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我々の世界とは一風変わった世界を、ただただ旅するラゴス。我々が「旅」というとどこかへ羽をのばして……写真を撮り、旨いものを食い、温泉に入って、お土産なんか買って帰ってくる……というものだが、ラゴスは違っている。我々の旅は数日で家に帰ってくる旅行なのだが、ラゴスは家へ帰らない。実家に戻った時ですら、「ここは旅の中継地点なのだ」と考える、それがラゴスなのである。旅先で起こる出来事。捕虜になり奴隷として労働を強いられるときもあれば、国王にまつりあげられることも。訪れるその地その地で、ある一定の立ち位置を獲得し、それを受け入れていく。旅先で逢ういとおしき人。心を通わせ、語り合い、ときには女性と愛し合う。だがラゴスはずっとその場所にとどまらない。「ここにいてくれ」と懇願する人を置いて、ラゴスはまた旅に出る。どれだけそこが心地いい場所でも、どれだけ愛する人がいても、ラゴスはやはり旅に出る。危険な炭鉱で働かされたり、部屋にこもって本を読みふけったり、昔出会った女のことを思い返したり……これは、ラゴスの旅の物語ではなく、ラゴスという人物の物語なのである。ただただ放浪するわけではなく、かといって確固とした理由があるわけではなく、何かを求めてひたすら旅をする。ラゴスという人物が旅そのもの、まさに彼は「旅のラゴス」なのだ。薄めの分量に対し、この重厚感。この満足感。素晴らしい作品である。これだから読書はやめられない。 >> 続きを読む
2021/01/18 by 現場猫
5月の課題図書。筒井康隆さんの作品を読むのは初めてです。あまりに有名なタイトルで、幾度となく映像化されていることは知っています。内容は、なんとなく知っている程度。そんな「時をかける少女」超初心者の私が驚いたのは、一本の映画になっているこの作品が、わずか110頁ほどの短編だったこと。ページ数の少なさにも関わらず、全体的にあっさり描かれているにも関わらず、濃密な短編小説でした。ラストの余韻がとても素敵です。ラベンダーの香りが、朧げな記憶をかすかに呼び覚ます。ほんの少し一緒の時を過ごした、思い出せない誰かのことを。ああ、なんてロマンチックなんだろうと思わせてくれるラストです。しかし、全体的に古くさい言葉遣いが気になりました。昭和51年が文庫本の初版なので当然ですが、イマイチ物語に入り込むことが出来ず。他2作の短編も、まずまずでした。 >> 続きを読む
2020/07/03 by あすか
【『推理小説史上初のトリック』というのが裏表紙に書かれているPR文なんですが】 この作品のレビューは大変に危険です。 ネタバレしないことにはこの作品の真の醍醐味を伝えることはまず不可能だからです。 『ネタバレ注意』と断ってレビューすることも可能ですが、ミステリに関してはそれはやらないと自分で決めているのでそうもいきません。 ネタバレしないようにこの作品のミステリとしての意義をどの程度伝えられるのか、大変心もとないのですが、やってみましょう。 事件はある別荘で起きた拳銃を使った連続殺人事件です。 凶器の拳銃は、おそらくあれだろうということは読者には早い段階で分かるようになっています。 また、第三の事件は殺された被害者の視点で語られていますので、犯人がどのようにして被害者の部屋に入って来たのかについても述べられており、その辺りから読者には犯人がかなり推測できるようになっています。 おそらくあの人物だろうと、目星がつくことでしょう。 しかし、本作のコアなトリックはそこではないのです。 この作品のトリックを類別することは可能であり、それは〇〇トリックということになるのですが、それを書くことははばかられます。 PR文に書かれているように、本作のトリックがミステリ史上初なのかどうか、確認まではしていませんが、普通は使わないトリックということは理解できます。 何故かと言えば、それは本格ミステリの約束事からすれば、このトリックは『アンフェア』だという強烈な批判を招きかねないからです。 本書巻末の解説でも、本作がアンフェアかどうかが論じられており、解説者は自分はそうは思わないと書いています。 この点については両様の意見があり得るでしょう。 アンフェアかどうか物議を醸した本格ミステリとしては、『アクロイド殺し』などがその最たるものではないかと思うのですが、私の個人的意見では、本作はアクロイド以上に問題がある作品だと思います。 私は、アクロイドはアンフェアだとはまったく思わないのですが、本作に関しては「微妙」という意見です。 もちろん、それは本作を否定しているのではなく、あくまでも本格ミステリの決まり事に照らした時にどうか?というだけのことです。 本作のような作品が書かれたこと自体については評価できると思うのです。 本当にこれ以上書くことができないのですが、一つだけ、私が本作を読んでいる間に感じたことを書いておくことにします。 私は、本作を読んでいて、「なんとも分かりにくい書き方だ」と、ずっと違和感のようなものを持ち続けながら読み進んでいきました。 「文豪筒井康隆ともあろうお方が、もっと分かりやすく書けば良いものを」と思いながら読み進めて行き、時々分からなくなってページを戻って読み直したことも何度かありました。 あぁ、もう本当にこれ以上は書けません。 この辺でご勘弁を。読了時間メーター□□ 楽勝(1日はかからない、概ね数時間でOK) >> 続きを読む
2021/01/14 by ef177
電車で読んでたのに構造主義の授業に入るところで笑っちゃって声が出ちゃったよまったく。学生のころにみんな読んでたから、なんとなく避けてたけど読んでみたらおもしろかった。文化系の学部だったので懐かしい単語や人名盛り沢山。こんなに学術的な内容と現実に起きた事件と小説を混ぜて話にするなんてスゲーなと思う。ちなみに初筒井だった。 >> 続きを読む
2018/10/27 by W_W
映画版は2度鑑賞済み。小説版は過去1回読むのを断念している。その様ないきさつがある作品。今回読んでみて、最初ははっきりと話の筋を追えていたが、話の終盤になるにつれ、夢と現実の区別がつかなくなり、読んでいて訳が分からなくなった。あと、性描写が結構多くあとがきで女性誌で連載していたと知り、その雑誌の読者はこの小説を受け入れていたのかなという疑問がわいた。じっくりと時間をかけて読むタイプの本かなとも思います。話は後半分かりづらいが、設定は面白いと思ったので、時間をおいていつか再読をしてみたいと思う。映画版は今敏さんで映画化されています。こちらの方が自分的には話が解り易いかなと思ったので、アニメ→原作の順で取り掛かっていく方が理解できるかと思います。 >> 続きを読む
2017/08/27 by おにけん
▶「BOOK」データベースより)童貞歴一千年孫悟空が、神と畜生の垣根を乗り越えて、観音様と禁断の関係に踏み込むポルノ版西遊記「魚籃観音記」。市街戦が発生するなか、ホームドラマのロケ隊が“日常的描写”にこだわって撮影を続ける倒錯状態を描いた「市街戦」。他に「分裂病による建築の諸相」「谷間の豪族」など全10編を収録。ポルノ、スラップスティック、ホラー、ジャズと筒井ワールド満載の絶品短編集。▶内容(「MARC」データベースより)駘蕩たる南風が悪いのか、観音様と孫悟空が禁断の関係に。度肝を抜くポルノ西遊記ほか、猛毒ドタバタ、ジャズ愛、甘美な幻想、全部入った作品集。--このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。 >> 続きを読む
2018/05/23 by rikugyo33
世の中から音が消えていく。そして、その世界は自分の創作の中の世界だと認識しながら進んでいき、最後は…とんでもない発想だと思うけど、面白くはないやっぱり、言葉が制限された状態ではわかりにくいし、広がりもなかった。仕方がないけど。発想を表現しているので、面白さは求めてないのかもしれません。自分が子供のころ、本作に影響を受けた漫画があって、すごいこと考えるな~って思ったものです。その元となった本作とその漫画の作者さんにも改めて尊敬です。でも、内容は面白さは感じなかった。 >> 続きを読む
2020/03/23 by ryoji
たとえ誰が読んだとしても、その人相応の楽しさを見出せる作品は、ただそれだけで価値がある。 『わたしのグランパ』はそんな作品だ。中高生にとっては、読書感想文の恰好の題材だし(薄くて読みやすく、自己体験と絡めやすい)、中高年にとっては、若い時分には考えもしなかったことを考えさせられるかもしれない。誇張を恐れずにいうと、三世代にわたって楽しめる。こういう本は貴重である。わたしは「斜めの関係の大切さ」について考えてみた。 その前に少しあらすじを語ろうか。中学生の五代珠子は、学校や家庭に深刻な問題を抱えていた。そこに刑務所から祖父謙三が帰ってくる。それから幾度かトラブルを乗り越えた末、すべてが快方に向かっていく。かなりご都合主義だが、この辺は仕方ないだろう。 話を私見に戻します。 ちょいと昔、ビジネス誌を読んでいたら(日経ビジネスだったかも)、斜めの人間関係の特集に出くわした。しかし、そのときは通り過ぎる新幹線を見るようにページを繰った。もちろん考える暇などなかった。 ところが、その少し後に教育関係者の人と話す機会があって、こんなお話をされた。 「斜めの人間関係が重要なんですよ。核家族化のいちばんの問題かもしれません」わたしは話が上手く飲み込めず、『男はつらいよ』の寅さんと満男くんみたいな関係ですか?と訊いたのだが、向こうが寅さんに不案内で困った。そこで国民アニメ『サザエさん』を思い出し、裏のおじいちゃんと磯野家の関係ということでケリがついた。やはり長谷川町子は偉大である。 『わたしのグランパ』を読んでいたとき、「斜めの関係の大切さ」が頭以外の部分でも分かる気がした。頭以外の部分、そこが何処なのかが大事なのだが……。 >> 続きを読む
2015/02/02 by 素頓狂
大学で文学や哲学をかじった方ならば、これよりも良いガイド・ブックはあるかと……というよりも、啓蒙を批判するはずの小説、のはずなわけですが。 >> 続きを読む
2015/10/15 by aaa
まだ手を出せていないピンチョンの重力の虹を矮小化したら、こんな感じなのかなと思えそうな作品です。(手を出せていない作品で喩えるのも変な感じですが・・・あと、褒め言葉なはずです、たぶん)あらすじとしては、気がつくと、同じなのにどこか違う世界にいた男が、元の世界へと脱走を計ろうとする物語です。しかし、内容はドグラ・マグラを酷くしたような方向性で、ドグラ・マグラがしっかり作られてることを実感できる貴重な本かもしれません。(もっとも方向性としては、重力の虹の方が近そうです)ちなみに、ドグラ・マグラを酷くした感じだからといって、決して発狂することはございません。発狂することはございません。発狂しているのは、この主人公であって私ではございません。私は決して主人公ではございません。緑色の服の男でも、ましてや正子でもございません。ですから、発狂してはございません。 >> 続きを読む
2015/06/09 by ミコト・T
絶世の魅惑の美女・ビアンカが通う高校で、その美しき薫りに当てられた男子諸君が色欲に狂う中で、誰にも邪魔されない放課後の実験室で、倫理を越えた実験に励む事で、時を駆ける壮大な冒険が始まる物語。かつてない超自然的現象は、美しき薔薇の薫りに誘われる。歴史上の偉人の大業を振り返ると、いくつもの共通点があり、凡俗の理解の範疇を越えた偉業を決断出来た所にある。躊躇も恐れもなく、只一心に導かれるままに、奇跡の調べを奏でる。全てを捧げ、犠牲にしたからこそ、奇跡は当然の帰結として起こり、我々はそれを美しいと感じるのだ。 >> 続きを読む
2019/11/19 by ebishi
SF作家だったはずなのに、なぜか、ブラック&スラップスティック作家になってしまった。とにかく、強烈なプロットなので、読んだら忘れない。作品的には傾向はバラバラなのだけれど、それでも筒井ワールドになっていて、どの作品もタダものではない。知的マリファナなんてコピーが書かれていたけれど、確かに世間には、筒井中毒患者がいたものなあ。短篇集全13篇。「佇むひと」 哀愁と恐怖のつまった切ないSF作品。それでいながら、まるごと冗談でもある。 こういう味を出せる人を、他に知らない。「如菩薩団」 団地の主婦8人組の秘密とは、恐るべき事件と関わることだった。 一度読んだら忘れません。恐ろしすぎて。「「蝶」の硫黄島」 銀座の文壇バーに集まってしまった、硫黄島の生き残り兵たち。 シュールな作品だが、単なる風刺や冗談ではないことが ラストの印象的な一言に込められている。 この時代(1970年代)、戦争はまだリアルだったのです。 軍隊経験者の多くは50代だったので、バリバリの現役が大勢いました。 年配者が集まれば、飲むと軍歌は当たり前。 正直、ついふた昔前までは、結構うざかったです。 そんな時代の空気がここに生き残っていました。驚いた。「ジャップ鳥」 外人コンプレックスを持つ、卑屈な日本人を弄ぶ。 筒井の人の悪さと共に、まだ若いんだな。と感じます。「旗色不鮮明」 引っ越したこの町は、とんでもなく住みにくい町だった。 筒井お得意の政治・宗教ネタ。 特定団体に所属することへの徹底的な嫌悪感が表現されています。 旗色不鮮明なのは、私も一緒ですよ。ご同輩。 「組織に入って安住しない」という決意表明を護るには、 いかに固い決意が必要であるかを思い知らされます。「弁天さま」 あ~…。男の人はこの話、好きかも。 ま、くだらないジョークなのですが、 伏字の×××が猥褻な言葉を書かれるよりエロいってのは新発見。「モダン・シュニッツラー」 … 筒井しか書けない。 というか、こんな恥知らずな作品は彼以外書かない。 ここを乗り越えられれば、彼の世界に浸ることが可能な耐性ができた証です。 「その情報は暗号」 ブラックなコントみたい。 昔のタモリあたりがやったら似合いそう。 オチはそれまでのおふざけのバカバカしさを吹き飛ばすものです。 「生きている脳」 考えられうる最悪の状況。といったら、この状態。 自分だったらと考えたら気が狂ったほうがまし。 実は、ロアルド・ダールの作品だったように勘違いして記憶していました。 精密に書き込んでいけば、本気で最高の恐怖作品になるでしょうに。 この軽薄さが筒井なんですよね。「碧い底」 SF作品。日本は水没し、人間は半魚人に進化している。 地表はメタンガスが充満し、町は海の底で蒼黒い淀んだ海水に満たされている。「犬の町」 その町の夜は飲み屋と犬だけが存在している。 単なるスケッチというものを試してみました。「さなぎ」 面白い。けれどそうとうダークな作品。 SFの形式はとっていますが 普遍的な人間の心理の迫る話。 筒井はフロイトに傾倒したことがあるそうだから、その影響か。 父と子に限らず、虐待の連鎖というものは、現代の病理です。 ただし、父親の権威が現代、ここまで雲散霧消するとは予想できなかったようです。「ウィークエンド・シャッフル」 筒井の最高傑作。 そして、スラップスティックの代表作でもあります。 とある日曜日。 新築の一軒家に住む幸せな若い主婦を襲った「息子の誘拐事件」 不幸は連鎖し、次々に舞い込む不幸のデパートと化す。 この家はどうなっちゃうのだろうか? 笑いって時代を超えるんです。 とりあえず、彼の全盛期を知りたいなら、この1作品だけでも読んでみて、 受け付けるかどうか、確認してみるのはいかがでしょう? ふざけるにもほどがある。と感じるか、面白くて笑っちゃうか。 あなたはどちらでしょうか? >> 続きを読む
2012/10/19 by 月うさぎ
ひとの心の中がわかってしまう七瀬。七瀬はその力を隠してお手伝いとして様々な家庭で働く。その七瀬の物語、八篇。ひとつひとつが短く読みやすい。皮肉もあって笑わせるところも多い。随分前の作品で、若い女性のどれだけがお手伝いとして働いているかわからないが、戦前のようには多くないと思う。そのため、隠しておきたい力があるためお手伝いをするという発想がよくわからないので、そこにもう少し説得力があると更に良いと感じた。家庭に入り込む仕事であって、心の中がわかってしまうため揉め事や騒動が起き、そういった悲喜こもごもを面白おかしく書いてあるのかと思いきや全く違っていた。実際、騒動は起きないこともない。でもそれは七瀬が多分に悪意を持って引き起こしている。ひとの心が見えてしまえば、笑顔の下で自分に向けられた悪意や憎悪、性的対象としての好奇といったものがわかり、相手に不信を持っても仕方ないところもあると思う。作品に出てくるひとびとは、どちらかと言えば汚い面を持つひとびとだ。でも、そんなことは誰でもそうだろう。自分の手は汚さずに、責任を負えない負うつもりもない状況で、それなりに均衡を保っている家庭を壊す権利などない。自分は安全な場所にいて、波風を立てるだけ立てたら去っていくとは随分身勝手で太い神経の持ち主だと思う。この七瀬の物語はどうやらシリーズものらしい。ということは人気もあるということなのだろう。他のかたのレビューを読んでも皆さん面白く七瀬がカッコイイといった好意的なものが多かった。わたしが世間とズレているらしい。かなしい。七瀬シリーズを今後読むのかは今のところ不明。 >> 続きを読む
2015/12/26 by jhm
本作を読んだのは、もう数十年前の高校生時代のこと。"号泣必至"と呼ばれた小説で泣いたことなんかないけど、お恥ずかしながら初めて私が読んで泣いた小説は本作です。なので、相当クセのある内容と展開ですが、数ある筒井康隆氏の作品のなかでも本作にはかなり思い入れがあります。筒井作品は「時をかける少女」しか読んだことのない読者にあえてオススメしておきます。あえてね(笑) >> 続きを読む
2017/07/25 by アーチャー
絶妙に気持ちわるい!筒井ワールド満載の一冊!同性愛、多重人格、マゾヒズム、動物への肉愛。…こう聞いただけで「ああ、炸裂してるなあ」と思いませんか笑容赦なしのこの一冊にどうぞ惹き込まれてください! >> 続きを読む
2016/08/18 by botan
皮肉たっぷり毒たっぷり。 ボケ満載のSFワールドの中で、ツッコミはリアル。 ショートショートだからそのテンポがいい。 45年前の本なので、今ではタブーな表現もあるけれど、それも含めて楽しめた。 教訓めいた「ダチョウ」と長編で読んでみたい「末世法華経」アホらしくて楽しい「笑うな」 もう一度読み直したくなるのはその3編かな。 長編小説の読後、ショートショートはいい休憩に。 >> 続きを読む
2020/06/12 by NOSE
何年か前に深田恭子主演でやっていたドラマの原作です。祖父が悪いことをして稼いだ大金を派手にお金を使って事件解決という点は大体同じなのですが、ドラマの方が演出が派手なのとなにより主人公の性別が違います。筒井康隆さんの本にしては一般向けな感じなので軽くよめて面白いです。おぼろげにドラマの印象がある人は違和感を感じながら読んでみるのも一興かと思います。 >> 続きを読む
2015/03/19 by kenyuu
「最後の伝令」は死の匂いが濃厚にたちこめる短編集である。死を題材にした作品が多いからではない。直接、死を扱ってはいない作品にも、夕闇のよう覆い被さって少しずつ密度を増す、あの虚無の影がはっきりと感じられるからだ。(巻末解説 より)形式:短編集内容:14編 266頁巻末解説者:佐藤亜紀 氏レビュー 表題『最後の伝令』は、肝硬変を患った男性の体内にいる情報細胞が肝臓の危機を伝えるため延髄(脳の部位)を目指す物語となっています。体内の描写に現実の建物が使われていたり、世界(体内)の崩壊による細胞達の活動も社会風刺が散りばめられていたり、メタ的な世界観で大変面白いと思いました。 死を直接扱っていない作品では『ムロジェク*1に感謝』が良かったです。娘が両親に婿と婿の上司を家に招き入れ談笑をするのですが、その中で上司のステータスの高さが明らかになり、婿が徐々に追い詰められていく過程を書いています。現実世界で何か大変なことに直面した時、「死んだ」という表現を用いることがあります。そうした本来の肉体的な死ではない死が、この作品からは感じられました。 解説で佐藤亜紀 氏が表現している”虚無の影”というのは未熟さゆえ、はっきりとは分かりませんでしたが、死を題材とした作品を読んだ後に生じる、何か深い感覚を感じることができる短編集だと思います。*1 ポーランドの小説家 >> 続きを読む
2016/04/17 by SakaI
2012年最後のレビューに因んで筒井康隆氏の自選短編集を。表題作「最後の喫煙者」は先見の明抜群。数十年前の作品ながら現在の肩身の狭い喫煙者を風刺しているとしか思えない。迫害される喫煙者達。遂に最後の喫煙者となった主人公の運命は…深刻なんだが笑えてしまう作品群。ややグロい作品もあるが巨匠自ら傑作集と言うだけあり楽しめた。良いお年を!! >> 続きを読む
2012/12/31 by ybook
現実逃避のつもりで読み始めたファンタジー作品集ですが、筒井さんの作品にはいつも「試されている」感を味わいます。時に、句読点が極端に少ない、文字の羅列のような章があります。正直読みづらいのですが、頭が必死に想像しようとし、いわゆる想像力の疾走状態を味わいます。そんなスピード感は、読了後に物語が胸に刺さったような感覚をもたらします。 >> 続きを読む
2016/02/23 by Akane
【筒井康隆】(ツツイヤスタカ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)
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