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川中大樹

著者情報
著者名:川中大樹
かわなかひろき
カワナカヒロキ
生年~没年:1968~

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      茉莉花(サンパギータ)
      カテゴリー:小説、物語
      1.0
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      • 尽誠会巴組の組長・水谷優司の幼馴染み・神楽武雄が刺殺された。
        前夜、優司は本人から「しばらく横浜を離れる」と聞かされたばかりだった。
        事件の謎を追い始めた優司は、武雄がフィリピンの女性を妊娠させた日本人を恐喝していたことを知る。
        さらに、水谷家にホームステイしているフィリピン人留学生・シェリーの両親も三年前に殺されていることがわかって…。
        一連の事件につながりはあるのか。
        悲劇の裏には、いったい何が?

        第15回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。

        本作と、第15回の日本ミステリー文学新人賞同時受賞作が、前川裕さんの『クリーピー』という作品でした。
        『クリーピー』が、独特の重い雰囲気を纏った、正に、これまでに類を見ないような作品で、感心させられました。
        その後、前川裕さんは、僕の中で要チェックな作家さんになっています。
        というわけで同時受賞の本作も、ぜひ読んでみたいと思っていた作品でした。
        嫌が応にも期待値も高まるばかり。
        勝手に期待した僕が悪かったのですが、結論から申し上げれば、まるでお粗末な作品で、ジェットコースターみたいな落差を感じるとは、まさにこのことだと思いました。
        同時受賞の『クリーピー』に、申し訳ないとは思わないのか、と、思わず問いたくなる不出来。
        新人賞とはいえ、これはあまりに酷い出来栄えで、まったくオススメできません。

        主人公は横浜をシマにする尽誠会巴組組長・水谷優司です。
        彼のもとに身をよせる美貌のフィリピン人女性・シェリーと、その過去を巡って、水谷の周辺がざわつき始めます。
        まずは、幼なじみの武雄が、関内駅頭で刺殺されたということ。
        実行犯は外国語を話す2人組ということでしたが、詳細は分からず。
        ほぼ同時に、シェリーの両親が、数年前にフィリピンで無残に殺害されていたという事実が浮かび上がります。
        武雄とシェリーの間には、武雄がシェリーを手籠めにしようとしたところ、手酷く袖にされたという因縁がありました。
        そんな不名誉な過去がありつつも、武雄は仲間内では義理に厚く、友達想いの憎めない奴。
        殺されるいわれはこれっぽっちもない。
        水谷は、武雄が殺されたことと、シェリーの両親が殺されたこと、この2件の殺人事件に繋がりがあるものと確信します。
        警察がまともに捜査しないなか、水谷は独自のツテを頼り、ふたつの事件の真相を究明するために動き始めるのでした。

        著者の来歴を読むと、川中大樹(カワナカヒロキ)さんは1968年生まれ、ですから47~48歳というところでしょうか。
        慶應大学経済学部卒業後、メーカー、不動産会社、広告プロダクションなど職を転々とされています。
        趣味はスポーツ観戦で高校野球好き。
        本作の舞台“港ヨコハマ”をこよなく愛しているそうです。

        小説を書かれる方が、すべて実体験をもとにして書かれるはずが無く、物語に現実味を加えるために読書などから情報を得たり、取材などを通じて材料としたり、様々だと思います。
        ですから、完璧に現実世界と齟齬が無いような空想話はないわけで、それはノンフィクションという部類になり、もはや小説ではありません。
        そんなことは、読み手として先刻承知なのです。
        架空の世界、架空の物語だからこそ味わえる感動だったり、おもしろさを体験したくて小説を読んでいるのです。
        究極のリアリティが読みたければノンフィクションや、新聞記事を読めばいいわけですから。
        しかし、いくら架空の物語とはいえ、一定レベルの現実感というものは絶対に必要だと考えます。
        この“一定レベル”というのは読み手によって多少異なることとは思いますが、僕の場合、あまりにも常識とかけ離れすぎていたり、登場人物たちの思考・行動が物語の進行上を助ける為だけのご都合主義に走っていたりするという、誰が考えてもおかしいと思うレベルのことだけを言うようにしています。
        この作品は、そこのところがあまりに酷い。
        枚挙に暇がないのでいちいち挙げ連ねませんが、こういう作品に賞を与えること自体が問題だと思うくらい、読み終えて腹立たしい気持ちでいっぱいです。

        思うに著者は、僕よりも幾分年上のようですが、まともに社会人としての生活を送っていないタイプと思います。
        接客・サービス業をしていると、意外と頻繁にぶつかるこのタイプ。
        特に中高年男性に多く見られますが、ハッタリと人間関係だけで世渡りをしてきたため、口は達者ですが、地に足がついていない。
        慶應大学卒という経歴がほんとうであれば頭は悪くないはずで、そのためか文章を書く力は人並み以上にあったのでしょう。
        ただ、小説を書くのに、人間を知らなさすぎる。
        人間を知らなくても小説は書けますが、本作のようなハードボイルド、社会ミステリみたいなジャンルでは、作者に絶対に必要なファクターになります。
        だから、年若で、優れたハードボイルド作家が存在しないのです。
        経験則が足りな過ぎるから。
        四十数年間の人生を送ってきて、この出来ではアマチュアでしょう。
        問題は、彼に新人賞を授けた選考委員です。
        調べると、綾辻行人、近藤史恵、今野敏、藤田宜永の4氏が、最終選考委員。
        下読みレベルで弾かれるべき作品を、4人の作家さんに読ませた光文社の編集者の見識も疑いますし、何か政治的な作用が働いたのかという疑念さえ浮かんできます。
        それに最大限抗った結果が、『クリーピー』との同時受賞だったのか。
        せめてもの現場の良心だったのか。

        駄作と断じざるを得ない、悲しい作品です。
        >> 続きを読む

        2015/10/10 by 課長代理

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