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佐々木譲

著者情報
著者名:佐々木譲
ささきじょう
ササキジョウ
生年~没年:1950~

この著者の本を読んでいる会員ランキング

このランキングは1日1回更新されます。
      廃墟に乞う
      カテゴリー:小説、物語
      3.6
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      • 道警で働いていた仙道はある事件によってPTSDになり、診療のため休職していた。
        んな仙道に相談事として、持ち寄られた依頼にこたえていく6編の連作短編集。

        未解決であったり、現在進行形の事件を脇から見ていくことで、結果的に仙道が事件の真意に近づいていく構成。

        休職前の人間関係もありで、自分が花を持つ必要はない葛藤が。

        単純に解決という道ではなく、自身が復帰という目標があることで事件にも深みが出る仕組み。
        >> 続きを読む

        2019/06/18 by オーウェン

    • 他8人がレビュー登録、 12人が本棚登録しています
      警官の条件
      カテゴリー:小説、物語
      4.3
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      • 僕の警官小説人生の火蓋を切った「警官の血」。
        僕にとっては重量級の警察小説のチャンピオンです。
        この本は、その「警官の血」の3代目安城和也が主人公、そして四課の独立愚連隊「加賀谷仁」は主人公に倍する圧倒的な存在感で登場します。

        あらすじ

        祖父、父を警官に持つ安城和也は、加賀谷仁の警官としての腐敗を内偵する為に部下として接近。加賀谷が捜査の為に所持していた麻薬を証拠とし逮捕、警察を追われる。
        2年半に及ぶ裁判で警察も暴力団もどちらの事も売らず、黙秘を続けとうとう無罪を勝ち取る。
        彼は誰の事も裏切る事無く潔白を証明して見せ伝説となるが、警察を退職後は三浦半島の漁村で釣り船の親父として生計を立てていた。

        安城は若き警部としてチームを率いるが、加賀谷の持っていた人脈、カリスマ性等とは並ぶ者も無く、暴力団の在り方自体の変貌も有り捗々しい成果を得る事が出来なかった。
        そんな中、覚醒剤の流通ルートの内偵を進めていた安城は、取り返しのつかないミスを犯してしまう。

        そんな中、加賀谷には警察への復職の要請が来ていた。
        彼の持っている人脈もさることながら、裁判での誰も売らず身の潔白を証明した事により、「最高最強の刑事」として警察内でも、裏稼業人間からも一目置かれる存在となったのだ。
        彼は要請を固辞するが、かつての部下の殉職を切欠に復職する事を了承する。



        この本もまた僕の中では新たな金字塔として確かな位置を占める事となりました。堂々の700ページオーバー。
        安城の警察としての足場を固め、その中で最大限動こうとする姿勢。警察という枠組みから大きく逸脱しながら、その強力な求心力で清濁併せのみ最短ルートをひた走る加賀谷。

        どう見ても僕らの思う警察は安城の姿勢。
        けれども加賀谷の中で踏み越えてはいけない場所には踏みとどまりながら、誰にも手が届かない事柄も無造作に鷲掴みするその剛腕は、僕ら男の血を騒がせる事間違い無し。加賀谷の一挙一動から目を話す事が出来ません。

        さて、もっとこの本について知りたい人は、課長代理さんのレビューが非常に参考になる事でしょう。読後にもう一回課長代理さんレビュー読ませて頂きましたが、はっきり言って最高。僕のはスルーしても彼のレビューを読むべし読むべし読むべし!!
        >> 続きを読む

        2015/06/21 by ありんこ

      • コメント 6件
    • 他2人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      ベルリン飛行指令
      カテゴリー:小説、物語
      3.7
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      • この佐々木譲の「ベルリン飛行指令」を初めて読んだ時の衝撃は、今でも鮮やかに覚えています。

        デビュー作の「鉄騎兵、跳んだ」以降、バイク小説や青春小説、モダンホラー小説に活劇サスペンス小説と多彩なスタイルの作品を発表してきた佐々木譲が、初めて本格的な政治サスペンス活劇小説に挑んだのです。しかも、期待を遥かに上回る迫力と興奮に満ち溢れた傑作を----。

        日独伊三国同盟が締結された1940年の秋、日本海軍の新鋭戦闘機を極秘裏にドイツへ送る計画が持ち上がりました。そのパイロットに選ばれたのは、海軍の札付きパイロットの安藤と乾。

        敵の包囲網を潜り抜け、給油のための中継地点を経て、二人はベルリンへと飛行を続けたのです----。

        大胆な仮説にもとづいた、極めて破天荒な物語なのですが、活劇小説の基本的な設定を骨格として、戦闘機の知識をはじめ植民地インドの情勢など、戦時のディテールを丹念に積み重ね、そのフィクションを見事に激動の歴史の中へ、リアルに展開させているのです。

        そして何よりも、主人公の人物造型と幾つもの感動的な挿話が、この作品の大きな魅力になっていると思います。知性は勿論の事、豊かな感性や強い意思をもつ彼らは、それゆえにモラルなき組織や国家などと対立、反発し、世間からはみ出してしまうのかも知れません。

        しかし、その対立のエピソードがどれも胸に迫り、彼らが気高く見えるのです。このような感情を抱かせるのは、佐々木譲ならではの文章力のなせる技だと思います。

        更にこの作品は、真珠湾作戦をめぐる日系人スパイの追跡劇「エトロフ発緊急電」、戦争終結へ向けて奔走する人たちの冒険行を描いた「ストックホルムの密使」とあわせて、"第二次世界大戦三部作"となっていますので、次回は最終作の「ストックホルムの密使」を読む予定で、この他にも佐々木譲の作品はたくさんありますが、新宿歌舞伎町が舞台のベトナム難民の少女をめぐる活劇サスペンスの「新宿のありふれた夜」へと読み進めていきたいと思っています。
        >> 続きを読む

        2016/10/16 by dreamer

    • 他1人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      エトロフ発緊急電
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 今回、再読した佐々木譲の「エトロフ発緊急電」は、彼の"第二次世界大戦三部作"と言われる、「ベルリン飛行指令」「ストックホルムの密使」の中で二作目の作品で、第43回日本推理作家協会賞(長編賞部門)と、第3回山本周五郎賞を受賞している傑作です。

        零戦をベルリンまで運ぶという途方もない計画を描いた1作目の「ベルリン飛行指令」も彫りの深いキャラクターを造形した点では傑作だと思いますが、物語の後半部がやや駆け足になったのが少し残念な気がしていて、開戦前夜の状況ドラマと同じ比重で大空の冒険のエビソードをもっと書き込んで欲しかったなという印象を持ちました。

        その前作に比べて、この2作目の「エトロフ発緊急電」は、文句のつけようがないくらいに素晴らしい傑作だと思います。

        とにかくこの作品には、実に膨大な人物が登場してくるのです。日系移民の子で、スペイン内戦に国際義勇軍として参加した後、アメリカの闇社会で生きている男。ロシア青年と日本娘の間に生まれ、数奇な運命を生きる択捉島出身の娘。北の島までアメリカのスパイを追って来る軍曹。

        更には、日本で諜報活動に従事する宣教師。日本に憧れ、講師として来日後は幻滅し、海軍情報部に勤務するアメリカ女性。情報部の極東課に勤務し、地下工作専従者を日本に送り込む巨漢の少佐などなど----。

        そして、アメリカのスパイとなって日本に潜入して来る男を中心に、その一人一人のドラマが丁寧に、こと細かく描かれ、やがてそれらが渾然一体となって、真珠湾奇襲作戦をめぐって緊迫したドラマが展開していくのです。

        アメリカ海軍情報部が日本に送り込んだスパイ、ケニー斉藤は真珠湾攻撃の真実を本国に打電出来るのか?----というサスペンスを核に展開するこの長編小説は、過不足なく北の島の冒険の行方を描いていて、我々読者をハラハラ、ドキドキさせながら、たっぷりと楽しませてくれるのです。

        この作品は「ベルリン飛行指令」に続く、"第二次世界大戦三部作"の第二部にあたりますが、物語自体は前作とは全く別物なので、この作品だけでも独立して十分に読む事が出来ます。

        連作の匂いは、前作の登場人物の数人がこの作品にもだぶって登場する事だけです。例えば、前作の作戦を指揮した大貫中佐と山脇書記官は、この「エトロフ発緊急電」にも登場しています。

        ベルリンに飛んだパイロットの安藤大尉の妹、真理子と前作で知り合った山脇書記官は、この作品で彼女と結婚する事になりますが、その結婚式が行われる教会の宣教師が、潜入したアメリカのスパイの連絡係という関連もあったりしますし、安藤大尉の馴染みだったシンガーの消息がちらっと出て来るなどの"芸"も非常に細かいなと感心させられます。

        再読して思う事は、とにかく、全編を通して静かな物語ではありますが、彫りの深いキャラクター、テンポのいいスピーディーな展開と、全く言う事がありません。

        北の島で交錯する、手に汗握る日米開戦前夜の諜報戦を、迫真のディテールで描き切った傑作だと断言してもいいと思います。
        >> 続きを読む

        2016/09/15 by dreamer

      • コメント 4件
    • 他1人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      ストックホルムの密使
      カテゴリー:小説、物語
      3.7
      いいね!
      • この方のストーリーは私にとって
        とても情景が浮かびやすくて
        そして現場にいる感覚になりやすいから、好き。
        あとにおいたつものが、好き。
        >> 続きを読む

        2017/06/13 by 自由じゃん

    • 他1人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      制服捜査
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
      いいね! ooitee
      • 刑事や警察ものが多い佐々木さんの作品だが、この作品は駐在さん。
        しかも田舎町に左遷されたという設定。

        そういう状況だから退屈なのかと思いきや、些細な事件でも大事になってしまう。
        そんな事態に直面する川久保の活躍を描く中編集。

        1話目からその特徴は出ており、駐在なので事件に深く関われない。
        前任では刑事課だったのに何も出来ないジレンマが。
        ラストの行動はその憂さを晴らすとでもすればいいのか。

        また5話目の13年前の女児誘拐から、再び起こる事件。
        救出の過程で田舎という町の特殊性が関わるというのは意外だった。
        >> 続きを読む

        2018/10/24 by オーウェン

    • 他1人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      暴雪圏
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!

      • 最大風速32メートル。十勝平野が10年ぶりの超大型爆弾低気圧に覆われた日の午後、帯広近郊の小さな町では、いくつかの悪意が蠢いていた。

        暴力団組長宅襲撃犯、不倫の清算を決意した人妻、職場の金を持ち出すサラリーマン-------。

        それぞれの事情を隠した逃亡者たちが、辿り着いたペンション・グリーンルーフで、恐怖の幕がきって落とされる。

        すべての交通が遮断された町に、警察官は川久保篤巡査部長の他には、誰もいなかった-------。

        この現代のエイターテインメント小説の優れた書き手である、佐々木譲の「暴雪圏」は、パニック小説に群像サスペンス小説を加味したような作品だ。

        そして、この作品は、ウエスタンスタイルの警察小説でもあり、密閉空間での群像小説という、今までにない作品になっていると思う。

        エンタメ小説の可能性を追求してきた著者ならではの面白エンタメ小説になっているんですね。

        密閉状態で、様々な人物が登場し、サスペンスフルな展開が勢いを増していく。
        そんな中でも、川久保篤巡査部長の視点は穏やかで、実に頼もしい。

        読み終えて、この作品の全篇を覆っている怖さがじわじわと身に沁みてくる。

        >> 続きを読む

        2018/10/30 by dreamer

    • 他1人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      警官の血
      カテゴリー:小説、物語
      4.3
      いいね!
      • この小説
        ほんとすき。

        昔映像化してるそうですが
        キャスト見たら私のそれぞれのイメージと
        なぜかぜんぜん違う

        私なら誰でみたいかなーと考えるだけで
        ゾクゾクするような。

        そして早瀬を誰にするかがだいじ。
        >> 続きを読む

        2017/02/13 by 自由じゃん

    • 他1人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      武揚伝
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!

      • 佐々木譲の第21回新田次郎文学賞受賞作「武揚伝」(上・下巻)を読了しました。

        歴史のヒーローたちの物語は、いつでも読み手の心を熱くさせるものです。
        今回そこに加わったのは、榎本武揚の物語だ。

        榎本武揚は、江戸幕臣の子として生まれ、幕末期の長崎の海軍伝習所に入り、維新の動乱の中でオランダに留学し、機関・造船・操船術を学んでいる。

        もともと関心があったのは、科学技術だった。この幕末の留学生の生態が、とても興味深く描かれていると思う。

        彼が学んだのは技術ばかりではなく、当然、戦術も学んでいる。
        そして、帰朝して幕府の海軍の中心的存在となっていく。

        戊辰戦争の時、官軍に抗して開陽丸をはじめとする艦隊を率いて脱走、箱館に渡った。

        榎本武揚が外国で学んだものには、さらに国際法がある。
        また、共和政体に対する関心がことさら深く、箱館の地で「蝦夷ガ島自治州」を作り、選挙によってその総裁となり、諸外国にこれを政権として承認させたんですね。

        この幻の共和国の実態、特に外国との互いに腹に一物持っての交渉が、非常に面白い。

        結局、敗北して箱館五稜郭が滅び、官軍に降伏する三十三歳の頃までが「武揚伝」上下二冊の内容になっているが、実際の武揚は、七十二歳まで生存し、明治政府に出仕し諸大臣を歴任している。

        榎本武揚の写真を見ると、そこにはとても日本人とは思われないような人物が写っている。
        司馬遼太郎によると、オランダ留学中に、彼はスペイン人に違いないと思われていたそうだ。

        顔だけではなく、精神が当時の日本人からは大きく離れていたのだと思う。
        むしろ現在の日本人、あるいは、これからの日本人に近いのかもしれない。

        日本の歴史小説は、今まで"日本人とは何か"ということを追求してきたが、榎本武揚のような人物を描くほどには成熟していなかったように思える。
        この人物は、明らかに過去よりは未来に属しているのではないかと思う。

        「武揚伝」が、伝記ではなく小説であることが、とてもいいと思う。
        この未来型の日本人を描くには、書き手の情熱が直接表に出る小説というスタイルこそ望ましいと思いますね。

        >> 続きを読む

        2018/08/12 by dreamer

    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      廃墟に乞う
      カテゴリー:小説、物語
      3.8
      いいね!
      • 6編に及ぶ連作短編集。

        過去の事件を捜査中に、深い心の傷を負ってしまった刑事。
        英気を養うために休職している彼の元に次々と事件が持ち込まれる。そんな設定です。

        刑事で有るにも関わらず、休職中の彼は、警察組織を使った捜査ができません。
        もちろん、内情に通じているし、同じ警察官のよしみで協力を得られたり(得られなかったり)はしますけれど。

        この辺りの描写が、トラブルが発生して警察に相談に行っても、おざなりな対応しかしてもらえないというよく聞く話を思い出させ、イライラハラハラさせてくれます。

        全体的に静かというか暗い感じで、独特の雰囲気を醸し出しているのは良いのですが、それほど印象に残る作品ではなかったため、直木賞受賞作品という期待感には応えられていないかも。

        風景描写が豊かなので、北海道に住んでいる人だったら、もっと楽しめるのではないかと思いました。
        >> 続きを読む

        2012/10/04 by emi

      • コメント 3件
    • 他1人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      うたう警官
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
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      •  警察小説をまた読むのにまたちょっと覚悟が必要だった。
         でも、面白かった!。
         たしかに殺人事件は起きるんだけど、強姦殺人とか、子供を殺すとか、そういう私が苦手な部分が無かったのと、どちらかといえば、人間の良心に重きが置かれているので。
         組織が一枚岩ではない事が救い。無実の仲間を殺されてたまるか!という気概。長い者に巻かれて、あわよくばおこぼれにあずかろうという人は必ずいるし、自分の保身の為に人を切り捨てる、というのは警察に限った話ではないと思う。隠蔽とか捏造とかも、現実にあり得るけど、それ、おかしいですよね、って思う人も絶対にいるはず。それに立ち向かうのは相当勇気がいるけど、その希望がこの小説にはあった。
         もっと色々な見方ができると思うけど、ど素人のただの読者が完全に趣味として読書をする分には、面白いの一言。変なストレスが無く、読み切れた。
        >> 続きを読む

        2018/05/26 by チルカル

    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      北帰行
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 旅行コンダクターの卓也が出迎えたのはロシア人のターニャ。
        しかし届け先でいきなり銃撃戦が起こり、卓也は見ず知らずのうちに巻き込まれる。
        ターニャはヒットウーマンであり、起こした事件をきっけに警察とヤクザとロシアンマフィアの三つ巴の状態に。

        入りや展開からして大沢さんの小説によくありそうだが、これは佐々木さんのハードボイルド。
        東京から新潟、そして稚内と移動していく。

        キャラ立ちであったり駆け引きの緊張感。
        そして無理なく二人が惹かれあっていくあらすじ。

        ただラストの切り上げ方がかなり早く、もう少しやり取りがあってもよかったかな。
        >> 続きを読む

        2019/07/05 by オーウェン

    • 2人が本棚登録しています
      夜を急ぐ者よ
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
      いいね!

      • 佐々木譲の「夜を急ぐ者よ」は、多様な魅力を持つ佐々木譲ワールドを満喫できる作品だ

        この物語の舞台は南国沖縄。
        その地を訪れた泰三にリゾート気分は皆無だった。
        ある種の活動に巻き込まれ前科者となった泰造。

        彼は刑務所を出た後も、警察の嫌がらせなどでまともな職を続けることができず、裏社会に寄り添わざるを得なくなっていた。

        ある取引がこじれ、国外逃亡を余儀なくされた彼は、まず那覇まで逃げて来たのだ。
        その先に逃げる手段を模索するために訪れたこの土地で、泰三は彼の人生にとって重要な女性と再会してしまう-------。

        台風に襲われた沖縄を舞台に、強烈なサスペンスと切ない恋愛劇を堪能できる濃密な一冊だ。
        現在に回想が絡むスタイルの作品で、長篇だけあって物語が起伏に富んでグイグイと読ませてくれる。

        特に、この作品で注目したいのは、派手なドンパチを抑制しつつ、圧倒的な緊迫感を醸し出している点だ。
        国外逃亡のためのルートを求める一歩一歩をきっちり描くことで、著者はそれを成し遂げていると思います。

        そして、恋愛に関する過去と現在、あるいは男と女の対比も絶妙だ。

        >> 続きを読む

        2018/12/30 by dreamer

      • コメント 1件
    • 4人が本棚登録しています
      五稜郭残党伝
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!

      • 佐々木譲のゴキゲンな痛快小説、「五稜郭残党伝」を一気に読了。

        著者・佐々木譲「初の時代小説」というキャッチコピーに、つい油断してしまったが、読み始めてからしばらくしてハッと気付いたんですね。

        これは"西部劇小説"ではないのかと。
        それも、佐々木譲版「明日に向って撃て!」なのだと。

        1869年(明治二年)五月十六日、箱館・五稜郭で榎本武揚率いる幕府軍の命運が、尽きようとしていたその夜、歩兵隊指図役の蘇武源次郎は、降伏投降を潔しとせず、脱走を決意する。

        彼は、榎本軍随一の狙撃の腕を誇る名木野勇作と共に、奥蝦夷を目指し、海岸線を北上していく。
        彼らは、途中で知り合ったアイヌのシルンケと共に蝦夷地を渡り歩いていくが、その過程で各地を支配する和人たちがアイヌを虐げ、暴利を貪っている実態を目の当たりにする。

        一方、その頃、箱館では戊辰戦争で数々の戦功を上げた仮軍監・隅倉兵馬が討伐隊を組み、執拗な追跡を開始していた-------。

        ストーリー自体は、実にストレートなんですね。
        新たな随行者であるアイヌとの出会い、悪行を重ねる街の支配者たちとの小競り合い、切支丹を初めとする様々な入植者たちとの交流、そして討伐隊との追いつ追われつの死闘と、実にオーソドックスな追跡活劇になっている。

        冒険小説好きの私にとってこの展開は、それだけでも応えられないところですが、著者の佐々木譲は、さらに主人公の二人に、アイヌを率いて新政府軍を打ち破った後、蝦夷地のアイヌに一斉蜂起を呼び掛けるという"自主独立の夢"を託すことによって、はみ出し者=異人の再生ドラマをも織り込んでいくんですね。

        その意味では、蘇武と名木野は、従来の佐々木譲の小説に登場したヒーローの原型と言うべきなのかもしれません。

        この作品でも、例によって、著者はこの二人の熱い戦いぶりをクールな筆致で描いていくんですが、ラストに至っては、まさに目頭が熱くなるほどの盛り上がりを見せてくれるんですね。

        >> 続きを読む

        2018/05/06 by dreamer

    • 3人が本棚登録しています
      疾駆する夢
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!

      • 今回読了した佐々木譲の「疾駆する夢」は、自動車職人の生きざまを通して、日本の戦後史を描いた力作だ。

        今でこそ、中国や韓国などのアジア企業に押されているが、かつて日本には「世界の工場」「ものづくり大国」と呼ばれた時代があった。
        そして、それを支えた二本柱は、エレクトロニクスと自動車だ。

        しかし、太平洋戦争が終わった直後の日本は、自動車の普及など夢のまた夢と思われた時代だった。
        そのような状態から、自動車大国になるまでには、筆舌に尽くし難いドラマがあった。

        この作品は、自動車という視点から、日本経済の戦後史を克明に描き切った、読み応えたっぷりな大作になっていると思う。

        この作品は「ひとの夢を乗せて動く」自動車づくりに精魂を傾けた主人公・多門大作の半生が描かれている。

        終戦後、自動車やオートバイの整備からスタートし、原動機付きの自動車からオート三輪の製造へと幅を広げていった。

        やがて、多門自動車も小型乗用車の製造に着手。まだ年間400台程度しか売れていない小型乗用車の販売促進を狙って、多門が行なったのは、ルマン自動車24時間耐久レースへの参戦であった。

        1970年に、自動車の排出ガス汚染物質の濃度を現行の10分の1にせよという、マスキー法がアメリカで成立すると、それをクリアする新型噴射・希薄燃焼エンジンを発表する。

        そして1975年には、ガソリン価格の高騰を追い風に、25万台のコンパクトカーをアメリカに輸出。
        さらには、ホンダについで二番目に、アメリカ現地工場の建設に着手する。

        1980年代に入って多門自動車が、海外生産を急拡大するために、多額の資金調達を必要とした時、元隅銀行との関係が深まった。大株主としての影響力も増したのだった。

        そして銀行からやって来た役員が提案する拡大路線には、猛反対する多門だったが、待っていた現実はなんと-------。

        この作品に用意されている結末は、現時点では誰も考えつかないような選択肢のようだが、もしかしたら日本の自動車メーカーが、いずれたどる道なのかも知れません。

        戦後日本の自動車産業が抱えた問題・課題とは? そして、それらは、どのようにして解決されていったのか?。
        個々の企業にとって、当時の通産省の産業政策は、いかなる意味を持っていたのか?-------。

        いろいろなことを考えさせてくれる作品だ。

        終戦直後の日本には、噴き出すようなエネルギーと熱気があった。
        それは、たんに貧しかった時代の賜物なのか。

        豊かになった今の時代にも、熱いエネルギーを再現することは出来ないのだろうか-------。
        そんな著者の嘆きと期待が聞こえてきそうな作品だ。

        >> 続きを読む

        2018/10/03 by dreamer

    • 1人が本棚登録しています
      警官の血
      カテゴリー:小説、物語
      4.3
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      • 戦後まもなく警察官になった男から、息子、孫までが警察官になり、1つの事件を追うグランドテーマを背負いながら、警察官が日々直面する問題を描く、といった作品。読みやすい文体で、スケールの大きな作品だなと思いながら読んだが、いろいろと賞をとっていたようだ。サスペンスと言うよりは警察小説という感じかな。読書途中、うらすじに三代に亘って警察官とあるのを目にしてしまい、ちょっとネタバレしてしまったのが残念。でも、こんな良作に出会ってよかったと思った。 >> 続きを読む

        2019/05/29 by 和田久生

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      警官の血
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
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      • 戦後まもなく警察官になった男から、息子、孫までが警察官になり、1つの事件を追うグランドテーマを背負いながら、警察官が日々直面する問題を描く、といった作品。読みやすい文体で、スケールの大きな作品だなと思いながら読んだが、いろいろと賞をとっていたようだ。サスペンスと言うよりは警察小説という感じかな。読書途中、うらすじに三代に亘って警察官とあるのを目にしてしまい、ちょっとネタバレしてしまったのが残念。でも、こんな良作に出会ってよかったと思った。 >> 続きを読む

        2019/05/29 by 和田久生

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      カウントダウン
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
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      • 後半はだいぶ駆け足でした。

        敵役の反撃等、若干の物足りなさもあり。

        2014/03/18 by gas4476

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      黒頭巾旋風録
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
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      • 佐々木譲氏の作品を最近は再読している。
        直木賞を獲る以前から気になっていた
        作家であ
        ──この人はいつ評価されるのか?──
        と思っていた作家のひとりだった。

        本書では過去の郷土史を研究していた
        佐々木氏が見つけた「黒頭巾」とは
        何者かについて書かれている。
        一読してこんな人も居るのかと驚いた。
        蝦夷地は榎本のあと和人が占領し
        アイヌの民人を苦しめているという
        ところから始まる。
        そこに黒頭巾を被った男が現れて
        鞭を自由自在に動かしながら
        次々と悪事を働く和人をこらしめる。

        ここまで読んでまるで「水戸黄門」の
        ようだなと思った人もいるかもしれない。
        しかし黒頭巾の正体は決して権力者では
        なかったのである。
        ある意味、和人とアイヌの人々の
        橋渡しとしては意外な存在かもしれない。
        アイヌの人々はそれぞれのコタン(村)
        を守りながら平和に暮らしていた。
        しかしそこに新政府軍がやってきて
        アイヌの人々を苦しめたのである。
        そこに登場した黒頭巾はアイヌの人と
        交流を持ち、やがてはアイヌの人に
        助けられるという物語が自分を勇気づけた。

        佐々木譲氏は北海道の作家だという。
        確かに北海道を舞台にした作品が多い。
        隠れた名作が眠っているので
        興味のある人はぜひ読んでほしい。
        >> 続きを読む

        2013/10/29 by frock05

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      警官の血
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
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      •  いやホント 面白かったです。
        私個人のレビュー評価基準から
        作品の性質上★4つになってしまいますが、
        面白さや読み応え度でいったら★5つでもいいくらいです。
         
         最後はお爺さん(清二)の死の真相やら
        父親(民雄)の殉職時の心境、
        さらには子(和也)自身のストーリーが
        一気呵成に進行して
        読者をラストへ押し流していきます。
          
         物語が終わってしまうのがもったいないというか
        残念だなぁ と思っていたら、
        和也時代を舞台にした続編があるんですね。
        もちろんそちらも読みます!
        >> 続きを読む

        2015/02/05 by kengo

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【佐々木譲】(ササキジョウ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)

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