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天藤真

著者情報
著者名:天藤真
てんどうしん
テンドウシン
生年~没年:1915~1983

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      大誘拐 天藤真推理小説全集〈9〉 (創元推理文庫)
      カテゴリー:小説、物語
      4.4
      いいね! ybook chao tadahiko emi Minnie sunflower atsushi bakabonn kuuta
      • おもしろい!
        こんなに痛快な誘拐事件、ほかにないのでは!?
        刑務所から出たばかりの3人が企てた、紀州随一の大富豪、柳川とし子刀自の誘拐事件。
        身代金百億円という前代未聞の取引に発展した大騒動は、一連のショーのようで、爽快感がありました。

        誘拐なのに爽快って、なんだか不思議なかんじですが、ネガティブな感想が全く出てこないのです。
        刀自と虹の童子たちのやり取りにくすっと笑みがこぼれ、ほろりとさせられる。
        1978年発表と聞いてびっくりの、壮大なスケールのお話です。

        この作品の一番の魅力は、刀自のキャラクターが抜群なところです。
        なんて可愛らしい、パワフルなおばあちゃん。
        あまりに刀自が良すぎて、正直作者の他の作品が気にならない(^^;)

        「罪人のわが子の行方を言う親がおりまへんようになあ。・・・私、今ではなあ、あのものたちの母代わりみたいなもんですのや」
        最後までじーんとさせてくれました。
        >> 続きを読む

        2018/08/06 by あすか

      • コメント 7件
    • 他18人がレビュー登録、 46人が本棚登録しています
      大誘拐
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!

      • ミステリのジャンルの一つである、ユーモア・ミステリは、最後までほのぼのとしたまま終わる作品と、ユーモアの裏に"毒"を隠した作品に大別できるのではないかと思っています。

        天藤真のユーモア・ミステリは、私が今まで読んできた「陽気な容疑者たち」や「死角に消えた殺人者」などの彼の作品から推測すると、ほぼすべてが何らかの"毒"を持っていると思う。

        この「大誘拐」も例外ではなく、非常に残酷で冷酷な"悪"を登場させているんですね。
        この"悪"が出てくる誘拐小説というと、すぐに誘拐犯を思い浮かべてしまうかもしれません。

        確かに、現実の誘拐事件は、非常に陰惨な結末を迎えることも多いので、誘拐犯=悪人、警察=善人という図式で考えてしまいがちです。

        ところが、この「大誘拐」は、このような思い込みを逆手に取り、誘拐を純粋なゲームに仕立てていると思うんですね。

        なにしろ、誘拐を始めた三人組はもちろん、被害者から誘拐の主犯に躍り出るおばあちゃん、警察やおばあちゃんの家族も含め、誰も悪人が出てこないんですね。

        人質が絶対に安全なことが分っているので、犯人と警察がフェアな条件で繰り広げる、知力を尽くした攻防戦を、純粋に楽しむことができるし、これ以上の興奮はないだろうと思う。

        しかも、おばあちゃんが、警察を出し抜くために考案する奇抜なアイディアも抜群に面白い。
        この計画を真正面から描くだけでも十分なのに、構成にも実に巧い仕掛けが施されているんですね。

        おばあちゃんは、三人組を手足のように使って、計画を実行する。
        三人は、それぞれが担当するパートしか知らされていないので、全体像がどのようになるのか分からない。

        これは、読み手側も同じなので、三人組の行動が一つに繋がり、意外な様相を見せ始める場面では、謎解きを読むような驚きがあるんですね。

        片時もユーモアを忘れることなく語られていた物語が一変するのは、事件がすべて終わってからなんですね。
        この誘拐事件には、二つの謎が残されている。

        一つは、なぜ、おばあちゃんが誘拐事件の首謀者になったのか?
        もう一つは、身代金を百億円にした理由だ。

        これらは、ユーモアを演出するためのエピソードなのかと思っていたら、実は理由があったのだ-------。

        おばあちゃんが、すべての真相を語った時、おばあちゃんが戦っていた"悪"の存在が明らかになる。
        この作品の全篇をユーモアで覆っていたのは、おばあちゃんの"悪"に対する告発を際立たせるためだったのだ。

        それだけに、この場面に込められた哀しみには、計り知れないものがある。

        この驚天動地の結末があるからこそ、この作品は優れた誘拐ミステリであると同時に、優れた小説として、いつまでも記憶に残るものになると思う。

        とにかく、この作品は、著者の天藤真の特徴であるユーモアが、最も冴えた作品であり、誘拐されたおばあちゃんが、逆に誘拐犯人を操って事態を思わぬ方向に導くというアイディアが光っているんですね。

        加えて、ここが重要なんですが、おばあちゃんの口を借りて語られる国家への思いは、笑って済ませられない重みを孕んでいて、著者がただユーモラスなだけの作家ではないことを示していると思うんですね。

        >> 続きを読む

        2018/08/12 by dreamer

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