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手塚治虫

著者情報
著者名:手塚治虫
てずかおさむ
テズカオサム
生年~没年:1926~1989

この著者の本を読んでいる会員ランキング

このランキングは1日1回更新されます。
      火の鳥
      4.0
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      • 黎明編。邪馬台国や、卑弥呼、イザナギ、ニニギノミコトなど誰しもが一度は聞いたことのある舞台、人物がモデルとなっている。

        この作品も、火の鳥を通して命とは何か、子孫を残すことの意味など語られている気がする。ただ、それ以外にも人間の業なんかも含まれてる気がする。

        まだ火の鳥全巻読んだ訳ではないが、他の巻にも関わっていることがちらほら出てきて、やはり手塚治虫の奇才さに感嘆してしまう。

        他の巻も早く読みたい
        >> 続きを読む

        2017/09/27 by 豚の確認

    • 他1人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      奇子
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      4.0
      いいね!
      • 手塚治虫氏の漫画

        この方の漫画をちゃんと読んだのは
        ブラックジャック以来かも?

        文庫本サイズに縮小されているので
        文字が小さくて読みにくかったわぁ^^;

        奇子(あやこ)は下界を知らず
        蔵の中で一人の女性に成長するのだけれど
        それを思っただけで恐ろしいですわ

        奇子を閉じ込めた人たちはみな
        最後に報いを受けるのだけれど
        あまり後味はよくなかったです

        それにしても
        エロスがエロスにならないところが
        感心させられます
        >> 続きを読む

        2017/06/30 by bluepopy

    • 他1人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      アドルフに告ぐ
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      4.5
      いいね!
      • 手塚治虫氏が晩年、週刊文春の連載に挑んだ意欲作。

        「アドルフ・ヒットラーにユダヤ人の血が流れている」という説を題材にしたサスペンス漫画。アドルフ・ヒットラー、日独ハーフの少年アドルフ・カウフマン、亡命ユダヤ人の息子アドルフ・カミルの三人のアドルフを中心に話がすすんでいく。

        戦前から戦中にかけてキナ臭くなっていく国内の雰囲気や特高・共産主義者に関する描写、そして何といっても戦争・空襲の描写は真に迫っている。やはりあの時代を生き抜いてきた氏だからこそであろう。

        戦前からパレスチナ紛争までを描いた壮大なスケールの本作だが違和感なくまとめきっているのは流石としかいいようがない。正義とは何か?というテーマを存分に考えさせてくれる名作。完結していることもあり自信をもって勧められる作品だ。ただ個人的に晩年の作品ならルードウィヒ・Bの方が好きかな……
        >> 続きを読む

        2016/07/30 by 飛車香落ち

    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      ぼくのマンガ人生
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      5.0
      いいね! Moffy
      • 大量な漫画が生み出される今。
        ついのめりこんでしまう作品はたくさんあるが、多くが「うわべ」的なもののように思う。
        読んでる最中は面白く感じても、読後はそれ程印象に残らないのだ。

        華やかさと刺激の強いタッチは人の目を惹きつけるが、重みが無い。
        時には、ただ欲や快楽の為の媒体となってしまっているものでさえある。

        それらが、果たして読者の人生にどれ程影響を与えられているのだろうか?

        私は絵心が無く、漫画業界についてはさっぱりだが、この一冊を通して、絵が上手いだけが漫画ではないということを学んだーー
        人間としても内容を帯びなければ、
        良い作品は出来ないのだ。
        >> 続きを読む

        2019/11/27 by Moffy

    • 1人が本棚登録しています
      火の鳥
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      5.0
      いいね!
      • なんなんだこれは。なんか、もう凄すぎて…けどなぜか本当に、現実もこの本の通りなんじゃないかと思ってしまう。この本を自分の中でどう受け止めたらいいのかよく分からない。 >> 続きを読む

        2017/10/12 by 豚の確認

      • コメント 2件
    • 1人が本棚登録しています
      火の鳥
      4.0
      いいね!
      • ヤマト編と異形編。
        ヤマト編はユーモアが多めだが、しっかり生と死について描かれている。不老不死になるチャンスがありながら、川上タケルやカジカ、火の鳥との出会いで自分の生きる道を決めていったヤマト。終わり方も良かった。そしてカジカ可愛い。
        異形編。
        八百年生きていると噂されている八百比丘尼。訳あって八百比丘尼を殺しに来た女性。罪を償うということ、輪廻転生(とはちょっと違うか)の酷さ。そしてこの終わり方。
        やはり手塚治虫、天才というか、何か違う世界を知っているとしか思えないような内容。
        >> 続きを読む

        2017/09/10 by 豚の確認

      • コメント 2件
    • 1人が本棚登録しています
      火の鳥
      3.0
      いいね!
      • 鳳凰編。
        実は火の鳥を読むのはこれが初めて。好きなバンドが手塚治虫の作品をモチーフにして作詞作曲をしているのもあって以前から興味があった。

        ストーリーは要約しても少し長くなるので割愛。

        人殺しだった我王が、速魚を失うことで命について葛藤する。
        その後の彼は今まで殺してきたことへの償い、世の中の理不尽への怒り、そして、自分が今まで味わってきた怒り…

        その全てが彫り物へ注がれる。

        命とは何か、生きる死ぬとは何か、輪廻転生とは何か…

        これは、全巻何度も読み直さないと理解できないかもしれない…

        そして、古い時代のお話なのに現代の言葉や物がちょいちょい出てくるのが手塚治虫らしくて笑ってしまう
        >> 続きを読む

        2017/08/31 by 豚の確認

    • 1人が本棚登録しています
      火の鳥
      3.0
      いいね!
      • 復活編・羽衣編。
        復活編はこれまたとんでも発想な内容。未来で量産されたロボットは実は元は1人の人間と、1つのロボットの心が融合されたものだった。その後、量産されたロボットはかつて人間だったことに気付き…。
        なんかもう訳が分からん(笑)

        羽衣編。
        手塚治虫風羽衣伝説。描き方、内容、どちらも申し分なし。八百比丘尼もそうだけど、元の話があるものでも手塚治虫にかかれば新たな話になるから面白い。
        >> 続きを読む

        2018/01/28 by 豚の確認

    • 2人が本棚登録しています
      火の鳥
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      3.0
      いいね!
      • 宇宙編と生命編。
        まず宇宙編は、ある男が永遠に繰り返される罰を受け、ある女がその罰に付き添う、という話。毎度ながらスケールがでかすぎてどぎまぎする。この話が猿田のルーツなのかな。

        そして生命編は、クローン人間の話。火の鳥の中ではシンプルな内容な気がするけど、やはりテーマが重いからこれもどぎまぎする。

        他の巻に比べると分かりやすい内容になっていると思う。
        >> 続きを読む

        2018/01/08 by 豚の確認

    • 1人が本棚登録しています
      ばるぼら
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      5.0
      いいね!
      • 私の名は美倉洋介・・・超売れっ子の流行作家で、社会的にも尊敬される地位を持つ。ただ私にはおかしな性癖が多々あり、それは主として異常性欲なのだが・・・その私は新宿で「バルボラ」に出会う。それは「都会が何千万という人間をのみ込んで消化し、たれ流した排泄物のような女―それが「バルボラ」」。まるで動物を拾ってくるかのように私はバルボラを自宅に連れてくるのだが。(二人の出会いは、「バルボラ」がヴェルレーヌの詩の一節「ヴィオロンのためいきの身にしみてひたぶるにうら悲し・・・」と口ずさんでいたことから。)

         手塚治虫の伝奇マンガ「ばるぼら」は、以上のように始まります。大体美倉本人のモノローグが多くて、一種の「私小説(Ich Roman:イッヒ・ロマン:一人称小説)」風の変わったマンガです。

         美倉の「異常性欲」はきわめて強く、それを克服するためにボクシング、俳優稼業、謡曲、ボート、馬、剣道などにのめり込み、それがまた、ファンを増やすように機能していましたが、「バルボラ(作中ではカタカナ表記)」には、彼の行動が客観的に見ることが出来、たとえば美倉が「マネキン人形」に恋したり、「美しいメスイヌ」に恋したりしたとして、美倉を現実に引き戻すなどの役を果たしたりしました。


         この2人の関係に、転換期が訪れます。ルッサルカというアフリカの作家が政治活動で敗れ日本に亡命してきます。彼は「バルボラ」を見るなり、正確にその名を言い当て、「また私の傍に帰ってきて欲しい」と懇願します。でも「バルボラ」は「あんた、嫌い」とすげありません。ルッサルカが言うには、「「バルボラ」はミューズ(芸術の女神)だ」。

         さすがに美倉は最初、酒の上での寝言か、と相手にしませんが、ルッサルカ自身が「ブードゥー」の呪いのため、政敵に暗殺されることもあり、「バルボラ」がミューズであり、しかも魔女であることを徐徐に納得していきます。

         その「バルボラ」、それまで美倉に見せていなかった極めてセクシーな姿を見せ、「先生の奥さんになろうかと急に思ったんだ。フフフ。」と囁くと、美倉はその魅力に対抗できずに、体を合わせます。(それまで一度も「バルボラ」を抱く気にはならなかった美倉ですが。)

          そして「結婚式」・・・極内密で行われる「黒ミサ」ですが、この式が無事に完了すれば「バルボラ」は永遠に美倉に芸術上のインスピレーションを与えつづけることになるところでした。

          ところが、この式のことを美倉からほの聞いていた出版社の社長・・・この男は娘を美倉の嫁にと考えていた・・・がマスコミに通報していて、踏み込まれ、「バルボラ」は嘆き悲しみ、号泣します。「淫らなヌーディスト・パーティー」の話題がマスコミの紙面を飾ります。

          この一件での「バルボラ」の落胆は大きく、美倉を憎み、以後美倉の記憶は母のムネーモシュネー(記憶を司る女神)によって消去され、以後美倉はその意味でまるで「逃げ水:蜃気楼の一種」を追いかけるように「バルボラ」を追いますが・・・(この本が入手可能な人は、ぜひ続きを読んでください。)

         美倉は、実際、狂気に満ちた男でした。また、その妻になる予定だった「バルボラ」も、芸術の守り神であると同時に狂った「魔女」でした。狂気が芸術を産む・・・この辺の消息についてもよく考えさせてくれる作品です。角川書店から上下2巻出ています。

        なお、手塚氏はオッフェンバックのオペラ「ホフマン物語」をよくBGMにしたそうですが、E.T.A.ホフマンという小説家は、「砂男」など、幻想的、怪奇的、猟奇的な作品を残していて、それをモデルにしたかったらしいですが、本人が言うにアクが強すぎ、オカルト・テーマに傾斜したそうです。この「ばるぼら」を執筆したのが、ちょうどオカルトブームの前夜だったそうです。(著者本人によるこの作品の解説文より。)

        また、芸術論で有名なものとして、ニーチェの言う「アポロン的なもの、ディオニュソス的なもの」というのがありますが、前者は「理性的、清潔、明、陽」をイメージしますが、後者は「本能的、淫猥、暗、陰」をイメージします。本作「ばるぼら」は、ディオニュソス的なものをモチーフにしていると考えて間違いないでしょうね。
        >> 続きを読む

        2012/10/09 by iirei

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    • 1人が本棚登録しています
      鳥人大系
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      いいね!
      • 久々に読みたくなって購入。
        最初に読んだのは小学生の時、市の図書館にて。手塚治虫の作品は何故かどこの図書館にも一定量あるんだ。一部を除き、結構ねじくれた内容なのに……。
        鳥人大系は言ってしまえば「猿の惑星」の鳥版。猿の惑星が68年に公開され、今作は71年の作品になる。
        全般皮肉が効きまくった内容で、手塚治虫の良くも悪くもな本性全開。
        とてもオススメ。
        >> 続きを読む

        2017/04/29 by れのお

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    • 1人が本棚登録しています
      鉄腕アトム
      4.0
      いいね!
      • この鉄腕アトム13巻「地上最大のロボット」を元にしたPluteを読んだので、原作も、と思い読んでみました。

        鉄腕アトムは子供の頃にアニメが大好きでしたが、ぼんやりとした記憶しかなく、初めてきちんと漫画を読みました。アトムの誕生日が2003年。この漫画の発売当時はパソコンもまるで普及していない時代だったにもかかわらず、2003年にはアトムの世界になるというストーリー、夢があります。

        ちなみにPluteで主人公のゲジヒトは一瞬しか出てきません。
        >> 続きを読む

        2011/07/25 by chao

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    • 2人が本棚登録しています
      アドルフに告ぐ
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      4.0
      いいね!
      • アドルフに告ぐ 第1/全5巻

        手塚治虫作品として名前だけは知っていたが、内容は全く知らなかった。

        タイトルからヒトラー関連だと言う想像はついていたものの、舞台のひとつが日本だったのは意外に感じた。

        しかし、作中でも触れられている通り、当時の日独関係を考えれば、当然関係は強固だったはずで、突飛な設定とは言い難い。

        全5巻の導入部なので、とても全体が見渡せる状態ではないものの、ヒトラーが実はユダヤ人だった?的なミステリー要素も面白そうだ。

        ベタな感想では有るが、マンガと言う子供にも訴求する媒体を使って、人種差別の悲劇と平和の重要性を訴えるのは、とても意義深いことだと再認識した。
        >> 続きを読む

        2015/01/24 by ice

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    • 1人が本棚登録しています
      きりひと讃歌
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      5.0
      いいね!
      • 手塚治虫氏には大きく分けて、少年誌と青年誌の作品があり、「鉄腕アトム」「リボンの騎士」「ジャングル大帝」「ブラック・ジャック」などは少年誌。

        「奇子」「人間ども集まれ」「MW(ムウ)」そし「きりひと讃歌」などが青年誌の代表作だと思います。

        そのなかでも「きりひと讃歌」を初めて読んだ時の衝撃は、私のそれなりの読書歴のなかでも、いまも醒めることはありません。

        本作には人間の弱さ、醜さ、優しさ、素晴らしさなどがすべて、それも見事にドラマチックに描かれています。

        手塚治虫氏については「鉄腕アトム」「ジャングル大帝」などの印象しかない読者の方は、読む時にはそれなりの覚悟と大いなる期待を持ってください。

        私にとって手塚治虫氏の長編の代表作は「きりひと讃歌」です。

        >> 続きを読む

        2017/08/29 by アーチャー

    • 2人が本棚登録しています
      アドルフに告ぐ
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      4.0
      いいね!
      • 友人の勧めで読みました。
        とにかく凄いです。まるでトルストイの「戦争と平和」のような作品です。(小説ではなく漫画ですが)

        日幼少期に友人として日本で育った二人のアドルフ、一方はアーリア系、他方はユダヤ系ドイツ人。時代は第二次世界大戦に突入していき、日独は軍国主義に突き進む。イデオロギーと民族主義の戦禍が二人を分かち、非情な運命の歯車が回り始める。史実に沿った舞台の中で、アドルフ・ヒットラーの出生に関する極秘情報を巡る諜報戦のオリジナルのストーリーが展開される。諜報戦に巻き込まれた峠という名の記者と二人のアドルフの視点から、狂気と悲惨の時代を生々しく描かれる。

        各人のストーリと、この時代の空気そのものがこの作品に封じ込められています。折しも敗戦を覚えるこの季節にこの作品を読み、正義とは何か、情報・言論統制と思想弾圧が何をもたらすか、などと考えさせられました。

        手塚治虫作品は子供向けだと勘違いしていましたが、とんでもない。私はあまり漫画は読まないのですが、もういくつか、手塚作品を読みたくなりました。
        >> 続きを読む

        2017/08/14 by 空っぽの殻

    • 2人が本棚登録しています
      どついたれ
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      3.0
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      • 手塚治虫氏は死の直前まで連載を抱えていたので、未完成のままの作品が何冊かあります

        一応"全集"と銘打っているため、 手塚治虫文庫全集にはそういった未完の作品も発売されております。

        しかしながら本書は連載時の不人気、そして掲載雑誌の都合により未完成となった作品。

        僕自身手塚治虫のフリークですが、青春&根性ものに近い本書は、残念ながら好みの手塚治虫作品ではありません。

        なので、正直レビューを書くのもどうかと思いましたが、 手塚治虫氏にはこういった系統の作品もあることを知っていただきたいと思いましたので、レビューを書かせていただきました。
        >> 続きを読む

        2017/11/18 by アーチャー

    • 1人が本棚登録しています
      きりひと讃歌 - 1
      5.0
      いいね!
      • 手塚治虫はもともと医師で、医学を取り上げたマンガには、他の追随を許さぬものがあります。「ブラック・ジャック」がもっとも有名ですが、「陽だまりの樹」・「きりひと讃歌」なども名作です。

         今日は長編「きりひと讃歌」を取り上げます。70年代、奇妙な病気が人びとの耳目を集める事態になっていました。それは「モンモウ病」。・・・顔がイヌのようになり、四肢にも変形が起こります。体毛も濃くなり、あたかもイヌやキツネのような外観になってしまうのです。また、無性に生肉が食べたくなり、死にいたる患者も多いです。
         
         M大学第一内科の教授:竜ヶ浦は、この病気を「伝染病」だとしていて、「風土病」であるとする小山内桐人(おさない・きりひと)のレポートを無視します。さらに、「きりひと」をモンモウ病の患者が多発している四国の犬神沢に派遣します。ここに、竜ヶ浦の陰謀があったのです。

         竜ヶ浦がそのときもっとも欲していたのは、「日本医師会会長」の椅子であり、それに推挙されるための実績作りで「モンモウ病」を「伝染病」にする必要があったのです。それに異を唱える「きりひと」をモンモウ病に罹患させ、死ぬなりなんなり、医学界から抹殺するつもりだったのです。とんでもないマキャベリストです。そして、世界に「モンモウ病・ウイルス説」を発信し、みごと日本医師会会長の椅子を手に入れます。幸福の絶頂!!

         一方、犬神沢に派遣された「きりひと」は、村ぐるみの陰謀(竜ヶ浦の意向)のなか、果たしてモンモウ病に罹ってしまいます。そこから、彼の流転の人生が始まります。犬神沢の現地妻・「たづ」はホームレスの男に強姦されて死んでしまうし、拉致されて渡った台湾では見せ物にされます。(催淫剤を飲ませたメスイヌとまぐわせるとか。)ここで知り合った人間テンプラ:(コロモをつけてゆだる油の中に入り、コロモの表面が揚がったところで取り出す)を芸にする麗花とパレスチナに飛び、芸の最後、すくいあげる柄杓(ひしゃく:大きなオタマのようなもの)が折れて、湯だった油の中のコロモに包まれた彼女を引き上げそこない、本当に麗花がテンプラになってしまうとか・・・

         そして、パレスチナに居を定めた「きりひと」は、周囲の村々から来る貧しい人たちの診療をこととするようになります。そんなある日、ふと「竜ヶ浦」がモンモウ病「伝染病説」を学会で発表したことを聞き、ここに至って、竜ヶ浦の野望のため、自分は犠牲にされたと気付き、復讐を誓います。それは、社会的な復讐はもちろん、モンモウ病が「伝染病」か「風土病」かという論争の決着です。

         ところが、その竜ヶ浦も、モンモウ病を発病します。種を明かせば、彼は「智恵水」という例の犬神沢から取ってきたミネラル・ウォーターを愛飲していたのです。ドイツのマンハイム教授は、「水に微量含まれる希土類元素が放射線を発し、体の変形を起す」という結論を世界に向けて発表し、竜ヶ浦を呆然とさせます。そして、「智恵水」の成分をM大学でやったところ、ウイルスは発見できず、マンハイムの言うとおり、希土類元素が検出されたのです。これでモンモウ病=風土病と決まりましたが、竜ヶ浦は認めようとしません。

         まるでブルドッグのような風貌になった竜ヶ浦、シェパードのような「きりひと」には、「私が認めない限り、決着は着かん。」スタッフには「私が死んだら、解剖して伝染病であることを示せ」と言って事切れるのです。

         そして「きりひと」は、またパレスチナに戻り、許婚の女性(この女性も、この騒動に巻き込まれて散々苦労したひと)が後を追います。大団円。

         「きりひと」という名前は、もしかしてキリストを意識してつけたものかも知れない、とふと思いました。重い十字架を背負うというコミックの表紙にある画像なんかそのように意識しているのかも知れません。

        最後に:陰険で陰謀家の竜ヶ浦、理想主義者であると同時に逞しい生活者である「きりひと」。人間類型としても面白い組み合わせです。「きりひと讃歌」は、手塚作品の五指に入るでしょう。この臨場感は、司馬遷の史記にも匹敵する気がします。なお、このマンガが描かれた当時、山崎豊子さんの「白い巨塔」という外科医を主人公とする医師の権力争いがテーマの作品があり、手塚氏はこの作品を意識したという説もあります。手塚作品としては、奇を衒うことのない・正統派のヒューマニズムあふれる作品です。

        昭和45年4月10日号~46年12月25日号 ビッグスピリッツ連載

        *希土類元素とは、今話題のレアアースのことですね。でもこの元素たちが病気を起こすという話は聞かないですね。
           
        >> 続きを読む

        2012/10/13 by iirei

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    • 2人が本棚登録しています
      Black Jack The best 12stories by Osamu Tezuka (1) (秋田文庫)
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      4.0
      いいね!
      • 医療漫画で一番に出てくるのはやっぱりブラックジャックですね!

        孤高の天才医師ブラックジャックと助手ピノコの物語です。
        作中には様々な職業・人種の人が登場し、1話完結型で物語は進行
        していきます。そこには情があり愛があり楽しさがあり、
        残酷さもあり非常に人間味にあふれた物語になっています。

        生きるということはどういうことか、死ぬということはどういうことか。作者が伝えたかったことは何なのか。
        手塚先生は素晴らしいなぁと子供ながら思った作品でした。
        漫画と侮らずに一度読んでみてください。

        ちなみに僕が好きな回は・・・ちょっといっぱいありすぎて
        書ききれないですね。
        >> 続きを読む

        2013/12/05 by hikaru1121

      • コメント 8件
    • 6人が本棚登録しています
      どろろ
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      5.0
      いいね!
      • 天下を取りたいという父親の欲望のために、目、口、耳、鼻、手足など体の48カ所を48の妖怪に奪われた姿で生まれ、捨てられた百鬼丸。
        拾って育ててくれたやさしい医者は、義眼義足などあらゆる物をつくり見た目はふつうの人間とかわらないようにしてくれた。しかし、妖怪に狙われるようになり一人旅に出ることに。

        「おれが目も見えねえ耳も聞こえねえとバカにしやがって・・・
        見えなくったって 心の目ってもんがあらあ」

        妖怪を倒せばひとつずつ取り戻せると知った百鬼丸は、
        幼くして両親と死に別れ一人で盗人をしながら必死に生きてきたどろろと出会い、
        ともに妖怪を退治しながら旅を続ける。

        「今の世の中はな シアワセなんてありゃしねえや ただ 自分だけを頼りにしてりゃそれでいいのさ」
        盲目のびわ法師。何者!?

        「おれは目も見えず・・・耳も口も鼻も手も足も みんなだめなんだよ。おれにはなんにもできやしない・・・」という百鬼丸を、盲目の琵琶法師がいくさで焼けた村の焼け跡に連れて行き、手のない子、足のない子、目の見えない子、焼けただれた子たちが明るく元気に生きている姿を見せる。

        「この子たちは気の毒だ。だれもかまっちゃくれねえんだ。
        だがよ 見なせえよ この子たちが一生懸命生きようとがんばってるかを・・・・  
        おまえさんは・・・なぜひとりでがんばってみねえんだい?」

        「人間のしあわせちゅうのは「いきがい」ってこった・・・

        おめえさんが妖怪を倒す・・・
        手が生え足が生え、目があいてふつうの人間になれるときがくる
        それからあと おめえさんはどうする?
        何を目標にくらす?

        ・・・今度はおめえさんは はっきり目的をもって そいつらを倒していくんだ」

        「おめえさんにかかっちゃ 天上天下四方八方死に神だらけだ
        死に神だろうが びんぼう神だろうが いたっていなくたって 関係ねえこったろうに・・・

        な おめえさん 人間ってえのは くよくよしていちゃ 小便すら満足にできねえよ」

        お釈迦さん?



        生きる勇気。全ての生命へのやさしさ。

        権力者の欲。ゴーマン。

        異形者、よそ者を排除しようとする村人の愚かさ。

        手塚さんらしいユーモアもある。(水木しげるに対抗していたらしい) 

        1967年~1969年の作品。だが、現代にも通じるものが多い。
        全3巻。一気に読めた。とてもおもしろかった。
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        2013/05/12 by バカボン

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      マンガの描き方 似顔絵から長編まで
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      3.0
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      • マンガ会の世界の巨匠、手塚治虫氏によるマンガの描き方指南。

        道を極めるには対象を真剣に愛する姿勢が必要と痛感。

        マンガは誰にでも描ける。というスタンスで、絵の描き方、筋書きの発想法、マンガとしての仕上げ方などを紹介している。

        基本的には技術的な話が多いのだが、要所要所に手塚氏のマンガに対する熱い思いが見え隠れし、道を極めた世界の巨匠の考えに触れることが出来るのが勉強になった。

        正直、絵の才能については完全に諦めているため直接的に参考になることは無かったが、ストーリーの発送方法などは、一部プログラムの世界とも通ずるものが有り、軽い驚きとともに、ともに創造力を求められる作業で有ることを再認識した。

        手塚氏の作品について、多くの作品が存在することは知っているが、読んだことが有る作品となると、実は非常に少ない。

        文庫本に比べマンガを読む量が圧倒的に少ないのは、主な読書習慣が通勤電車内だからなのだろう。

        自分も含め、惚れ込めるような仕事を持てる人は幸福だと心底思う。
        >> 続きを読む

        2011/12/14 by ice

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【手塚治虫】(テズカオサム) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)

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