小説だと思う。
        っていうか、これ、戦前の日本ではかなりヤバイ内容だったろうなぁと思う。
        鴎外は小説ということで巧みにごまかしているけれど、国家神道や記紀神話が実は本当のものではない虚構に過ぎない、って言っているわけで、昭和初期によく発禁にならなかったなぁと思った。

        また、個人的には、長い間離れ離れになっていた老夫婦が晩年にやっと一緒に暮らせるようになった「じいさんばあさん」はとても良い作品と思った。
        よく歴史からこのエピソードを掘り起こして作品に残してくれたものだと思う。

        また、「堺事件」を読むと、人の運命ってなんなんだろうなぁと思う。
        本当に、人の生死を分けるのは偶然のようでもあるし、あの当時の不条理さというのは本当になんとも言えぬ気持になる。
        しかし、その中で凛然としていた事件の当事者たちは、本当のサムライだったと思う。

        「鶏」もけっこう面白かったし、「寒山拾得」もとても面白かった。

        「うたかたの記」の中で、マリイが言う、
        「されど、人生いくばくもあらず。うれしと思ふ一弾指の間に、口張りあけて笑はずば、後にくやしくおもふ日あらむ。」と、
        「今日なり、今日なり。昨日ありて何かせむ。明日も、あさても、空しき名のみ、あだなる声のみ。」
        というセリフにはしびれた。
        「うたかたの記」は本当に名作と思う。

        また、「舞姫」を高校の時以来ひさびさに読んだが、やっぱり深く心を動かされる何かがこの作品にはあると思う。

        鴎外の珠玉の作品群が収録されていて、本当にお勧めしたい一冊である。

        「余興」の「己(おれ)の感情は己の感情である。己の思想も己の思想である。天下に一人のそれを理解してくれる人がなくたって、己はそれに安んじなくてはならない。それに安んじて恬然としていなくてはならない。それが出来ぬとしたら、己はどうなるだろう。」というセリフも良かった。
        >> 続きを読む

        2014/11/15 by atsushi

      • コメント 2件
    • 4人が本棚登録しています
      山椒大夫・高瀬舟
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 森鴎外の短編集。

        本当に珠玉の名作の数々と思う。

        >> 続きを読む

        2017/09/18 by atsushi

    • 10人が本棚登録しています
      最後の一句
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • この本には今回読み終わった森鴎外の「最後の一句」の他に、「寒山拾得」「山椒大夫」「高瀬舟」「阿部一族」の五つの歴史小説の名作が収められています。

        この今回読了した「最後の一句」は、大正4年10月の雑誌「中央公論」に発表された歴史小説で、鷗外が長い間、軍医という官吏の生活で感じた社会の様々な矛盾や、自己の中に潜む封建的なものを見直し、正したいという鷗外のモチーフがあったのではないかと思われます。

        元文三年十一月、大阪の船乗り業の桂屋太郎兵衛は、米代金横領のかどで斬罪に処せられる事になりました。太郎兵衛の長女で十六歳のいちは、兄弟とともに父の身代わりになろうと奉行所に願書を出します----。

        この小説の中で最も印象的で重要な箇所でもある、彼らの申し出がやっと聞き入れられ取り調べを受けるラストのクライマックスの場面の描写は、その会話文の運びの面白さ、つまり、取り調べる者の権威をかさに着た言い方と、取り調べられる者の丁重ではあるが決して卑屈にならない言い方が、火花を散らすようにぶつかり合って、「お上のことにまちがいはございますまいから」という"最後の一句"へと盛り上がっていくという描写は、実に読み応えがありました。

        『取り調べ役は、「まつ。」と呼びかけた。しかし、まつは呼ばれたのに気がつかなかった。いちが、「お呼びになったのだよ。」と言ったとき、まつははじめて恐る恐るうなだれていた頭を上げて、縁側の上の役人を見た。「おまえは姉といっしょに死にたいのだな。」と取り調べ役は問うた。まつは、「はい。」と言ってうなずいた。次に取り調べ役は、「長太郎。」と呼びかけた。長太郎はすぐに、「はい。」と言った。「おまえは書きつけに書いてあるとおりに、兄弟いっしょに死にたいのじゃな。」「みんな死にますのに、わたしがひとり生きていたくはありません。」と、長太郎ははっきり答えた。「とく。」と取り調べ役が呼んだ。とくは姉や兄が順序に呼ばれたので、今度は自分が呼ばれたのだと気がついた。そして、ただ目をみはって役人の顔を仰ぎ見た。「おまえも死んでもよいのか。」とくは黙って顔を見ているうちに、くちびるに血色がなくなって、目に涙がいっぱいたまってきた。「初五郎。」と取り調べ役が呼んだ。ようよう六歳になる末子の初五郎は、これも黙って役人の顔を見たが、「おまえはどうじゃ、死ぬるのか。」と問われて、活発にかぶりを振った。書院の人々は覚えず、それを見てほほえんだ。このとき佐佐が書院の敷居ぎわまで進み出て、「いち。」と呼んだ。「はい。」「おまえの申し立てにはうそはあるまいな。もし少しでも申したことにまちがいがあって、人に教えられたり、相談をしたりしたのなら、今すぐに申せ。隠して申さぬと、そこに並べてある道具で、誠のことを申すまで責めさせるぞ。」佐佐は責め道具のある方角を指さした。いちはさされた方角を一目見て、少しもたゆたわずに、「いえ、申したことにまちがいはございません。」と言い放った。その目は冷ややかで、そのことばは静かであった。「そんならいま一つおまえに聞くが、身代わりをお聞き届けになると、おまえたちはすぐに殺されるぞよ。父の顔を見ることはできぬが、それでもよいか。」「よろしゅうございます。」と、同じような、冷ややかな調子で答えたが、少し間を置いて、何か心に浮かんだらしく、「お上のことにまちがいはございますまいから。」と言い足した。佐佐の顔には、不意打ちにあったような、驚愕の色が見えたが、それはすぐに消えて、険しくなった目が、いちの面に注がれた。憎悪を帯びた驚異の眼とでも言おうか。しかし、佐佐は何も言わなかった。次いで佐佐は何やら取り調べ役にささやいたが、まもなく取り調べ役が町年寄に、「御用が済んだから、引き取れ。」と言い渡した。白州を下がる子供らを見送って、佐佐は太田と稲垣とに向いて、「おい先の恐ろしいものでござりますな。」と言った。心の中には、哀れな孝行娘の影も残らず、人に教唆せられた、愚かな子供の影も残らず、ただ氷のように冷ややかに、やいばのように鋭い、いちの最後のことばの最後の一句が反響しているのである。元文ごろの徳川家の役人は、もとより「マルチリウム」という洋語も知らず、また当時の辞書には献身という訳語もなかったので、人間の精神に、老若男女の別なく、罪人太郎兵衛の娘に表われたような作用があることを、知らなかったのは無理もない。しかし、献身の中に潜む反抗のほこ先は、いちとことばを交えた佐佐のみではなく、書院にいた役人一同の胸をも刺した。』

        とにかく、このように、このクライマックスの場面は、まるで舞台劇を見ているかのように、鷗外独特の簡潔で美しく均整のとれた文章で綴られているのです。

        この場面は、大きく言えば、一つには取り調べる者と取り調べられる者との対比で構成されていて、その両者の関係が、会話の文章によって、より緊張感を漲らせていると思うのです。

        しかも取り調べが二女のまつ、養子の長太郎、三女のとく、長男で一番幼い初五郎と来て、最後に長女のいちというように展開していき、否がうえにも、緊張感が盛り上がっていきます。

        更に細かく読み込むと、取り調べに対するこの兄弟5人の個々の反応が、その年齢、立場によって、実にそれらしく考えられて描写されているのです。

        二女まつは14歳、姉の企てを最初から知っています。恐る恐る頭を上げながらも「はい」と応えるのは当然です。長太郎は12歳、太郎兵衛が、跡を継がせるつもりで、女房の里方から赤子の時に引き取った長太郎は、実子でないという事で、いちが身代わりからはずそうとしたのを、後から自分も加わりたいと願い出て、「みんな死にますのに、わたしがひとり生きていたくはありません」と父への身代わりというより、強い兄弟意識からの答えをします。

        三女とくは8歳なので、ただ役人がこわかったと思われます。そして六歳の初五郎は、無邪気にかぶりを振ったのです。この箇所は、取り調べのアクセントをなす実にうまい描写だと感心します。その無邪気さに「書院の人々は覚えず、それを見てほほえんだ。」と表現されています。つまり、この箇所があるために、次のいちの語る言葉がより一層引き立つのだと思います。

        いちの冷ややかで静かな言葉は、そして最後の一句の不意打ちがピリリと生きてくるのです。

        このあまりにも劇的な構成と、会話の絶妙な運びが、「お上のことにまちがいはございますまいから。」という一句に無限の重みが出てくるのだと思います。

        これらのことから、この小説のテーマが、「お上のことにまちがいはございますまいから。」という、いちの最後の一句に込められた、"お上に対する痛烈な批判"であるということが、透かし絵のように浮かび上がってきます。

        お上という絶大な権力の前では無力な庶民が、命を犠牲にして言い放った"真実の言葉"なのだろうと強く思うのです。

        このことが、たんに奉行の佐佐たちだけではなく、その"献身の中に潜む反抗"ということにたじろぎ、胸を打たれてしまいます。

        この「最後の一句」という小説は、献身の美しさだけではなく、そこに潜む反抗と、その反抗に向けられた先を暴いたのです。献身というものは、封建制度下においては美徳です。だが、鷗外はその一面だけではなく、当然、それに付随する他の面も描かずにおけなかったのだと思います。
        >> 続きを読む

        2016/11/03 by dreamer

    • 1人が本棚登録しています
      森鴎外全集
      カテゴリー:作品集
      5.0
      いいね!
      • 『森鴎外全集1』(森鴎外) <ちくま文庫> 読了です。

        いきなり文語体で、「これは読み終わるのに時間がかかるなあ」と覚悟したのですが、「半日」から口語体になり、一気に読み進めることができました。

        ドイツ三部作では「舞姫」が有名だと思いますが、私は「文づかひ」が好みです。
        いろいろと謎が残っているところがいいですね。

        森鴎外というと何だか堅苦しいイメージがありましたが、意外に読み易く、「朝寐」や「有楽門」、「懇親会」といったようなユーモア作品も多くあります。
        でも、そんな中でも何か考えさせるものがあります。

        「鶏」から俄然面白くなってきました。
        # 他の作品がつまらない、という訳ではありません。
        # どれも佳作だと思いますが、その中でも、ということです。
        これから読み進めていくのがとても楽しみです。
        >> 続きを読む

        2016/12/25 by IKUNO

    • 1人が本棚登録しています
      森鴎外全集
      カテゴリー:作品集
      4.0
      いいね!
      • 『森鴎外全集2』(森鴎外) <ちくま文庫> 読了です。

        小品ですが、「電車の窓」「里芋の芽と不動の目」「桟橋」「花子」「あそび」「身上話」のような作品が私には好みです。

        文壇を攻撃する「杯」「ル・パルナス・アンビュラン」等の作品は、ちょっとあからさま過ぎて、なかなかうけがうことが難しいように感じました。こういうのを読むと、森鴎外は頑固で激しい人だったんだな、と思ってしまいます。

        長編「青年」が収録されています。
        これはなかなかの傑作で、とても面白く読むことができました。
        森鴎外といえば「舞姫」だとか「山椒大夫」だとか「高瀬舟」だとかがすぐ出てきますが、「青年」も代表作と言っていいのではないでしょうか。

        解説では「必ずしも評判がよいとはいえない作品」と書かれていますが、私には、「もし森鴎外が「青年」しか残さなかったとしても、文学史上に名を遺すことになったのではないだろうか」とすら思えました。
        もし森鴎外の諸作品が好きなでもまだこれを読まれていない方がおられたら、ぜひ一読をおすすめしたいです。
        >> 続きを読む

        2017/08/13 by IKUNO

    • 2人が本棚登録しています
      森鴎外全集
      カテゴリー:作品集
      4.0
      いいね!
      • 『森鴎外全集3』(森鴎外)<ちくま文庫> 読了です。

        最近ますます読むのが遅くなり、読むのに一か月近くかかりました。
        それでも、一文一文を噛み締めて読むよろこび、作者がどう思ってこの一文を書いたのかを自分なりに辿るよろこびが分かってきたような感じがして、ますます読書を楽しく思えるようになりました。

        因習の蒙昧に悩む穂積家と科学的に簡潔に対峙してしまう己とのズレを描いた「蛇」、父の診療所を手伝う医学生の体験を描いた「カズイスチカ」など、興味深い作品は多いですが、特に印象深いのは「妄想」です。

        海辺に老後を過ごす「主人」の、己の人生を振り返った作品です。
        留学から帰国した自分が如何にあるべきかを煩悶し、様々な学問を辿った末に至った境地が次のように描かれています。
        ----------
        自分は辻に立っていて、度々帽を脱いだ。昔の人にも今の人にも、敬意を表すべき人が大勢あったのである。
        帽は脱いだが、辻を離れてどの人かの跡に附いて行こうとは思わなかった。多くの師には逢ったが、一人の主には逢わなかったのである。
        ----------
        もちろん、これを書いた当時の森鴎外の心境を描いたものでしょう。
        これを読んで、私は自身の立っている場所を振り返り、大いに反省を促され、かつ励まされたような気持がしました。

        さらに「主人」の暮らしをこのように描いています。
        まさに、読書人の理想ではないでしょうか。
        ----------
        昔別荘の真似事に立てた、膝を容れるばかりの小家には、仏者の百一物のようになんの道具もただ一つしか無い。
        それに主人の翁は壁という壁を皆棚にして、棚という棚を皆書物にしている。
        <中略>
        世間の人が懐かしくなった故人を訪うように、古い本を読む。世間の人が市に出て、新しい人を見るように新しい本を読む。
        倦めば砂の山を歩いて松の木立を見る。砂の浜に下りて海の波瀾を見る。
        ----------

        完成すれば大傑作になったであろう「灰燼」は未完成に終わりました。
        父と息子の微妙な心のバランスを描くかと思われた五条秀麿シリーズは哲学談義に紛れていきました。

        そんな、私からみるとちょっと残念に思われる作品も多いですが、「羽鳥千尋」のような今後大きく発展していくであろうことが楽しみな人物描写の作品にも取り組んでいて、次巻以降、ワクワクしながら読んでみたいと思っています。
        >> 続きを読む

        2017/11/23 by IKUNO

    • 2人が本棚登録しています
      森鴎外全集
      カテゴリー:作品集
      5.0
      いいね!
      • 『森鴎外全集4』(森鴎外) <ちくま文庫> 読了です。

        正直、全集3までは鴎外のエリート臭が鼻につく作品も多くありましたが、全集4では肩の力も抜けたようで、どれも傑作といっていいと思います。

        人の心情が細やかに表現されており、どの文章を読んでも心に沁みていくようで、こういう作品を読むと「本当に小説を読んだな」と思わせられます。

        今読んでも全く古い感じがしません。もちろん、出てくる物や価値観などは時代が表れ出ていますが、作品としては今出されても違和感なく受け入れられそうです。

        このように、淡々と情景を描いている作品が世に残っていくのではないかな、と思いました。
        そこに描かれた対象にどんな感情を持って読むか、それは読者を信じて読者に委ねている、という態度です。
        「読む人をああしてやろう、こうしてやろう」という態度は、読んでいるときは大きく揺さぶられて快いこともありますが、よほどインパクトが強くないと、読んでしまうと忘れてしまうんですよね。
        要は、その程度の内容だった、ということです。
        自分なりに捉えながら読んでいく作品は、「ああ、あの物語」と、いつまでも残っているような気がします。
        (数学の問題を、ただ解き方を聴いているだけか、自分で解いてみるか、の違いとでもいいましょうか)

        「興津弥五右衛門の遺書」からは急に歴史小説になります。
        切腹の話が多く、正直なところ気が滅入りました……。
        それでもやはり、何かに激しての表現ではなく、淡々と描かれていることにとても好感が持てました。

        あまり鴎外のことは知識を持っていないのですが、これからは歴史小説がメインになってくるのかな。
        >> 続きを読む

        2018/03/17 by IKUNO

    • 2人が本棚登録しています
      森鴎外全集
      カテゴリー:作品集
      5.0
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      • 『森鴎外全集5』(森鴎外) <ちくま文庫> 読了です。

        「堺事件」は前巻の「興津弥五右衛門の遺書」「阿部一族」からの流れを汲み、事件の生々しさが伝わって読んでいて辛いものがあります。
        特に切腹のシーンは、フランス公使のみならず、現代の読者にとっても吐き気を催すような気味の悪さがありました。

        「山椒大夫」「最後の一句」は子どもの頃にも読んだことがありますが、人生経験を経て改めて読んでみると、また違った感想を持つことができました。
        というか、当時は全くおもしろくなかったのですが、今読むと深い味わいがあります。
        一方で「高瀬舟」はテーマが明らかすぎて、今でも少し物足りないものを感じます。

        「安井夫人」「じいさんばあさん」「寒山拾得」は実に爽快。
        読んでいて気持ちが朗らかになってきます。

        「魚玄機」はエロティックかつミステリアスで、江戸川乱歩が好きそうなテーマです。

        こうしてみると、いろんなタイプの作品をそれぞれ高い完成度で書いているんだなあと思わせられます。
        実録に題材を採って自身の興味に沿った作品に仕上げるところは、澁澤龍彦を彷彿とさせるところもあります。

        作者が公に顔を出さず、作中人物や描写によってその気持を伝えているところも非常に好感が持てます。
        そういったベースがあるので、「安井夫人」の死に望んで急に作者が意見を述べる箇所は、作者の気持ちを押さえることができなかったという心情が察せられ、特に意味あるものに思われました。

        最近読んだものと比べれば、やはり長らく読まれているだけあって、文章にリズムがあり、言葉の難しさを物ともしない心地よさがあります。
        こういう文章を読みたいものです。

        <収録>

        大塩平八郎
        堺事件
        安井夫人
        山椒大夫
        魚玄機
        じいさんばあさん
        最後の一句
        高瀬舟
        寒山拾得
        玉篋両浦嶼
        日蓮聖人辻説法
        仮面
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        2018/09/30 by IKUNO

    • 3人が本棚登録しています
      森鴎外全集
      カテゴリー:作品集
      5.0
      いいね!
      • 『森鴎外全集6』(森鴎外)<ちくま文庫>読了。

        作品を読むのに、漫画化されたものや映画化されたものや、「五分で読める」ようにまとめられたものを読むだけですませて何が悪いか、という意見がある。

        わたしはその答えとして「表現」というものを用意していた。
        そして、この作品を読むことで、もう一つ「リズム」という答えも挙げることができると思うようになった。

        とにかく森鴎外の作品はリズムが心地よい。
        なんということもない内容でも、彼のリズムに乗せられてドンドン読み進めてしまう。
        そしてようやく、いつの間にか疲れていることに気づく。

        このリズムを感じるのは個人的な体験なのだろうか、普遍的な体験なのだろうか。
        「森鴎外の史伝は退屈なので覚悟を持って読んだらいい」というコメントを見かけたことがあるので、おそらく普遍的なものではないのだろう。
        もしそうだとすると、万人にお勧めすることはできない。

        この作品に登場するのは、名前もようやくか細く伝わっているだけの人たちだ。
        しかも何か特別な事件に関わっているのであればまだいいほうで、多くは自らの心の声に従って自分のなすことをしたまでの人々である。
        それでも彼らの行為と運命とが織りなす人生が、わたしには興味が深い。
        もし、そのあたりに興味をもつ方がおられたなら、わたしはこの作品の一読をお勧めしたい。

        全集のうちの一つだけを読むのが敷居が高いようであれば、岩波文庫から『渋江抽斎』が一冊で出ているので、それだけでも読んでみてはどうかと思う。
        まだ全集をすべて読んだわけではないが、『渋江抽斎』は鴎外の史伝の粋だと思う。

        全集の1を読んだときから森鴎外が好きになる予感がしていたが、この作品でそれが確固たるものになった。
        彼は本当に天才だと思う。
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        2019/02/04 by IKUNO

    • 3人が本棚登録しています
      森鴎外
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 森鴎外の「田楽豆腐」や「花子」や「桟橋」は面白かった。

        特に「田楽豆腐」はなかなか良い作品と思う。

        他にも「独身」や「そめちがへ」もなかなか面白かった。

        良い一冊だった。
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        2017/09/18 by atsushi

    • 1人が本棚登録しています
      舞姫 現代語訳
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 5月の課題図書。
        原文に怯んだため、ひとまずちくま文庫の現代語訳から読むことにしました。
        あまりよく調べないで購入したため、原文も収録されているとは知らず。
        他の出版社から出ている短編集も同時購入してしまいました。失敗失敗。

        以下の通り、舞姫な一冊となっております。
        鴎外が星新一の、母方の大伯父にあたることを初めて知りました。

        ―――――――――――――――――――――――
        現代語訳 舞姫 井上靖 訳
        解説 山崎一穎
        舞姫 原文

        資料編
        資料・エリス 星新一
        兄の帰朝 小金井喜美子
        BERLIN 1888 前田愛
        ―――――――――――――――――――――――

        井上靖さんの現代語訳は原文の雰囲気のままで素晴らしかったと思います。
        しかしこの「舞姫」自体が、現代語にするまでもない話でした。
        最初から最後まで、こんなにも心に響いてこないなんて!
        豊太郎は肝心なところで何もしていないところに腹が立ちました。
        官を解かれたときに家を思い、自殺したのは母。
        エリスに全てを告げたのは相沢。
        豊太郎が目覚めたときには、すでに様々なことが終わっていたのだから。
        なんだかご都合主義すぎませんか?

        それでも訳と資料が良かったので★1つ追加し、★3でレビューします。
        >> 続きを読む

        2017/06/20 by あすか

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【森鴎外】(モリオウガイ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)

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