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山岡荘八

著者情報
著者名:山岡荘八
やまおかそうはち
ヤマオカソウハチ
生年~没年:1907~1978

この著者の本を読んでいる会員ランキング

このランキングは1日1回更新されます。
      徳川家康 - 1 出生乱離の巻
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね! ice
      • 家康誕生。

        当時の長男誕生の影響力の大きさを改めて実感。

        以前から挑戦したい長編として候補に上がっていた作品。
        新年を迎え良い区切りだと思ったため、ついに第1巻に着手した。

        1冊だけでも500ページのボリュームで有りながら、全く飽きさせずに展開していくのは相変わらず。

        歴史は決して嫌いでは無いのだが、戦国時代の武将間の関係についての知識はかなりあやふやなので、読後に整理できるのも楽しみの一つ。

        本作では織田/今川の影響力を大きく受けつつも旗色を明確に示さずに独立と勢力の維持を保とうとする松平家の悲哀と立ち回り方が印象的だった。

        また家康誕生時のエピソードから、リーダーの持つべきカリスマ性は、周囲の人間の協力で、ある程度の演出は可能である事が興味深かった。

        1冊500ページで全26巻。歯応えは相当有るが本年中には読破したいと思っている。

        全巻読破後に信長の野望をプレイするのが、今年の野望で有る。
        >> 続きを読む

        2012/01/20 by ice

      • コメント 1件
    • 4人が本棚登録しています
      徳川家康 - 2 獅子の座の巻
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • 人質として織田家、今川家を転々とする竹千代。

        加速度的に惹きこまれて行く面白さ。

        長編で有りながら、第2巻となる本作で完全にハマった。

        他の書籍が読めなくなるため、徳川家康は週に1冊まで。
        とルールを作っているのだが、既に禁を破りたい衝動さえ感じる。

        盛りだくさんな内容である。
        竹千代の流転。その父の死。信長の登場。その父の死。
        その全てが、強烈なインパクトを持って心に刻まれた。

        超メジャーな武将である徳川家康と、戦国時代の武将達については、ある程度は常識的に、その生涯を知っているつもりだった。

        しかし読み進めといくと、家康や信長の両親などについては全くと言って良いほど知識が無いことが分かり恥じ入った。

        不覚にも泣けたのが、お春と片目八弥のエピソード。
        余りにも美しく余りにも悲しい。

        織田、今川の勢力均衡が崩れるのが楽しみ。
        >> 続きを読む

        2012/01/25 by ice

    • 3人が本棚登録しています
      徳川家康 - 3 朝露の巻
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • 初陣を迎え、勇み立つ元康。

        何といっても桶狭間。

        岡崎衆からの熱烈な期待を受け、ついに所領に入る元康。

        妻帯し子宝にも恵まれたものの、家臣や領民達からの期待の大きさに自分が守るものはどちらなのかという辛い選択を強いられる。

        今川VS織田の勢力争いの狭間で、初陣を迎えることが出来たものの、まさに一手打ち間違えれば、即一族郎党が滅亡するような、こちらも厳しい環境。

        信長にしても、義父の斉藤道三が子に討たれるという緊急事態を機転で捌いた後、今川の強大な軍勢が押し寄せるという絶体絶命というような窮地を迎えていた。

        戦国時代とは良く言ったもので、どこも過酷な環境である。

        日本は、47都道府県で構成された1つの国であるという、現代日本では当たり前の前提を持ったまま読み進めている自分に気付いた。

        天下統一前でもあり、当時の日本は、大名が束ねる国の集まりとして形成されていたと考えるのが妥当ではないかと思い、認識を改めた。

        秀吉も登場し、早くもトントン拍子に出世を重ねていっている。
        とは言え、天下人への道は、まだまだ遠く、これからどんな手を打つのかが楽しみである。

        責任を負うことで人間の成長は加速する。まさにその通りだと思う。
        >> 続きを読む

        2012/01/30 by ice

    • 3人が本棚登録しています
      徳川家康 - 4 葦かびの巻
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • 織田との同盟関係を結び、着々と地盤固めに入る家康

        女性の扱いについての件が興味深かった。

        結婚する前の女性と、結婚してからの女性の考察に頷かされた。

        跡取り息子を増やすという宿命的な勤めが有るにも関わらず、まだまだ、自身の好みや勢いで相手を選ぶ家康。
        それを諭すために家臣たちが示す女性観が非常に鋭く参考になる。

        今川氏の失脚に伴い、更に勢いを増す織田氏。
        同盟関係を結びながら、下風には立たない家康のしたたかな姿勢が頼もしい。

        まだ内政中心かと思うが、先が気になって仕方がない。
        >> 続きを読む

        2012/02/07 by ice

    • 3人が本棚登録しています
      徳川家康 - 5 うず潮の巻
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
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      • 武田信玄に窮地に立たされつつ更に大きく成長する家康。

        腹を決めた後は方針を変えない潔さが心地よい。

        武田信玄の下風に立つか、あくまでも抵抗を貫くか。
        一族郎党を養う立場の家康が、この決断をするに当たり、直面した重圧は想像するに余り有る。
        結果、徹底抗戦と腹を決めた後は、何事にも動じずに事を進めて行く潔さが良い。

        人の上に立つ人間は、安易に発言を翻すべきではない。
        周囲の意見を聞き入れる柔軟性は持ちつつも、一旦強い意志で決定したからには堅持すべきで、そうでない限り、着いて行く者の覚悟も決まらないと思う。

        戦況が見る見る悪化して来たとしても、配下に強い姿勢で徹底抗戦を主張し続けられたのは十二分に苦境を想定し、事前に覚悟を決めていたことの表れだろう。

        信玄の死去により、形成を挽回した家康だが、妻の裏切りにより又も窮地に立たされる。
        この原因となったのが、家康の信認を得ながらも、この裏切りに手を貸した男。
        責任を背負わずして、良い目だけを見たい。人を陥れることを全く厭わない。
        現代社会でもこれに類する軽蔑すべき人間が増加傾向に有る気がしてならない。

        多少依怙地になっているようにも思える姿に共感を覚えた。
        >> 続きを読む

        2012/02/13 by ice

    • 3人が本棚登録しています
      徳川家康 - 6 燃える土の巻
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
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      • ギリギリのタイミングで配下の裏切りを知る家康。

        信頼していた部下に裏切られたことで、人材重用の妙を体得したように見える。

        大賀弥四郎の企んだ謀反がついに暴かれる。
        発覚の発端は、仲間に誘い入れた男から、必要がなくなったら消されてしまうのではないかという不信感を持たれたところから。
        事務方では才能を発揮しているにしても、人間関係に対しては、配慮が甘かったということか。

        ビジネスの現場でも、結局のところ、上手く立ち回っている人間よりも、嘘をつかず他人を陥れずと、地道に生きている人間の方が、窮地に立った際の協力者が多い気がする。

        更に、捕縛されてからの開き直った答弁が、彼の品性の低さを露呈している。
        世話になった人間に後ろ足で砂をかけるような男は軽蔑に値するだろう。

        彼の妻や子供達は哀れでならないが、彼の死に様は、彼に相応しいものだと思う。

        ここに至って、妻をどのように遇するのか。家康の夫としてのスタンスに興味が有る。
        >> 続きを読む

        2012/03/07 by ice

    • 3人が本棚登録しています
      徳川家康 - 7 颶風の巻
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • 事実上、妻子を切ることを求める信長。

        肉親の情と家臣を抱える大名としての責任の狭間で乱れる感情が切ない。

        更に力を付け、天下に号令するかのような意識になっていく信長。
        そんな状態の信長から発せられた、長男と正妻に対しての事実上の殺害指令。

        確かに正妻の方には極刑に足る大罪が有り、息子の方にも人格的に大きな欠落が有る。
        しかし、これを外部の人間から指摘され、更に殺せと言われたら許容できるわけがない。

        恐ろしいのは、家康の長男には、信長の娘が嫁いでおり、信長からすれば義理の息子に当たる上、子供も設けていること。

        戦国時代とは言え、それほど近い身内までも、疑いと攻撃の対象とする過酷さを改めて思い知った気がする。

        半ば強制的では有ったものの、過去をリセットした家康の今後が楽しみ。
        >> 続きを読む

        2012/03/26 by ice

    • 3人が本棚登録しています
      徳川家康 - 8 心火の巻
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • 明智光秀の反逆。秩序の破壊を終え、再構築が始まる。

        傍若無人な振る舞いの中でも人心を掌握していた信長に敬服。

        光秀謀反。これに尽きる。

        もはや天下統一は秒読み段階かと思わせる状況まで上り詰めながら、信頼していた臣下の反逆により生命を落とす信長。

        傍若無人な振る舞いながらも、これまで数々の強運を手中にして来た信長が、言わばあっさりと討ち取られてしまう辺りに、秩序の破壊という天命が尽きたのではないかと考えざるを得ない。

        とても爽やかだったのは、死後も信長の人望が貶められなかったこと。
        これで明智光秀が天下人では、確かに世は再び乱れたと思う。

        低い身分から一気に駆け上がった秀吉が天下を取ることに対し、古参の信長家臣は、正直どう思っていたのだろうか。

        その辺りに十分な配慮をしながら御していかねばならない秀吉の苦心は大変なものだったろうと同情してしまった。

        家康逃避行では忍者の活躍を期待していたので少しがっかり。
        >> 続きを読む

        2012/04/02 by ice

    • 3人が本棚登録しています
      徳川家康 - 9 碧雲の巻
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • 天下取りに邁進する秀吉。

        華麗で無残な柴田勝家の散り際が印象的。

        光秀を討ち、天下取りへの駒を着々と進める秀吉。

        状況を読みきり、沈着冷静に見事な手を繰り出す実力主義で台頭した秀吉。

        逆にその台頭を良しと出来ず、上手く立ち回る老獪さをわずかでも持てれば、以降も大大名としての地位を維持できたにも関わらず、意地を貫き通す道を選んだ勝家。

        心情的には勝家を擁護したくなるが、一族郎党を根絶やしにした彼の意地というものに、どれほどの価値が有ったのだろうかと考えると彼は意地というよりも、わがままを貫いたと捉えた方が現実に即していると思う。

        家康の話は、ほとんど出てこない巻では有ったが、読み応え十分。

        前田利家の妻まつと秀吉の駆け引きも見応えが有った。
        >> 続きを読む

        2012/04/12 by ice

    • 3人が本棚登録しています
      徳川家康 - 10 無相門の巻
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
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      • ついに睨み合う秀吉と家康。

        秀吉を手玉に取る家康が心地よい。

        とても印象に残ったのが、堺衆の果たしている役割。
        本来は軍事的な存在では無いが、鉄砲などの武器を握っているだけでなく、とくに茶人などは直接的に秀吉ともパイプが有り、経済の見地から対等に意見している。

        秀吉懐柔という家康による工作の一つでは有るのだが、結局のところ自分達の利益が最大化されるように振舞っている堺衆がたくましい。

        名軍師竹中半兵衛が死を前に人生を振り返った感想として漏らしたという考え。
        「頭が良すぎたために軍師として重用されてしまったことで、武将としての出世が出来なかった。」
        更にもっと明確に「能力の劣る武将の方が自分より出世している」と考えたらしい。

        輝かしい功績を残し、天下人に重用されているという、人も羨むような立場に見えるが、確かに見方を変えれば損な役回りと言えるかもしれない。

        対立から調和へと向かいつつある秀吉/家康関係。ここからの腹の探りあいが興味深い。
        >> 続きを読む

        2012/04/19 by ice

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    • 2人が本棚登録しています
      徳川家康 - 11 竜虎の巻
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • 天下統一への布石として家康に臣下の礼を取らすべく懐柔を図る秀吉。

        時が訪れるのを待つという家康の心境を理解するには円熟が必要な気がする。

        秀吉との衝突を避け、臣下としては決して服従の姿勢は取らないものの、協力を惜しまずに、いずれ自分の時代が来ることを信じて待つ。

        今で言えば、政党の権力闘争になるのだろうが、個人レベルまでスコープを狭めると、上司と部下の関係になる。

        嫌な上司に従う際「こいつが死んだら俺の天下だ」と考えて自分を慰めることは出来ても、上司が部下より先に死ぬ保障はなく、また後釜に座ることが出来るかは、実際に、その時になってみないと分からない。

        家康の場合、来るべきその日に向けて様々な布石を打つ実力を持っているため、運を点に任せるという程に可能性が低いことは無いのだろうが、自分が読みきった未来を、そこまで信じきれるという点で、大人物だと言える。

        相当に脇役的な扱いで登場する北条家。大名の跡取り息子として何不自由なく育った人間と、同じく大名の子で有りながら、幼少時代、長い間、人質として辛酸を舐めた人間。
        若い内の苦労は買ってでもしろというが、この対比がそれを証明している。

        忠義立てして出奔したような石川数正。家康に話を通していない以上、結局は単なる裏切りでしかない。
        >> 続きを読む

        2012/04/28 by ice

    • 5人が本棚登録しています
      徳川家康 - 12 華厳の巻
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
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      • 母と妹までも使って家康を懐柔にかかる秀吉。

        見かけ上の平和の裏で繰り広げられる駆け引きに人間の業を感じる。

        九州までも平定し、事実上、天下統一を果たしたと言って良い秀吉だが、物理的に傷つけあうような争いは減ったにしても、結局のところ権力闘争は止まず、形を変えて様々なところで顔を覘かせている。
        当事者の秀吉の周辺にさえも陰謀が渦を巻いているかのような状況が有る。

        家康との化かし合いは言うに及ばず、堺衆との優位な立場の獲得競争や、寧々と茶々の妻妾闘争などが注目に値する。

        またタイプは全く別ながら、ともに家康の心に大きな存在感を残した、お愛と瀬名。
        この二人も、家康の寵を競うという意味では立場は変わらず、その手段が対極的で有ったに過ぎないという考え方も示され、妙に納得させられた。

        人間は何かを求めたりする上で必然的に他者と衝突してしまうものなのかもしれない。
        >> 続きを読む

        2012/05/04 by ice

    • 3人が本棚登録しています
      徳川家康 - 13 侘茶の巻
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • 北条氏平定の結果、徳川家を襲う転封。

        「小田原評定」という言葉の意味を良く理解することが出来た。

        関東への転封が実施され、先祖代々の領土を失うことになった徳川家。

        領民と密な関係を築いていたと思われる当時の支配者階層としては、あまりにも大きすぎる脅威だと言わざるを得ない。

        現代に置き換えると、知事が職員を皆連れて担当する都道府県を変わるというような話になるだろうが、親方日の丸の都道府県知事および職員と、他勢力に攻められれば、生命を賭して一族と領民を守らねばならない大名家ではそのインパクトには雲泥の差が有ることが理解できる。

        「小田原評定」という言葉だが、恥ずかしながら、これまで自身のボキャブラリには存在しなかった。
        現在の立場を堅持すべく保守的な発言に終始し、結果的には取り返しの付かない事態を招く。

        リスクを取る事を極端に恐れ、保守的または我関せずの態度を決め込む人間は現代でも非常に多い。
        そういう人間には、是非このエピソードを良く咀嚼し反芻して欲しいと願う。

        家康が練りに練っていると思われる新領民の人心掌握方法に非常に興味が有る。
        >> 続きを読む

        2012/05/07 by ice

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    • 3人が本棚登録しています
      徳川家康 - 14 明星またたくの巻
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
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      • 我が子を喪った悲しみを紛らわすように朝鮮出兵を実行する秀吉。

        結果はどう有れ、日本史上初の大規模世界進出の夢を抱く秀吉は痛快。

        最愛の跡継ぎを喪い悲嘆に暮れる秀吉。

        以前から計画していたこととは言え、これが朝鮮出兵決断の大きな要因なのは疑う余地は無い。
        多くの人間に不幸をもたらす戦争も、結局のところ誰かの決断により開始され、(仮に攻め込まれた結果の防衛戦争だったにせよ、開戦に踏み切った側の施政者が決断している)そこに施政者の個人的な理由が影響することもしばしば有ったのではないかと感じた。

        少し前に何かの本で読んだのだが、社内システムの開発時に使用するフレームワーク選定の際、調査担当が幾ら詳細な比較表を用意しても、全てにおいて満点のプロダクトは存在しない以上、結局はプロジェクトリーダーの趣味で決定してしまう場合が多いという話も有る。

        上に立つ人間は決断することと責任を取ることが仕事では有るが、その決断の結果、配下武将なり部下が地獄を見る可能性が有る場合には私情を挟まずに決断すべきと自戒した。

        敵地に乗り込み転戦しつつも、更に武勇を示すため虎退治を敢行した加藤清正。
        日本側の船舶をことごとく撃破したという朝鮮側の武将、李舜臣。
        双方の国には取り立てて益の無い戦争だったが、英雄の名は歴史に刻まれている。

        神仏の目線で判断を下しているようだが、何故か家康が最も腹黒く感じてしまう。
        >> 続きを読む

        2012/05/13 by ice

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    • 3人が本棚登録しています
      徳川家康 - 15 難波の夢の巻
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
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      • 秀頼誕生に伴う後継者問題、朝鮮の動向など山積される問題を残し、逝く秀吉。

        天下統一後の迷走により株を下げたのは間違いないが、ここにこそ人間味を感じた。

        待望の跡取り息子となる秀頼の誕生。
        これにより後継者に内定していた関白秀次の存在が邪魔になる。

        ある意味で当然の感情で有りつつも関白という地位まで与え、明確に後継者で有ることを世間に示している以上、やはり予定通りに秀次を後継者とすべきだった。
        おそらく秀吉も現実線では、秀吉→秀次→秀頼の迂回継承で決着すべきと考えていたように思う。

        しかし結果的には、怯えたように逃げ隠れする秀次に業を煮やした秀吉は、明らかに反逆の意志を持っていなかったと思われる秀次を切腹まで追い込んでしまう。

        実子かわいさに判断を誤る危険性を持っているからこそ、秀次の方から秀吉を訪ね、後継者を秀頼とした上で、自らはその補佐に立つということを進言すれば八方丸く収まっていたはず。
        リスクを冷静に分析し、タイミングを逃さずに手を打つことの必要性は今も昔も変わらない。

        ついに生涯を終えた秀吉だが、あれほど非凡な武将で有りつつも、天下統一に満足できず、敵を攻略するという刺激を求め続けたことが、本人にとっても周囲の人間にとっても不幸だった。
        やはり、幸福を掴むには「満足を知る」ことが不可欠だと思う。

        潔く晴れやかに散っていった柴田勝家の最後と比較してしまった。
        >> 続きを読む

        2012/05/15 by ice

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      徳川家康 - 16 日蝕月蝕の巻
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
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      • 秀吉亡き後、権力奪取を目論む三成。

        張巡らした伏線に自ら絡め取られているような三成の足掻きが悲しい。

        キレ者ながら知に溺れ、人身掌握が出来ない三成。
        彼が打ち込む手には、どうしても暗い側面が有るように感じ印象が良くない。

        家康に対しては、有ること無いことをあげつらって勢力を削ぎにかかり、朝鮮から戻った武将達に対しても、安全な場所で安穏としていたくせに上段からものを言う。

        確かに頭脳は明晰なのだろうが、周囲の同意を得られないような汚い手に出たり、空気が読めないような言動を繰り返すのは、善悪の判断基準があいまいだからでは無いかと思う。

        人は自分の中に存在する価値観に照らし合わせて判断を下す。
        いかに職務上必要だからとは言え、正対して説得を試みるような正攻法は避け、噂を流したり、周囲の人間から懐柔するような手を使ってばかりいるのは、自分に自信が無い上に自身の中に存在する価値観が定まっていないからではなかろうか。

        家康ほどの大成を求めるのは酷だが、三成にはもう少し重厚さが欲しい。

        しかし家康の庇護を求めるまでになった彼にプライドは無いのだろうか。
        >> 続きを読む

        2012/05/17 by ice

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      徳川家康 - 17 軍荼利の巻
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • ついに反旗を翻した三成。

        もはや奇抜とさえ思える家康の言動と、その効果が非常に興味深い。

        上杉討伐のため、ともに挙兵した旧秀吉側勢力の武将に対し、三成蜂起時に家康が述べた言葉が凄まじい。

        「大阪には人質も取られているだろうし、心配ならすぐに帰還して良し」という主旨。
        上杉勢との激突を前に帰還も何も無いだろうし、ここで帰還した武将は、いずれは三成派となって敵になる公算が強い。

        普通ならば、裏切りの可能性有りと見て、前線に立たせるなどの手を打つべきだと思われる局面で、有り得ないような一手だと思う。

        更に驚くのは、この提案を受けた外様大名達。
        一度、家康に預けた生命。何を今更家族などと、むしろ逆に全力で三成に立ち向かいたいので城を預かってくれと言い出す始末。

        余りにもハイリスクなため、先にネゴを済ませたデキレースだと思うが、この滅私奉公という精神が日本民族の強さの礎になっているのだと感じた。

        現代での正解は家族を選ぶことなのは議論の余地は無いと思うが、現代の日本人に少しでも多く、武士道精神が受け継がれていることを願う。

        徳川家康を読んでから、自分の中で人身掌握の方法をかなり考えるようになったと思う。
        >> 続きを読む

        2012/05/22 by ice

    • 3人が本棚登録しています
      徳川家康 - 18 関ケ原の巻
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • 何といっても関が原。

        日本史に残る天下分け目の関が原だけに、もう少し戦闘描写が欲しかった。

        何といっても関が原の戦いに到達したことが感慨深い。

        柴田勝家の最後では、鬼気迫る描写が有っただけに関が原でも盛り上げてくれるものと大いに期待していたが、特筆すべきような戦闘描写は無く、多少肩透かしな印象。

        徳川家康の生涯の中で最も絵になる戦場だと思っていただけに、期待が大き過ぎたのは否めないが、あと一歩踏み込んでもらいたかった。

        関が原の決着により、家康派と反家康派の間に決定的とも言えるほど明暗が分かれた訳だが、反家康派中でも生命を落とす者、減俸で済む者、ちゃっかり勝ち組に回った者など様々なパターンが存在する。

        武士道という潔いキーワードを掲げていても、配下を養う義務を果たすために状況を見ながら主人を変えるほどの応用を利かせているのが面白い。

        現代で言えば、社長もしくは管理職の立場だが、個人的には耐え難くても、部下のために耐え忍ぶという状況は確かに有るのだろう。

        最大の山を越えた家康が、権力を固めに入る過程に注目したい。
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        2012/06/01 by ice

    • 3人が本棚登録しています
      徳川家康 - 19 泰平胎動の巻
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
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      • 関が原を終え、天下泰平の道を進む家康。

        青年になるに伴い、秀頼の意志が表現され始めたのが興味深い。

        秀頼といい秀忠といい、そろそろ偉大なる初代の跡を継ぐ二代目に注目してしまう。

        史実から、それぞれの末路は分かっているものの、ここはしっかり対比させて、それぞれの良い点と悪い点を整理しておく必要が有ると思う。

        これまで幼少だったため、本人の意志表示機会が無かった秀頼が、意志を表現し始めるや否や、青年期の突き上げる情動が現れるというのも分かる気がする。

        生まれたときから権力者として何不自由なく育てられ、傅く多くの女性も、おそらく虎視眈々と寵を競うような状態だと思われる。

        この環境下では、青年期の激しい衝動が抑えられるはずもなく、結果は極めて妥当と言わざるを得ない。

        源頼朝と源義経の確執について言及する場面が有るが、頼朝の義経追放は、頼朝に無断で天皇から直接冠位を得たため、他の御家人に対しての示しが付かず、やむなく行ったと結論付けているのがとても腑に落ちた。

        これまでは、戦功を挙げ続ける義経が目障りになってきたというような説が多かったように思うが、この説の方がよほど説得力が有る。

        仮の平和を手に入れた家康だが、完全に憂いを絶つまでの詰めにも注目したい。
        >> 続きを読む

        2012/06/22 by ice

    • 3人が本棚登録しています
      徳川家康 - 20 江戸・大坂の巻
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
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      • 徳川/豊臣、ともに二代目への権力移譲が本格化する。

        関白政治から武家政治への転換。やっとその必要性と意味が理解できた。

        自らが隠居することで、二代目への権力移譲を急ぐ家康。
        青年に成長した秀頼に、何としても権力を与えたい淀君。

        天下統一が成り、真の支配者は1人しか在り得ないことを考えると、家康と淀君のどちらかが折れない限り、衝突は免れない状態になっている。

        既に実力差は歴然としている中で、妄執を捨てきれない淀君の気持ちを察するに、秀吉存命中は、徳川も豊臣の家臣同様だったという過去を捨てきれないのだと思う。

        実権を奪った成り上がり者が憎いといったところだろうが、淀君の血筋はともかく、秀吉自身が成り上がり者の代表格で有ることから説得力に欠ける。

        また、秀吉が統一した天下を家康に奪取されたと考えていた場合も想定されるが、秀吉の偉業も信長を引き継いだものだっただけに、同様の理屈で家康が引き継いでもおかしくはないように思う。

        秀忠には征夷大将軍を譲り、秀頼には公家としての昇進の道を段取る。
        詭弁と捉えられなくは無いが、体面だけは保ちたい大阪勢にも受け入れやすい配慮に溢れた名案だと思うのだが、人間の妄執は果てしない。

        やはり完全な勝ち組が出来てしまうと、正直盛り上がりに欠ける。
        >> 続きを読む

        2012/07/11 by ice

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【山岡荘八】(ヤマオカソウハチ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)

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