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塩野七生

著者情報
著者名:塩野七生
しおのななみ
シオノナナミ
生年~没年:1937~

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このランキングは1日1回更新されます。
      コンスタンティノ-プルの陥落
      カテゴリー:小説、物語
      4.6
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      • 現在イスタンブールと呼ばれているトルコ最大の都市は、かつてはコンスタンティノープルと呼ばれるビザンチン帝国の首都であった。
        ビザンチン帝国は、ローマ帝国から派生したが、キリスト教を国教とし、ギリシア語を使うなどローマ帝国とは、非常に異なる文化として発展した。
        また、非常に伝統主義かつ権威主義的でありであり様式化された儀式を重んじる特徴があった。
        (英語の辞書で"Byzantine"と引くと"複雑で難解な"という意味の形容詞にもなっている)
        ローマが滅亡した後も約千年に渡り存続したが1453年トルコにより占領され、ビザンチン文明は、その幕を閉じた。

        この物語は、コンスタンティノープル攻防を描いたドラマである。
        作者は、様々な資料からこの事件に立ち会った人々の人物像を再構成し、この一つの文明の終焉のドラマを多様な人間の視点から活写している。
        この攻防戦がどのような経緯で始まりそして終結したかが、まるでドキュメンタリーを見ているような感じで語られ、非常に分かりやすかった。
        また、作者の想像で補っていると思われる部分のドラマも非常に良い感じで、物語としての面白さを増していると思う。
        しかし、ローマもビザンチンも滅亡時の皇帝の名前が建国者と同じとは、なにか運命のようなものを感じさせる。
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        2018/01/04 by くにやん

    • 他3人がレビュー登録、 9人が本棚登録しています
      ローマは一日にして成らず
      カテゴリー:古代ローマ
      3.8
      いいね! tomato
      • 紀元前753年のローマ建国からイタリア半島統一の約500年間が上下巻で描かれる。

        2017/10/14 by Raven

    • 他3人がレビュー登録、 12人が本棚登録しています
      海の都の物語 ヴェネツィア共和国の一千年
      カテゴリー:イタリア
      4.7
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      • 〇塩と魚しかなく、土台固めの木材さえ輸入しなければならなかったヴェネツィア人には、自給自足の概念は、はじめからなかったにちがいない。しかし、この自給自足の概念の欠如こそ、ヴェネツィアが海洋国家として大を為すことになる最大の要因であった。(P66)

        〇私は、マキャヴェリの言葉に示唆されて、ヴェネツィアという国家を、一個の人格として取りあつかうつもりでいる。(P78)

        〇しばしば歴史には、イデオロギーを振りかざす人がいったん苦境に立つや、簡単にその高尚なイデオロギーを捨てて転向してしまう例が多いのを思えば、ヴェネツィア人の執拗さは興味あるケースである。自分にとって得だと思うほうが、こうあるべきとして考えだされた主義よりは、強靭であるかもしれない。西と東の強国のいずれにも決定的に附かず、独立と自由を守り抜いたことによって、ヴェネツィア人は、やはりずいぶんと得をしたのである。(P126)

        〇現実主義者が憎まれるのは、彼らが口に出して言わなくても、彼ら自身そのように行動することによって、理想主義が、実際は実にこっけいな存在であり、この人々の理想を実現するには、最も不適当であるという事実を白日のもとにさらしてしまうからなのです。(P144)



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        2017/03/01 by シュラフ

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      ローマは一日にして成らず
      カテゴリー:古代ローマ
      4.0
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      • 転職活動が終了し、久々にゆっくり本を読みたくなりました。
        積読本はたくさんあるので、何にしようかと思いめぐらしていたのですが、選択したのは1年半もほったらかしにしていたローマ人の下巻。
        ずっと読まなきゃ、とは思っていたのですが・・・
        心境の変化かもしれませんね。

        空白期間はありましたが、特に問題ありませんでした。
        読書ログに記録していたおかげかも。


        ローマは、王政から共和制国家へ。
        下巻は百年以上続く貴族対平民の抗争や、ケルト族によるローマ占拠、天才ピュロスとの闘いが書かれています。
        戦争におけるローマ人の学ぶ姿勢がとても興味深い。
        彼らは敗北を喫しても、その害を最小限にとどめる才能をもっていました。
        勝てば勝ったで、その勝利を最大限に活用する術も心得ていました。
        ローマは新興勢力として拡大していきます。
        エピロス王ピュロスとの対決は、特に熱かったです。
        ターラントの要請により、ピュロスとの闘うことになったのですが、自国の防衛を他国人の傭兵にまかせる習慣が不思議でした。

        次はついに、ハンニバル戦記です・・・!
        わくわく。
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        2018/03/06 by あすか

      • コメント 2件
    • 他2人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      サロメの乳母の話
      4.0
      いいね!
      • 歴史に名を遺した人の「身近な」人(一部、馬)の独白、という形での短編集です。塩野さんならでは、という感じで、面白かったです。歴史のIFは、無意味ではあっても面白いですよね。にやりとさせられるユーモアは、さすが塩野さん。

        小説ですが、史実からうまく想像を膨らませているので話に無理もなく、そもそも読者である私は史実をあまり知らないので特に違和感を覚えることもなく、楽しめました。人間というのは1000年、2000年経ってもそこまで変わるものではなく、いるわぁー、こういう人、というのが楽しい。ユダの母親とか。

        史実を追い求めるのも楽しいのですが、IFを想像するのもまた楽しいものです。歴史上の人物は有名になればなるほどキャラクタが固定されていくので、本当にそうなの?と想像する本書は、読みながら古代のワイドショーを観る気分でした。ワイルドの『サロメ』もちょっと読み返したいですね。あれもワイルド視点の一種のIFですし。

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        2016/12/13 by ワルツ

      • コメント 2件
    • 他1人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      海の都の物語 ヴェネツィア共和国の一千年
      カテゴリー:イタリア
      4.5
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      • 資源に恵まれないヴェネツィアのような国家には、失政は許されない。だからこそ彼らは現実的であり、合理的なものの考え方をする。例えば、聖遺物信仰についても生きた聖者に信仰を捧げて牛耳られないようにするものだ、と塩野七生は指摘する。なるほどと思う。塩野七生のこういうものの見方というのは大変に勉強になる。西欧とイスラムの対立の中、統治能力の優れた政府を持つ必要があったヴェネツィアが選んだ政体は共和制。共和国国会のメンバーを世襲制にして政治のプロ階級をつくることで個人の野心と大衆の専横を抑え込んだ、という。

        【このひと言】
        〇芸術家は、史実に忠実でなければいけないと言っているのではない。出来栄えさえ見事であれば、それで十分なのである。

        〇マルコ・ポーロの幸運は、大旅行を終えて後に、この時期しばしば起っていたヴェネツィアとジェノヴァの戦いに巻き込まれ、ジェノヴァの捕虜になり、牢の中で暇をもてあましていた時に、彼の話を聞き、それを書きとめておく気になった男に恵まれたことである。

        〇簿記の記入に不可欠なアラビア数字がヨーロッパにもたらされたのは、1200年代はじめのピサ人の功績による。はじめのうちは、憎っくき異教徒の産物ということで、教会関係者をはじめとする人々から、少なからぬ抵抗を受けたらしい。しかし、ローマ数字と比べれば、便利なことでは比較にならない。書きちがい読みちがいも少なくなるうえに、0という観念もある。それで、現実的な商人の間では、教会の妨害にもかかわらず拡まっていった。

        〇信者には信仰の対象が必要だ。それを信仰することによって、彼らは、心の平安を得るだけでなく、天国の席の予約もしたつもりになれるのである。この場合の信仰の対象が、聖者の骨ということになっている骨の一片や、キリストが架けられたという十字架の切れはしであったりすれば、これらはいかに信仰を捧げられても、その人々を扇動しようとはしないから実害はない。聖遺物購入に費用がかかっても、これならば安い代価である。一方、合理的と自認していたフィレンツェ人には、聖遺物信仰はなかったが、それだけに生きた聖者に信仰を捧げ、彼らによって牛耳られることがたびたび起った。

        〇資源に恵まれないヴェネツィアのような国家には、失政は許されない。それはただちに、彼らの存亡につながってくるからである。都市国家や海洋国家の生命が短いのは、この理由による。
        >> 続きを読む

        2017/03/04 by シュラフ

    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      海の都の物語 ヴェネツィア共和国の一千年
      カテゴリー:イタリア
      4.5
      いいね!
      • 地中海の覇権をめぐり、ヴェネツィアとジェノヴァとの戦いが苛烈を極める。航海技術などはジェノヴァのほうが上回っていたようであるが、ジェノヴァの欠点は個人主義的で天才型であるがゆえに、まとまりがなく内紛がたえない。結局、ジェノヴァは政局混乱のうえに消滅していく。ジェノヴァの自滅と、ヴェネツィアの勝利。勝利を決した要因は双方の国家の社会組織能力ということ。ジェノヴァの個人主義放任の害が国家に不利益をもたらしたと、塩野七生は指摘する。個人の利益と国家の利益をどちらを優先すべきか、それは間違いなく国家である。

        【このひと言】
        〇国力が昇り坂にある時は、個人主義放任も害を及ぼさない。それどころか、良い結果を生むことが多い。

        〇エリートは、修道僧の僧が神のために無償の奉仕をするように、与えられた名誉のためだけに奉仕すべきである、と言う人がいるが、このように言う人々は、まったく人間の本性に対して盲目であると言うしかない。修道僧には、神がいるのである。死後に天国での第一等の席も、保証されている。まあ、保証されていると信じることが彼らにはできるのだ。一方、キリスト教徒であっても、神に奉仕を誓ったわけでもない俗界のエリートたちには、無償の奉仕をするほどの理由はない。やはり、能力には、それにふさわしい報酬が与えられてこそ、彼らも、その才能をより以上に発揮する気持になるというものである。

        〇現実主義は、人間の理性に訴えるしかないものであるところから、理性によって判断をくだせる人は少数でしかないために、大衆を動員するためにはあまり適した主義とは言えない。

        〇戦争は悲惨なものである。しかし、その戦争にも、一つだけ積極的な意味がある。各人の欲望を単純化するという効能である。

        <解説>
        〇保守であれ、リベラルであれ、極端なイデオロギーのもとに「理想の追求」を急ぐときに大きな災いがもたらされることは、歴史の証明するところである。バーリンは、キリスト教を絶対視することなく、人間性の現実を冷徹に直視することを唱えたマキアヴェリを高く評価しているが、それはまさにこうした理由によるものであって、決して権謀術数的な政治手法の擁護にあるのではない。塩野さんがマキアヴェリを敬愛する理由も根源的には近いのではないかと私は推測している。

        >> 続きを読む

        2017/03/05 by シュラフ

    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      海の都の物語 ヴェネツィア共和国の一千年
      カテゴリー:イタリア
      4.5
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      • ただミラノの官吏によるエルサレムへの聖地巡礼のお話なのであるが、第九話「聖地巡礼パック旅行」に考えさせられてしまった。時代的には地中海では海賊が跋扈して、また西欧がトルコと対峙していた、という緊張の時代だったと思うのだが、なぜかのんきである。トルコの軍船の接近に恐怖し、船員の事故死を哀しみ、熱気に苦しむという苦難の旅ではあるのだが、それでも彼らはエルサレムに感動して、そして免罪を得たことを喜ぶ。あー、いったい人間とはなんなのだろうと思ってしまう。危険をおかしてまでわざわざ苦労などする必要はあるのだろうか。

        【このひと言】
        〇外交の重視は、その国が軍事力だけでは対抗できなくなったという証拠でもある。
        〇現実の同盟というものは、不幸にして、互いの立場を理解し、それを尊重し合う精神があるから結ばれるものではない。第三者に対する恐怖から結ばれるものである。そうでなければ、今のところ敵にまわす必要がないから、ひとまず結んでおく、という程度のものでしかない。
        〇権力者は、権力者同士の話し合いを好むものである。
        >> 続きを読む

        2017/03/11 by シュラフ

    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      海の都の物語 ヴェネツィア共和国の一千年
      カテゴリー:イタリア
      4.5
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      • 16世紀以降、ヴェネツィアは手工業部門にも積極進出。海洋貿易中心であったが、大航海時代による香味料貿易の危機に伴う方針転換。西欧諸国の戦乱を逃れてきた職人たちを受け入れた結果、ヨーロッパ毛織物工業の中心のひとつになるほど発展。さらに絹織物工業、石けん、ガラス工業、眼鏡、出版業など次々と展開。この海洋貿易から国内産業への転換について塩野先生は、ヴェネツィア人は資本の効率性を重視する民であるがゆえ、と説明する。時代環境が変わったことで産業構造が変化したということだろう。どうも塩野先生はホレた男に甘い気がする。

        【このひと言】
        〇歴史は複雑であることに醍醐味があるとは言っても、醍醐味が味わえる程度には整理される必要はあると思う。
        〇外交というものは、思っていても胸の中におさめて、口には出してはならない時もあるということを教えている。
        〇戦争でも平和でも、思いどおりに決められるのは、政治的能力によるものではない。軍事力である。量である。
        >> 続きを読む

        2017/03/12 by シュラフ

    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      海の都の物語 ヴェネツィア共和国の一千年
      カテゴリー:イタリア
      4.5
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      • 1797年、ヴェネツィア共和国は滅亡する。直接的な原因はナポレオンのヴェネツィアへの進軍ということなのだろうが、経済・政治・軍事的に三流国に転落してしまっていたヴェネツィアにとって滅亡はさけられなかったように思える。ではなぜヴェネツィアはそこまで衰退したのか。塩野先生の見解は、ヴェネツィア人の精神構造の変化をもたらした投資対象の変移が原因だという。かつて海洋貿易国家時代には人材の上下への流動性があったものが、農工業時代になると動脈硬化のように社会が膠着化してバイタリティーが失われた。日本の教訓とすべき話。

        【このひと言】
        〇マキアヴェリの著作が、ルネサンス時代を代表するだけでなく、時代を越えて通用する政治哲学の古典となり得たのは、理想を述べたからではなく、現実を喝破したからである。
        〇投資の対象の変移は、それをする側に、その投資が定着するにつれて、精神構造の変移をもたらさずにはおかないものである。ヴェネツィア人は変わったかもしれない。だが、それは彼らが奢った結果ではない。投資の対象の変移につれて、彼らの精神も変わっただけなのである。一民族の衰退の原因を、その民族の精神的堕落の結果とするよりは、よほどこのほうが恐ろしい。
        〇独占の弊害は、それが経済的な必要以上になされることによって、社会の上下の流動が鈍り、貧富の差が固定化し、結局は、その社会自体の持つヴァイタリティの減少につながるからである。
        >> 続きを読む

        2017/03/12 by シュラフ

    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      ハンニバル戦記
      カテゴリー:古代ローマ
      4.4
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      • ローマは建国以来初めての海戦。
        大国カルタゴと新興国ローマが対決した、第一次ポエニ戦役が描かれています。

        ますますおもしろくなってきました。
        ハンニバル戦記<上>、ローマ人シリーズ3巻目にあたります。

        タイトル通りハンニバルが出てきて・・・・・
        ということにはなりませんでした。
        ここで登場したのはハンニバルの父親、ハミルカル。
        スキピオの祖父にあたるグネウス・コルネリウス・スキピオ。

        海上都市の攻め方に未熟なローマ艦隊が勝利を重ねたり、大敗から教訓を得たり。
        熱い攻防戦でした。

        しかしスキピオVSハンニバルが見たくて、はやる気持ちを抑えられません。
        すぐに中巻を読もうと思います。
        >> 続きを読む

        2018/03/21 by あすか

    • 他1人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      ハンニバル戦記
      カテゴリー:古代ローマ
      4.7
      いいね!
      • ハンニバルのサグント攻撃を機に、第二次ポエニ戦役が幕を開ける。
        二十九歳のハンニバルは、ローヌ川を渡りフランスを横断。
        アルプスを越えてイタリアに進攻した。


        ついに、象とともにハンニバルがやってきました!
        心理戦、気象情報など様々な情報収集により、ローマ軍を追い込んでいきます。
        今までローマ目線で時代を追っていましたが、ハンニバルが登場してからはカルタゴ寄りの見方になりました。
        あまりにも強すぎて。
        ローマとの闘い、ティチアーノ第一回戦で執政官を救い出した若い騎士・スキピオ。
        彼が後半、表舞台に出てきてからはますますおもしろくなりました。
        ハンニバル側は才ある将が他におらず、後半は戦況が苦しくなってきます。
        苦労して連れてきた象が、あまり役に立たなかったのが少し残念でした。

        最初から最後まで、内容の濃い、充実した一冊となっています。
        >> 続きを読む

        2018/03/31 by あすか

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      ハンニバル戦記
      カテゴリー:古代ローマ
      4.8
      いいね!
      • ハンニバルがイタリアでやったことと同じことを自分はアフリカでやる、と公言して乗り込んだスキピオ。
        フェア・プレイによって勝つことがローマ人の誇りでもあったが、ハンニバルは策略によって勝つのも勝利であることを教える。
        そして、それを最も率直に吸収したのは、スキピオ世代のローマ人だった。

        ハンニバルとスキピオ。
        二人の天才が、ついに会戦で激突します。
        同じ才能をもつ者同士が対決するのは、歴史上でも稀なことらしい。
        ということは、もしかしてローマ人シリーズのピークもこの巻なのでは・・・なんて浅はかなことを考えてしまいました。

        二回目の対決は実現しそうでせず、少しずつ次の時代へと移っていこうとしていました。
        この二人の晩年は英雄にしてはあまりにも不遇で切なくなってきます。
        現実は容赦ない。

        後半はマケドニア、カルタゴが滅亡します。

        このハンニバル戦記、本当におもしろくて夢中になって読みました。
        次のタイトルが「勝者の混迷」とのことで、平和の継続ではなく暗い時代がやってくるのかと思うと少し憂鬱です。
        >> 続きを読む

        2018/04/05 by あすか

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      勝者の混迷
      カテゴリー:古代ローマ
      4.3
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      • 強大国カルタゴを滅亡させ、地中海世界の覇者と呼ばれるようになったローマ。
        『いかなる強大国といえども、長期にわたって安泰でありつづけることはできない。
         国外には敵をもたなくなっても、国内に敵をもつようになる。』
        名将ハンニバルの予言にも似た言葉が、悪いことが起こる前兆のようで。
        この巻は、少し嫌な予感からのスタートでした。

        読み進めるにつれて、ティベリウスとガイウスのグラッススの兄弟の末路があまりにも悲惨で、ハンニバルの言葉を思い出すには十分でした。
        この兄弟、兄は七ヶ月、弟は二年の実働期間しかなかったのが惜しいほど、才能に恵まれていました。
        しかし、元老院がハンニバルに勝った百年前と同じことしか考えていませんでした。
        まさに、国内の敵。兄弟も性急ではありましたが。
        「『混迷』とは、敵は外にはなく、自らの内にあることなのであった」の一文が突き刺さります。

        しかしその後もローマは、軍事上の才能に長けたガイウス・マリウスや、会計検査官ルキウス・コルネリウス・スッラ等の人材に恵まれます。
        近い将来、ユリウス・カエサルという偉大なる指導者が控えているのはわかっていますが、まだまだたくさんの人物がいる面白さを堪能していきたいと思います。
        >> 続きを読む

        2018/05/10 by あすか

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      勝者の混迷 勝者の混迷(下) (新潮文庫)
      カテゴリー:古代ローマ
      4.3
      いいね!
      • 護民官スルピチウスとマリウス、スッラの間で内乱が勃発。スッラが武力でローマを制圧した。
        しかしその後、執政官キンナが反旗。スッラがギリシア遠征に向かった途端、マリウスとその一派の名誉回復を決めた法案を成立させた。今度は武力によってマリウスとキンナがローマを手中に収める。
        マリウスが早々に亡くなると、キンナは独裁政治を始める。

        次から次へと権力闘争が繰り広げられます。内乱だけでなく、ローマが混迷期に入ったのを見て、外からもポントスの王ミトリダテスが仕掛けてきます。混迷も混迷、ドロドロ状態です。英雄が登場する前は、このようなものなのでしょうか。
        内乱というと、外敵を制圧する華々しさに比べ暗いイメージを抱いてしまいますが、
        名将スッラvs執政官キンナ
        キンナ亡き後のローマ正規軍とスッラのたたかい
        スッラによる国政改革
        第一次~第三次ミトリダテス戦役…
        手に汗握る激戦の数々!英明ミトリダテス王を迎え撃つのは、スッラ、常勝将軍ルクルス、若くして成功し、失敗も挫折も知らない天才ポンペイウス。本当に人材が豊富です。彼らの活躍に夢中になり、2020年→2021年を迎えました…。と、止まらない。
        上巻読了からから2年半以上、放っておいたとは思えないほどハマっています。
        >> 続きを読む

        2021/01/05 by あすか

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      ユリウス・カエサル
      カテゴリー:古代ローマ
      4.0
      いいね!
      • スッラの行った「民衆派」一掃作戦の「処罰者名簿」に名を連ねていたカエサル。周りの助命嘆願により、スッラはカエサルに妻との離婚を要求するが、彼はこの回答として「否」をつきつける。そのため小アジア西岸へ潜伏する。逃避行中のカエサルは軍に志願。後に弁護士開業、ほとぼりが冷めるまでロードス島へ留学するも、乗っていた船が海賊船に襲われ、捕虜にされてしまう。
        その頃わずか六歳しか離れていないポンペイウスは、ローマ正規軍四万を率いる総司令官に任命され、スペインに出陣を果たす。

        「ユリウス・カエサル ルビコン以前」とタイトルは変わりましたが、本書の内容2/3は、前巻「勝者の混迷」をカエサル視点で描いたものとなってます。社会不安となった「カティリーナの陰謀」でカエサルの名も起ち、彼を中心にローマ世界はまわり始めます。このとき三十七歳。彼の偉業を思えば、やっとスタートラインに立ったというところでしょうか。

        カエサルの器量が徐々にあらわれていく中、金や女といったスキャンダルが多いのも目立ちます。
        「女にモテただけでなく、その女たちから一度も恨みをもたれなかった」考察が妙におもしろかったです。様々な追及をかわす処世術に長けていたのですね。
        >> 続きを読む

        2021/01/10 by あすか

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      ユリウス・カエサル
      カテゴリー:古代ローマ
      4.3
      いいね!
      • ポンペイウス、クラッスス、カエサルの「三頭政治」が成立。
        四十歳を迎えたばかりのカエサルは、圧倒的多数の票を得て執政官に当選します。
        次なる野望はライン河を境としたガリア戦役。紀元前58年~51年、物語の舞台はガリアへと移ります。八年間でのガリア戦役四年目ではさらに踏み込んだことをしており、橋をかけてローマ軍初のゲルマンの地への侵攻(デモンストレーション)、さらにローマ人初のドーヴァー海峡を越えてのブリタニア進攻など次々と手をうってきます。本書ではガリア戦役五年目までが描かれています。

        想定外のことが起こっても、冷静に臨機応変な対応をしているのが素晴らしい。私なら不安で何も考えられなくなりそうなことも、さらりとこなしていました。数だけみれば劣勢でも戦の勝ち方を知っていて、結果を出しているので、部下や市民からは支持を集めますよね。それから、「農地法」成立までの演説がとてもおもしろかったです。弁舌に優れた人の話しぶりは、聴衆も読者も魅了させてくれますね。

        しかし、行き過ぎる行動は元老院にとって我慢のできない存在となり、元老院派による反撃で、ポンペイウスとカエサルの間が揺らぎだします。利害関係が一致しているときには有効な手段ですが、そうでなくなった時に彼らはどのような行動に出るのか。先が気になり、このシリーズばかり手に取ってしまいます。
        >> 続きを読む

        2021/01/13 by あすか

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      危機と克服
      カテゴリー:古代ローマ
      3.7
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      • 10代目 ティトゥス
        在位2年3ヶ月。
        ヴェスヴィオ火山の噴火によるポンペイ壊滅とローマの火災と疫病への対策に追われる。短い在位期間で病死。

        11代目 ドミティアヌス
        「ゲルマニア防壁」を建設。
        作者は気に入っているが、当時はなぜか、ひどく不人気だった皇帝。
        浮気が原因で奥さんに暗殺されてしまったらしい(怖)。

        12代目 ネルヴァ
        ドミティアヌス帝が思わぬ死をとげたため、ショートリリーフで登板した人。皇帝就任時は70歳。高齢のため1年半で死亡。
        あまり年取ってから皇帝になっても、体力はないし、無茶できないので有難味がなかっただろうな。ネロみたいに10代後半でなるのが一番楽しいに違いない。(ただし無茶がすぎると殺される)

        いよいよ次からが五賢帝の時代だ。
        >> 続きを読む

        2017/10/22 by Raven

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      ローマ人の物語
      カテゴリー:古代ローマ
      4.0
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      • 「ローマ人の物語」シリーズは、全15巻からなる単行本が、毎年一冊づつ、2~3冊の文庫に分けて出版されていて、第11巻「終わりの始まり」が文庫化されたのが2007年。
        文庫版では№29~31となる。

        2007年に№31まで読んでいて、単行本12巻目「迷走する帝国」が1年後に文庫化されるのを待っているうちに、読むのを忘れていた。

        久しぶりに再開。(2013年2月)
        しかし前巻までの登場人物をまったく忘れてしまっている。

        長編物語を再開するときはいつものことなので、気にせずに読み進める。
        カラカラ、ヘラガバルスなど、聞き覚えのある皇帝が登場。
        危機の中で、ローマ帝国が行ったさまざまな制度改編と、それがもたらす社会の変質を描く。
        >> 続きを読む

        2017/10/26 by Raven

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      ローマ人の物語
      カテゴリー:古代ローマ
      4.0
      いいね!
      • 次々に謀殺され、目まぐるしく入れ替わる皇帝。
        ゲルマン民族の来襲。
        ササン朝ペルシアの勃興。
        ローマ皇帝の捕囚。

        西暦3世紀中盤、ローマ帝国の危機の深刻化を描く。
        >> 続きを読む

        2017/10/26 by Raven

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