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登録されている著者名と題名が違うけど、表紙を見ればなんの本だか分かるからまあ良いか、とレビューを書く。本当の著者名と題名は表紙からも分かるように、藤木稟であり『化身』です。朱雀十五がまだ晴眼者で最高裁判所(どんだけ彼をハイスペックにしたら気がすむんだこの作者・・・)で検事をしていた頃の話。監察官時代の後木や、本編では名前しか出てこない桂や、女スパイとして美鈴と名乗り色仕掛けで検察庁長官の妻におさまった朱雀の母・香蓮が登場する。最終的には美鈴=香蓮が、朱雀が事件に巻き込まれないよう全てを背負って死ぬのだが、それが不思議なほど悲しくない。私が朱雀や香蓮に愛着が無いせいもあるのだろうが、香蓮視点の描写が無いせいで、いまいち彼女に感情移入できないのだ。しかも彼女の色仕掛けに8年も騙され続けた男達(義理の息子は香蓮が人柄のおかげで誰にでも好かれていたと思っているが、作中で彼女に骨抜きにされているのが男ばかりなので色仕掛けで周りを騙していたようにしか見えない)のことを考えると殺して退場させるのが妥当のように思える。後木は彼女を天女と崇めて、林長官は香蓮のハニートラップに引っかかっただけなのにレイプ事件を自分の責任だと思い続け気が狂って息子のことすら分からなくなっても彼女を愛し続けていた。にも関わらず、彼女の頭にあるのは任務遂行と実の息子のことだけ。香蓮が『生き残って幸せに暮らしましたとさ』という退場をしたら男達が気の毒すぎる。つまり香蓮は私にとって死んだら死んだで気の毒だがなんらかの罰を与えないと納得できないキャラなのだ。だから死んでも悲しくないのだろう。ところで桂が美鈴の写真を見てもっと若ければ女優としてデビューできる、みたいなことを言うシーンに違和感を感じたのは私だけか。朱雀十五シリーズでは女性の美しさを表す際に時折女優を引き合いに出すのだが、当時は芸能人に偏見があり原節子ですら女優であるという理由で恋人と結婚できなかったような時代である。つまりこの時代での『女優のよう』とか『女優になそう』という表現は、今でいえば『キャバ嬢のように美人』とか『スナックのママになれそうなほど色っぽい』とか言ってるようなものなのだ。決して悪口ではないがエリートの妻に対して使う表現ではないとでもいうか。 >> 続きを読む
2016/01/23 by kikima
【谷恒生】(タニコウセイ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)
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