こんにちはゲストさん(ログインはこちら) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト →会員登録(無料)


笹沢左保

著者情報
著者名:笹沢左保
ささざわさほ
ササザワサホ
生年~没年:1930~2002

この著者の本を読んでいる会員ランキング

このランキングは1日1回更新されます。
      衝動ゲーム
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 前半4編は厳しいが後半2編は楽しめる。

        笹沢氏の作品にしては、感動を覚えるようなものが無く、シニカルなテイストが多いように感じたが、そういう狙いで作られた短編集なのかもしれない。

        とくに前半の作品は、書籍のタイトルともなっている「衝動」的な犯罪で、現実犯罪には有りそうな話だが、小説としては消化不良が否めない。

        やはり小説は現実とは異なるので、起承転結というか論理的に納得させつつ結末に持っていってもらわないと、読み手は辛いと実感した。

        後半2作品については、短編で有りながらドラマ性や意外性も有り、楽しめる作品になっているが、前半4作品の分を生める程では無かった。

        個々の作品のタイトルから、連作短編集のようだが、一貫性は感じない。
        >> 続きを読む

        2012/03/09 by ice

    • 1人が本棚登録しています
      崩壊の家
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 荒れ狂う家庭内暴力の傍らで発生した殺人事件。

        結末ではなく過程で示される教育論が主題と思われる。

        ジャンル的には推理小説に分類されると思うが、いわゆる犯人当てという視点よりも、著者の現代教育に対しての熱い思いを味わう視点の方が楽しめる。

        ダイイングメッセージを残し殺害された高校生を中心に展開されるが、その周囲に傷を抱えた少年少女や親兄弟が多く描かれる。

        自分も親になり、厳しく育てることよりも、甘やかせて育てるのが、どれだけ楽で無責任かを肌で感じる。

        確かに本人のためを思って厳しい教育を施すのが愛なのだろうと理性では十二分に理解できているのだが、情の面で猫かわいがりしたいという欲求も小さく無いのは事実。

        この当たりのバランスを保てなくなって来ているのが現代社会の教育事情なのではないかと感じた。

        他の笹沢氏作品と比較すると面白さの面で少し落ちる。
        >> 続きを読む

        2011/06/15 by ice

    • 1人が本棚登録しています
      華麗なる地平線 史詩浅井長政
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 浅井家三代に渡る盛衰と受け継がれる血脈。

        三代に渡り受け継がれる夢と、戦国大名の振る舞いが魅力的。

        浅井亮政の見た夢を下地に、浅井長政までの三代を描く。

        正直、名前程度しか知識の無かった浅井長政だが、織田信長との関係や、その血筋が後世に与えた影響など、純粋に歴史を学ぶ上でも役に立った。

        武士の気概を持ちつつも、権謀術策に明け暮れる戦国時代。
        一国を治める大名の心労と、求められる能力には頭が下がった。

        結果、若くして散ることになる長政だが、昇り竜としての人生を全うしたと言えるのではないだろうか。

        代替わりするストーリーは面白いものが多いと実感。
        >> 続きを読む

        2012/08/03 by ice

      • コメント 2件
    • 1人が本棚登録しています
      木枯し紋次郎 傑作時代小説
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • TVドラマで市川崑監督が演出し、当時、ほとんど無名に近かった中村敦夫主演で放映され、「あっしには関わりのない事でござんす」という紋次郎のセリフで、マンネリ化した時代劇に新風をもたらし、一大ブームを巻き起こしたと言われる「木枯し紋次郎」をリアルタイムでは観てはいませんが、リバイバルでの放映を釘付けになって観て、そのあまりの面白さに打ちのめされ、完全にハマってしまいました。

        特に、市川崑監督の奥様で脚本家でもある和田夏十の斬新な作詞で、そして上條恒彦が歌う主題歌が聞こえて来ると、もう夢中になって観たものです。

        その後、笹沢左保の原作へと触手を伸ばし、この「木枯し紋次郎」シリーズの原点とも言える第一話の「赦免花は散った」から、順次、読み進めていきました。市川崑演出のTV版では、この「赦免花は散った」は端折られていましたが、後の東映での中島貞夫監督、菅原文太主演による映画化作品の「木枯し紋次郎」の1作目で、この分がきっちりと描かれていて、映像と小説の双方に独自の面白さ、楽しさを発見し、堪能させられました。

        くわえ楊枝が風に鳴り、木枯しのような音を立てる事から、人呼んで"木枯し紋次郎"。

        彼は、上州新田郡三日月村の貧しい農家に生まれ、間引きされるところを、姉のお光の機転で九死に一生を得ますが、この紋次郎の"原体験"が、後年の彼を"人間不信の徒"にしてしまうのです。

        そして、紋次郎は、十歳の時に家を捨て、その後、一家は離散。渡世人になってからも、身代わりとなって島送りまでつとめますが、その身替りをした兄弟分に裏切られたり(「赦免花は散った」)、つまらない嫉妬から姉のお光を殺した、亭主の佐太郎を斬ったり(「川留めの水は濁った」)、と、悲惨な体験を積み重ねていくのです。

        彼の頬の刀傷は、故郷を捨てて八年目、自暴自棄になって五人のやくざと斬り結ぶうちにできたもので、この時、助けられた浪人の娘志乃から、楊枝作りを習ったのですが、この志乃も後に、無残な姿を紋次郎の前にさらす事になるのです(「木枯しの音に消えた」)----。

        この笹沢左保原作の「木枯し紋次郎」という時代小説の魅力は何だろうかと考えてみると、まず第一に、やくざの発生する時代の要因を、綿密な時代考証の中に見据え、従来の、安易に類型化された股旅もののスタイルを完全に打ち砕き、かつてない程の"リアルな渡世人像"を打ち出した事にあると思います。

        江戸時代の天保年間から幕末にかけて、関八州と呼ばれる関東一円の土地を横行した博徒、侠客の類は、それまでの既成の秩序の崩壊期に現れてきた、いわば"時代の異端児"であり、厳しい掟によって、その他の堅気の人々とは、一線を画した生活を送っていたのです。

        そのアウトローたちの寄り合い所帯として生まれたやくざの一家、そして、それにさえも属さない、いわば"二重のアウトロー"が、紋次郎のような"渡世人"だったのです。

        第二は、時代小説という衣装の中でのミステリーとしての構成の面白さだと思います。義理人情といった、きれいごとではすまされない、ヤクザ社会の"反目や裏切り"は、各篇の巻末に控える"どんでん返し"という形で表われ、主人公の紋次郎は、作者の笹沢左保が当初から追求してきた"孤独と人間不信"というテーマの、最も良き具現者なのだと思います。

        そして、この連作小説の最大の魅力は、やはり何といっても、"紋次郎の生き方"にある、と断言できると思います。

        それは、他者との関係を持つ事よりも、"何かを頼まれて引き受けるという事をしなくなった"、という事によって成り立っており、世間からその存在を認められていない渡世人の、"自分が置かれている立場だけを考えていればいい"、という主義をとらざるを得なくなったという事にあると思います。

        そこから、あの一世を風靡した名ゼリフ「あっしには関わりのない事でござんす」が、生まれてきたのだと思います。

        しかし、このいかにも冷たく孤独な言葉の中には、このアウトローを通して現代人の"率直な願望"が込められているような気がします。

        つまり、木枯し紋次郎という人間の魅力は、関わらないと言いながらも、結局、状況と関わっていかざるを得ない、"言行不一致"の魅力なのだと思います。

        そして、恐らく、その背後には、血縁的・地縁的な結びつき、あるいは、それらを原型とする身内集団の関係を超えた、個人対個人の人間的なつながりへの願望があり、そこには、強いられた過剰な関わりから、自律的な関わりへの転換を希求する人間の姿が、託されているような気がしてなりません。

        我々は今日、どれだけのやむにやまれぬ、しがらみの中で生きているのだろうかという事を考えさせられます。この紋次郎の「あっしには関わりのない事でござんす」というセリフの中には、そうした"混沌とした関係性を一刀両断にする爽快さ"と、新たな"人間性の回復への期待"といったものが秘められているのだと思います。


        >> 続きを読む

        2016/09/28 by dreamer

      • コメント 1件
    • 2人が本棚登録しています

【笹沢左保】(ササザワサホ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)

会員登録(無料)

今月の課題図書
読書ログってこんなサービス
映画ログはこちら
読書ログさんの本棚