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吉村昭

著者情報
著者名:吉村昭
よしむらあきら
ヨシムラアキラ
生年~没年:1927~2006

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このランキングは1日1回更新されます。
      羆嵐
      3.4
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      • 2017年読書初め。バーナード嬢紹介本。

        大正時代、北海道で実際に起きた村民7名がエゾヒグマに殺害された事件が基礎になっているドキュメンタリー調の作品。日本史上最大規模の獣害事件。

        街なかに住んでいたら野生の熊に出会うことなんてまぁ有り得なくて忘れがちだけど、野生の熊が凶暴な一面もある肉食獣だということを思い知らされる。
        グロテスクな描写もあるけど、実際の現場は想像より遥かに凄惨だったんだろうな…
        作者が決して人間側に付かず熊と人間を平等に扱っていた点が印象的。
        そりゃ熊からしたら何を喰おうが空腹を満たすという生き物としての本能に従ってるだけやもんなぁ。

        事件自体もさながら、当時の北海道で大自然に晒されながら生きる開拓民の生活の苛酷さがひしひしと文面が伝わってくる。辛すぎる…

        それとこの本読み終えたあとYouTubeで熊を検索したのはきっと僕だけじゃないはず…!(;><)
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        2017/01/06 by ねごと

    • 他2人がレビュー登録、 9人が本棚登録しています
      高熱隧道
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      •  黒部第3発電所建設工事に関連した隧道(トンネル)工事を題材にした すさまじい小説でした。
        ただ、「黒部の太陽」の題材となった工事とは別物です。(「黒部の太陽」は、この16年後の第4発電所建設の際の話です)

         土木工事には死亡事故がつきものの時代においても類を見ないほどの被害者を出した超難工事。
        自然の猛威を突きつけてくる冬の黒部渓谷に陣取り、きいたこともない想像を絶する破壊力を持つ雪崩などを耐え忍び、岩盤温度160℃を超える温泉地帯を掘りぬいた男たちの闘いの記録です。

         入念に取材し著者の中で書きたいものが熟成された結果の産物なのでしょう。かなり具体的な工事風景の描写、登場人物たちの心の機微をえがく筆力は見事です。

         とくに、工事の指揮をとる側の人間たちの心理描写は筆者のひとつの大きなテーマだったのでしょう。工夫らの死に対する想いと工事完成への責任感との葛藤。また、貫通の際の昂ぶり。
        なかなかに迫ってくるものがありました。
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        2015/02/01 by kengo

    • 他1人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      敵討
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
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      • 江戸時代の末期から明治にかけて実際にあった仇討ち事件を題材に二つの話が描かれる。


        一つ目は『護持院ケ原の敵討』を題材とた敵討。そこには仇討ちの現実がみえる。時に美談として語られることもある仇討ちだが、成功するのはごくわずか。多くの場合が逃げる相手を見つけ出すことすらできないで終わる。費やした時間と労力、金により自らの身が滅ぶこともある。


        二つ目は日本史上、最後の仇討ち事件『臼井六郎事件』を題材とした最後の仇討ち。時はまさに幕末、その動乱に巻き込まれるように暗殺された父の仇討ちを誓った少年。しかし時代は変わり武士の美徳とされた仇討ちは禁止されていた。仇討ちは美徳か殺人か。彼もまた時代の波に翻弄された一人だった。


        私としては最後の仇討ちが良かった。時代の変わり目に仇討ちという行為そのものの是非が問われる。これも維新の中で生まれた歪みというか、陰の部分だと思う。
        >> 続きを読む

        2016/03/09 by TAK

    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      海も暮れきる
      4.0
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      • 吉村昭さんのものした「海も暮れきる」を読みました。この中篇小説は、明治・大正期を生きた奇行の俳人、尾崎放哉(おざき・ほうさい)の、小豆島(しょうどしま)での最期の8ヶ月を綴ったものです。

         尾崎放哉は、つとに俳句の才能を示していましたが、東京帝国大学法学部を卒業し、東洋生命保険会社の東京本社契約課長になりました。でも彼は酒癖が悪く、朝から深酒をするは、酒席で飲み相手に執拗な絡み方をするは、で、会社を首になってしまいます。そして拾われた太陽生命保険会社でもおなじ失敗をして首になります。そして最愛の妻・馨(かおる)とも別れ、ひとり孤独なわび住まいを求めるに至ります。そこで、彼が行き着いたのが、瀬戸内海に浮かぶ小豆島でした。

         尾崎放哉の酒癖は、飲んで暴力を振るうという体のものではなく、相手を執拗に詰問する、罵倒するという感じの酒乱でした。そしてこれは本人も認めていた「悪徳」でした。

         「俳句仲間」のもつ親和性というべきものがあるのかも知れませんが、尾崎放哉にとっても、小豆島を探してくれたのは師でもある荻原井泉水(おぎわら・せいせんすい)で、島に受け入れてくれた井上一二も、井泉水が主宰する自由律俳句誌「層雲」の同人でした。自由律俳句とは、河東碧梧桐が初めて提唱した、「5・7・5の定型によらず、季語もなし」・・・といった感じの俳句のことです。


        @ここまで来てしまって急な手紙を書いてゐる


        これは、尾崎放哉が島についたころ書いた句です。そうとう変格な句ですよね。

        さて、尾崎放哉には死に繋がる持病がありました。それは当時ガンより恐れられていた肺病(結核)です。島に来た際にはかなり病状が悪化していました。自分を養うにも、働く体力がない・・・そこで周囲の人びととか同人たちには、物品、お金の無心をしないわけにはいきませんでした。

         庵も決まりました。西光寺の別庵・南郷庵(みなんごうあん)でした。住職の好意によるものでした。

         神経質になっていた尾崎放哉は、一時期、彼ら支援者の善意を疑いますが、しばらくしてそれが自分の僻み(ひがみ)によるものであることに気付き、以降は彼らの善意を疑わなくなります。

         こんな環境で、尾崎放哉は彼の代表作のような句をひねり出しています。


        @咳をしても ひとり


        @墓のうらに 廻る


        @ なんと丸い月が出たよ 窓


        特に、「咳」の句がスゴイですね。尾崎放哉は、親族とも縁を切った気でいて、自分が死んでも、親族に連絡することを拒みました。自分の周りには誰一人いない・・・という叫びたくなるほどの恐怖。それを、巧みに表現しています。もっとも、身の回りの世話をよくやってくれた、シゲさんというおばさんがいましたが。

         島に着いた当初、食べるものといえば「小麦粉を水で練ったもの」と梅干・・・といった食生活をしていたので、体力は眼に見えて落ちていきます。肉、卵などの滋養のある食べ物も譲ってもらいますが、彼のからだは次第に、粥(かゆ)くらいしか食べられなくなり、下痢と強固な便秘に交互に悩まされるようになります。

        ・・・・・・・・・・・・
        四日前から便秘していたが、赤めしと汁粉を食べたので腹が強く張り、厠に這って行って力んでみても便は出ない。そのうちに、遂に腸が肛門の外に出てしまい、それを紙で押しもどそうとしても入らず、血が流れはじめた。かれは、下剤のしゃり塩を服用し、ふとんの上で突っ伏して呻きつづけた。冷汗が全身に流れ、ふとんをかたくつかんでいた。
        ・・・・・・・・・・・・・
         しかも、喉頭結核になったのか、お粥さえ喉を通らなくなってしまいます・・・立ち上がることも出来ません。声もまともに出ません。彼は死にます。42歳の若さでした。馨は死を看取りに来てくれたそうです。大正15年のことでした。

        現在、南郷庵には


        @いれものがない 両手でうける


        という井泉水の筆になる句碑が立っているそうです。

        今日のひと言:吉村昭さんも、結核を患った経験があり、それを縁に感じて尾崎放哉の評伝を書く気になったそうです。症状が出たら、きついんでしょうね、結核。

        読んだ本:「海も暮れきる」吉村昭:講談社:1980年初版
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        2012/08/31 by iirei

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      ポ-ツマスの旗
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • 本書は、日露戦争当時外務大臣であった主人公の小村寿太郎が、条約締結の全権となり、ポーツマスでロシアの全権ウィッテと互いの腹を探りあいながら条約締結にいたる日々の息詰まる交渉の進捗状況を史実を元に描き出した歴史小説です。外見的には非常に小柄で弱弱しくさえ見える小村が堂々と対応していく様は痛快でもあります。また、講和条約に反感を持った民衆暴徒の日比谷焼き討ち事件について、感情的な民衆、新聞・政治家の扇動、政府の情報開示の難しさ等考えさせられる事項が多くある好著です。 >> 続きを読む

        2011/04/25 by toshi

    • 2人が本棚登録しています
      わたしの流儀
      3.0
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      • 並ぶのに躊躇すると、「人の列」という文章で述べている。
        筆者は、味が良いといわれる評判のラーメン屋の前にいつも列ができていて、
        一度は味見してみたいと思ってはいるものの、若い男女が並んでいる中に
        中年の私が並ぶと、侘しい姿にみえるだろという、恥ずかしさもあるが、
        食べ物を口にするために並ぶ気にはなれないと、述べている。

        まさに、そのとおり、私の場合は、連れがいてると食べる期待に負けて
        平気だが、一人では、到底並ぶ事は、できない。

        でも、甘いものも好きな私、結構デパ地下で、ケーキとかを買ってますが、
        それからいうと、待っている時間の長さか基準ですか、
        まあ恥ずかしさに絶える時間は、3分ぐらいが限度でおますな。

        この様な、自分に置換えて、考えさせられる、お題が100以上綴られている。
        吉村昭氏が描く、ユーモアがありながら、硬派なエッセイ集。
        50才以上のおっさん、いや,おじ様に、ご推薦いたしあす。
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        2013/05/24 by ごまめ

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      殉国 陸軍二等兵比嘉真一
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • 記録文学。
        確かに沖縄戦で現実にあったであろう情景が、ある意味では抑揚の無いタッチで描かれています。
        英雄的な人物や、戦場の恋が出てくるでもない。
        映画化には程遠いと思います。
        それでもほぼ一気に読みきりましたし、読後に胸にせまるものがあります。
        圧倒的に「リアル」だからだと思います。
        もう少し他の作品も読んでみます。
        >> 続きを読む

        2014/08/03 by Hiropika

      • コメント 2件
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      海軍乙事件
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 「海軍乙事件」「海軍甲事件」「八人の戦犯」「シンデモラッパヲ」の4編を集録。
        どれも素晴らしいが、表題作と巻末の「調査メモ」が特に心を打ちます。
        作品中の大西大隊長と福留中将。前者の「一貫して沈黙をつづけた武人ぶり」と後者の「旧海軍のエリートとしての復活」。それを綿密な取材で作品とした著者。この題材で映画が出来そう。
        しかし、著者は主観的な事は一切述べず記録文学に徹します。
        こんな武人も著者も現在の日本にはいないと思います。
        少しでも彼らを目指したいと気持ちを新たに。
        >> 続きを読む

        2014/08/13 by Hiropika

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