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小尾芙佐

著者情報
著者名:小尾芙佐
おびふさ
オビフサ
生年~没年:1932~

この著者の本を読んでいる会員ランキング

このランキングは1日1回更新されます。
      アルジャーノンに花束を
      カテゴリー:小説、物語
      4.4
      いいね! momomeiai Minnie sunflower tadahiko Erika
      • 本棚にあったので読んだけど、童話のようで・・・好みではなぁったかな。映像化されても見る気になれなかったのは、キャストがいまいち好きになれなかったから。 >> 続きを読む

        2017/09/21 by k.k

    • 他16人がレビュー登録、 69人が本棚登録しています
      アルジャ-ノンに花束を
      カテゴリー:小説、物語
      3.7
      いいね! emi
      •  あまりにも有名な作品ですが
        手に取ったことがなかったため、
        古本屋の100円コーナーにあったのを機会に
        読んでみました。
         
         期待どおりに名作でした。
        これは原作も素晴らしいのでしょうが、
        訳も非常に上手ですね。
         
         もともと知的障害のあった青年が
        医学の進歩のための実験と知りつつ手術を受け、
        一般人の域を越える知能を得るも
        それは一時的なもので
        やがては元の知能よりも低いレベルまで下がってしまう・・・。
         
         その急激な知的レベルの変化に
        心の成長が追いつかない主人公は、
        仕事、友情、性、愛情そして人間関係
        さまざまな問題に直面していきます。
         
         一番コアな問題となるのは家族。
        かつての彼を愛し、最終的には弾き出してしまった
        母、父、妹 とはどのように気持ち的に清算をつけるのか。
         
         よくもこれだけのテーマを内包しながら
        うまく物語を収束したものだと思います。
        最初から終着点は見えているのですが、
        そこに至るまでに著者が読者に問いかけたかったものは
        きっと見事に響いてくるに違いありません。
        少なくとも私には届きました。
         
         そういえば中学生の頃
        友人が読んでいたのを思い出しました。
        原本も英語の勉強にちょうど良い本だそうです。
        機会があったら自分で使ってみるか、
        子供にすすめてみたいと思います。
        >> 続きを読む

        2016/11/26 by kengo

    • 他5人がレビュー登録、 15人が本棚登録しています
      夏への扉
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
      いいね!
      • SF小説のランキングがあると、必ず選ばれる作品ですね。
        主人公のダニエルは技術者で、自分のロボット製作の会社からマイルズとベルという友人に追い出されてしまいます。まるでスティーブ・ジョブスみたいです。

        主人公ダニエルは二人に復讐を誓い、コールドスリープで30年後に蘇生することにします。しかし30年後に生き返りますが、世の中(自分に関わる事)は冷凍になる前に思っていたようにはなっておらず、腑に落ちないこともありました。その疑問解決のため、タイムトラベルで1970年に戻ることにします。そして輝かしい未来の幸せを得るため再度コールドスリープで2001年を迎えました。

        読んでいてドラえもんを思い出しました。
        ドラえもんの場合は、同時空間に今ののび太と未来から来たのび太がいたりしますが、この本ではダニエル同士がかち合う場面はありません。
        出会っていたら、どんなストーリーになっていたのでしょうか?
        次元の話になると、今目の前で流れている時間の裏で、別の次元(もうひとつの世界)が流れているという話がよくされますが、けして交差しない世界だから、というのがあったのでしょうか?だからダニエル同士は出会わなかったのか・・・。
        タイムトラベルで、1970年にもすんなり戻れたから猫のピートも無事戻ってこれたのですが、もしタイムトラベルがうまくいかなかったらどうなっていたのか?ともふと思いました。

        ちなみにコールドスリープと聞いて、以前読んだ「人体冷凍 不死販売財団の恐怖」という本を思い出しました。
        オカルトなとても怖い話の作品でした。

        この作品では未来は"よき未来"ですが、荒廃した未来を描く作品もある訳で、そう考えると未来はどんな様子になってるか分からない。また30年冷凍されていれば、その30年分の世界は見れない。
        だったら冷凍されてまで僕は未来にジャンプしなくてもいいやと個人的には思います。余談ですが。

        >> 続きを読む

        2017/10/25 by Reo-1971

      • コメント 1件
    • 他4人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      ジェイン・エア
      カテゴリー:小説、物語
      4.8
      いいね!
      •  シャーロット・ブロンデ、1847年、英国がヴィクトリア朝時代の作品です。
        光文社古典新訳文庫では上下巻です。

         ジェーン・エアという恵まれない生まれの女性主人公が、家庭教師として仕えるその家の主人と結ばれるまでの話です。

         まず読んでいて驚くのが、主人公のジェーンの生きていく姿勢です。
         両親を幼くして亡くしたジェーンは、伯父の家に引き取られます。しかしジェーンに対して理解のあった伯父は早くに帰らぬ人となります。
         伯母とその子達は、言わば家族ではないジェーンのことをイジメ倒しますが、ジェーンはそれに負けず、言い返しやりかえします。
         よくある孤児の物語だと(ある家に居候であれば)、いじめに堪え忍んで裏でシクシクと涙をながすのが常ですが、そうでないんです。
         そこにその時代から考えると珍しいであろう、自立した女性が描かれています。
         しかも18才になったジェーンはローウッドという40近い金持ちの家に家庭教師として住み込むのですが、そこに客としてくるローウッドのいい女(ひと)に対しても、"あんな人ローウッド様にはふさわしくないわ"と強気です。ジェーンは優れた美貌の持ち主でもないのですが、すごい自信なんです。

        上巻は家庭教師として赴任してまもなく、ローウッドに恋する所までの物語ですが、後半はどう描かれているのか、楽しみです。

        ちなみに、ディケンズと同時代のシャーロット・ブロンデですが、作品に描かれている生活文化が一緒なんで、"あー同じだ"とひとりほくそえんで読んでいます。
        登場人物がプディング食べていたりして。



        >> 続きを読む

        2017/12/31 by Reo-1971

    • 他4人がレビュー登録、 8人が本棚登録しています
      ジェイン・エア
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 光文社古典新約文庫、上下巻の下巻。

        読んでいる最中、何度も心を打たれました。

        上巻はジェイン・エアの幼少期からローチェスターに出会うまでの物語でしたが、後半はその後、ジェイン(とローチェスター)が様々な紆余曲折を経て、二人が結ばれるまでが描かれています。

        下巻の始まりでは、二人は幸せいっぱいで愛に満ち溢れ結婚寸前までの状況になりましたが、実はローチェスターには家に監禁状態の妻がいる(それも気が違っている)ことが判り、ジェインは家を着の身着のままで飛び出します。その後ジェインは浮浪者状態となり死にかけますが、すんでのところでセント=ジョンに助けられ、そこで職を得て暮らします。
        一方ローチェスターは気が違った妻に家に火をかけられ、屋敷は全焼、自信も片腕と視力を失います。
        離ればなれになった2人だったが、ある日天からのローチェスターの声を聞いたジェインは、元の土地から移り住んでいたローチェスターを探し当て、二人は結婚します・・・。

        物語はどん底と絶頂を繰り返し、どん底の場面では物語の行く先が心配になり、絶頂の場面(ローチェスターとの運命的な出会い、そして奇跡的な再会)では心を揺さぶられました。
        作品は愛に充ち溢れ、ジェインの凛とした生き様が心に残りました。
        この小説の副題はシャーロット・ブロンデの"自伝"だそうです。ちなみにシャーロットは38歳という若さで亡くなっています。
        そのシャーロットの圧縮された人生の激しい情熱のようなものを、この物語から感じとれたような気がしています。

        今度、映画も観てみようと思っています。
        >> 続きを読む

        2018/01/05 by Reo-1971

    • 他3人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      It
      It
      カテゴリー:小説、物語
      4.3
      いいね!

      • スティーヴン・キングの「IT」(1~4巻)を、2日間かけて読了しました。

        最初、斜に構えて読み始めましたが、そのうちに、知らない間にのめり込み、こうなるともう、完全にキングの術中にはまってしまって、この長大な物語から抜け出ることが出来なくなっていました。

        しかも、最終章に待っているのは、これまでキング作品に感じたことのない感情なんですね。
        込み上げてくる感動に、いささか戸惑ったのは、キングに対する、ある種の偏見を私が持ち続けていたせいかもしれません。それにしても、参りました。

        六人の少年と一人の少女がITと闘う1958年と、彼らが大人になってから再び闘う1985年が、絶妙にクロスして語られるんですね。

        まずプロローグ的な一章、二章に続く第三章は、大人になった彼らが仲間の連絡を受けて故郷の町に戻って来る1985年の〈現在〉で、故郷で残虐な殺人が発生し、その背景に存在する〈化け物〉と再び闘う時が来た、ということだけが、彼らの現在の生活と挿話を紹介しながら、ゆったりと語られていきます。

        不安を秘めた、実に巧みな導入部だ。

        26~27年ごとに大量の行方不明者や死者が出ることも暗示され、これに続く第二部からいよいよ〈過去の闘い〉と〈現在の闘い〉がクロスしていく。

        彼らが27年前の闘いを忘れている設定なので、我々読者には、ITとはなんなのか、彼らはどう闘ったのか、その肝心の部分が微妙に伏せられたまま進んで行くというのも、実にうまい。

        ITはなかなか出て来ないんですね。膨大な寄り道と言ってもいいが、こういう枝の部分を描くと、キングはもともと群を抜いてうまい作家だから退屈することはないんですね。

        いつもなら、もっと早く出てこいと悪態をつくところなのに、そんな暇もなく読み耽ったのは、枝が徐々に太い幹に収斂されていく構成のうまさとリズムの良さ、そのバランスが絶妙だからなんですね。

        そして、何と言っても圧巻は、最終章の第五部だ。
        ここに至って、ITの正体と27年間の闘いの実態が明らかになるのだ。

        そこに、現在の闘いをクロスさせていくキングの筆致の冴えは、実に見事だ。
        過去と現在が、物語上で捩れていくのは珍しくないが、これはその構成とテーマが不可分なのだ。

        表面的には、化け物の正体にがっかりするという"スティンガー・ショック"に近いものがあっても、もちろんまったく異なっているんですね。

        愛と勇気の物語という、この感動的なラストの力強さは、もっと根源的なものだと思いますね。

        >> 続きを読む

        2018/09/11 by dreamer

      • コメント 4件
    • 他2人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      ロウフィールド館の惨劇
      3.3
      いいね!
      • 「ユーニス・パーチマンがカヴァイデイル一家を殺したのは、読み書きができなかったためである」
         
         このインパクトある、自信あふれる出だしの一行。
        さすが、ルース・レンデル。ルース・レンデルは、P.D.ジェイムスと並ぶ、イギリス女流サスペンス作家、と言われるのですが、調べてみたら、2000年以降、発表はしているものの、日本語訳は出版されていないとのこと。

         さて、P.D.ジェイムスと並んで語られるのは、人間の心理の奥深く、その襞まで一枚一枚丁寧にひろげていくような心理描写と、情景描写が積み重なって、重厚なミステリになっているところでしょうか。

         ですから、物語は派手ではない、軽くもない、スピーディでもありません。
        ルース・レンデルが描こうとしているのは、美しい謎ときではないのです。

         この物語で底辺にずっと重低音のように続いているのは、イギリスの階級制度です。

         ユーニスは、労働者階級の生まれで、戦争もあり、子ども時代に学校教育を満足に受けられませんでした。

         問題は、父親が、「読み書きができなくても、生きていける術を娘に教えてしまった」ことです。
        読み書きができないかわりに、ユーニスが身につけたもの、それは、すぐれた観察力、記憶力、一目見ただけでやり方を覚えてしまうという見取り能力でした。

         ユーニスは、いつも活字を恐れています。
        ちょっとしたメモが読めない。買い物のリストも読めない。

         「口数少ない、陰気な女」という不満がだんだん出てくるのは、「余計なことをしゃべると読み書きができないこと」がすぐわかってしまう・・・というユーニスの若いころからの自己防衛であり、その結果、人とのコミュニケーション能力は全く育たないまま、貧乏なまま、暮らしてきました。

         身分の差など結局、埋まらない・・・だから、変に立ちいらないで欲しい、とユーチスはだんだん、無愛想、無口になっていく。

         最初にぎゅっと締めあげておいて、ゆるめ、だんだん、締めあげる力を強くしていって、最後にとどめのぎゅ、という全体の流れの強弱のつけ方など、流れるようです。

          読み書きができても、書物が読めても、上流階級でも人間性というのは別問題・・・ということもこの物語でよくわかるのです。  
        >> 続きを読む

        2018/07/01 by 夕暮れ

    • 他1人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      高慢と偏見
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • まるでシェイクスピア!というのが第一印象でした。
        笑いを内に秘めた諧謔や、人間を達観視した分析的な言葉が散りばめられ、人物像を浮き立たせる会話を中心に展開しています。
        何とも演劇的です。セリフはもちろんドラマチックな見せ場も舞台映えしそう。
        一方、作家の人柄を反映した率直さが感じられる点などは、近代を先取りした新しい文学の萌芽と評価されたことと納得できます。われわれが読む時その価値に気付かないほどに、現代の文学に近いものがあるように思いました。例えばドイツ文学に比較してみれば、本作は余りに違うでしょう。
        オースティンは難解な文学だと聞いたことがあったのですが、それも全く感じませんでした。
        日本語の文学と似た話法を使っている為もあるかもしれません。
        オースティンの英語は「文の骨組み自体は、仮定法、分詞構文、倒置、強調、省略の連続」だそうで、本書の読者層は上流階級の人々でした。
        読みやすいと感じられたのは、ひとえに翻訳がきちんとしていた為だったのでしょうね。ありがたいことです。

        それにしても男性優位の英国社会において、中流階級女性の活躍が難しいものであったことは想像に難くありません。しかもこれを書いたのが20代の頃だと言うのですから驚きです。
        まるで実在する人物のような性格設定、セリフの妙、心理分析、階級社会の正確な描写、ヒロインの魅力、文章力などが後の文学に大いなる影響をあたえたかもしれません。彼女の文学の系譜にアガサ・クリスティが連なるのではないかしら?などと想像してみました。少なくとも私にはとても似ている部分があるように思えました。


        では「高慢と偏見」とはどんなストーリーなのでしょうか?
        時はナポレオン戦争時代。ヴィクトリア朝時代以前のちょっとゆるい時代。
        中流及び上流階級の、土地や財産を持ち労働をせずに暮らしていくのが当たり前の地主(ジェントルマン)達。要するに金銭的に恵まれた人達の結婚願望が描かれているだけ…っちゃだけです。
        舞踏会やら狩猟やらお食事の招待やらで頭が一杯の日々を送っています。
        事件らしい事件は起こりません。最大の事件が駆け落ち…っていうか結婚しないまま男女が行方をくらまして同棲したってレベルです。
        上巻では、主役のエリザベスの目は上流階級や外見という「時代的社会的価値観」を引きずった「偏見」と自分の賢さという「自尊心」により曇っており、感心する程の魅力を発揮してはいません。

        これって面白いですか?
        英国社会に興味がない人にはそれほど面白く思えないのではないかしら?
        でもこんなたわいのないストーリーを興味深く読ませる技量が作者にはあるのです。
        簡単に言うと喜劇の要素です。
        エリザベスのモノローグや人々のセリフに演劇的な喜劇の要素が存分に含まれているんですね。

        物語はこう進むのではないかという期待を読者に持たせつつ下巻へ!

        【登場人物】
        (ベネット夫妻とその5人の娘たち)
        ジェーン  長女 心優しき美女 まさに「天使」 エリザベスと仲良し
        エリザベス 次女 主人公 聡明で快活で行動的な美人 父の寵愛を受けている
        メアリー  三女 姉妹の中で最も不細工なため教養こそ人間の価値と勉学に励む変人女となる
        作者にも虐げられている気の毒な存在
        キャサリン(キティ) 四女 末の妹に感化され浮ついていたがあまり自分がないタイプ
        リディア  五女 歳の割に長身でませている おしゃれ好きで男好き 愛嬌のある積極的な性格で世間体などお構いなし 母親が溺愛しているためワガママで奔放

        (婚活相手の男たち)
        チャールズ・ビングリー 優しく人当たりの良い金持ちのボンボン
        ダーシー  貴族の叔母を持ち大金持ち。上流階級クラスの家柄の当主
         非常にプライドが高い男 正直すぎて損をするタイプ 裏返せば誠実である
        ジョージ・ウィッカム 美男子で話し上手で上品さもあるモテ男 
         ダーシー家の使用人の息子だが現在はダーシーとは険悪な間柄 軍隊に所属 
        ウィリアム・コリンズ  ベネット家の親戚で相続権をもつ牧師 
         25歳の若者とは思えない卑屈さと尊大さの混淆した奇妙な性格の男性でベネット家の娘を花嫁候補と考えエリザベスに求婚する

        (近所の住人)
        シャーロット・ルーカス  エリザベスの親友 父は貴族の称号を持つが成り上がりで貧乏 
         器量もよくないために売れ残りを心配されている

        女性にはファーストネームがありますが男性は名前で呼び合うシーンはありません。
        (特にダーシーの名が不明です。彼の名をフィッツウィリアムとしている記事もありますが、フィッツウィリアムは苗字のはずですから家系を示すミドルネーム的に使われるものではないかしら?)
        また興味深いことに、コリンズ氏以外は自分の考えや心の動きなどはほとんど描かれないのです。男性の無名性には、かなり恣意的なものを感じます。

        社会が押し付ける父権的なもの男性目線の価値を否定したい気持ちは伝わりますが、一方で美女でないと女は価値が下がるという「事実」を描いて見せてもいます。ジェンダー的意識は作者にはどうも無いようです。
        女性が家庭内で料理をすることを貧乏の証明になるとして退けていることからも、所詮は著者の環境(中流階級)を肯定するレベルの社会意識を反映しています。(労働者階級の人間は個性を持った存在としては描かれません)

        形は恋愛小説なのにいろいろいいたくなる小説ですね。なんとも。
        >> 続きを読む

        2017/05/11 by 月うさぎ

      • コメント 4件
    • 他1人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      高慢と偏見
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね! Lizzy
      • 「なんて見下げはてた真似をしたのだろう!」
        エリザベスの目からうろこが落ちていく様が楽しい下巻。
        ここまで赤裸々な自己分析ができる女性を描いた小説はおそらく以前にはなかったでしょう。
        聡明で柔軟で快活な彼女の人柄がいよいよ開花する感覚。
        エリザベスの衝撃シーン。少々長いですが引用してみます。
        「このわたしが、炯眼を誇るこのわたしが!才気を自慢にしているこのわたしが!何事もよいほうに考える姉を小馬鹿にしていたこのわたしが、いたずらに人を疑って己の虚栄心を満足させていたとは。まったく面目丸つぶれの大失態ではないか!とんだ恥さらしだ!たとえ恋をしていても、これほど物事が見えなくなるとは。愛情ではなく、虚栄心がわたしの目を曇らせてしまった」

        その後、エリザベスがダーシー様に惹かれていくのを自覚し、何度も自問するところなどは、今度こそ自分に正直になろうとする真摯さに好感がもてますし、心の変化も不自然ではありません。演劇的な滑稽さと写生的な表現のバランスがとれており、ドラマティックでありながら目の前でおこっているような自然さが失われないのはオースティンの筆力のなせる業だと思います。

        最初こそシェイクスピアっぽく始まりましたが、作者の関心は徐々に言葉よりも心のほうに軸が移ったようで、エリザベスその人を丁寧に丁寧に描いていきます。
        身分という社会規範に無条件に従うことなく、自分の心をありのままに見つめる姿勢は、今では当たり前の人としてあるべき姿かと思いますが、この時代では型破りだったことでしょう。
        そんな女性を応援している自分がいました。
        オースティンもまたエリザベスを実の娘の様に愛していたそうです。
        きっと自分の分身でもあったのでしょう。
        そうでなかったならこの小説が放つ魅力は半減していたに違いありません。

        多くの恋愛物語が理想化した女性を崇め奉る狂った心に酔いしれる男の独白なのに対し、エリザベスの心理描写のクールさが気持ちいいです。
        やはり女性はこと恋愛に関しても男性よりも実用的。
        男を見る目に「経済力」という要素が絶対的に絡んでくるということも外すことはできません。
        そんな「世の常識」を破る存在は末娘のリディアです。
        お金持ちの男よりも色男への恋に一目散。あまりに考え無しの幼い恋ですが、潔くさえあります。
        彼女は当然家族のお荷物のダメ娘として描かれますが、著者の中に彼女を礼賛したい気持ちがゼロとは思えません。
        世間では認められない奔放さを一種の憧れとして、自分の中に秘めていなければ、リディアをあのようにいきいきと活躍させることは難しいでしょう。
        リディアが主人公なら…と妄想した私ですが、実際にパロディが出ているらしい(?)

        リディアと真逆なのはシャーロットです。こちらは物語のヒロインには絶対なれない平凡な女性です。
        しかし現実的には彼女の生き方が賢い選択であり自己実現を地道に目指す彼女の生き方が正当なのです。
        シャーロットは身分は貴族の家柄のお嬢様ですが、格下のコリンズ氏との結婚を決断しました。
        (当時の社会常識としてありえない縁組なんだそうですよ)
        最初は親友が身を落したと失望したエリザベスもシャーロットの生活を間近にして考えを改めます。
        女は夫に生活面で頼らざるを得ませんが精神性まで支配されずに自分に対するプライドを保つことはできるのだということを彼女を通して学んだのです。
        これをテーマに小説にすればすごい作品になったかもしれませんが、時代はそこまで進んでいなかったということでしょうね。
        結果的にエリザベス自身は「尊敬できる男性」と格上婚をしてシャーロットのような努力は不要なご身分になるのです。
        最後はシンデレラ物語でThe Endなのでした。

        このように実は本作は小説としては破綻しています。
        あれこれドタバタした挙句の果ては、エリザベスはこの二人から何も学ばないでいいご身分になってめでたしめでたしなのですから。

        「高慢と偏見」は恋愛群像劇の映画を見慣れている今でこそ普通に感じますが、物語のテーマは一つではなく、誰の立場から見るかによって異なった意味が出てきてしまう訳です。
        実はそういう難点があるほうが論議がしやすい(つまり論文が書きやすい)んですよね。


        告白すれば、残念なことですが、オースティンが文学的にどれほど優れた「文章力」を持っているのかは翻訳家でも文筆業でもない私には理解しきれませんでした。
        プロ好みの文章なのかもしれません。
        英国でもジェーン・オースティンのファンは知識自慢の男性がメインだったそうな。

        当時の社会常識では女性が小説家になるということはまだ認めてもらえなかったそうで、オースティンは匿名、その後に登場するブロンテ姉妹も男性の名で作品を発表していたそうです。
        これらの小説の女性的なことっていったら!!見破れない方がおかしいと思うのですが…ね。

        ちなみに今回選んだ翻訳は小尾芙佐氏の新訳古典文庫です。
        同じ翻訳者の「ジェイン・エア」と比べたいという思いもあっての選択でした。
        彼女の努力はオースティンの時代と文章のニュアンスを再現することに向けられています。
        現代風にアレンジしたり自己の余計な言葉をつけたしたりをしていないように感じられました。
        多少現代文的には読みづらかったり言葉が古めかしく思われる方もいらっしゃるかと思いますが、私としては子供の頃に読んだ「小公女」などの文学に近い世界観で懐かしかったですね。また原文の発音になるべく似せたいということでしょうが、MRをミスタと表記している点が(好き嫌いは別れるでしょうが)彼女の工夫のようです。その昔はMRは「氏」SIRは「卿」と一律に訳すのがお約束だったみたいですが。

        文学的価値ということを考えなければ、エリザベスは自立もしなければ冒険もしない。金持ちと恋愛結婚し玉の輿と周囲に祝福されめでたしめでたし。という王道の物語なのですよね。
        エリザベスは既存の価値に挑戦する気概はある女性ですが実質的に彼女が自らの人生を切り拓く要素はゼロです。
        ゴシック小説というジャンルの、心理無視の非現実的メロドラマが当時から存在し、その殻を破った新鮮な作品ではあったようですが。
        新しさというよりは「現代に通じる」という評価が概ね一般的なのはそのためでしょう。
        私が恋愛小説が苦手なせいかもしれませんが、テーマ性という点からみると、いまひとつ大作という印象は受けませんでした。
        いや、それもオースティン自身が100も承知のことみたいですね。
        彼女の小説とは「二インチ四方ほどの小さい象牙板に施されたきれいな彫刻」なのだそうですから。その繊細な美や職人の手仕事をこそ堪能すべき小説だと思います。
        >> 続きを読む

        2017/05/17 by 月うさぎ

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      われはロボット 決定版
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
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      • アイザックアシモフ代表作。有名なロボット三原則をテーマに陽電子頭脳をもつロボットと人間の付き合いを、一人のロボット工学者から見て数十年でどのように変わっていき成功したかをショートストーリーで綴っているSF作品。
        1編めのロビーなんて初出は1940年です。それでいて色あせずとても面白い。コギトエルゴズムとか、ロボットの優秀さと人間への忠誠心(愛情)、人間の反発、ロボットにも感情があるので人情物なのです。あり得る未来、夢があります。ただ優秀すぎるロボットは愛、敵対、どちらになっても人間を滅ぼす気がしますがね。我々も社会の変化にさらされているので空想、現実、それぞれ見つめ直す遊びのきっかけになるとも思います。例えば携帯には禁止の三原則必要でしょ。
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        2014/09/28 by pasuta

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      アルジャーノン、チャーリイ、そして私
      3.0
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      • 凄く良かった。

        アルジャーノンに花束をの小説ができる過程から世に送り出されるまでの過程を知れた。

        小説ができてからというものの、世に送ることにダニエルキイスは苦労したんだなぁと感じた。

        今と昔では作家の求められるレベルが違うだろうし、大人の事情がこんなにも一つの小説に介入しているんだと大変だなぁと感じた。

        小説は作家のすべてが映し出されているものだと思ったが、こんなにも編集者や出版社から、この物語はこう変えた方がいいとか口出しされるもんだと知って、小説家は芸術家ではないんだと自分の勘違いを認めた。

        それにしても出版社が最初に提案した「アルジャーノンに花束をは、チャーリイの知力を後退させるのはやめて、天才のままキニアン先生と無事結婚、めでたしめでたしで、小説を書き直してくれ。読者はハッピーエンドを好むんだ。」とダニエルキイスに提案したシーンは、あほか!と思った。

        そのように書き直してくれたら、この小説をうちから出版しよう!なんてダニエルに提案するが…やれやれ。

        出版社は売れるものを世に出したい。
        作家は自分が良いと思ったものを世に出したい。

        それを私たちは読んで何を感じる。

        そういうことも考えさせられた本だった。

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        2015/10/03 by snoopo

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      第三の女
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
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      • 死体がない殺人という紹介に惹かれて買った。
        犯人のまさかの正体にびっくりだった。
        リヴァ夫人がけがをしたと聞いた時のポアロの悪態が頭に残ってます。
        これいいね!
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        2014/10/31 by えま子

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      It
      It
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • ようやく二冊目を読み終わり、まだ中盤なので展開が読めないがどうやら「IT」は子供だけに見えて大人には見えない様だ。でも、主人公の子供達は大人になっても「IT」が見えてはたしてこれが現実か錯覚かで悩んでいるようだ。そして作中には「アイアンメイデン」「チャック・ベリー」「ブルース・スプリングスティーン」「ジューダス・プリースト」などなど軽く私の好きなロック関係の話しも有り読んでいて楽しいです。
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        2018/02/06 by rock-man

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      It
      It
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 今までで、一番面白い話しの内容です。只話しがあっちこっちに飛んで読みずらい。唯一女の子の「ベヴァリー」に恋が芽生え今後それが楽しみです。最後の方でITと戦うシーンがあるが、これからどうなるか。ようやく、次が「4」で最後です。それにしても長くて大作だなあ。 >> 続きを読む

        2018/02/25 by rock-man

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      It
      It
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • やっと、この超大作を読み終わりました。正直言って読みずらい。少年時代の場面か大人時代の場面か良く解からない箇所が多々ある。こんなに読みずらい本も久振りかな。あまりにも余談が多すぎる。あまり、人には薦められない本です。まあこんなもんでしょ、スティーヴン・キングは。 >> 続きを読む

        2018/03/18 by rock-man

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