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横光利一

著者情報
著者名:横光利一
よこみつりいち
ヨコミツリイチ
生年~没年:1898~1947

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      上海
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • 戦前の小説だけれど、すごく新鮮な感じがした。

        1930年代の魔都・上海の魅力と情景が、生き生きと小説の中でよみがえる気がした。

        登場人物たちの、いささか投げやりで、物憂く、虚無的なあり方も、読んでて面白かった。

        グローバル経済と中国と日本の問題、マルクス主義と愛国主義とアジア主義の問題など、考えてみれば今なお新しいテーマに切り込んでる。

        作品のラストの方の、上海でのゼネストと、ゼネストに巻き込まれて散々な目に遭いながら、女のことしか考えてない主人公達の様子も、なかなか面白く、ある意味共感した。

        たぶん、私も、革命が起こったりストライキが起こっても、それなりにかかわりながらも、結局は自分の恋人や家族のことしか考えないし、そこに会いに行こうともがくような気もする。

        にしても、残念なのは、この「上海」、ちょっと途中で終わってしまったっぽい感があること。

        この続きが本当は読みたい。

        もっとこの作品の扱うあとの時代の、上海事変に突入したあとの様子、および第二次大戦が終わったあとの、上海の様子まで活写すれば、史上にのこる作品になったろうに。

        とはいえ、もうそこには、横光利一が書きたかった、詩情をそそる魔都の風情はなかったのかもしれない。

        上海事変・日中戦争の勃発で、さまざまな矛盾の上に花咲いていた租界の魔都・上海は、たぶん終わってしまったのだろう。



        「上海」を読んでて、ふっと思いだした。

        私が高校生の頃、高校の先生のうちの一人から、その先生はもう六十ぐらいだったけれど、

        小さい頃、上海に住んでいてとても幸せだったこと、大きな家で、鉄の手すりがずっと家の中になだらかについていて、それを妹と一緒にすべっていつも遊んでいたこと、

        戦後もずっと経ってから訪れたら、その家はそのまま残っていて、中には何家族かが住んでいたこと、

        事情を話すと、喜んで中を見せてくれて、そしてとても歓迎しくれたこと、

        昔の上海を知っている人のことを中国では「老上海」(ラオシャンハイ)と呼ぶのだけれど、自分を「老上海」と呼んでとても尊敬して歓迎してくれた、といった話を聞いた。

        まったくのあかの他人の私が聴いても、何かなつかしいような、そんな気のする話だと、今思い出しても思う。

        上海という町は、不思議と、そういうなつかしさのある街だと思う。
        いろんな記憶がこもっていて、関係のない人にまで限りない郷愁を感じさせる町なのかもしれない。

        横光利一の「上海」も、たぶん書いてた本人にはそんなつもりはなかったのかもしれないけれど、限りなくなつかしい上海の姿を、見事な文章で綴った、一大詩集だったような気がする。

        これは小説というよりは、詩集という感じのする本だと思う。
        >> 続きを読む

        2012/12/22 by atsushi

    • 3人が本棚登録しています
      夜の靴・微笑
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 横光利一の晩年の著作2本が入っています。

        私はこの中の「微笑」が好きです。

        二次大戦中、祖国の敗戦が目に見えてきた時分、俳人の先生(著者を模している)が「祖国を勝利に導く発明をした」と豪語する(それでもどこか謙虚な)若手の天才科学者と出会う話です。

        主人公視点で書かれる、天才が非常にうっすらしていて、周囲から「本物の天才だ」「あいつはただのほら吹きだ」「気が狂ってしまった」など様々な噂話が聞こえてきて、主人公の中で彼へのイメージが次々に形を変えていきます。

        その結末も天才の真偽もはっきりとしないまま、物語は終わりを迎えます。
        釈然としないのに、なぜか空虚に満ちた主人公に感情移入してしまいます。


        60年近く前の作品ですが、あまり古臭さは感じません。
        霧がかかりつつもどこか爽やかな描写は今の流行りにも近い気がします。
        青空文庫でも読めますので、読んでみてはいかがでしょうか。
        >> 続きを読む

        2014/06/02 by オオスカシ

      • コメント 3件
    • 2人が本棚登録しています

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