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【絶対的不利な状況からポアロは逆転できるのか?/ポアロしらみつぶし企画8】 久しぶりの『ポアロしらみつぶし』企画です。 今回選んだ本は、以前レビューした『アガサ・クリスティー完全攻略』で、ポアロものでは第7位にランクインされていた作品です。 事件はかなりシンプルです。 メアリイという女性がモルヒネを盛られて殺されるのですが、彼女の胃からは直前に飲食したサンドイッチと紅茶しか検出されませんでした。 モルヒネは、直接飲んだか、あるいはサンドイッチか紅茶のどちらかに入れられていたとしか考えられません。 そのサンドイッチは、エリノアという女性が作ったもので、エリノアはメアリイとホプキンス看護婦を呼んで三人で一緒に食べたものでした。 紅茶の方は、サンドイッチを出した時にホプキンス看護婦が淹れたもので、エリノアは飲みませんでしたが、他の二人が飲んだものです。 エリノアは、ロディーという義理の甥と婚約していたのですが、ロディーはメアリイに心移りしてしまったため、婚約は破棄されていました(でも、メアリイはロディーからプロポーズされた時に、あなたはエリノアと婚約しているではないですかと言って断っているんですけれどね)。 また、この事件が起きる直前に、病弱だったエリノアの叔母が亡くなったのですが、叔母は遺言書を残していなかったため、本来ならばロディーにも遺産が残されただろうと思われていたにもかかわらず、最も近親者であるエリノア一人に莫大な全遺産が相続されることになってしまったのです。 ロディーとしては、婚約者の財産を目当てに結婚したと思われるような状況は我慢できなかったという事情も、婚約を破棄した理由の一つだったかもしれません。 この件もエリノアに不利に働きました。 エリノアは、婚約者を奪ったメアリイを憎み、殺害する動機があったと考えられたのです。 サンドイッチを作ったのもエリノアです。 もちろん、そのサンドイッチはエリノア自身もホプキンス看護婦も食べてはいるのですが、一番上のサンドイッチにだけモルヒネを盛っておき、最初にメアリイに勧めれば、当然メアリイはモルヒネ入りのサンドイッチを取って食べることになるでしょう(実際にエリノアは最初にメアリイにサンドイッチを勧め、メアリイは一番上のサンドイッチを食べたのです)。 モルヒネについても、ホプキンス看護婦が鞄に入れていたものが紛失するということが少し前にありました。 鞄は誰もがいじれる場所にありましたので、もちろんエリノアがモルヒネを盗むことも可能な状態でした。 しかも、メアリイの叔母の死体が掘り返されて再検分されたのですが、叔母の死体からもモルヒネが検出されたのです。 これは、メアリイが叔母が遺言書を書いていない内にモルヒネで殺害して遺産を独り占めし、さらには婚約者を奪ったメアリイまでも同じ手口で殺したとも十分考えられます。 このような事実からエリノアは殺人罪で裁判にかけられてしまったのです。 証拠からはエリノアは絶対的に不利だと思われます。 しかし、エリノアの無実を信じる医師は、ポアロに何とかエリノアを助けてやって欲しいと依頼するのですが、ポアロはこの絶対的に不利な状況をひっくり返すことが可能なのか?というミステリです。 さて、本書を読み終えての感想ですが、そつなくまとめられたコンパクトな作品と感じました。 大きな欠点も無く、無難な出来だと思います。 目が覚めるようなトリックはありません。 一つあるとすればあの点なのですが、そこは私も見落としてしまいました。 しかし、ポアロが主張するほど明確に書かれているかというと(その部分を読み返してみましたが)それほどはっきり書かれているとも思えませんでした。 また、読者には完全に与えられていない情報もあり、フェアじゃないと言われればそれも仕方ないところでしょう。 ポアロは、依頼を受けた後、登場人物一人一人と面会して質問を重ねていくのですが、その過程はかなり淡々と描かれています。 本作にはヘイスティングズは登場しませんので、いつものようなポアロとヘイスティングズの軽妙な掛け合いを楽しむこともできません。 最終的な真相の披露も、物語の設定上、ポアロによって与えられた情報が裁判で明らかにされ、判決で決着がつけられるという形になっています。 ミステリの定番である関係者を一堂に集めての謎解きというシーンは無いのです(まぁ、判決の後、ポアロが依頼者の医師に若干の補足説明をする場面はありますが)。 あの関係者を一堂に集めての謎解きシーンは、あまりにもわざとらしい、芝居がかっているということで批判されることも多々あるのですが、それでもドラマティックな演出であることは間違いなく、それを使わないとするとどうやって盛り上げるかという他の方法を考えなければならなくなるところ、本作ではそのような盛り上げはやっていません。 ですから、なんとなく終わっちゃったという印象を与えることになるかもしれませんね。 このようなもろもろの点を考え合わせると、私としては本作はポアロものの中ではまぁまぁの作品という評価になりました。 しかし、邦題は何故『杉の柩』なんでしょうね? 私は、読了してもその意味が分かりませんでした。 原題は”SAD CYPRESS”なので、直訳すれば『悲しい糸杉』ということになるでしょうか。 確かに、糸杉は柩を作る時に用いられる木だそうですので、そこから『杉の柩』としたのかもしれませんが。 でも、糸杉は、一度切ると二度と生えてこないことから、『喪』の象徴ともされているそうです。 それがメアリイと叔母の哀しい喪を表しているという方が当たりのような気もしますね。 いずれにしても邦訳しにくいタイトルではあります。読了時間メーター□□□ 普通(1~2日あれば読める) >> 続きを読む
2020/10/14 by ef177
最初本を手に取った時、「赤毛のアン」のような物語を想像していましたが、それとは全く異なるタイプの作品で、ローラという小さな女の子目線で語られるお話しでしたが、なんとも壮大なものでした。 これといった大きなストーリはなく、ローラの一家が大草原で少しずつ少しずつ家を作り、生活をしていく、そんな毎日を綴った一冊。 歴史や地理、キャンプの知識など、たくさんの情報が盛り込まれています。 命と力を張って生きていく人々の姿が目の前にありありと浮かび、私も力づけられました。 また、本当に素敵過ぎるお父さんでした。 力あって知恵あって、家族に優しく、勇敢で...辛いことや大変なことにあっても、いつでもポジティブで行動力と熱情にあふれ、これ以上の良い父親ってあるかと思うぐらいでした。 人生を愛し、家族を愛する...お父さんを見ていると、これらがどういうことなのかが分かりそうな感じがしました。 >> 続きを読む
2017/08/11 by Moffy
読書ログを始めてから自分の本棚を眺めることが多くなり、この本もよく読んだなーこれも好きだったなーと懐かしく思い出したりしています。この本も子供の頃によく読んだ本で、本当に大好きでした。アメリカの開拓時代。ローラ、ローラを取り巻く自然、家族との時間。読むと心が豊かになるようです。大きな森に住む一家。お父さんは食糧を得るために狩へ行き、お母さんは厳しい冬を乗り越えるために保存食を作って、縫物をする。自給自足で生きる大変さと喜びが生き生きと描かれています。ご馳走作りのシーンは特に大好き。クリスマスのご馳走の美味しそうなことといったら!そしてメープルを雪の上にたらして作るキャンディーは永遠の憧れ。 >> 続きを読む
2012/11/06 by Minnie
これを読むと、豊かさを感じます。決して、楽ではないし、厳しいかもしれないけど、凍えるような寒い冬暖炉の前で収穫したりんごで作ったサイダーを家族みんなで飲む場面とか(テレビなんてないですよ。)、羊の毛を刈る話とか、お母さんが焼いてくれるパイとかパンとか、グレイビーソースのかかった肉とか・・・子供ながらに、想像をふくらまし、いいなあと思っていました。 >> 続きを読む
2012/08/15 by keikokeiko
【恩地三保子】(オンチミホコ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)
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