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梶永正史

著者情報
著者名:梶永正史
かじながまさし
カジナガマサシ
生年~没年:1969~

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      特命指揮官 = Female Mission Commander 警視庁捜査二課・郷間彩香
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
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      • 警視庁捜査二課主任代理、郷間彩香。三十二歳、独身、彼氏なし。
        捜査二課で贈収賄や詐欺、横領などの知能犯罪を追う彩香は、数字に手掛かりを求めて電卓ばかり叩いているため、周囲からは“電卓女”と呼ばれている。
        そんな彩香に、刑事部長から特命が下った。「渋谷で銀行立てこもり事件が発生している。至急現場に向かい、指揮をとってくれ」。犯人から、現場の指揮および交渉役を郷間に任命するように名指しされたのだ。青天の霹靂に困惑しながらも、彩香は立てこもり現場である渋谷に急行する。

        2014年第12回『このミステリーがすごい!』大賞大賞受賞作。
        原題が『真相を暴くための面倒な手続き』。
        そのまま第3章のタイトルになるのだが、個人的には原題のほうが本作の良い点を得ていると思う。
        売るためには、このタイトルのほうがいいのだろう。
        警察小説がエンタメ市場を席巻する中、このミス大賞2作が警察小説と聞けば、手に取らざるを得ない。そんなエンタメ好き読者の購買意欲をくすぐるタイトルだ。
        センスがいいかどうかは別として。

        完成度が高いこのミス大賞と言っても、新人賞に変わりはない。
        玄人好みの上手なエンタメより、"粗削りでも新しい何か"を求めて、また将来性を見越して、読み始める。
        その意味では、本作から何か新しいエネルギーといったものは感じられなかった。
        先述したが、巷にあふれる警察エンタメ小説の弊害か、それらに感化された痕跡がありすぎる。
        2時間ドラマ化を意識して書かれているような感じを受けたのは、決して僕だけではないと思う。
        また、物語の展開が、いわゆる冗長。
        第1章、2章と導入部~核心部へ向かういちばん疾走感を感じさせなければならない部分なのに、足踏み感しか感じられない。
        不自然な設定を補えるのは、スピード感しかないと思うのだが。

        だらだらっと進み、第3章で大団円という構成。
        結末には一定の評価はできる。少なくとも「ないない」とか「はあ?」とは、僕はならなかった。
        ただ、主人公がこの物語に必要不可欠なピースであるということは最後まで思えなかった。
        最近のエンタメ警察小説の悪しき箇所かと思うが、とにかくキャラクターありきの姿勢はどうかと思う。
        『インビジブルレイン』の姫川は誉田哲也だからこそ、著作のなかで輝きを放つのだ。
        同じことを筆量が劣る者がすると、無残な物まねになる。

        虚構の世界を受け入れるにも、ある一定の現実感は絶対に必要だ。
        本作の中で疑問に感じた設定は以下のとおり。

        主人公の父親と、現在のキャリア上司が親友同士で、親同然に育てられたおかげで刑事部長である上司にも甘えられるという設定。
        突如として現れる、ブラッド・ユニットという都市伝説的な組織の噂と、噂のままで終わればいいのだが、それがあたかも存在することが前提と登場人物たちが何の疑問もなく受け入れてしまう設定。
        朝鮮王朝ののこされた王族が生きていて、戦後のどさくさで陸軍軍人ふたりが王朝の宝物を奪い、それぞれ政財界で成功をおさめているという設定。
        (これがいちばん荒唐無稽。他はなんとかかんとか目をつむれても、これだけは失笑。これはダメ)
        結局、物語の終着点には、ずっと以前に亡くなっていた主人公の父親の意志が働いていたという設定。

        う~ん…近年、ハリウッド的な作品に重点がおかれてきた大賞と理解したうえでも、今回のはちょっと無理かな。
        宝島社も出版社だから、売らなきゃ利益にならないってのはわかるけど、せっかく賞に権威がついてきたところで、こういうことをやってると本末転倒になりそう。
        冒頭に戻るが、賞の本質を意識していたら、こんなタイトルつけないし、こんな装丁にならないでしょう。
        商業主義に走り過ぎて失敗。残念な一作。
        >> 続きを読む

        2014/08/17 by 課長代理

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