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中国古典を舞台に散り際を飾った刺客達を描く短編7作。生命を狙われる大物側だけでなく、狙う側の様々な事情/心境が丁寧にフォローされている。これまで、刺客イコール暗殺者のイメージで捉えていたため、毒や吹き矢などを用いて闇から闇へ葬る技術に長けた人達と考えていた。しかし本作品で活躍する刺客達のほとんどが、自身の逃走のことなど全く考えず、ただ狙う相手の生命を奪うことのみに全神経を集中した結果、やり損じの少ない真っ向正面から立ち向かう手法を選択していることが印象的だった。本作品は殺す側の論理を深く掘り下げているため、他の刺客モノ作品とは一線を画している。時代背景は有りつつも、当時の男性達の腹の括り方には、もはや恐怖さえ覚える。どの話も短編とは思えないほど濃縮された臨場感を味わわせてくれる素晴らしい作品群で有る。 >> 続きを読む
2011/04/13 by ice
中国の歴史にまつわるエピソード集。わずかなフィクションを盛り込むことで歴史をより魅力的に表現している。歴史を題材とした場合、小説では俗に歴史のifと言われるフィクションが存在するものの、本書のようにエピソードをまとめたものは、事実や伝承に忠実で有るものが多いように思う。本作品も基本的にには事実や伝承に軸足を置いているものの、時に大きくフィクションの世界に逸脱する勇気を持つことで、作品をより魅力的にすることに成功している。具体的な例を上げると、三蔵法師とマホメット。彼らは同世代では無いものの、生存期間には重複が会ったらしく、もし同じ場所にいた場合、接点を持つ可能性が有ったらしい。史実では彼らが接点を持ったという記録は無いらしいが、著者が言うように、これほどの宗教的影響力を持つ二人が同時代に生きていた奇跡。これに比較すれば、旅の途中に顔を合わせたかもしれないくらいの脚色は許容されてしかるべきだと思う。他にも「逆鱗」の意味など、知的好奇心を刺激するものが多々有った。 >> 続きを読む
2012/02/20 by ice
中国の偉人達を紹介する短編集。それぞれ印象的な作品で、お得感が有る。ここのところ中国の歴史モノを手に取る機会が多くなっている気がするが、おそらくそこから学ぶことが多いことに気付いたからで有ろう。仏教儒教文化というか、西洋民族とは異なる価値規範を共有する文化圏の話なので、頭で納得する前に、ハートで納得できるようなところが有るのだろう。本作品は7つの短編で構成されており、どれも印象的。全体的に多く感じるのは、正直者が最後は得をするというような訓戒めいた話。これは東西を問わないような気もするが、儒教文化圏では、より求められる清廉潔白さの度合いが上がっているように思う。短編というわずかなページ数の中で、ここまで凝縮した内容を詰め込める秘密は、著者の技量なのか、それとも題材となる元ネタそのものに起因するものなのか。その両方が伴う必要性が有るのは当然だが、どちらの要素が強いのか興味が有る。敏く生きる柔軟性も必要だが、一本芯の通った男で有りたい。 >> 続きを読む
2011/12/07 by ice
【伴野朗】(トモノロウ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)
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