こんにちはゲストさん(ログインはこちら) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト →会員登録(無料)


小田島雄志

著者情報
著者名:小田島雄志
おだしまゆうし
オダシマユウシ
生年~没年:1930~

この著者の本を読んでいる会員ランキング

このランキングは1日1回更新されます。
      ガラスの動物園
      カテゴリー:戯曲
      4.7
      いいね!
      • 「欲望という名の電車」などの戯曲でアメリカを代表する劇作家テネシー・ウィリアムズは、チェーホフと並んで、日本では異様に人気の高い劇作家であるような気がします。

        それはなぜかと考えてみると、滅びゆくものとか儚いものの側に立って描いている、作家としての創作の姿勢が、判官贔屓の日本人の心情にフィットするからだと思う。

        それから、少女とか女性が主人公の作品が多いというのも、演劇を観るために劇場に足を運ぶ多くが女性の日本では、そういうところも受ける要因なのかもしれませんね。

        しかも、彼が描く作品世界は、圧倒的に新しい。
        彼は「演劇的なリアリズムと写実のリアリズムは違う」ということを明確に意識している作家だし、そこが時代を経ても決して古びない戯曲になり得ているのだと思う。

        ポール・ニューマン監督、ジョアン・ウッドワード主演の映画化作品を観て、それで原作の戯曲を無性に読みたくなり、シェークスピアものの戯曲の翻訳で定評のある小田島雄志訳の「ガラスの動物園」を読みました。

        この「ガラスの動物園」には、しょっぱなにその新しさを象徴するセリフがあります。
        語り手のトムが、いきなり観客に向かって「そう、ぼくは種も仕掛けもちゃんと用意してあります」と語りかけるんですね。

        続けて「だが手品師とはまるで正反対。手品師は真実と見せかけた幻想を作り出しますが、ぼくは楽しい幻想に装われた真実をお見せします」と。
        初手から、この芝居の核心を突くセリフを提示するんですね。

        古き良き時代のアメリカ南部の価値観そのままに、落ちぶれた現在の生活からの脱出を目指して、娘の縁談に躍起になっている母親。
        その期待に応えられず、どんどん自分の殻に閉じこもっていく足の不自由なローラ。
        姉を愛していながら、こんな家から早く出ていきたいと夢見ているトム。

        テネシー・ウィリアムズの凄いところは、ローラに代表される儚くて弱々しい魂に共感しながらも、ローラ側の虚飾やら無力さに対する、突き放すような視点も同時に備えているとこだと思う。
        そして、最後の最後、ローラ的なものを決して救わない。
        無惨な結論から目をそらさないんですね。

        絶望のぎりぎりのところで踏み留まっているローラを、ほんの指のひと押しで奈落の底へと突き落とすのは、トムの同僚で、かつてローラの通う高校で人気者だったジム。

        このジムがローラの家に訪ねてきて、ローラにさんざっぱら思わせぶりなことを言うシーンがあります。
        それで、ローラが天にも昇る心地の頂点にいるところで、「つきあってる娘がいる」なんて話をする。
        その時のローラの気持ちを思いやると、つらくて、たまらなくなるんですね。
        とにかく、きつい芝居ですよね-------。

        この作品は、ローラがコレクションにしているガラス細工の動物の使い方が、実にうまいんですね。
        ジムのせいで、一番大切にしてたユニコーンの角が折れるシーンがあります。
        あそこでローラは、「角をとってもらって、この子もやっと----ふつうになれたと思ってるでしょう! 角のないほかの馬たちと、これからはもっと気楽につきあえることでしょう」と言うのですが、つまりユニコーンは、ローラのメタファーであり、角が折れるという変化が、そのままローラの底知れない失意にも対応しているのだと思うんですね。
        >> 続きを読む

        2018/06/28 by dreamer

    • 他2人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      シェイクスピアのソネット
      カテゴリー:
      4.0
      いいね! momomeiai
      •  シェイクスピアの十四行詩154篇。

         初シェイクスピア体験でした。わーい。

         シェイクスピアの作品、もちろん有名な作品のあらすじくらいは知っています。「リア王」……確かリア王が娘を追放したり追放されたり、激怒したり泣き叫んだり。「ハムレット」……叔父への復讐に悩んで「to
        be or not to be」というやつ? 「ロミジュリ」……あなたはどうしてロミオなの!?

         しかし、実際読んだことはありませんでした。全てが有名作なので「とりあえずこれ読んどけ」がないですし、どれから読んでいいのかもわかりません。そんなとき、どうも詩集があるらしいと知りました。しかも、シェイクスピア的には悲劇シリーズよりこちらに尽力したとのこと。さらに、最も美しく愛を解いた詩集だとのこと。これだ、とりあえずこれだ、ということで読みました。

         やはり詩ですから、わかったようなわからないような、フワフワした感覚はありました。ですが、そこは考えるな、感じろ! という具合に割り切って、感性に引っかかった番号を控えておくと良いかもしれません。私は見返しの部分に大きめの付箋を貼って、そこにメモしていきました。

         後から見返すと、はぁーこれに何かしら感じるところがねぇー、と中々恥ずかしい。しかし、そこは自分の感性。大切に出来たらなと思います。

         私には全くと言っていいほど予備知識はありませんでしたので、「わたし」であるシェイクスピア、美少年、「黒い」らしい女性、ライバルの詩人という登場人物だけ抑えた状態でした。まずは感性で、その後解説などを読んで感心、気に入った所の原文を見て感心。まあまあ嗜めたのでは? と思います。

         シェイクスピア入門の「とりあえず」には、とても良いです。


         追記
         そろそろレヴューも100冊目だし、それにふさわしい本を読んで……とか思っていたら、いつのまにか通過していました……。いやいや、本に優劣はない! いつも大切な1冊なのさ、と言い訳して乗り切ります……はぁ。
         今後ともよろしくお願いします。
        >> 続きを読む

        2015/06/02 by あさ・くら

      • コメント 11件
    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      欲望という名の電車
      カテゴリー:戯曲
      3.5
      いいね! Minnie
      • 戯曲を初めてちゃんと読んだのがこの本だったと思います。その後もそんなに数は多くはないものの戯曲をいくつか読みましたが、最初に読んだ作品だからなのか、やはり名戯曲だからなのか、心に残っている本です。

        今は必ずしもそういうイメージばかりではありませんが、超大国、豊かなアメリカ。そんなアメリカの中に存在する弱さや貧しさを感じることのできる作品です。

        デリケートで優しい心を持ったブランチが現実に対応できずに自己崩壊していく様は人間の本質について考えさせられるものがあります。
        >> 続きを読む

        2012/09/11 by Minnie

      • コメント 7件
    • 3人が本棚登録しています

【小田島雄志】(オダシマユウシ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)

会員登録(無料)

今月の課題図書
読書ログってこんなサービス
映画ログはこちら
読書ログさんの本棚

レビューのある本