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一見平凡に見える家庭の自宅で起きた少女殺人事件。 登場人物すべての視点から事件の経緯を語られることでいろんな立場の主観が入り混じり、誰が真の犯人なのか判断できなくなっていく。 言葉だけで動機が作られる。言葉だけで誘導できる。言葉だけで誤解が生じる。 言葉だけで本心が隠せる。言葉だけで本心が見抜ける。 それぞれの言葉がどんどん一人歩きして直接手を下すだけが殺人ではないのだと恐ろしくなった。 >> 続きを読む
2020/06/03 by NOSE
昭和二十年八月十五日――数時間前は大日本帝国だった一つの国も瓦礫となって崩壊した。その巨大な静寂の夕闇の中に夾竹桃の花が降る。そして、終戦後まもないクリスマスイブ。安宿で片腕の男の死体が見つかった。容疑者の中国人女性玲蘭は彼の情婦をも殺し自ら身を投げる。単なる痴情のもつれとみられた事件は男の残した旋律により別の様相をあらわにしていく。再々読。幻想的で美しい書き出しから(自分はこんなに美しい廃墟のシーンを知りません)まったく、思いも寄らぬラストへたどり着く凄さ。暗号の意図。ただ、ひたすら呆然とした初読の時を思い出します。それにしても著者は美しいものを美しいまま活字に出来る才能の持主だと思います。個人的には、あとは、赤江瀑ぐらいかなぁ・・・あとは、米澤穂信の解説もそれだけの為に購入する価値はあります。優れた作品に優れた解説。これでこの値段は安いと思います。ご冥福をお祈り致します。 >> 続きを読む
2013/10/24 by きみやす
著者の『人間動物園』を探していたらこちらが見つかったので思わず読んでしまいました。六編収録の短編集。序盤のトリッキーという言葉がよく似合う『二つの顔』『人間動物園』や『造花の蜜』に繋がるであろうあるテーマを使った『過去からの声』そして、問題の表題作『夜よ鼠たちのために』思わず、読み終えた後にタイトルの意味にニヤリとしてしまう『二重生活』が好みです。もはや、手垢がつきすぎて、あまり使われない“二転、三転”という言葉の意味を改めて噛みしめる作品集です。 >> 続きを読む
2014/02/04 by きみやす
もう一人の自分を目撃してしまった主婦。自分を轢き殺したはずのトラックが消滅した画家。妻に、あんたは一週間前に死んだと告げられた葬儀屋。知らぬ間に妻が別人にすり替わっていた外科医。四つの狂気が織りなす幻想のタペストリーから、やがて浮かび上がる真相とは?本棚の奥から出てきたので、思わず読みふけってしまいました。初の長編作品でこんな作品をかけてしまうことに改めて驚きました。「これ、収拾つくのかよ?」と思いながら予想のはるか上を行かれる気持ちのよさを思い出しました。よく、島田荘司との比較をされますがこの作品を読むと逢坂 剛の初期作品『水中眼鏡の女』『クリヴィツキー症候群』『さまよえる脳髄』とかが読みたくなります。 >> 続きを読む
大正末期から昭和にかけてを舞台とした心中をテーマにした短編五編。推理小説ということになってはいるが、余りにも美しい文章なので、犯人がどうとか手口がどうとか、そこは重要ではなく、犯人が罪を犯す理由が大切になる。大正末期を舞台とするものは、大抵独特の色がある。本書もそうで、この暗さと言ったらどうだろう。この先、取り返しのつかない愚かな戦争に突っ込んで行くことを知っているからなのか、どうしようもなく暗く、絶望的で、哀しい。その時代背景と心中というテーマが、よく合っている。追い詰められ、視野が狭くなり手段を選べなくなる心理と、負けが見えてきて暴走した日本の軍国主義とは似ている気がする。この短編集では、犯人の動機が重要なことは書いたが、殺す相手に対する憎しみや恨みといった執着は余り無いことが共通している。殺したことにより引き起こされる結果に、犯人の関心と目的がある。ここにも、戦争自体の目的よりも、過剰な愛国主義を強要しはじめた戦争に対比させているように感じたのは考え過ぎなのかもしれない。どこまでも美しい死への感性。これは日本人でないとわからないのかもしれない世界。 >> 続きを読む
2015/03/05 by jhm
始まりはお父さんに連れ去られようとした圭太。それから一か月後本当に圭太が誘拐される。母の香奈子は動揺するが、その誘拐はどこか奇妙だった。誘拐にしては身代金も要求しないし、受け渡し場所も渋谷のスクランブル交差点の真ん中という有り得なさ。このおかしな点が繋ぐのは誘拐劇に隠された裏。真相がわかるといかに巧妙に展開された誘拐劇かよくわかる。蜜蜂と花にもしっかりと意味がある。ただし最後の章はほとんど蛇足な気がするが、それでもよく出来たお話。 >> 続きを読む
2019/05/12 by オーウェン
【連城三紀彦】(レンジョウミキヒコ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)
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