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中沢啓治

著者情報
著者名:中沢啓治
なかざわけいじ
ナカザワケイジ
生年~没年:1939~

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このランキングは1日1回更新されます。
      中沢啓治平和マンガ作品集
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      4.0
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      • 『はだしのゲン』の作者の中沢啓治の作品。
        1968年、戦争が終わってから二十年以上経ったが、まだ本土に復帰していない頃の沖縄が舞台。

        主人公はアメリカ人の友人もおり、親の心配も知らずに遊びほうけていた。

        しかし、母親が酔っぱらった米兵に轢き殺される事件が起きる。

        そのアメリカ人の友人の父親も、ベトナム戦争で戦死する。

        母を酔っ払い運転でひき殺した米兵は、軍法会議で無罪ということになる。

        近所の米軍基地では、B52の墜落事故が起きる。

        空を行き交う米軍機による騒音もいつも起こる。

        貧しい暮らしの中でも、家族で支え合い、主人公の父が育てた闘牛に、新たに「平和号」という名前をつけて、ついには大会で優勝する。

        重いテーマを真っ向から描いた作品で、かなり昔のの作品なのだけれど、とても面白かった。

        それにしても、この作品の舞台となった時代から、かれこれもうすぐ半世紀経つわけだけれど、主人公たちが願った米兵による事故や米軍機の墜落に脅かされない平和な沖縄という願いは未だに実現していない。
        そのことを思うと、なんとも深く考え込まざるを得ない。

        この作品は、1970年頃、「少年ジャンプ」に連載されていたそうである。
        ジャンプにこのように重いテーマの作品が掲載されるとは、今からではちょっと考えられない話だが、ぜひまたこのように世の中を啓発するような作品をジャンプやその他の雑誌も掲載していって欲しいものだ。

        また、この本には、表題作の「オキナワ」のほかに、「冥土からの招待」と「うじ虫の歌」という、戦争中に壕の中で日本兵に殺された側の沖縄の人の悲しみを描いた二作も収録されている。
        あらためて、沖縄の歴史の中の重い悲しみを考えさせられた。

        『はだしのゲン』とともに、今後も読み継がれて欲しい漫画作品だと思う。
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        2013/06/21 by atsushi

      • コメント 3件
    • 1人が本棚登録しています
      ユーカリの木の下で
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      5.0
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      • とても良い作品だった。

        広島で被爆したことを長く自分の子どもに語らずにいた主人公。
        母が亡くなり、二十五年ぶりに広島に戻り、三十二年前の出来事を息子に語る。

        当時、軍国少年だった主人公は、学校でもそのように教えられ、ガダルカナルで戦死した父の仇を討とうと思い、無邪気に日本の正義を信じていた。
        しかし、中国大陸で二百人以上を殺したという町内の退役軍人の自慢話を聴いたり、同級生の朝鮮人の子どもの話を聴くうちに、また父の戦友から母が聞いたという父のむごい死に方を聞くうちに、少しずつ考えが変わっていく。

        さらに、同級生の親友の父が、特高警察に捕まり拷問で殺され、その友人をユーカリの木の上にかくまって暮すうちに、大きく考えが変わっていくが、八月六日の原爆投下で、あとかたもなくその親友は死んでしまい、街は焼野原になってしまった。

        主人公は、久しぶりに帰った広島で、半分は焼けた跡が残りながらも、なおユーカリの木が残って生きてくれていたことに感動し、自分の息子に当時の思い出を語る。

        その親友が、かつて教えてくれた、平井鉄太郎という当時の特高から弾圧を受けていた思想家の言葉が、心に残った。

        「言論の自由なき世は
        うばたまの
        心の闇の牢獄とぞ思う
        戦えば 必ず勝つと自惚れて
        いくさを好むバカな軍人
        我が力 かえりみもせで 
        ひたすらに
        強き言葉を民は喜ぶ」

        昭和初期に、リアルタイムに、これほどの勇気ある言葉をいた人がいたということに驚くし、そのような言葉を言った時に、いかにひどい目に当時は遭ったかということにもあらためて考えさせられた。

        良い作品だった。

        また、この巻には、「チエと段平」という短編が収録されている。
        目の見えない女の子のために、一生懸命尽くすチンドン屋の主人公の物語なのだけれど、この物語、どういうわけか、私は昔、誰かから聞いたことがあったような気がする。
        読んだことはなかったと思うのだが、不思議なものだ。
        短いが、心に残る物語だった。
        >> 続きを読む

        2013/07/07 by atsushi

    • 1人が本棚登録しています
      ゲキの河
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      4.0
      いいね!
      • 『はだしのゲン』の作者の中沢啓治の作品。

        ゲンよりも、十年ぐらい前の、昭和十年ぐらいが舞台。

        主人公の少年のお父さんは、演劇を通じて日本の軍国主義や戦争を批判する活動をしていたため、特高警察に捕まり、拷問を受け続ける。
        お母さんは、病気で死んでしまい、幼い弟と妹を抱えて、主人公は苦労する。

        悪い親戚に、弟と妹はそれぞれ満州と沖縄に養子に売り飛ばされてしまう。

        主人公はいろんな困難や苦労をしながら、朝鮮人の少年や、中国人のおじさんなどとも友情を育みつつ、特高や警察の横暴に負けず、多くの人が軍国主義に誘導される中、だまされないで生きていく道を歩んでいく。

        苦労の末、満州で弟に再会するが、弟はわりと親切な人に引き取られていて、その家の子どもが亡くなっていたこともあり、一緒に日本に返ろうと言う兄の言葉を拒否して、満州にとどまる。

        本当ならばもっと長く続くはずの物語だが、わりと途中で、突然終わってしまっているので、たぶん掲載媒体の都合か何かで、途中で無理に終わらせてしまっているところがやや残念だが、良い作品だった。
        昭和の初期は、本当に、暗黒の時代と言ってもいいほど、特高や軍隊の横暴がまかりとおっていた時代だったのだとあらためて思う。

        なお、『ゲキの河』は、表題作だけでなく、上巻には「ある日突然」、下巻には「何かが起きる」という、それぞれ短篇の作品も収録されている。
        どちらも、戦争が終わってから二十五年が経った昭和四十五年が舞台で、まだ中学生ぐらいの少年が、親が被爆していたために突然白血病になり、なんとか治りたいと思い、周囲もそのことを願いながら、亡くなっていく物語だった。
        「ある日突然」は、父親の嘆きの深さが、また「ある日突然」は日本一のラーメン屋を目指していた少年が周囲から惜しまれながら死んでいく様子が、とても心に残った。

        『はだしのゲン』とともに、あらためて多くの人に読み直されて欲しい、痛切なメッセージに満ちた作品だった。
        >> 続きを読む

        2013/06/28 by atsushi

      • コメント 4件
    • 1人が本棚登録しています

【中沢啓治】(ナカザワケイジ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)

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