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連城三紀彦

著者情報
著者名:連城三紀彦
れんじょうみきひこ
レンジョウミキヒコ
生年~没年:1948~

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このランキングは1日1回更新されます。
      戻り川心中 傑作推理小説
      カテゴリー:小説、物語
      4.3
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      • 読書の愉しみの中で、自分の感性と相通じるような作家と出会った時の悦びというものは、何物にも代えがたいものだと思います。

        かつて、私の感性を刺激し、強烈な衝撃を受けた作家の一人に連城三紀彦がいます。

        当初、日本推理作家協会短編賞受賞という事で、この「戻り川心中」をミステリーとして読み始めたところ、謎解きの興味にも増して、彼の"耽美的であり、背徳的でもある妖しい世界"と、そのあまりにも美しい日本語が織りなす、流麗な語り口の素晴らしさに、みるみるうちに魅せられ、目くるめくような、強烈な衝撃を受け、以後、彼の作品を貪るように読んでいきました。

        この作品の後に読んだ、短編の「密やかな喪服」での黒い喪服のイメージは、喪の裾が妻の殺意と共にじわじわと広がり、作品全体を真っ黒に覆いつくしていくようで、その見事な描写力に驚嘆させられたものです。

        この私が愛してやまない「戻り川心中」は、放蕩の歌人・苑田岳葉の死の真相を妖しく描いた短編ミステリーで、結婚後も放蕩三昧を重ねた、大正歌壇の寵児と謳われた苑田岳葉は、二度の心中未遂で二人の女を死なせ、その情死行を詠んだ膨大な数の歌を遺して、わずか34歳という若さで自害して果てるのです。

        自画像の横に、「私は柏木だ」と書き殴られていて、岳葉が真実愛した女は、最初の心中未遂の相手、柏木文緒だと語り継がれていました。

        そして30年後、岳葉の友人だった"私"は、岳葉の自死の真相を遺された歌から明かしていくという、ミステリーとしてもスリリングでワクワクするような作品なのです。

        作品中に伏線として散りばめられた歌の数々が、全て著者・連城三紀彦の自作の歌であるという事にも仰天させられますが、その堅牢緊密な構成といい、二転三転するどんでん返しといい、古格のある蒼然たる彼の美文調の文体といい、彼のきらめき溢れるばかりの才能に、すっかり魅せられてしまいます。

        「世の中は行きつ戻りつ戻り川水の流れに抗ふあたわず」に見られる、"戻り川"への執着、「汽笛の音は早遠かりき幾度もふり返りては踏む死出への影」と、情死行の中で待ちこがれた人は一体誰だったのか?

        男の強烈な執着心と、道連れにされる女の悲哀を描き上げた、著者・連城三紀彦の凄まじいまでの描写力に、あらためて驚くと共に、何か私の感性を痺れさせるような凄さを感じてしまうのです。

        殺人や心中といった事件には、体内の奥深く、暗い場所に沈む得体の知れない何かが、必ず、少なからず絡んでいるに違いないと思うのです。

        連城三紀彦の紡ぎだす小説世界の中には、この得体の知れない、摩訶不思議な何とも言えない雰囲気を、ぞくぞくするほど"妖しく耽美的"に描いていて、彼の作品は、戦前の探偵小説が持っていたような、"妖しい雰囲気"を現代に鮮やかに甦らせたのだと思います。

        >> 続きを読む

        2021/07/16 by dreamer

    • 他1人がレビュー登録、 8人が本棚登録しています
      白光 長編推理小説
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
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      • 一見平凡に見える家庭の自宅で起きた
        少女殺人事件。
          
        登場人物すべての視点から
        事件の経緯を語られることで
        いろんな立場の主観が入り混じり、
        誰が真の犯人なのか判断できなくなっていく。
          
        言葉だけで動機が作られる。
        言葉だけで誘導できる。
        言葉だけで誤解が生じる。
          
        言葉だけで本心が隠せる。
        言葉だけで本心が見抜ける。
          
        それぞれの言葉がどんどん一人歩きして
        直接手を下すだけが殺人ではないのだと
        恐ろしくなった。
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        2020/06/03 by NOSE

    • 他1人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      敗北への凱旋 長編新探偵小説
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 昭和二十年八月十五日――
        数時間前は大日本帝国だった一つの国も
        瓦礫となって崩壊した
        その巨大な静寂の夕闇の中に
        夾竹桃の花が降る。

        そして、終戦後まもないクリスマスイブ。
        安宿で片腕の男の死体が見つかった。
        容疑者の中国人女性玲蘭は彼の情婦をも殺し
        自ら身を投げる。

        単なる痴情のもつれとみられた事件は
        男の残した旋律により
        別の様相をあらわにしていく。

        再々読。

        幻想的で美しい書き出しから
        (自分はこんなに美しい廃墟のシーンを知りません)
        まったく、思いも寄らぬラストへたどり着く凄さ。

        暗号の意図。

        ただ、ひたすら呆然とした初読の時を思い出します。

        それにしても著者は
        美しいものを美しいまま活字に出来る才能の持主だと思います。
        個人的には、あとは、赤江瀑ぐらいかなぁ・・・

        あとは、米澤穂信の解説も
        それだけの為に購入する価値はあります。

        優れた作品に優れた解説。
        これでこの値段は安いと思います。

        ご冥福をお祈り致します。
        >> 続きを読む

        2013/10/24 by きみやす

      • コメント 4件
    • 3人が本棚登録しています
      夜よ鼠たちのために
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 著者の『人間動物園』を探していたらこちらが見つかったので
        思わず読んでしまいました
        六編収録の短編集。

        序盤のトリッキーという言葉がよく似合う『二つの顔』
        『人間動物園』や『造花の蜜』に繋がるであろうあるテーマを使った『過去からの声』
        そして、問題の表題作『夜よ鼠たちのために』
        思わず、読み終えた後にタイトルの意味にニヤリとしてしまう『二重生活』が好みです。

        もはや、手垢がつきすぎて、あまり使われない
        “二転、三転”という言葉の意味を改めて噛みしめる作品集です。
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        2014/02/04 by きみやす

      • コメント 4件
    • 1人が本棚登録しています
      暗色コメディ
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • もう一人の自分を目撃してしまった主婦。
        自分を轢き殺したはずのトラックが消滅した画家。
        妻に、あんたは一週間前に死んだと告げられた葬儀屋。
        知らぬ間に妻が別人にすり替わっていた外科医。
        四つの狂気が織りなす幻想のタペストリーから、やがて浮かび上がる真相とは?

        本棚の奥から出てきたので、思わず読みふけってしまいました。

        初の長編作品でこんな作品をかけてしまうことに
        改めて驚きました。

        「これ、収拾つくのかよ?」と思いながら
        予想のはるか上を行かれる気持ちのよさを
        思い出しました。

        よく、島田荘司との比較をされますが

        この作品を読むと逢坂 剛の初期作品
        『水中眼鏡の女』
        『クリヴィツキー症候群』
        『さまよえる脳髄』とかが読みたくなります。
        >> 続きを読む

        2014/02/04 by きみやす

      • コメント 4件
    • 3人が本棚登録しています
      造花の蜜
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね! ooitee
      • 始まりはお父さんに連れ去られようとした圭太。
        それから一か月後本当に圭太が誘拐される。
        母の香奈子は動揺するが、その誘拐はどこか奇妙だった。

        誘拐にしては身代金も要求しないし、受け渡し場所も渋谷のスクランブル交差点の真ん中という有り得なさ。

        このおかしな点が繋ぐのは誘拐劇に隠された裏。

        真相がわかるといかに巧妙に展開された誘拐劇かよくわかる。
        蜜蜂と花にもしっかりと意味がある。

        ただし最後の章はほとんど蛇足な気がするが、それでもよく出来たお話。
        >> 続きを読む

        2019/05/12 by オーウェン

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