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山本周五郎

著者情報
著者名:山本周五郎
やまもとしゅうごろう
ヤマモトシュウゴロウ
生年~没年:1903~1967

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このランキングは1日1回更新されます。
      さぶ
      カテゴリー:小説、物語
      4.4
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      • 表具師を目指す栄二が、職人として一人前になりかけたときに、得意先で起こった盗難騒ぎで、冤罪を擦り付けられ、石川島の人足寄場へ送られます。初めは、復讐心でいっぱいでしたが、人足寄場での、仲間や役人との交流、おすえやおのぶ、なにより親友のさぶとの交流を通して、少しずつ心の持ち方が変わっていきます。物語の最後、濡れ衣を着せた謎の犯人が分かるのですが、栄二はそれを受け入れ、許します。

        人足寄場での経験、周囲の人の支えやそれに対する気づきから栄二は成長し、人として厚みが出てくる姿が素敵でした。大事なことに気づかせてくれた周りの人たちもとても素敵でした。

        >> 続きを読む

        2018/08/05 by うらら

    • 他3人がレビュー登録、 14人が本棚登録しています
      赤ひげ診療譚
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね! May
      • 宮部みゆきの小説「淋しい狩人」を読んでいた時にエピソードの一つに登場した本で、すごく印象に残ったので取り寄せ読んでみることにした。
        一言で言い表すならば、傑作ですね。
        この本が出版されてから半世紀以上経過しているが、作品の魅力は全く衰えていない。
        おそらく今後数十年たっても読み継がれていく稀有の傑作小説だろう。


        主人公である医学生 保本登は、長崎遊学から戻ったばかりで医学を出世のための手段としか見ていない。
        また、許嫁がいたが遊学中にほかの男と駆け落ちしてしまい、このことが彼の心に影を落としている。
        彼が赴任した小石川養生所には、赤ひげと呼ばれる名物医長がいる。
        赤ひげは一見して無頼漢のような雰囲気をもつが、高い知性と高度な医療技術そして人生の酸いも甘い理解している稀有の男であり、日夜世の下層で生活する街の人々の診療に邁進している。
        当然、主人公の保本はこの赤ひげに最初反発するが、次第に彼のものの考え方に傾倒していき彼自身の人格も次第に人として成長していく。

        全部で八篇の短編からなる本書は、赤ひげと保本が様々な境遇の町の人を患者として診療する過程で、その人々の生活が明らかになっていくという形式で、現代的に言えばサイコスリラーのはしりの様なものから、胸が張り裂けそうになる悲恋の話、ちょっとおかしな話等バラエティーに富んでいる。
        しかし、どの話にも共通するのが、現代よりはるかに生活が厳しかった江戸時代の下層の人々の生きざまのリアリティーであろう。
        フィクションであるが、あたかも実際に存在した人々のように感じられる。
        善良なもの、悪人、弱いもの、苦しんでいる者、様々な人間がいて存在するが、作者の彼らへの眼差しは優しい。

        最後に保本は重大な決断をし、自らの人生を有意義なものにしようとする。
        そこに至るまでの彼の人としての成長は見ていて心地よかった。
        今後百年でも読み継がれてほしい本である。

        >> 続きを読む

        2018/01/02 by くにやん

    • 他1人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      さぶ
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね! Moffy

      • 私が敬愛する作家のひとり山本周五郎の市井ものの晩年の代表作ともいえる「さぶ」を、本棚の奥から取り出し、再読しましたが、もう何度読み返したかわからないほど、本がすりきれるくらい、愛読しています。

        経師屋の子飼い職人のさぶは、愚図でのろまで、年中「おらあだめなやつだ」と呟いている。
        底抜けに善良だが、仕事は半人前で糊の仕込みばかりやらされていた。

        一方、兄弟子の栄二は、男前で器用で仕事の腕もすこぶる良い。
        なにかにつけて、さぶをかばい励ます栄二とさぶは、兄弟以上の仲の良さだった。

        そんなある日、順風満帆な栄二に突然、災難がふりかかる。
        両替商の錦文の店で高価な商品が紛失、栄二に疑いがかかってしまう。

        結局、無実の罪を着せられ、石川島の人足寄場へ送られる。
        そして、屈辱のあまりひねくれるが、ひたむきなさぶの友情が、やがて栄二を立ち直らせるのだった。

        人足寄場の生活の中で、人間にとって何が真実であるかということを栄二は少しづつ学んできた。
        そして、人を信じられなかった彼の心も、さぶをはじめとする多くの人の情けに、次第に人間として目覚めていく過程が、淡々と描かれていくんですね。

        この栄二の人間的な成長の過程と、そこに反映されたさぶの「無償の奉仕」とも言える、純粋な愛が描かれており、栄二を慕うおすえの女心もそこに絡んでくるんですね。

        作者の山本周五郎は、かつて「文学には大衆も少衆もなく、純も不純もない。あるのはよい文学とわるい文学である」と語っていて、「よりよい文学を最大多数の読者」へというのが彼の信条なんですね。

        彼は、"反権力の姿勢"で庶民の側に立ち、弱い人々がこの世で生きていくためには、お互いの連帯感と知恵の助け合いしかないのだというのが彼の持論でした。

        直木賞をはじめ多くの賞をすべて辞退したのも「読者から与えられる以上の賞はない」という、そんな思いからきていたのだと思います。

        この「さぶ」においては、職人の世界や徒弟関係の内情が、実に良く描かれているのは、作者自身の徒弟生活の経験が随所に生かされているんですね。

        栄二とさぶを対照的に描き、それぞれの人物像を明確に浮き上がらせる手法をとっていて、作者の追求する基本的なテーマの一つである「無償の奉仕」という、人間にとって最も難しい課題がテーマとして取り上げられているのだと思います。

        そして、常に政治や経済から見放された弱く貧しい者の立場に立つ、山本周五郎文学独自の世界が、ここにもはっきりと示されていると思います。

        >> 続きを読む

        2018/05/13 by dreamer

    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      雨あがる 山本周五郎短篇傑作選
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
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      • 「日日平安」「つゆのひぬま」「なんの花か薫る」「雨あがる」

        どれも強く胸を打つお話ばかりです。 >> 続きを読む

        2013/01/22 by バカボン

      • コメント 2件
    • 1人が本棚登録しています
      おさん
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
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      • 題が「小説日本婦道記」なのに、なぜか「おさん」に、読書ログさん訂正お願いします。


        この本も読書ログにおいて“課長代理”さんにお奨め頂いた本。

        初めて時代小説を読んで感動した“蝉しぐれ”を超える感動、優れもの。


        厳しい武士の家の掟の中で、夫のため、子供のために、
        凛として、妻として、母として生きる女、
        それは男以上に秘めた信念にもとづいたいきざまである。

        すべてすばらしい11の連作短編集であるが、その中でもお気に入りは、

        「不断草」、お家騒動に巻き込まれて妻に迷惑が掛かってはと、
        夫と母が難癖をつけて離縁を・・・・。

        そのあと、夫は目の見えぬ母を館山の知り合いの農家に預け、
        自らは政治の改革を企てた者と罪人と、お国払いに。

        実家に戻っていた菊枝(主人公)は、
        「わたくしは一旦この家を出たもの、尼になるか、世にたよりないご老母をみとるか、
        いずれにしても、義絶していただきます」と決意をもって再び家を出る。

        そして、母が住むその庄屋のあるじにすっかり事情をはなし、
        目の不自由な老母のみとりをさせて貰いたいと頼む。

        「でも、不縁になったわたくしということがわかりましたら、
        姑上さまはきっとご承知なさらないと存じます。
        菊枝ということを内緒にしてどうぞよろしくおたのみ申します」と、

        「あなたはこの老人をお泣かせなさる」

        まだまだ話は続きますが、この物語、この一言につきますな。


        たった24ページの物語ですが、ちょいとした脚本家のてにかかれば
        NHKの大河ドラマにでもなって、一年間楽しめる、中身の濃い内容。

        この他に、あと10編もあるなんて、山本周五郎さん、凄い。

        この「日本婦道記」は、コストパフォーマンス最高の本でおまっせ。

        >> 続きを読む

        2015/09/20 by ごまめ

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      虚空遍歴
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
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      • 私が敬愛してやまない作家・山本周五郎の新しい浄瑠璃の作曲に生涯を賭けた男の純粋で孤独な遍歴を描いた「虚空遍歴」(上・下巻)をじっくりと読みました。

        「この作品では、一人の人間が自分の欲する仕事に全情熱を打込んでゆく"人間の姿"を書こうとしたのです。主人公の中藤冲也が、浄瑠璃を作曲することに重点を置いていない。また芸術論を展開したものでもありません」と作者の山本周五郎は、この作品の製作意図を語っています。

        自己の全存在を賭けた新しい浄瑠璃、冲也ぶしを完成できないまま、おけい以外に誰一人として知る者もなく、旅路のはてに若くして世を去った冲也は、悲運の芸術家と言えるかも知れません。

        しかし、作者が座右の銘にしているというブロウニングの「人間の価値は、その人が死んだとき、なにを為したかで決まるのではなくて、彼が生きていたとき、なにを為そうとしたか---である」という言葉が、そのままこの作品に生きていると思います。

        また、冲也とおけいが男女の交わりをもたなかったという設定は、不自然かもしれないが、男女のなまぐさい関係がないからこそ、おけいの姿に無償の奉仕が象徴されているのだと思います。

        考えてみると、おけいの役割というのは、芸術家が乱れに乱れ、狂いに狂っても、それを静かに見つめている自我を超越した存在ではないかと思いますね。

        そして、おけいの"独白"が、同じ作者の「樅ノ木は残った」の"断章"のように、この作品に深い奥行を与えているのだと思いますね。

        >> 続きを読む

        2018/04/09 by dreamer

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      寝ぼけ署長
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
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      • 五年の在任中、署でも官舎でもぐうぐう寝てばかり。
        ところが、いよいよ他県へ転任が決ると、別れを悲しんで留任を求める声が市民たちからわき起った…。
        罪を憎んで人を憎まずを信条とする“寝ぼけ署長”こと
        五道三省が、「中央銀行三十万円紛失事件」や「海南氏恐喝事件」など十件の難事件を、
        痛快奇抜で人情味あふれる方法でつぎつぎと解決する。
        山本周五郎唯一の探偵小説である。


        読んでいるうちに滋味のように出てくる
        著者の人間観。
        探偵小説としても、人間を描いた小説としても
        十分、否、十二分に楽しめる小説です。

        特に、表面に現れた問題(謎)の解決方法だけでなく
        その後の処理、問題の根幹の部分にまで
        さりげなく、解きほぐしていく様が、良いです。
        >> 続きを読む

        2014/02/07 by きみやす

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      樅ノ木は残った
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
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      • 山本周五郎の代表作である「樅ノ木は残った」は、それまで歴史上、巷間伝えられていた"原田甲斐像"を一変させてしまった、非常に興味深い小説です。

        江戸徳川幕府の老中・酒井雅楽頭は、仙台藩の幼君亀千代の後見役・伊達兵部に、伊達六十二万石のうち三十万石を与える密約を交わしますが、実際は、それを契機とした内部対立を引き金に、伊達家の取り潰しを図ろうとしていたのです。

        この幕府の陰謀を見抜いた仙台藩の宿家老・原田甲斐は、酒井雅楽頭と伊達兵部の一派に加担したと見せつつ、"逆臣の汚名"を着ながらも、御家安泰のために、11年間にも渡って"孤独な暗闘"を展開していくのです。

        その間、味方すら疑わざるを得なかった孤独な原田甲斐の心を知る者は、彼の領地、船岡で彼を慕いつつ育った宇乃のみでした。

        結局、このいわゆる歴史上有名な"伊達騒動"は、幕府の裁決に付され、陰謀の発覚を恐れた酒井雅楽頭の家臣に斬られた原田甲斐は、自分一人で罪をかぶり死んでいくのです----。

        後には、彼が国許から江戸の屋敷へ移し、こよなく愛していた一本の樅ノ木だけが残ったのです----。

        この山本周五郎の作品が書かれるまでの原田甲斐と言えば、「伽羅先代萩」などの浄瑠璃、歌舞伎では仁木弾正の名に置き換えられた敵役の典型であり、御家を危うくする極悪人というイメージだったのです。

        山本周五郎はこの作品の執筆の意図として、「私は決して異説をたてようとしたのではありません。あの事件については、殆どの資料を精密に調べつくしたと断言できると思っておりますが、酒井雅楽頭の術策におどった伊達兵部と、壮烈と反骨を好む仙台人の特異な気質とが、あの悲劇をつくり出した。兵部を除いては、忠臣も悪人も誰一人おらないのである。平凡に、安穏に生きることを願っていた原田甲斐が、その事件の渦中に次第に巻き込まれてゆきながら、なおかつ、彼が一個の人間として誠実に生きぬこうとした人生態度。その態度に私は惹かれたわけです」と語っています。

        考えてみれば、山本周五郎の作品の中で、常に描かれているのは、一つの状況の中での"レジスタンス"であり、"身の処し方"なのだと思います。

        そこには飛躍や予定調和の姿勢はほとんど見られず、始めに一つの状況を過小にも過大にも評価しない、極めて厳しい現実認識があり、その後に、ではそうした状況の中で人間はいったい何を成し得るのかという、素朴な問いかけがなされるのです。

        しかも、彼らが成し得る事はあまりにも小さな事しかすぎず、しかし作者の山本周五郎は、社会のほとんどが、そのような人々の営みによって動いているという事を熟知しているのだと思います。

        彼が別の所で語っている、「慶長五年の何月何日に、大阪城で、どういうことがあったか、ということではなくて、そのときに、道修町の、ある丁稚が、どういう悲しい思いをしたか」とか「その悲しい思いの中から、彼がどういうことを、しようとしたかということを探求するのが文学の仕事だ」という視点、それは町人でも武士でも変わりはなく、この庶民に根を下ろした視点こそが、"山本周五郎文学の神髄"ではないかと思うのです。

        この作品の主人公の原田甲斐の場合は、レジスタンスの対象が、作中で、"断章"という形で挿入される"奇怪で醜悪な政治のメカニズム"であり、そこに一藩の命運がかかっていたというのにすぎないのです。

        人間のこうした弱さにつけ込む政治の権力を憎み、その中で一人の男の身の処し方を問おうとする時、主人公が善玉悪玉という単純な図式から解放されるのは、当然の帰結であったと思います。

        天に向かって真っすぐ枝を伸ばす樅ノ木。そのイメージはそのまま、否応なく政治の渦の中に引きずり込まれ、苛烈な闘いを強いられた"原田甲斐の祈り"、そのものなのではないかとも思うのです。
        >> 続きを読む

        2016/10/18 by dreamer

    • 3人が本棚登録しています
      絆
      カテゴリー:叢書、全集、選集
      いいね!
      • 2も面白かったー。
        収録作品は、海音寺潮五郎の「善助と万助」、延原謙訳 コナン・ドイルの「五十年後」、山本周五郎の「山椿」。
        “絆”というタイトルだけあって、義兄弟、恋人、夫婦に従姉妹に部下…と、いろいろな繋がりが描かれていて、それぞれのお話が感動的でした。
        1に比べて格段に読みやすい気がしたのは、書かれた時代の違いのせいですかね?
        >> 続きを読む

        2014/07/26 by koh

      • コメント 3件
    • 2人が本棚登録しています

【山本周五郎】(ヤマモトシュウゴロウ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)

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