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島田三蔵

著者情報
著者名:島田三蔵
しまださんぞう
シマダサンゾウ
生年~没年:1938~2007

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      古地図に魅せられた男
      カテゴリー:地球、天文地理学
      4.0
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      •  海外ノンフィクションによくある、あのポエムと例え話の中間に位置する心情の語りはどうして読みにくいのであろうか。
         例えば京極や神林といった設定が複雑な作家でさえ、国内小説に描かれた心情文は読みやすい。これは作家の力が読み下しを手助けしてくれるのは明らかだ。
         だが、海外小説にある絡まった毛糸球のような心情描写はいかに海外作家と翻訳者が有能であろうと頭を悩ませることが多々ある。ニュアンスが読み取れないのだ。その違いは何か、と考えれば背景の差があるのであろう。
         海外ノンフィクションの心情文の濃ゆいところはキリスト教の背景(史観、倫理観とも違う、経験からの感覚)が多く刷り出る。それが直感的に理解できないからこそ、胃もたれや誘眠、集中力の滑落を引き起こし、眼が滑るようになる。
         ただこれはあくまで私の直感的認識であって、その認識が間違っている、つまり宗教的な背景など存在せず、各個の読者から統計を取れば世代ごとの感覚の差異で収まったり、もしくはフィクションとノンフィクションの壁があるということなのだろうか。もしくは_、私がそのキリスト教の臭みから自己欺瞞、自己擁護、自らに向ける憐憫の花束を見立てて、それが気に触るということなのだろうか。一神教の羊が祈る言葉は私のような異教徒には弁解に聞こえる、というだけの宗教観の違いか。
         とつらつらと書いたが、今までうっすらと感じていた事柄を掬い上げただけで、この本の書評には関係ないのだが。


         前振りで話しておいてあれなのだが、それほど重い本ではない。
         1996年に捕まった泥棒。その泥棒は古地図を専門に狙い、それを自らの店で売っていた、と要約すればそれだけの話である。
         その古地図の盗み先が図書館であった、というところが注目点であった。
         その逮捕記事を読んだジャーナリストが古地図というキーワードに反応して調べ始めたのがこの本の始まりであった。
         その調査の道筋を、古地図の売買そのものをマニア向けなコレクションから高額なインテリアマーケットへと押し上げた一人の男から聞く古地図業界の移り変わりや、古地図そのものの歴史から入って古地図上の重要な要素である「人はまだ見ぬ地図の空白、特に空白の先をどう考えていたか」という話、アメリカに在する稀少本(ビブリオ)図書館の本の番兵はどういう人種なのか、アメリカにおける軽犯罪と重犯罪の境目と司法制度、現代の空白が存在しない地図作成などの様々なサイドストーリーを交えつつ、一人の古地図窃盗犯を軸に語っていく本である。
         ある種、ゲームの「ネオ・アトラス」に近い話でもあるし、古地図そのものの歴史入門としても悪くない本である。アメリカの隙間の現代史として見るのもまた面白い。「古地図」、「ビブリオ図書館」などのキーワードに引っかかるものを感じたら読んで楽しめるだろう。




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        2016/06/15 by ginhai

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