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和辻哲郎

著者情報
著者名:和辻哲郎
わつじてつろう
ワツジテツロウ
生年~没年:1889~1960

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      古寺巡礼
      カテゴリー:芸術史、美術史
      5.0
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      • (中宮寺の思惟観音像について)
        --私達はただうっとりとして眺めた。心の奥でしめやかに静かに止めどもなく涙が流れるというような気持ちであった。ここには慈愛と悲哀との杯がなみなみと充たされている。まことに至純な美しさで、また美しいとのみでは言い尽くせない神聖な美しさである--

        --およそ愛の表現としてこの像は世界の芸術の内に比類の無い独特なものでは無いか--

        --愛らしい、親しみやすい、優雅な、そのくせいずこの自然とも同じく底知れぬ神秘を持った我が島国の自然は、人体の姿に現せばあの観音となるほかはない--


        仏教界では、苦に満ちたこの世、此岸と、そうした苦しみや煩悩から解放された世界、彼岸の間に、一筋の、しかしとても大きな川が流れているようです。

        彼岸に渡れ、とは釈迦の言葉。
        此岸から彼岸に渡る船を漕ぐ仏僧。
        修行僧が自力で、自分一人乗れる船で渡るのが、小乗。
        衆生と共に渡る大きな船を用意するのが、大乗。

        そして、衆生の苦しみの声を、遍く拾い救うのが観音菩薩。

        大乗の精神は、浄土真宗(蓮如)で完成されたと個人的には感じています。
        阿弥陀仏と言うだけで、否、言わずとも、一切衆生を救うのが仏の精神。
        救われたいと、思った時に初めて救われるのではなく、既に救われている自分を自覚する契機が、念仏の一言に過ぎないと。

        いささか都合が良いように聞こえる気もしますが、我が子への親の愛を考えれば深く頷ける精神です。
        我が子が、どっちを向いていようとも、親を忘れようとも、常に親は子を見続けています。
        我が子が、苦しみにぶつかり助けを求めたとき、その手を差し伸べない親はないでしょう。

        その慈愛の精神を、仏像として完成させたのが、あの中宮寺の思惟観音菩薩像、と、和辻はうたいますし、私自身、間近で観て圧倒され、深く頷く次第です。

        はじめて、仏像を観て、美しいと感じました。
        時間を超えたどこかに連れて行かれたような感覚で、見とれ続けた記憶があります。


        非常に味わい深い和辻の古寺巡礼の名著、法隆寺の回は何度もありながら、最後にこの思惟観音への一筆で終わるところも心を打ちます。

        繰り返し行きたい名刹です
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        2018/06/07 by フッフール

    • 2人が本棚登録しています
      イタリア古寺巡礼
      カテゴリー:芸術史、美術史
      5.0
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      • 私が初めて読んだ和辻哲郎の本。
        和辻哲郎の名前とその代表作である「古寺巡礼」の名前は耳にした事があったが、これまで和辻氏の著作を読んだ事がなかった。
        この本は、戦前に欧州留学をしていた和辻氏が妻の照夫人に留学先から送った手紙を体裁を整えて本にしたものである。
        まず感じたのは、和辻氏の美術に関する表現の素晴らしさである。
        それは独特でしかもその作品の本質を見事に言い表している。
        頭で理解するというより感覚的に分かると言ったほうが良いかもしれない。
        例えば和辻氏が絶賛している”シヌエッサのヴィーナス”については、以下のように表現している。


        肉体の表面が横にすべっているという感じは寸毫もない。
        あらゆる点が中から湧き出してわれわれの方に向いている。
        内が完全に外に現れ、外は完全に内を表している。
        それは「霊魂」と対立させた意味の「肉体」ではなく、霊魂そのものである肉体、肉体になり切っている霊魂である。
        人間の「いのち」の美しさ、「いのち」の担っている深い力、それをこれほどまでに「形」に具現化した事は、実際に驚くべきことである。


        現代日本において、この様に美術品を表現する事ができる人間がはたしているのだろうかとも思ってしまった。


        また、ローマ建築とギリシャ建築の違いを評して、前者はメカニズム(機構)の美しさであり、後者はオルガニズム(有機体)の美しさであるとも書いているが、非常に的を得ていると感じた。
        >> 続きを読む

        2017/12/28 by くにやん

    • 2人が本棚登録しています

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