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城山三郎

著者情報
著者名:城山三郎
しろやまさぶろう
シロヤマサブロウ
生年~没年:1927~2007

この著者の本を読んでいる会員ランキング

このランキングは1日1回更新されます。
      そうか、もう君はいないのか
      3.9
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      • 妻の死後書かれたエッセイだということを、巻末におさめられている次女のあとがきで知った。
        妻を「天使」「妖精」。妻との出会いを「天から落ちてきた」など、あらあら。とほほえましく読んでいたのだが、妻の死後書かれたものとなると、それも胸が締め付けられる。

        私は、城山三郎の小説は未読だ。
        このエッセイを読む限り、太平洋戦争を題材とした、重い社会派小説を書き続けたような印象を受けるが、それがどうだろう、妻との生活を綴ったこのエッセイの軽やかさは。
        太陽のように明るく能天気な妻。
        多くの物書きがそうであるように、繊細な作者。
        異なるふたりが、戦後の苦しい時代を、楽し気にぴたりと寄り添ってる姿に感動した。

        付け加えると、次女のあとがきも素晴らしい。
        このあとがきをも含めて、ひとつの作品のように思えた。
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        2016/07/03 by shizuka8

    • 他6人がレビュー登録、 17人が本棚登録しています
      粗にして野だが卑ではない 石田礼助の生涯
      カテゴリー:個人伝記
      4.3
      いいね! iwiw405
      • 自分の気持ちに素直に生きること
        飾らず、嘘をつかず、自分に無理をしない

        ありのままに生きること。
        それを肯定的に表現すれば上の通りだろう。

        常にそう美しくあれないから、人は行儀や作法を生み出し、
        その倣いの中に飛び込むことで半強制的に人とうまく馴染める文化を創り出している。
        「空気を読む」ことを求め、求められる。


        それはそうだ。
        常に自分のままの人なんて
        人との衝突も不和も絶えないだろう。


        そんな人が、それでもゆるまず、腐らず、貫いた生き方がこの作品。
        貫いた先には、多くの人から愛され、受け入れられた後世があった。

        裏表がない
        ということが人に与える安心感。

        たとえその口に出るフレーズがネガティブなものであっても、
        そこに嘘も交わしもためらいもなければ、
        人はその人を真っすぐに理解できる。


        ありのままの自分を出して、なお人に受け入れられるか。

        そこから先はその人の哲学や人間性だろう。
        この石田礼助にはそこに正義があり、粘着質が無く、利己心がなかった。
        そして何より愛嬌があった。


        とてもとても怖いし、勇気がいるものだが、
        自分を素直に周りに解放するのは手である。
        そこにある人の反応は、嘘偽りない自分の本性に対する評価である。
        否定的な反応があればそこで初めて自分を真摯に問いなおせばいい。

        自分を出さなければ、出し方を考えてしまうようでは、
        自分はちゃんと理解されてない
        という愚痴とともに、自分の内面は淀んで入れ変わらない。


        とはいえ、勇気がいる。
        まずは胆力ということでしょうか。
        >> 続きを読む

        2017/08/18 by フッフール

    • 他2人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      官僚たちの夏
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • やっと読むことができた本作品、友人たちの高評価にも納得でした!

        高度成長期における通産省の官僚たちが何を思い、どう行動するか…主人公の風越信吾をはじめとする個性豊かな人々の姿が目に浮かぶようで、興味深かったです。

        「ワークライフバランス」いう言葉をよく耳にするようになった今と比べると、この頃はあまりにも働きすぎていたのではないかと思う反面、この国をよくしたいという熱い想いや(出世が絡む)複雑な人間模様はなんとなく現在にも通ずるもののように感じました。

        “現代版・官僚たちの夏”のような作品があれば、ぜひ読んでみたいです!笑
        >> 続きを読む

        2015/12/01 by chuff

    • 他1人がレビュー登録、 9人が本棚登録しています
      指揮官たちの特攻 幸福は花びらのごとく
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      •  ここ数年、せめて8月ぐらいは「昭和戦争」関連の書物を読むことにしていますが、本書は「軍神」として称えられた関大尉、中津留大尉を中心に戦争という非常に息苦しい時代に生を受け、しかも命令一つで「特攻隊」として命を散らせていった人達とその家族達のドラマです。両大尉の生きざま(死にざま)もさることながら、関大尉の母、サカエさんの生きざま(死にざま)も非常に感動的でした。
         戦争が無い世界が理想ですが、現在も地球上の多くの人達が自分の意思に反して戦争に巻き込まれ、戦争に直面している現実です。このような平和な現在の日本に生を受けた一人として、ありがたい反面申し訳ない、という複雑な気持ちになってしまいますが、来年も少なくとも8月ぐらいは「昭和戦争」ものを読もうと思っています。
        >> 続きを読む

        2014/08/29 by toshi

      • コメント 2件
    • 他1人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      ビジネスマンの父より息子への30通の手紙
      カテゴリー:人生訓、教訓
      3.8
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      • 父から息子へのメッセージ。

        内容は忘れてしまったが、父親との忘れられないエピソードとして深く心に刻まれている。

        この作品を読んだのは、おそらく高校とか大学時代だった気がする。

        文庫で読んだ後、軽い気持ちで親父に「コレ面白いから読んでみれば」と渡して忘れてしまっていた。

        そこから何ヶ月か経過した、ある日。
        「ちょっと来い」と珍しく神妙な顔をした親父からの呼び出し。

        また何かやらかした...と逃げ腰だったところに届いた言葉は「オレからのメッセージだ!」と言う一言。
        メッセージなら今言えよ。みたいな当然のやりとりを経て、登場したのがこの本。(しかも何故かハードカバー!)

        対応に困っていると、「この本は是非お前に読んで欲しい!」と真顔で攻めて来るので、散々迷ったあげくカミングアウトすることに。
        「この本ってオレが勧めたんだぜ!」

        しばし、何とも言えない沈黙の時間が続いた後、いたたまれなくなった親父が放った一言。「アレそうだっけ~♪」
        この親父の息子に生まれて来て良かったのか...という気持ちと。良かった♪という気持ちの狭間で2秒くらい揺れるのは止むを得まい...

        そんなこんなで、いい大人になった今、再読してみようかという気になっている。ちなみに性格はマルっと遺伝してる(笑)
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        2012/06/29 by ice

      • コメント 2件
    • 他1人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      雄気堂々
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
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      • 戦後の歴史小説は、司馬遼太郎の「竜馬がゆく」によって、"維新史の奇蹟"である坂本龍馬の像を、見事に、紙上に再現することに成功したのだと思います。

        その司馬作品の完結からちょうど5年後の昭和46年に、経済小説の第一人者である作家・城山三郎は、幕末から明治にかけてのもう一つの"奇蹟"ともいえる渋沢栄一の生涯を、この「雄気堂々」という作品で描き出していきます。

        作者の城山三郎は、「寒々とした行灯の灯の下で、横浜焼き討ちという暴挙を企てていた若い日の渋沢栄一は、無名の反体制の一青年であった。渋沢自身の言葉を借りれば、『血洗島の一農夫』でしかない。/その『一農夫』が、その後の動乱の中で成長し、愛誦した詩の一節のように『雄気堂々』の人生を志して行く。/渋沢は、薩長土肥いずれの藩閥出身でもなく、維新に活躍したわけでもない。それでいて、いわゆる明治の元勲と肩を並べ、近代日本を築く最高の指導者、最大の経済人になる。それも雄気堂々であって、後暗いところはない。/不思議であり、ひとつの奇蹟にも見える」と語っています。

        この長編小説は、その渋沢栄一の軌跡、すなわち、彼が一個の人間として成長していく過程を、"国家形成・時代形成の物語"と重ね合わせて描いた歴史小説なのです。

        そして、この小説を読んで私が一番惹かれたところは、江戸期の組織が人間を閉塞させた時代から、明治期の人間が組織を作る時代に、日本で初めての合本組織、現在の株式会社を根付かせた渋沢栄一の姿に、今日的な問題意識を盛り込み、「渋沢とその時代は、現代に生きるわれわれに、多くの事を教えてくれる気がする」と作者が記している点なのです。

        城山三郎の一連の作品がブームとなったのは、昭和40年代末から50年代にかけての、いわゆる高度経済成長のひずみが様々な形で顕著になってきた時期に当たっていると思います。

        そして、この作品が書き始められた昭和46年には、"脱サラ"という言葉が流行したとも言われています。その中でこの「雄気堂々」は、歴史を遡ってそうした混沌とした状況に楔を打ち込むべく書かれた作品ではないのかと思います。

        また、それが龍馬が夢見たであろう日本の近代国家と果敢なコミットを果たしつつも、あくまでも「一農夫」の気概を貫いた男の行動を通して描かれたところ----、それが司馬遼太郎から城山三郎へという、現実との緊張関係を持ったベストセラーの変遷を思わせて、非常に興味深いものを感じます。

        「戦争中の教育への反動から歴史不信におちいっていたわたしは、歴史に背を向け、歴史については一年生でしかなかった」と、そう言い切る作家・城山三郎の視点があったからこそ、この作品の中の渋沢栄一もまた、明確な像を結び得たのだと思います。
        >> 続きを読む

        2016/11/27 by dreamer

    • 4人が本棚登録しています
      男子の本懐
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
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      • 城山三郎という著者に深く感じ入る。

        浜口雄幸
        井上準之助

        自分の拙い歴史の授業の記憶でも極めて地味な人物達である。
        実際、高校の教科書よりはだいぶ分厚い詳説日本史研究を紐解いても極めてあっさりと書かれている。

        放漫財政及び金輸出禁止がインフレと著しい景気悪化を招いたため、浜口と井上が金輸出解禁を実現するも、世界恐慌が幕開けとなる最悪の1930年1月だったために、『嵐の中で雨戸を開ける』かのような事態を招き、翌年には金輸出再禁止に至る、と。

        極端に言えば、失敗だったよね、という事例にリンクする人物達である。



        歴史のあらゆる登場人物に深いドラマがあることは分かる。
        例え僅か歴史書の1行でも、その名が出てくる人物には語るに足るものがあるのは理解できる。



        しかし、彼らの場合は他にも語って良い人物が多く歴史書に登場し、しかも彼らは、特段の業績とも失政とも書かれずにさらっと数行で流される「程度」の男達である。目立つべきところがあったとしたら揃って暗殺されたところくらいか。


        そんな二人が、極めて好対照の生き方を送りながら、最後には同じ生き様を送る。熱い「男」同士の志を共有する。


        奇跡としか思えないようなこの近しい二人のコントラストな生き様を、著者のユーモラスな文章力にも助けられながら、時間を忘れるように一気に読み通し、そして涙した。



        浜口のように愚直に生きても、井上のように賢く生きても、必ず世界は開けるんだと。
        真摯な向上心と、誠実さを忘れなければ、つまりは、姿勢を貫けば必ず世界が自分を求める時が来ると。
        人生は信じるに足ると。


        この年代にこの本に出会えたことを感謝する。
        ラスコーリニコフもこの本に出会えていれば彼の苦悩の次に行けたんではないだろうか。


        改めて、この人物達にスポットをあてた著者の造詣の深さに驚嘆と、そして感謝である。
        >> 続きを読む

        2017/08/18 by フッフール

    • 5人が本棚登録しています
      落日燃ゆ
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • 東京裁判で死刑判決を受けた七名のA級戦犯の中、唯一の文官だった広田弘毅について綴られた一冊。

        八月は、戦争に関する本を読むことにしている。
        その中で選んだ一冊が「落日燃ゆ」。
        不勉強なので、処刑されたA級戦犯というとまず浮かぶのは東条英機、松井石根、このふたりしか知らなかった。
        表紙写真に写る広田弘毅の顔を見ても、こんな感じのひともいたかなあという程度。

        石屋の息子として生まれた広田弘毅(改名前、丈太郎)は篤志家の援助もあり石屋を継ぐのではなく、勉学に勤しむ。外交官となり、質実剛健な広田は着実に仕事をこなし信頼を得ていく。

        広田が首相となったときもそれ以外のときも、広田が日本を憂い考えたことを妨げてきた軍部の人間と等しく戦犯とされ、処刑されることは、口にはしなくともどれだけ口惜しかっただろうと思わされる。
        権利を声高に振りかざし、責任は負わない政治家の多い中、真剣に日本のことを考える広田弘毅のような人間もいたことを知ることができた。

        松岡洋右、近衛文麿、幣原喜重郎、山本五十六など戦争を扱うときにしばしば目にする人物も多く描かれている。

        広田は『自ら計らわぬ』生き方を心がけていた。
        外交官は自分の行ったことで、後のひとに判断してもらう。それについて弁解めいたことはしないものだ。
        こういった外交官の矜恃を持つ広田のような人間が、現代の政治家に果たしているだろうか。
        広田弘毅のような人物が、今これまでにない程不安定で危険な方向へと向かいつつあるように感じる日本には、必要ではないだろうか。
        広田弘毅は今の日本と世界の有り様を、どんな思いで見つめているだろう。
        >> 続きを読む

        2016/10/26 by jhm

    • 8人が本棚登録しています
      少しだけ、無理をして生きる
      5.0
      いいね!
      • コンビニで何気なく手に取った薄い本。
        久々に良い本に出会って嬉しい。

        作品は短いエッセーの集合体で、過去の偉人達について書いた自身の作品を振り返っている。
        あれだけの作品を書ける人物なのだから勿論その振り返りも秀逸。
        しかし特に感じ入ったのは、その文章の温度。

        神谷さんにも通じる、温かみを感じる文章。

        作品は良いけれど、エッセーになると品性が垣間見えて残念に感じる作家はとても多い。
        「こういうエッセーを書く人ならばこの人の作品は次から次と読んでみたい」と思わせる作家は少ない。
        城山三郎は間違いなくその一人。

        このタイトルもとても良い。
        平易なようで、なかなか、この表現のタイトルは選べないように思う。
        作者の温かみを感じさせるタイトルと思う。


        サラリーマン人生は、海の波間に浮かぶペットボトルのような存在だなあと、よく想像しています。

        自営業なら違うんでしょう。
        芸術家も違うんでしょう。

        しかしサラリーを貰う我々は、そんな彼らのように「何をやりたいか」がゴールではなく、サラリーを貰うことがゴールであるがために、サラリーを貰えるならばと、広い海のあてのない道のりであっても黙って耐えて、たゆたいながら生き忍ぶ。

        生き忍ぶ秘訣はストレスという名の水を体内に溜めないこと。
        この水でいっぱいになってしまうと、浮かぶことを許されず海の底に沈んでしまう。
        サラリーの旅は終了となってしまう。

        水との戦い方は2つで、一つは水を掻きだすこと。

        憂さ晴らしの飲み会、好きな人との時間、趣味への没頭
        体内の水を小さな柄杓で一生懸命掻き出して、
        掻き出す脇で入る水をまた掻き出して、生きる。

        砂の女のような不毛な人生。

        不毛とはいえ、生きなければならない。
        掻き出さなければいずれ水に沈む。

        ならばこそ砂の女がとったのは、パートナーを取り込むという行為。

        掻き出す柄杓を一つ増やすことによって、人生の安心感を得る、という。

        夫婦ともども、降り来る水を掻き出し掻き出し、生きる。
        子供という柄杓もなんなら増やす。
        生きがいという名の柄杓で水と戦いながら生きる人生。


        もう一つの戦い方は、容量をひろげる、というもの。
        これは特に日本人では多く支持されている生き方。
        成長意欲を持つことによってボトルの容量を大きくし、
        水が入っても入っても浮かぶ体を作る、と。

        他人から残念がられる程働け(稲盛和夫)
        男は二十代で結婚するな(秋山好古)
        忙しいことに感謝しなさい(松下幸之助)
        仕事の対価は仕事

        等々。

        体を大きくして浮力を備える。水への耐性も強まる。
        浮力が高まればより機動力が高まる。
        サラリーマン戦士にとって機動力は致命線。
        所詮は企業の駒としてどこまで役に立てるかが存在価値。
        明日をもしれぬ浮沈を繰り返すボトルよりは、
        浮力充分なボトルのほうが評価されるのは当たり前。

        波間にたゆたう儚いサラリーマン人生と思うなかれ。そも人生とはかくあるもの。
        ならば、覚悟を決めて、サラリーマン人生の中で、自分を大きく育て、七つの海を知る男たれ、と。

        成程。


        でもですね、これはやっぱりしんどいんですよ。

        うっぷうっぷの水量と戦いながら、
        吐き出すな!飲み込め!と、お相撲さんの食事のような日々を続け、
        ぶつかり稽古の満身創痍と、進むほど募る孤独感。

        かたや眺めれば、岸辺の海水浴場で浮き輪とともに泳いでいる名ばかりサラリーマンの公務員。

        俺なにやってんだろうなあ、と。

        とはいえ来し方を否定もできない。
        自己否定はできないから、海水浴場に行く気も起きない。
        さりとて、一流戦士のように荒波に邁進する覚悟も出てこない。

        そんな曖昧な輪郭の気持ちのまま、
        多少の水と多少の空気の按配でどうにかバランスを取りつつ波間に浮かんでいるのが、我々サラリーマン人生の多くではないのかなと。

        そんな存在にあってはですね、
        この、「少しだけ」
        「少しだけ」無理をして生きよう、
        という言葉には強い励ましを覚えるのです。

        ああ、少しなら無理もできるかな、と。

        結局人生が変わらないなら、変えられないのならば、
        大事なのは自分の指針。

        生き様というのは、具体的な行動ではなく、波間にたゆたう自分の心の持ち様であるはず。
        せめて、せめて姿勢だけはちょっとだけ傾斜を戻して生きてみようかしらと。

        そんな、励ましを感じる、温かい本です。
        長くなりましたが。

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        2017/08/18 by フッフール

    • 2人が本棚登録しています
      そうか、もう君はいないのか
      5.0
      いいね!
      • 著者が妻と出会って亡くなるまでの話。
        奥様のことを「天使」「天女」等々と表現されるところから、いかに奥様を愛されていたのかがうかがい知れます。
        ちょっと赤裸々な話もあるけれど、作家として忙しい夫をしっかり支え、愚痴もこぼすことなく取材の手伝い、旅行の同行などされ、できた奥さまだなぁと感心する事しかり。
        こんなに思い思われて、本当に互いに運命の相手だったのだな、と思いました。
        >> 続きを読む

        2016/06/07 by taiaka45

    • 1人が本棚登録しています
      よみがえる力は、どこに
      4.0
      いいね!
      • たまたま手にとって読み始めたのだけれど、とても良い本だった。

        城山三郎さんの本は、昔、「落日燃ゆ」と「粗にして野だが卑ではない」を読んだぐらいしかないのだけれど、断片的に読んだいろんな記事や、何よりもテレビにたまに出てこられた時のそのまなざしと御顔の立派さで、なんとなく心に残っていた。

        それで、ふと見かけたこの本を読んだのだけれど、とても良い本だった。

        この本は大きく、城山さんの講演と、未発表の奥さんとの思い出を綴ったエッセイと、吉村昭さんとの対談の三部から構成されている。

        講演も素晴らしいもので、組織を強い人間の力で乗り越えていくためにはどうすればいいか、そのようなかつてのいろんな個性的な人々のエピソードが語られ、年齢はただの番号に過ぎず、自分も若い一兵卒と思ってがんばることや、いかに相手を喜ばせるか、損得抜きでそうできるか、ということを、生きた実例として石田礼助や本田宗一郎のエピソードから語っていて、とても面白かった。

        また、浅利慶太の「自分の時計を持て」と「世の中は不平等なものだと覚悟しろ」という言葉と話は、なるほどな~っと考えさせられた。

        また、「大木の下には草が生えない」というフランスのことわざも、善いことばだなあと感銘深かった。

        人生の鐘を激しく叩く、人生の軟着陸なんて考えない、という城山さんのメッセージは、なんだかとても発奮させられるものがあった。

        「担雪埋井」という禅語が紹介されていて、これも考えさせられた。
        たしかに、人の営みというものは、そうかもしれないが、そうせざるを得ないものなのだろう。

        軍隊時代の思い出話から、軍隊がいかに腐敗し堕落し暴力に満ちて、無意味なリンチや制裁に満ちていたかという話も、そうだったんだろうなぁと、そうしたリアルな経験というのは、本当に貴重なものだなぁと思わされた。
        その経験から、城山さんも吉村さんも、権威や権力や組織に本質的な不信や距離をとりたい気持ちをずっと持ってきたらしい。
        一方で、戦時中に徴兵忌避や徴兵逃れをして、そのうえ戦後になってからそのことを美化して語った人々への不信を語っていたけれど、そこらへんの機微や筋の通し方が、城山さんたちは、しっかりしているなぁとあらためて思われた。

        終戦直後は、一千万人餓死者が出ると予測され、リアルにその予測が感じられていたことなど、今となってはなかなか想像しづらい、貴重な体験談かもしれない。

        また、他の人の言葉として引用されていた、一人の人間の中には兵士・判事・芸術家・探検家の四つの側面が必ずあって、どれも育てることが大事、というのは、なるほどーっと思った。

        「なにせうぞ くすんで 一期は夢よ ただ狂へ」

        という閑吟集のことばも、そういえば部分的にちらっと聞いたことはあるけれど、城山さんが引用していて、あらためてとても胸に響いた。

        いろんな知恵や良いことばがいっぱい詰まった一冊だった。

        また、奥さんとの思い出や、深い愛情にも胸を打たれた。

        そして何より、城山さんの一生を貫いたのは、戦時中の学徒兵の経験や敗戦の体験からの痛切な問い、

        「国家とは何か?歴史とは何か?社会とは何か?人間とは何か?信じるとは何か?私はいったい何者か?死んでいった者たちの代わりにできることはあるか?
        いくら時間がかかってもいい、ひとつひとつの問いに答えていくことで、ばらばらになた私自身を作り直そうと思ったのです。」
        (64頁)

        という問いがあってこそだったし、その問いがずっと一貫し、根底にあったのだろう。
        それゆえに、あれほど強い、しっかりした、気骨のある言葉を紡ぎ続けることができたのだと思う。

        「観念に支配されない強靭な見方」

        という言葉も、文中でとても胸に響いたけれど、これはまさに、このような痛切な問いがあってこそ、はじめてできることなのかもしれない。

        私もこういう自分なりの深い問いを持って生きよう、そして、できれば、これぐらいしっかり生きたいものだと思わされる一冊だった。
        >> 続きを読む

        2012/12/22 by atsushi

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    • 1人が本棚登録しています
      猛烈社員を排す
      カテゴリー:経営管理
      4.0
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      • 経済、会社についてのエッセイ集。

        タイトルから余暇を大切にしよう的な内容を想像したが全く異なる内容であった。

        下請け会社の家族、隔離された環境での特殊研修に参加した自分自身、コンピュータ創成期のエリート技術者、兜町に蠢く怪しげな株屋。

        個別のエッセイも非常に魅力に溢れている上に、全体を通じて
        様々な視点から経済を見ることで、経済という実態の見え辛い概念を立体的に描き出すことに成功している。

        昭和45年に世に出た書籍だが、述べているコアな部分は時代を超えており、とくに古さは感じなかった。

        書籍のタイトルと内容が合致していないのが非常に残念。
        >> 続きを読む

        2011/02/26 by ice

    • 1人が本棚登録しています
      もう、きみには頼まない 石坂泰三の世界
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 石坂泰三。
        「日本の陰の総理」「財界総理」と謳われた、財界人のお話しです。
        次男と妻を早くに亡くした哀しみを忘れず、頼まれた厄介事には「男が社会で仕事をしていると、しんどいことでも引き受けざるをえないことがある」と立ち向かう姿。
        政や官にも全く媚びない姿勢は、自己保身の強い現在、別な世界の人の様。
        それでも若干読みにくさを感じ、ペースが上がらなかったのは移動時間が少なかったからだけではなく、本人に会わずに書かれた小説だからかもしれません。
        「官僚たちの夏」を超える城山作品は無いのかな…
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        2013/07/11 by Hiropika

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【城山三郎】(シロヤマサブロウ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)

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