こんにちはゲストさん(ログインはこちら) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト →会員登録(無料)


高見浩

著者情報
著者名:高見浩
たかみひろし
タカミヒロシ
生年~没年:1941~

この著者の本を読んでいる会員ランキング

このランキングは1日1回更新されます。
      透明人間の告白
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 【はい、今からあなた、透明人間です!】
         主人公のニックは透明人間なのです。
         いや、別になりたくてなったわけじゃないんですけどね。
         ある時、偶然に爆発事故に巻き込まれてしまい、その結果、どういう仕組みなのかはまったく分からないのですが、いきなり透明人間になっちゃったんです。
         どうも、爆心地から一定の範囲にあるものは、生物でも非生物でも全部透明化しちゃったようなのです。

         ニックは、ある建物の中にいたのですが、爆発のショックから目が覚めた時には驚愕します。
         だって、地面に開いている穴のようなものしか見えなかったのですから。
         そう、建物自体透明化しちゃってるんです。
         ですから、床も壁も家具も何も見えず、穴のような上にいるというのに落ちないのですから(本当は穴の上に床があるんですが、床が見えないのです)。
         これは相当にキモチワルイ眺めでもありまして、事情が分かるまでは動くことすらできなくなってしまいます。
         ニックが着ていた服も全部透明化しちゃってます。

         さて、透明人間になれたらどうですか?
         いや、あんなこととかこんなことなんかできちゃって、こりゃ楽しいぞ~とか思ってません?
         でも、実際に本当に透明人間になっちゃうとこれは非常に大変なことになってしまうわけなんですよ。
         本作は、そこに焦点を当てた一冊。

         まず、ニックが気を失っている間に、爆発事故に気付き、さらに何かおかしなことになっていると分かった政府関係者が事故現場に到着し、建物の周囲を封鎖してしまいます。
         透明化なんてそう簡単に公にできないですからね。
         そして、建物の中などを調査し始めるのですが、そこで透明人間になっているニックにも気が付くのです。
         政府としては、透明人間なんて科学的にも是非調査したい対象だということもあって、ニックを保護しようとします。

         しかし、どうもそのやり方が強引だったこともあり、ニックはすっかり不信感を持ってしまい、保護を拒否し、バリケードの外に出ようとし始めます。
         透明人間の状態のまま一人で生きていくなんて不可能だから手を貸すという呼びかけを無視して。

         ニックは、まず、建物の中にある透明化しちゃった様々な品物を持っていくことにします。
         衣服なども代えがあった方がいいですし、その他、色々役に立ちそうなものもあります。
         残しておけば政府に押収されてしまうだけですからね。
         何度かつかまりそうになりながらも、何とか工夫してようやくバリケードの外に出ることに成功します。
         そして、車を奪い、掠奪してきた透明アイテムを積んで自宅に戻ったのです。
         今のところ、自分の素性は話していないので、自宅は分からないだろうと踏んで。

         自宅でようやく人心地ついて、取りあえず何か食べようということになったのですが、物を食べると大変なことになることに気付きました。
         いや、食べて咀嚼した物が食道から胃へ流れていくのが見えちゃうのですよ。
         これは相当にグロテスクです。
         しかも、そんな状態を誰かに見られたら怪しまれるに決まっています。
         完全に消化してしまうまでは外にも出られないのか……。

         食料やその他必要な物は、店に電話をして配達をしてもらうことにしたのですが、「なるべく透明な食べ物が欲しい」などと訳の分からないことを言ってしまったため怪しまれること(そりゃそうだ)。 
         仕事も困ったことになりました。
         ニックは証券マンでしたし、これまでも比較的自由な勤務形態でしたので、当座は、「家で仕事をする」などと言い、秘書を通じて電話対応するなどしてしのぐことにしましたが、いつまでも出社しないわけにもいかないし……。

         外に出てみても恐ろしい目に遭います。
         何せ、ニックのことは誰も見えないので、自分から注意して避けて歩かないと、人や車などに突っ込まれかねません。
         後ろからジョガーが走ってきた時など、あやうく突っ込まれるところでした。
         道の端を注意しながら歩いていくしかないんですね。

         誰かの助けが必要だとは思うのですが、自分が透明人間になってしまったなどとは言い出せず、途方に暮れてしまいます。
         こうなったらもう保護を求めた方が良いのだろうか?
         いや、そんなことをしたらこの先ずっとモルモット生活だ……。
         決心がつかないニックなのです。

         政府もあきらめるわけがありません。
         遂にニックの身元を割り出し、家にやって来たのです。
         間一髪のところで家から逃げ出すニック。

         これから先、どこへ行けば良いんだ?
         そうだ、クラブだ!
         クラブに行けばシャワーも宿泊設備もあるし、食べ物だってある。
         ニックは、自分が所属していたクラブへ行き、そこで生活を始めます。
         人が少なくなった夜中などに厨房から食料を持ち出して食べ、空いている宿泊部屋で眠る生活です。
         これはこれで安楽かもしれない……。

         と、思ったのもつかの間です。
         政府職員は、遂にニックのクラブにもやって来たのです。

         本作は、逃走劇の様相を呈してきます。
         逃げ回っていてもどうにもならないとは思うのですが、取り合えず逃げまくるニック。
         この先どうなってしまうのか?


        読了時間メーター
        □□□     普通(1~2日あれば読める)
        >> 続きを読む

        2021/05/28 by ef177

    • 他2人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      武器よさらば
      カテゴリー:小説、物語
      いいね!
      • 読みやすい

        2016/09/23 by マサキ

    • 6人が本棚登録しています
      ハンニバル・ライジング
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!

      • トマス・ハリスの「ハンニバル・ライジング」(上・下巻)を読了。

        この作品は、「レッド・ドラゴン」「羊たちの沈黙」「ハンニバル」の前日譚にあたるもので、一連の作品で重要な役割を演じるハンニバル・レクター博士の生い立ちを、我々読者に解き明かす物語になっている。

        ナチス・ドイツがバルバロッサ作戦でソ連への侵攻を進める第二次世界大戦下、リトアニアの古城で暮らしていた伯爵一家にも、戦争の惨禍が飛び火してきていた。

        その一家こそ、少年時代のハンニバル・レクター博士と妹のミーシャ、そして両親だった。

        父と母は、戦闘に巻き込まれて、そして愛しい妹を対独協力者たちの蛮行で失ったレクターは、孤児院生活を経て、フランスで暮らす叔父のロベールのもとに引き取られる。

        そこで出会った一人の女性が、彼の運命をさらに過酷なものへと導いていくのだった-------。

        レクター博士のアーリー・デイズとも言うべき、この作品で驚かされるのは、やや唐突とも思えるジャパネスクだろう。

        それを含めて、前三作との繋がりよりは、ひとつの新たに構想された作品としての色合いが強いように思える。

        そういう意味で、シリーズへの繋がりも薄ければ、サイコ・スリラーの文脈で語られるわけでもないこともあり、我々ミステリ好きへのアピール度はかなり低いように思う。

        没落貴族の末裔が辿る、数奇な運命の物語と捉えれば、確かに読みどころは多いのですが。

        >> 続きを読む

        2019/01/29 by dreamer

    • 3人が本棚登録しています
      A-10奪還チーム出動せよ
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • スティーヴン・L・トンプスンの「Aー10奪還チーム 出動せよ」の設定には、本当に度肝を抜かれます。

        第二次世界大戦終結時に、米ソが話し合い、東西ドイツにそれぞれの軍事連絡部を置き、それが戦後ずっと残っているというのです。現実の世界情勢は、1989年にベルリンの壁が崩壊し、東西ドイツは併合されましたが。

        つまり、東ドイツ国内にアメリカの軍事連絡部があり、その建物は治外法権が認められているのです。それで、そこのアメリカ人グループがどんな任務をしているのかというと、部員は全員レーシング・ドライバー級の運転技術の持ち主で、ポツダム郊外にある、この軍事連絡部の敷地には立派な修理工場まであり、腕のいいメカニックまでそろっているのです。

        そして、かれらは東ドイツ国内を自由に走り回り、不時着した米軍パイロットを救出するのを任務としているというのです。この"ホラ話"すれすれの、ワクワクするような嬉しい設定に胸が高鳴ります。

        この奇想天外な設定のもとに、この小説は迫力あるシーンの連続で展開していきます。

        物語の内容はというと、脳波誘導装置を内蔵した新型攻撃機A-10機の機密を狙うソ連と、パイロットの救出に向かうアメリカの奪還チームの攻防を描いていて、その中でも特に迫力満点のカーチェイスが繰り広げられるのです。

        とにかく、息つぐ暇もない迫力満点のカーチェイスが、全編に渡って描かれていて、デビュー作らしい熱気と気迫に満ち溢れた作品になっているのです。

        アメリカの奪還チームは、軍事連絡部の建物に無事にたどり着けるのかどうか、東ドイツ国内を延々と逃げ回る迫真のディテールが、臨場感たっぷりに描かれ、この時点で私はもう、最後まで巻をおくことが出来ず、一気に読まされてしまいました。

        主人公のドライバーが新人部員で、最初は半人前のプロという設定もいいし、更に、彼を取り巻く脇役たちも生き生きと描かれていて、申し分のない出来栄えだと思います。

        好都合すぎる母娘の登場など、多少、気になる箇所がないわけではありませんが、ピリピリするような緊張感をハイテンションで持続させる、テンポのいいスピーディーな展開に、完全に圧倒され、疑問を感じる頃には、もう物語はクライマックスへとなだれ込んで来ているというのも、この希代のストーリー・テラー、スティーヴン・L・トンプスンの筆力の凄さだと思います。

        このシリーズは、「サムソン奪還指令」、「鉄血作戦を阻止せよ」----と、続けて書かれているので、読み進めてみたいと思っています。
        >> 続きを読む

        2016/09/26 by dreamer

    • 1人が本棚登録しています
      透明人間の告白
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 【本作はサバイバル作品的でもある】
         ある日いきなり透明人間になってしまったニックが、政府機関による保護を嫌って徹底的に逃げ回るという逃走劇が本作なのですが、下巻に入ってもニックは逃げ続けます。

         自宅を追われた後は、会員制クラブ、アパートの空き部屋などを転々としながら追っ手をまいていくのですが、さすがに疲労の色も濃くなります。
         いつまでもこんなことを続けていたのでは埒が明かない。
         ニックは、別人格を作り上げ、資産を得、安住できる家を手に入れようと考えます。

         とりあえず、ニックは証券マンでしたから、得意の株取引によって金を得ることを画策し、透明人間になっているという利点も生かしてかなり際どい方法で情報の入手に乗り出し、それなりの資産を築き、ようやく家を手に入れるところまでこぎ着けます。

         また、執拗にニックを追い続けるジェンキンズに対しても、いつまでも受け身のままでいては仕方がないと考え、一計を案じ、その手の内を探り、逆襲に出ます。
         この辺りの駆け引きはなかなかの読みどころではないでしょうか。

         そして、物語の後半に入り、ニックはようやくある程度のことを話せる恋人と巡り合います。
         とは言え、全部が全部を話すわけにもいかず、彼女が幽霊を信じていることを利用して、ニックもそういう超自然の存在と思わせるのがせいぜいなんですが。

         本作のラストはどうするつもりなのかなと読みながら気になり、バッド・エンドも想像したのですが、さて、作者はどういうラストを用意しているのか、それは読んでのお楽しみです。
         本作の一番のウリは、上巻のレビューにも書いたとおり、実際に透明人間になってしまったら色んな点で困ることになる、そんな状態で生きていくためにはどうすれば良いのかという点の描写ではないかと思います。
         そういう意味では、ある種サバイバル小説的な要素もあると言えそうです。

         特に、自宅を追われて以降、どこで寝泊まりするのか、食事はどうするのかなど、相当に切実な問題が生じてきます。
         この辺りにウエイトを置いて書いたという着眼点には光るものがあると感じました。
         他方、書かずもがなというか、そんなこと書かなくてもいいじゃないかと思えるような冗長な描写もあり、そういうところは残念な点でしょうか。
         また、ちょっと都合が良過ぎる、これは安易じゃないかと感じる点もあり、その辺りが巧く処理されていればさらに高い評価につながったように思いました。


        読了時間メーター
        □□□     普通(1~2日あれば読める)
        >> 続きを読む

        2021/05/29 by ef177

    • 1人が本棚登録しています

【高見浩】(タカミヒロシ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)

会員登録(無料)

今月の課題図書
読書ログってこんなサービス
映画ログはこちら
読書ログさんの本棚

レビューのある本