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貨幣の価値すら異なる時代でも共通する出世欲。仕事でしか自己を実現できない人間には当然のことなのかもしれない悲しい欲だ。結局世の中って好き嫌いでいろんなことが決まってしまったりしてるんだろうな。 >> 続きを読む
2020/04/25 by aki
読了感が半端なく清々しい。財前の職業人としての天才性。大学病院という権威主義の権化の様な世界の中で、彼の天才性は研ぎ澄まされ、また人間性は削ぎ落とされてゆく。結局、彼の研ぎ澄まされた天才性ゆえに、削ぎ落とされた人間性ゆえに第五巻の結末を迎える。「人を生かす」という生業。人が生きるという「業」。山崎豊子さんは財前という一人の天才医師を通して「人の業」を炙り出す。癌とは一体何なのか?人の業が結晶化したもの。それが癌化というものか?読了してからこのことを悶々と考えた。執筆されてからもう随分と経っている小説なのに全く色あせた感じがしない。戦後の日本の、高度経済成長期の、医学会を垣間見た。 >> 続きを読む
2020/09/21 by masahiro
1,000ドル(36万円)もらった、東京からフランクフルトまで31時間、辺りに強く時代を感じた。そうか、そんな時代なんですね。東前教授がすっかり落ちぶれてしまい可哀想にも思ったが、敵の強さを見誤って嫉妬心からつまらぬケンカを吹っかけたのも悪いよね、と考えるのは厳しすぎるでしょうか。勝てるケンカしかしちゃいけないということを教えてくれる巻ですね。 >> 続きを読む
2020/07/12 by aki
名誉を求めるのって贅沢なことだと思う。そしてそんな贅沢な人間が、一度手に入れた名誉を手放せるわけはない。周りにも利益を同一とする人間がたくさんいて、法の裁きは下されない。遺族は報われない。財前も里見も、自分の守りたい信念に向かってまっすぐだという意味では似た人間なのかも。 >> 続きを読む
2020/07/26 by aki
いよいよ破滅の足音がしてきた。医療裁判はきっと今でも困難ではあるが、当時はもっともっと大変だったのだろうな。裁判員制度がいいかどうかはこういった特殊な業界に関しては特に意見が割れるのだろう。聖域として扱って欲しければそれなりの職業的倫理観を保ちなさい。きっとそれだけだけど、清く正しく生き続けるのって大変だ。人の命は失ったら取り戻せないからなおさら、誰もがはじめはもっていた命を扱う恐ろしさを忘れてはいけない。 >> 続きを読む
2020/08/18 by aki
かつてNHKでTVドラマとして放送された山崎豊子の「大地の子」。そのあまりの素晴らしさに、その時の感動がいつまでも私の心から離れません。今回、原作の小説全4巻を、時間をかけてじっくりと読んでみました。とにかく、中国残留孤児の激動の半生を描いた"歴史大河小説"として、誠実な性格と忍耐力を発揮する主人公・陸一心の姿が圧巻の作品なんですね。そして、この「大地の子」は、山崎豊子の「不毛地帯」「二つの祖国」に続く戦争三部作のひとつとして位置づけられている作品で、現実に中国が辿ってきた歴史を綿密に調べ上げて書かれた大河小説でありながら、冷徹なノンフィクションの手法に傾いていないところが、さすがに山崎豊子らしいと思いますね。主人公の松本勝男は、満州でソ連軍の虐殺により家族を失い、妹のあつ子は奇跡的に生き残るが、勝男とは生き別れになってしまう。勝男は、放浪中に人買いに捕まり、売られそうになっていたところを、小学校教師の陸徳志に助けられた。陸徳志は、勝男を引き取り、一心と名付ける。日本人であるがゆえに差別や虐待を受ける一心を、徳志は愛情を込めて育て上げる。ところが、中国では文化大革命が起こり、一心は日本人であるという理由から内蒙古の労働改造所へと送られてしまう。徳志は、一心の冤罪を晴らすために奔走し、そして一心は無事、労働改造所から解放されるのだった。一心は、労働改造所で勉強した日本語の能力を買われ、日中共同の大プロジェクト「宝華製鉄」の建設チームへと参加することになるのだった-------。物語は、1966年(昭和41年)、中国で文化大革命が起きた数カ月後から始まる。製鋼工場の技術者である陸一心は、批判大会で吊るし上げの対象となり、身に覚えのない罪を着せられる。労働改造所に送られ、囚人として肉体的激務を強制されるが、ここに至るまでの彼の青年時代もまことに劇的であった。この労働改造所での過酷な日々を耐えられたのは、ひとえに陸徳志、淑琴の両親から受けた愛に報いるまで人生を終わるわけにはいかない、という強い執念があったからだ。また、彼の味方は両親だけにとどまっていなかった。親友の袁力本は、ここぞという時に力になり、また労働改造所時代の命の恩人である看護婦の紅月梅と結婚し、彼女が心の支えとなる。こうして、いくつもの情愛が、日本人であるがゆえに、なかなか心を開けない一心の孤独を慰めるんですね。そして、持ち前の誠実な性格と忍耐力を駆使して、仕事に邁進する一心。だが、この歴史大河小説の読みどころは、一心の数奇な運命だけではありません。物語の後半に入ると、山崎豊子のスリリングなストーリー・テリングの冴えが光ってくるんですね。製鉄所プロジェクトが、権力者の政治に利用され、非常に生臭い権謀術数の様が描かれていくことになります。また、日本側と中国側、お互いのメリットを尊重する政治的駆け引きが、プロジェクトの進行をますます滞らせるのであった。こうした中で、民間製鉄会社の上海事務所長として働いているのが、松本耕次、一心の実父だ。彼は、果たして同じ職場で働く一心が実子であると、知ることが出来るのかという興趣が、エンターテインメント小説としての読みどころになっていると思う。最終的には、深い感動がもたらされる作品ですが、そこに至るまでの、まさしく山崎豊子の読ませる筆力には、ただただ圧倒されるばかりだ。 >> 続きを読む
2018/07/26 by dreamer
一巻と二巻の境目がちょっと曖昧。転職した関係でまったく色の違う組合を2つ見てきた。1つ目は完全なる御用組合で、なくなっても何の支障もないだろうと思われた組合。2つ目は市民権を得られず少数で奮闘を続ける組合。正直なところ、組合の存在意義は感じられずに会社員人生を送ってきた。主人公のように真に会社やその先を見据えられる人物がいなくては会社という巨大な機構とは立ち向かえないんだろうと思う。その代償が流刑というのもまた大企業ならではの陰湿さがあって見てて苦しいが。 >> 続きを読む
2019/12/31 by aki
読み応えがある、などという言葉では言い表せないくらい分厚い作品。御巣鷹山事故が中心に据えられているが、腐敗した組織への批判的視線が鋭く、仮に現在であればここまでの小説が書けるだろうか、と思ったり(今はそれほど表現の自由度が下がっている気がする)。最後、恩地がなぜ辞令を受け入れ他のか、あの時点で会社を辞めればよかったのではないか(その前に辞意を表明していたのだから)、という点だけが不満だった。 >> 続きを読む
2020/11/07 by 室田尚子
2代に渡る大阪商人を描き、ビジネスのあらゆる場面を凝縮したような作品。小説ではあるけれど、ビジネス書としても読めます。下積み時代、毎日の単調なただのランプの煤掃除から、ランプが綺麗になれば昆布(商品)を美味しそうに照らすと語り、旦那様に魅入られ、丁稚から格上げされるというシーンがあります。有料の講習会に出席させても「何も身になることはありませんでした」とレポートを出す若手社員に読ませてやりたい!と思わず本を握る手に力が入りました(笑)話は変わりますが、昔の大阪を舞台にしたドラマとかで、「いとはん!」と小僧さんかなんかが呼ぶシーンがありますが、これまでずっと「イトさん」という名前なんだと思ってました(笑)「お嬢さん」って意味だったんですね。奥さんのことを「御寮さん」どちらも、この本で知りました。商売をやっていれば災害や戦争など様々なトラブルに見舞われます。今もコロナで苦労しているわけですが、先人達が困難に立ち向かう姿勢を読むと、きっと乗り越える道はある!と思える作品です。 >> 続きを読む
2020/11/29 by 寺嶋文
あんな腐敗にこんな腐敗とよくもまぁこれだけ出てくるものだと感心する。組合が乱立するのにも意味はあり、正義は一義ではない。あと1巻でどうやって収束していくのかが楽しみ。 >> 続きを読む
2020/01/26 by aki
関西弁(?)に圧倒され続けているのは私だけではないはず。作者は人間の持つ嫌らしさ、醜さを書くことに長けているなあとつくづく思う。それにしても藤代が飛び抜けている。婚家でさほど苦労してきたようにも見えないが、甘やかされ、敬われて育つと多少の苦労も身に響くのか、単に正確が悪いのか。中途半端なお金持ちが一番ケチだというのでそれもあるか。なんだか本当にこんな女性が存在しそうで怖い。山林に赤子に、盛り上がる下巻に期待。文乃には藤代を始め、宇市も懲らしめてほしい。 >> 続きを読む
2019/10/10 by aki
女系家族に虐げられ、ひっそりと生きてきた男性陣の逆襲。遺言書を2通書くとはなるほど。娘たちと宇市の強欲さを見抜き、それを利用して自分の大事なものを守りながらというのがまたあっぱれである。その才覚を商売に活かせばもっと栄えたのでは…と思ったりして。いきいきとした生臭さが新鮮でした。いやーあっぱれ。 >> 続きを読む
2019/10/15 by aki
吉本興業を創業した吉本せいの半生をモデルとした作品。通天閣をも買った女興行主の立身出世の物語。寄席道楽好きな亭主に代わり、店を切り盛りする妻・多加。しかし、不甲斐ない旦那のため遂には倒産。商売が嫌いならいっそ道楽で身をたてなさいと寄席稼業を始める。夫に先立たれ後家となった多加は女手一つで切り盛り。自分の幸せを追い求めず、損得より人と人とのつながりを大事にする心意気。卓越した先見の目、アイデアの数々。やがて大阪一の興行師になる。男社会のなかで女性が大阪商人根性で必死に生きる逞しさが輝いています。軽妙な大阪弁のやりとり、戦前の芸能の流行。漫才の誕生など読んでいて楽しかった。山崎豊子が昭和32年に暖簾でデビュー。翌年、2作目の本作で早くも直木賞を受賞。後年の社会派、戦争作品の長編のガッツリとした読み応えに比べると、初期の作品は1冊完結であっさりと読めます。それでも波瀾万丈の半生を描く巧さはこの頃から流石。 >> 続きを読む
2013/12/04 by ybook
太平洋戦争を舞台に、アメリカ人として生きてきた日系二世である天羽賢治が、忠誠を誓ったはずの母国アメリカの裏切りや、太平洋戦争で家族と戦わねばならない運命に苦悩する壮大なドラマ。日本語も堪能である天羽賢治はA級戦犯を裁く東京裁判の通訳モニターの仕事を引き受けるのだが、原爆投下による甚大な被害を前にしては、戦争犯罪者の裁判などには虚しさを覚える主人公が印象的であった。本作も著者の綿密な取材と膨大な資料の上に、よく練られた人物像とストーリが重ね合わせられている。是非、多くの人に読んで欲しい。 >> 続きを読む
2013/02/12 by tak
引き続き流刑中でございます。いよいよ孤独に狂って剥製に銃をぶっ放すところ、下手したら原住民と揉めて警官に殺されるエンドが見えてたわ。そんな終わり嫌すぎるけど。会社員としてというより、人として守りたいものがあるときっとこれだけ生きづらいんだろうなー。 >> 続きを読む
ようやく流浪が終わり国内復帰。飛行機事故のあった年には物心がついていなかったので詳細は知らなかったが、この一冊を通しての悲劇を見て凄惨さが伝わってきた。部分遺体って単語がもう怖い。飛行機ってほんとなんで飛ぶんだろ。 >> 続きを読む
2020/01/08 by aki
10年も前に インフルエンザにかかった時に家族に言って、図書館で借りてきてもらった。アフリカ編は、よく覚えてる若かったからかな。 >> 続きを読む
2013/12/14 by ころさん
【読了日不明】おそらく今まで読んだ全ての小説で一番泣いた小説だと思う。全てにおいて、パンチのある本で人生にも影響を与えたかもしれない。相撲でいうと横綱の相撲を取られた感じ(この表現わかりづらい?) >> 続きを読む
【読了日不明】
入院3冊目。妻のセレクトに文句は言えず、持ってきてくれることだけで感謝。大御所の絶筆。潜水艦のりと、戦争と平和がテーマ。入院して新聞を隅々まで読むことが日課になりました。日本のみならず、世界を覆う閉塞感は、危険な内向きな思想を恥ずかし気もなく振りかざす指導者たちの出現によって、現実を伴った脅威として僕らの前に姿を現しつつあります。トランプ氏ひとりのことではない、もっと、大きなうねりです。新聞には、毎日、しっかり書いてあったのに、忙しさにかまけて、知ろうとする努力を怠っていたことを反省していました。千葉西病院脳神経外科、入院中。いろんな方々に心配をお掛けする毎日でした。失語、マヒの状況はいよいよ固定化。これからはリハビリで、少しずつ良くしていかねば…。 >> 続きを読む
2016/11/20 by 課長代理
【山崎豊子】(ヤマザキトヨコ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)
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