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須川邦彦

著者情報
著者名:須川邦彦
すがわくにひこ
スガワクニヒコ
生年~没年:1880~1949

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      無人島に生きる十六人
      カテゴリー:小説、物語
      4.1
      いいね! niwashi
      • >「・・・いまこの島にいる人たちは、それこそ、一つぶよりの、ほんとうの海の勇士であるけれども、ひょっとして、一人でも、気がよわくなってはこまる。一人一人が、ばらばらの気持ちではいけない、きょうからは、げんかくな規律のもとに、十六人が、一つのかたまりとなって、いつでも強い心で、しかも愉快に、ほんとうに男らしく、毎日毎日をはずかしくなく、くらしていかなければならない。そして、りっぱな塾か、道場にいるような気持ちで、生活しなければならない。この島にいるあいだも、私は、青年たちを、しっかりみちびきたいと思う。・・・」(船長)

        規律は心の拠り所となります。恥ずかしくない暮らし方をしようという気持ちは大切なことです。そうすれば、”愉快に”明るく、元気に暮らすことができます。この世は道場です。愉快な道場にしたいね。

        >「・・・これから私は、塾の監督になったつもりで、しっかりやります。島でかめや魚をたべて、ただ生きていたというだけでは、アザラシと、たいしたちがいはありません。島にいるあいだ、おたがいに、日本人として、りっぱに生きて、他日お国のためになるように、うんと勉強しましょう」(運転士)

        運転士の言う「お国」という言葉は、国家(第一)主義とは違うと思います(帝国憲法の明治時代なので多少はあったかもしれないけど)。まずは、一人一人の向上と幸福があり、お互い様の結果として日本の向上が望める。そして日本が向上すればさらに国民も向上することができる。日本が向上すれば、世界もお互い様としてよくなるかもしれない。「他日」というのは、そういうことだと思う。

        >「私は、学問の方は、なにも知りません。しかし、いくどか命がけのあぶないめにあって、それを、どうやらぶじに通りぬけてきました。りくつはわかりませんが、じっさいのことなら、たいがいのことはやりぬきます。生きていれば、いつかはきっと、この無人島から助けられるのだと、わかい人たちが気を落とさないように、どんなつらい、苦しいことがあっても、将来を楽しみに、毎日気持ちよくくらすように、私が先にたって、うでとからだのつづくかぎり、やるつもりです」(水夫長)

        お手本が必要です。押しつけ(←口だけ)には説得力も効果もない。



        >私は、このときから、どんなことがあっても、おこらないこと、そして、しかったり、こごとをいったりしないことにきめた。みんなが、いつでも気持ちよくしているためには、こごとは、じゃまになると思ったからである。(船長)

        これぞリーダー! 優秀で心の強い指導者は怒りません。心が強い。だから明るい。やさしい。そして、決めたことはやり通します(厳しさとは怒ることではない)。

        >みんなは、このように、大自然と親しみ、じぶんたちのまわりのものを、なんでも友だちとしていた。ものごとは、まったく考えかた一つだ。はてしもない海と、高い空にとりかこまれた、けし粒のような小島の生活も、心のもちかたで、愉快にもなり、また心細くもなるものだ。(船長)

        >一人一人の、力はよわい。ちえもたりない。しかし、一人一人のま心としんけんな努力とを、十六集めた一かたまりは、ほんとに強い、はかり知れない底力のあるものだった。それでわれらは、この島で、りっぱに、ほがらかに、ただの一日もいやな思いをしないで、おたがいの生活が、少しでも進歩し、少しでもよくなるように、心がけてくらすことができたのだ。

        >私たちはこの島で、はじめて、しんけんに、じぶんでじぶんをきたえることができた。そして心をみがき、その心の力が、どんなに強いものであるかを、はっきり知ることができた。・・・・これも、みんなの心がけがりっぱで、勇ましく、そしてやさしかったからだ。(船長)



        船長さんをはじめ年長者の人々の”大人”なこと!若い船員たちのすばらしいお手本です(分からないことは立場関係なく若者から教えてもらいます)。だからこそ、遭難し大変な問題に直面しても”明るく”乗り越えることができたのでしょうね。家庭でも、学校でも、会社でも、組織・社会のリーダー、大人はこうでありたいものです。この世、地球は、無人島のようなものですから。
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        2017/10/02 by バカボン

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