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中村妙子

著者情報
著者名:中村妙子
なかむらたえこ
ナカムラタエコ
生年~没年:1923~

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このランキングは1日1回更新されます。
      春にして君を離れ
      カテゴリー:小説、物語
      4.3
      いいね! Minnie MissTerry chao
      • 面白いとの評判はいろんなところで聞いていましたが、ついに読めました。
        めちゃくちゃ面白かったです!クリスティ最高峰との評価も納得。しかしなんというホラー。

        ミステリではないとはいいながら、ネタバレがある話なのでストーリーについて深くは触れません。ただ、傲慢なのは誰でしょうね?ラストにぞっとします。




        ちなみに主人公のジョーンはそりゃあ嫌な女ですけど、箱入娘ゆえの残酷さというか、無知であることに気が付かずに狂気振り回してニコニコしてるところありますけど、夫のロドニーだっていい勝負なわけで、「プア・リトル・ジョーン」なんてつぶやいたりして何様かと思う。誰かを哀れむという行為には優越感が伴うと書いていたのは山田詠美ですが、全くその通りですね。

        などと考える読者自身は、ちゃんと理解しているのか?もちろん私はわかっている、自分はそこまでできた人間ではないし、完ぺきではない、神様に許しを請うべき傷も持っている、と思う時点ですでに思い上がっているのではないか?という終わらないスパイラルが実に恐ろしい。半狂乱になって走り回らなくちゃいけないのは私ではないのか?



        もうひとつ、邦題の『春にして君を離れ』がぞっとするほど名訳である。原題は "Absent in the Spring"、直訳すると不在の春、とかそんな感じでしょうか。シェイクスピアのソネット(98番)から取っているとのことで、気になってソネット全文も調べてみました。
        元のソネットは "From you have I been absent in the spring" と始まっていて、岩波文庫では「春の間私は君と離れて過ごした」などと訳しているようなのですが、これを「春にして君を離れ」とは、たまらない!作品中にほかのソネット(調べたら116番だった)も出てくるのですが、この文語調の格調高い訳が実にすばらしいです。これ、中村妙子さん自身が訳しているんですよね?すばらしい。
        シェイクスピアは正直あまり興味がなかったのですが、ソネットはちょっと読んでみようかと思いました。原文と和訳が両方出ているやつを入手します。
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        2017/04/08 by ワルツ

    • 他4人がレビュー登録、 15人が本棚登録しています
      ブル-トレイン殺人事件
      カテゴリー:小説、物語
      2.0
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      • このお話し、イントロは、スパイ映画みたいです。
        列車内での宝石強盗殺人事件発生。密室殺人。
        と思いきや、舞台はあっさりと南仏のリビエラへ。
        とまあ、ストーリー的にも論理的にも、いろいろ疑問は多いのですね。

        なぜ億万長者その人がわざわざ危険な町に出向いて自ら
        「物(ブツ)」を受け取りに行かなくてはならないのだ?
        とか、もう、初めっからです(^ー^)

        このお話しでは、ヘイスティングズはいないし、
        ポアロが大活躍というわけでもないのがまた寂しいです。

        クリスティもこの作品が嫌いだとかなんとか言っていたとかいないとか。
        どうやら出版社にせかされて書いたらしいです。

        しかし、クリスティならではの魅力は人物描写にあります。
        セントメアリ・ミード村に住むお年寄りのレディはやっぱり個性的で魅力的。
        彼女は毅然としたお年寄りの女性に好意的なんですよね。

        ちょっと興味深いのは、キャストの年齢設定です。
        33歳の独身女性が2名(2名とも魅力的な女性)、男性は30代後半
        30代、40代の美女はでてくるけれど、20代の女性は、美しくて魅力的ではない。
        (当のクリスティーは37歳)
        ミレールもあまり若いイメージではないです。

        つまりクリスティーが『大人の恋愛』を描いた作品。といえるでしょう。

        だからこの小説はミステリーというよりも恋愛ものとして楽しんだ方が正解です。
        ポアロが今回の相棒に選んだ女性キャサリンの恋愛も無事に成就しそうです。
        読者が、その恋のお相手に納得できるかどうかは保証しませんが…。
        多分、主人公はあくまでキャサリン。なのでした。

        【蛇足】
        舞台として、ミス・マープルの住む村、セント・メアリ・ミード村が登場することも話題性のひとつ。

        私が持っているのは、この
        『ブルートレイン殺人事件』 中村妙子訳  新潮文庫 です。

        2009年03月14日、日本の青列車、九州行きの「はやぶさ」と「富士」が最後の運行を終えました。
        北陸行の列車もなくなり、今では北海道と北東北、山陰・四国行きの寝台特急がわずかに残っていますが、
        新幹線が開通したらそれも、全廃になるかもしれません。

        日本では「ブルートレイン」もそのうち死語になるのかしら。
        だとすると、かなり寂しいことですね。
        >> 続きを読む

        2012/12/19 by 月うさぎ

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    • 1人が本棚登録しています
      ブラック・コーヒー 小説版
      カテゴリー:小説、物語
      2.5
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      • 初めにお断りしておきますが、これは「クリスティの書いた小説」ではないんです。
        「ブラック・コーヒー(小説版)」と書かれているのは、
        もともとは戯曲作品(舞台の台本)として書かれたものだったからです。
        1997年にチャールズ・オズボーンによって小説化されたものです。
        表紙に著作者の名前を書かないのはいかがなものかと思いますよ。早川さん!
        だから☆2に減点です。

        著者のオズボーン氏は『ブラックコーヒー』の上演でカレリ博士を演じ、
        クリスティーの遺族に小説化を提案した人物です。
        わざわざ他人が小説化した意味はどこにあるのか?
        それは、この戯曲が非常に読みにくいからなのですよ!
        膨大な量のト書きに、舞台のデザイン、椅子やテーブルの配置、役者の声音表情まで
        指示がいっぱい書き込まれていて
        なのに役者のセリフはかなり省略されているのですから。

        小説版では邪魔なト書きが除かれ、情景や情報は追加され、
        舞台である読書室以外の部屋や庭の描写も入ってきます。
        セリフの解釈をした上でわかりやすく説明されています。

        一方、人物のセリフ自体はクリスティの作文を活かしていますし、
        他のポアロ作品から抜き出したエピソードをあれこれはめ込んで
        それらしく作り上げています。

        でも、それでもやはり文章のテイストが違うんです。
        今ひとつ賛成できない点がいくつかありました。

        まず、小説版で最も異なる点はイントロです。

        ポアロの自宅の朝のひとときから始まります。
        ホットチョコレートを飲みながら、届いた手紙の束を検分するポアロ
        ヴァン(従僕)のジョージが2杯めのおかわりと共に電話番号のメモを手渡します。
        ポアロが不在の前夜、サー・クロード・エイモリーなる人物から
        曰くありげな電話がかかってきていたのでした。

        この朝食シーンですが、わざとらしいのみならず、行動が不自然に思われます。
        暇をなげくポアロがすぐに興味を示さずにホットチョコレートを飲み続け、
        新聞を読んで、さらに日光浴までして時間を過ごします。
        折り返しの電話は10時過ぎにかければいいと言って…。
        この朝の描写、はっきり言って不要です。
        もともと他作品の一部を引っ張ってきて脚色しただけのものですし、
        ポアロのこの行動も、その後、事件が起こってからのポアロのセリフとの整合性から考えて
        非常に不合理なつけたしになっていると私には思えました。

        ジャップ警部がポアロにあって、長広舌を振るう。これも、ちょっとありえない感じ。

        中村さんの翻訳はよいのです。
        この点に関してはオズボーン氏が多くを説明しようと頑張りすぎていていけないのです。
        オリジナルの戯曲版の麻田訳には、誤訳あるいは不適切な訳があるように思われました。
        戯曲と小説との方とも中村さんに訳してもらえばいいのに。

        蛇足ですが、貝谷氏の解説もだめ!
        殺害方法などに関して他作品のネタバレをいっぱいやらかしています。
        決して読まないこと!(`・ω・´)!

        【ストーリー】
        サー・クロードの新開発した原子爆薬の化学式を記した書類が、
        家のものに盗まれてしまった。
        その書類を返せば不問にすると言い渡し、照明を落とし部屋は暗闇に。
        あかりがついたとき、科学者は息絶えていた……
        ポアロの到着は間に合わなかった。

        メモの行方は?サー・クロードの死の真相は?

        願わくば、クリスティが自分でノベライズしたものを、読みたかったですね~。


        【おまけ】
        ちょっと年代に注目してみましょう。
        「ブラック・コーヒー事件」は1934年。と小説版にはっきり書かれているのには意味があります。
        前年の1933年には、ドイツでナチスが政権を獲得しています。
        この物語の背景には世界大不況と第2次世界大戦へと流れゆく時代の足音があるんですね。

        サー・クロードが発見した化学式とは核兵器なのです。
        つまりこれからアメリカで完成される「原爆」同様なものです。

        ルシアは、この価値ある化学式を暖炉で灰にします。
        「この世界にはすでに苦しいことがありあまるほどありすぎますもの」と言って。

        クリスティの先の時代を見越したメッセージを、後世のオズボーンは
        しっかり受け止め強調しているのです。
        (実際に戯曲が発表されたのは1930年)
        >> 続きを読む

        2013/02/18 by 月うさぎ

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      火曜クラブ
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • ミス・マープルはクリスティの創作した、ポアロと並ぶ人気探偵です。
        初登場作品がこの短編集の1作目、「火曜クラブ」です。

        クリスティ自身が、マープルは短編に向いた探偵だと書いていますが、
        短編でのマープルは、典型的な安楽椅子探偵として謎を解いていくスタイルです。
        彼女、本当に安楽椅子に座っているんですよ~(^^)

        【内容】
        ミス・マープルの家に、甥で作家のレイモンド・ウェストを中心に客人が集っていた。
        自分だけが答えを知っている「迷宮入り事件」を語り、
        推理力を競い合おうということになる。
        メンバーは6人。週に一回の定例会。その名も「火曜クラブ」

        語り手が次々に変わり、各人の推理が乱れ飛ぶあたりが
        クリスティのアイディアの豊富さを感じさせます。
        特に「バンガロー事件」は語り手の妙と二重のトラップが効果的な佳作です。
        短篇でこうした実験にトライするのはいかにも彼女らしいです。
        この作品集の中に、のちの長編に進化する要素が多々見られます。

        とはいえ、中村妙子氏の訳者あとがきは絶対に読んではいけません。(;´Д`)

        本作だけでなく、他の長編のネタバレまでやらかしています。
        なんでこういうの載せるかな~?早川って。(ーー;)


        『火曜クラブ(火曜ナイトクラブ)』- The Tuesday Night Club
        サー・ヘンリー(元警視総監、サー・ヘンリー・クリザリング)の話。

         ジョーンズ夫妻と夫人の世話役の三人が夕食後に苦しみだし、
         夫人だけが死亡した。
         当初食中毒とみられたが、夫による毒殺との噂がたち、遺体を再検査すると砒素が検出された。
         毒殺犯人は誰か?どうやって夫人だけに毒を盛れたのか?


        『アスタルテの祠』- The Idol House of Astarte
        ペンダー博士(牧師)の話。
         サー・リチャード・ヘイドンのダートムアの屋敷《沈黙の森荘》に招待された牧師。
         リチャードが案内した森の中にある不吉な印象の祠は
         「アスタルテの祠」と呼ばれる、古代フェニキア人が儀式を行った跡であるという。
         仮装パーティーの夜、美女ダイアナ・アシュレーは、黒衣のなぞの女に扮するが、
         祠の前で憑かれたようになり、その瞬間、全員の面前でリチャードが刺殺される。
         怪奇ムード満点の作品。

        『金塊事件』 - Ingots of Gold
        レイモンド(作家、ミス・マープルの甥)の話。
         聖霊光臨節の週末。レイモンドはコーンウォールのジョン・ニューマンの家を訪ねた。
         その海には金塊を積んだ沈没船があるといい、
         ニューマンは船を引揚げて一攫千金のロマンを追っているらしい。
         果たして金塊はみつかるだろうか?


        『舗道の血痕』  - The Bloodstained Pavement
        ジョイス・ランプリエール(女流画家)の話。
         コーンウォールの小さな漁村でスケッチをしていた時。
         白い敷石の舗道に点々とした赤い血が付いていることに気づく。
         画家を語り手にしたことで見事に視覚的に描かれた作品。
          

        『動機対機会』 - Motive v Opportunity
        ペサリック氏(弁護士)の話。
         霊媒師に感化・影響されてしまった大富豪サイモン・クロードは、
         顧問弁護士のペリザックの前で遺言状を書き換えた。
         それは霊媒師に財産の大部分を残すという驚くべきものだった。
         その2ヵ月後にクロードが死に、遺言状を開封すると、
         金庫で厳重に預かっていたはずの遺言状が白紙に変わっていた!
         動機がある者は機会が無く、機会がある者は動機が無い。


        『聖ペテロの指のあと』 - The Thumb Mark of St Peter
        マープルの話。
         姪のメイベルに夫殺しの噂がたち、疑いを晴らすべく真相を調べる。
         ジョフリーが死ぬ寸前に残したのは「魚をひと盛り」という意味不明の言葉だった。

        ここで「火曜クラブ」は一旦お開き。
        ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
        バントリー夫妻の晩餐会にて再び語られる謎の事件

        『青いゼラニウム』 - The Blue Geranium
        バントリー大佐の話。
         大佐の友人ジョージ・プリチャード氏の妻はわがままな病人だった。
         ある日、心霊術師が夫人を占い「青い花は不吉だ。命取りだよ」と警告する。
         さらに「青いサクラソウは警告、青いタチアオイは危険信号、
         青いゼラニウムは死の象徴・・・」という手紙が届くと、夫人は恐怖に怯えだす。
         そして満月の夜、予言通りに死んだ彼女の部屋の壁紙のゼラニウムは一輪だけ青く変わっていた。


        『二人の老嬢』 - The Companion
        ロイド医師の話。
         カナリヤ半島で開業していた時に起こった「完全犯罪」
         ホテルに2人の中年女性客が到着した。
         翌日、海で溺れた2人に遭遇し、一人は手遅れで死亡した。
         死んだのは富豪のミス・メアリ・バートンのコンパニオン。
         身元不明のミス・エイミ・デュラントであった。
         一人がもう一人を故意に溺れさせていたという証言が出たものの、事故死で決着。
         しかし、その後バートンは…。

        『四人の容疑者』- The Four Suspects
        サー・ヘンリーの話。
         ローゼン博士は《黒手組》という秘密結社を壊滅させた報復を受け殺された。
         博士の屋敷にいた人物は、4人とも身元の確かな人間だという。
         しかし《黒手組》からの指令を受け、手を下したのは、
         この4人以外にいない。


        『クリスマスの悲劇』 - A Christmas Tragedy
        マープルの話。
         水治療院に滞在中のマープルは、サンダース夫妻と知り合ったが、
         夫が妻を殺そうとしていると直感する。
         証拠もなく監視を続ける中、悲劇は起こる。
         しかも、夫と共に第一発見者として死に立ち会うことに。


        『毒草』 - The Herb of Death
        ミセス・バントリーの話。
         アンブローズ卿の家で食中毒が起こり、シルヴィアただ一人が死亡する。
         原因は鴨料理に紛れ込んだジギタリスの葉だと判明。
         実は、1人だけを狙った殺人だったのだが、
         誰が誰を殺そうとした事件だったのだろうか?


        『バンガロー事件』 - The Affair at the Bungalow
        女優ジェーン・ヘリアの話。
         ある女優が地方公演で立ち寄った町で事件に巻き込まれた。
         警察が女優に一人の青年を見せたが、互いに初対面であることがわかる。
         彼には宝石泥棒の容疑がかけられていた。
         青年は女優に手紙であるバンガローへ呼び出されたと証言。
         実際に宝石は盗まれ、青年を招き入れた女性の正体は不明。
         一体、何がどうしたというのだろうか・・・。


        ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
        『溺死』 - Death by Drowning
        唯一の進行形の事件。短編集刊行の際に加えられた作品。
         これを加えて13本になるように考えられています。

         《ブルー・ボア館》のエモットの娘、ローズが身重となり川に身投げ!
         セント・メアリ・ミードは騒然となる。
         マープルはバントリー夫妻宅に滞在していたサー・ヘンリーのもとに赴き、
         これは殺人事件であると述べる。
         医師ヘイドックもそれを裏付ける指摘をしたため、警察も動き出す。
         冤罪をつくってはいけない。とのミス・マープルの思いを受け
         ヘンリー卿は事件の関係者への聞き込みに同行する。
         犯人は交際相手の青年、スチュアートだろうと誰しも考えたが、
         ミス・マープルの指摘した犯人の名前は…?
         
         非常に変わったスタイルに挑戦した秀作。
         ミス・マープルは推理するが、話の表には全く出ず、
         動くのはサー・ヘンリーだけです。
         ラストで真犯人が分かっても、マープルの推理自体は説明されないのです。
         つまり、読者はミス・マープルが「どのような道筋で推理し、どうやって結論を導き出したか?」
         を推理しなければなりません。
         そして、合理的に、それは説明できるように、クリスティは考えてあります。
         文にならない部分にまで、ストーリーが隠されている。すごい!


        ミス・マープルの次作が描かれるのはなんと12年後となります。
        >> 続きを読む

        2013/01/31 by 月うさぎ

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      黄色いアイリス
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • アガサ・クリスティの多作期の小品を集めたさらっと読める短篇集。
        マープルとポアロは別の本にまとめて欲しかったという声がありますが
        探偵によるテイストの違いを味わえる本作は、お試し読みにちょうどいいともいえるでしょう。
        そして、気に入った作品があったなら、次はぜひ彼らの長編にトライしてみてください。
        クリスティは長編でこそドラマが生きる作家です。

        【作品紹介】
        『レガッタ・デーの事件』 The Regatta Mystery (パーカー・パイン) in June 1936
          ポインツ氏のお宝のダイヤモンドが紛失した。ほんの戯れに泥棒ごっこをした際に。
         「パーカー・パイン氏登場」のパインが犯人を特定。
         (う~~ん。これはポアロっぽいぞ。でもポアロにしては簡単すぎっていうことかも)

        『バグダッドの大櫃の謎』 The Mystery of the Baghdad Chest (ポアロ&ヘイスティングズ)
          男を狂わせる美女が絡んだ恋愛殺人事件。
         オリエンタルなチェストの中から刺殺された死体が発見されるという、ちょっと猟奇的な殺人。
         ポアロによって完全犯罪が暴かれます。それにしてもまぬけな被害者…。

          『スペイン櫃の秘密』という題名でリライト。
          「クリスマス・プディングの冒険」という短篇集に収められており、ほぼ同じ筋書です。
          相棒がヘイスティングズからミス・レモンに。
          シェイクスピアを引用してみたりして膨らませ、少し長くなっています。

        『あなたの庭はどんな庭?』 How Does Your Garden Grow? (ポアロ&ミス・レモン)
          パーカー・パインの秘書だったミス・レモンがなぜかポアロの秘書になっていました!
          いかつい風貌で愛想が無く、整理魔で情緒の欠片もない48歳のハイミスの女性。
          ヘイスティングズの真逆の個性でポアロの新相棒の役を努めます。

          資産家の老婦人が毒殺され、嫌疑は看護婦兼付き添いのロシア人女中にかかります。
          毒はどのようにして与えられたのか?というハウダニットのミステリー。
          「つむじまがりのメアリーさん」のマザーグースの歌がタイトルにも、事件解決のカギにもなっている点が特徴的。

          Mistress Mary, quite contrary,
          How does your garden grow?  
          With cockle-shells, and silver bells,
          And pretty maids all in a row.

        これはポアロよりもミス・マープルの事件にふさわしい気がします。
        何かこの歌が使われていた作品が確か他にもあったような…。

        『ポリェンサ海岸の事件』 The Problem at Pollensa Bay (パーカー・パイン)  in November 1935
          パーカー・パイン再登場。いつものパターンでマザコン息子の結婚問題を解決。

        『黄色いアイリス』 Yellow Iris (ポアロ) in July 1937
          長編『忘られぬ死』(ただし探偵はレイス大佐)として1945年にリライトされます。

          ポアロは女性の電話でレストラン“白鳥の園”に呼び出された。
          その声には危険を予感させるものが含まれていた。悲劇は防げるのか?
          目印はテーブルに飾られた黄色いアイリスだ。
          ディナーの席上で、ラッセル氏が自殺した妻のことを話し出した。
          妻のアイリスは4年前の同じ日にディナーの席上で服毒自殺を遂げたという。

        『ミス・マープルの思い出話』 Miss Marple Tells a Story (マープル)  on 25 May 1935(活字化)
          妻殺しの嫌疑をかけられた夫の無実を見事晴らしてあげたというマープルさんの自慢話。
          ホテルの密室で刺殺された女性は、どうやって夫に知られずに殺人が行えたのか?

        『仄暗い鏡の中に』 In a Glass Darkly(ノンシリーズ)
          怪奇小説風のショートストーリー。  
          鏡の中に見えた殺人現場の衝撃的映像は、未来を予知したものなのか?
          ポーのような重くじっとりした感じが「クリスティらしくなくて」こういうのも時にはいいです。
          
        『船上の怪事件』 Problem at Sea (ポアロ)
          エジプトへと向かう船の中。自分勝手で感じの悪い金持ち女性が刺殺された。
          物取りの犯行を思わせる痕跡はあるものの部屋は密室。
          彼女は鍵をかけて寝ていたはず。その声はポアロも聞いていたのだ。
          
        『二度目のゴング』 The Second Gong(ポアロ) in July 1932
          長編「死人の鏡(Dead Man's Mirror)」として1935年にリライトされます。

          当主のロシェ氏はディナー時間に以上に執着を持っており、
          滞在客は食事開始に遅れないように相当気を使っていた。
          ポアロが招かれたその晩に、合図のゴングが鳴ってもロシェ氏が現れなかったため、
          不安に思った客たちが書斎を開けると、ロシェ氏はピストルで撃たれて死んでいた。
          扉も窓も施錠された密室で手元には拳銃が落ちており、警察は自殺と断定するのだが…。

          食事時間にこだわる館の主人、書斎の死体、密室なんてところは同じですが、登場人物は違っていて犯人も違いますので、両作品とも安心してお読みください。
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        2014/06/17 by 月うさぎ

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      厭な物語
      カテゴリー:叢書、全集、選集
      5.0
      いいね!
      • 『崖っぷち』『すっぽん』『フェリシテ』
        『ナイト・オブ・ザ・ホラーショウ』『くじ』『シーズンの始まり』
        『判決』『赤』『言えないわけ』『善人はそういない』
        『うしろをみるな』の11篇収録

        結構、読んだことのある作品が多かったですが

        さすがに巻等の『崖っぷち』は上手い!!と思います。
        アガサ・クリスティはこの枚数ですら
        人の心の機微・行為にいたる着火点等。
        登場人物の心情だけでなく、それを読んだ読者の反応すら推測が出来ていたのでは・・・と勝手ながら思います。

        どれも救いのない話ばかりなんですが、
        個人的に淡々話が進んでいただけに印象に強く残ったのは『フェリシテ』のラスト。

        あとは有名な『くじ』

        「二度と読むか!!」と思っていた
        ソローキン作品を読む羽目になったのは残念でしたが。
        あとは『善人はそういない』と

        フレデリック・ブラウンの末尾に相応しい『うしろをみるな』が収録されているのが心憎い。

        表紙も良いですし、個人的には当たり!!のアンソロジーでした。
        >> 続きを読む

        2013/06/13 by きみやす

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【中村妙子】(ナカムラタエコ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)

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