こんにちはゲストさん(ログインはこちら) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト →会員登録(無料)


大沢在昌

著者情報
著者名:大沢在昌
おおさわありまさ
オオサワアリマサ
生年~没年:1956~

この著者の本を読んでいる会員ランキング

このランキングは1日1回更新されます。
      新宿鮫 長編刑事小説
      カテゴリー:小説、物語
      4.4
      いいね! fireman
      • このシリーズは好きで前はよく読んでいました。          鮫島知る人ぞ知る通称「新宿鮫」この物語の主人公。署内では誰も相手にしない一匹狼。物語の設定ではよくあるパターンだと思います。でもそんな鮫島にもロックバンドのボーカル「晶(しょう)」と言う恋人があり、音楽好きにはたまらない描写がちりばめてあり面白い。鮫島のキャラクターも起っていて読み手を飽きさせない。内容は改造拳銃絡みのストーリーで警官が撃たれるのですが、なるほど人気シリーズの理由が分ります。テンポが良く展開が速い。映画にもなっている様なのでいつか見たいものです。 >> 続きを読む

        2018/06/17 by rock-man

    • 他3人がレビュー登録、 10人が本棚登録しています
      売れる作家の全技術 デビューだけで満足してはいけない
      カテゴリー:文学理論・作法
      5.0
      いいね!
      • 小説を書くにあたり基本的な知識や、細かな技術、より良い作品へとレベルをあげる具体的な方法などが書いてあります。

        趣味で小説を書いていたり、プロを目指してる方は一度は読んでおきたい本かな。

        小説を書いていない人は、へーなるほど、って感じで終わるかもしれないけど、それでも内容的に面白いとは思う。

        なんかの講義内容を書籍にしたものなので、語り口調だから、気楽にスラスラと読める。

        前半が小説自体の講義内容で、後半は講義に参加してた方の作品を通してもっと具体的アドバイスを記したもの。

        自分はよくネット小説書いてて、今までこういうの読んだことがなく完全に我流だったので、確実にタメになったと実感できた。
        >> 続きを読む

        2015/03/08 by せせらぎ

      • コメント 3件
    • 他1人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      新宿鮫 長編刑事小説
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • 日本の湿潤な風土には適さないと言われた"ハードボイルド小説"は、今や国産ミステリの中でも、飛びきり人気のあるジャンルへと成長してきている。

        その証拠に、昨今のミステリ関係の文学賞受賞作に数多くの"ハードボイルド小説"が、その名を連ねている。

        だが、私はどちらかと言うと、ハードボイルド小説は、レイモンド・チャンドラーの洗礼を受けてファンになった人間なので、1980年代以降に現われた国産のネオハードボイルド小説は、男のミステリとしては、何か今ひとつ、しっくりこないものを感じていました。

        ハードボイルドの本質は、汚れた街をひとりゆく白馬の騎士の"やせがまんの美学"にあると思っていて、日本の多くの若い作家たちは、どうやらそれを"感傷の文学"だと思い込んでいるような気がします。
        その点でいえば、日本のミステリ風土は、依然として湿度が高すぎると思う。

        今回読了した大沢在昌の"新宿鮫シリーズ"の記念すべき1作目の「新宿鮫」の主人公は、私立探偵ではなく、新宿署のはぐれ刑事で、記述は一人称ではなく、三人称の客観描写だから、厳密な意味での"ハードボイルド小説"とはいえないが、たった一人で暴力団に立ち向かう主人公の行動には、ハードボイルド本来の"やせがまんの美学"が貫かれていると思う。

        大沢在昌は、もともと良質なハードボイルドの文体を持った作家だったが、ともすれば若さが甘さに通じるきらいがあったと思う。
        それが、このシリーズでは新宿という絶好の舞台を得て、まさに理想的な効果を上げていると思う。

        新宿・歌舞伎町。そこには犯罪者はもちろん、仲間の警官も恐れる、孤高の刑事がいた。

        "新宿鮫"こと鮫島。鮫島は単身、密造拳銃づくりの天才を追う。
        警官連続射殺事件との関連はあるのか?-------。

        新宿・歌舞伎町のホテルの前で銃声がした。路上に倒れているのは、警ら中の巡査だった。
        特別捜査本部が設置され、本庁からも刑事がやってくる。
        その中には、鮫島の同期で、今は警視となっている香田もいた。鮫島を敵視している男だ。

        鮫島は、出所した銃の密造の天才、木津がまた仕事をはじめたと察知した。
        木津は、かつて鮫島が逮捕した男だ。ところが鮫島は取調べには参加できず、そのため、木津は仕事場がどこにあるかついに自供しなかった。

        今回は、必ず仕事場も突き止めてやると、鮫島は単身、捜査をはじめていた。
        それから、一週間後、また警官が殺された。同一犯の可能性が高い。
        鑑識の調べでは、警官たちは改造銃で撃たれたようなのだ。

        撃ったのは拳銃、弾はライフル弾。そんな改造銃を作れるのは木津しかいない。
        捜査本部には、エドと名乗る男から犯行声明の電話がかかってきた。
        本部は、過激派の犯行と断定するのだった。

        鮫島のねばり強い聞き込みで、ようやく木津の仕事場が判明する。
        だが、それは鮫島に復讐しようとする木津の仕掛けた罠だったのだ。
        捕らえられ、あやうく殺されそうになる鮫島。
        その時、彼を救ったのは、防犯課長の桃井だった。

        しかし、事件はそれで終わりではなかった。木津の作った改造銃をもつ男は、次はコンサート会場を狙っているらしい。
        そこには、鮫島の恋人、晶が歌うステージがある。
        鮫島は走る。果たして、間にあうのか?-------。

        この「新宿鮫」の魅力は、何といっても、主人公の鮫島刑事のキャラクターにあると思う。
        鮫島はキャリア組であり、本来なら所轄署で刑事をしていたりはしない。
        だが、鮫島は公安内部の抗争に巻き込まれ、ある事件の鍵を握る手紙を預かったことで、微妙な立場に置かれているのだ。

        それで、敵側も、彼を警察から追放することはできない。手紙を暴露されると困るからだ。
        彼は警察内部の爆弾となった。上層部は、鮫島を日本一忙しい新宿署に配属することで、考える暇も与えないつもりだった。

        鮫島は新宿署防犯課に配属されるが、署員はみな鮫島がどういう事情できたかを知っているので、必要最低限のつき合いしかしない。彼は署内でも孤立していたのだ。

        他の警官は、ヤクザと適当に馴れ合い、貸し借りの関係があるものだが、鮫島は一切容赦しなかった。
        法に触れた者は片っ端からしょっぴき、いつしか"新宿鮫"と呼ばれるようになったのだ。
        そんな鮫島がやすらぐのは、14歳も年下のロックシンガーの恋人、晶と一緒に居る時だけだった-------。

        とにかく、警察署内部の描写は、徹底してリアルだ。
        人物の造形も、いかにも現実にいそうな人間ばかり。
        しかし、物語は徹底したフィクションであり、ヒーロー小説として、荒唐無稽寸前のところで、踏みとどまっていると思う。

        >> 続きを読む

        2018/06/14 by dreamer

    • 他1人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      B・D・T 掟の街
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 主人公ケン・ヨヨギのたくましさと、近未来の東京には身寄りのない混血児が増加して犯罪都市になっている・・・なんていう設定がとても魅力的だった。 >> 続きを読む

        2011/05/06 by bob

      • コメント 1件
    • 1人が本棚登録しています
      語りつづけろ、届くまで
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • ヤクザの犯罪に巻き込まれる素質がある坂田勇吉シリーズ三作目。
        大手食品メーカで広報を担当する坂田くん。
        今回は新製品の煎餅を宣伝するために、東京の下町でボランティア活動を始める。
        その活動の中で知り合うオカマの詐欺師:玉井。
        そこから、いつもの坂田くんの悲劇が始まる・・・
        「走らなあかん、夜明けまで」ほどのスピード感はありませんが、
        十分に楽しめるストーリー展開。大沢在昌の作品はやはり面白い。
        >> 続きを読む

        2012/12/24 by BobyFK

      • コメント 2件
    • 2人が本棚登録しています
      アルバイト探偵
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • 進路を決めるきっかけになってしまった本である。

        中学生の頃たまたま友人から借りたのが始まり。
        軽いタッチで書いてある本書はハードボイルドの世界にいとも簡単に引き込んでいった。
        そこから、大沢在昌作品を読み漁り、気分はすっかりアルバイト探偵の主人公冴木隆、はたまたはぐれ刑事新宿鮫だった。

        高校に上がる際の進路面談では、「将来は秘密諜報員になりたいです。調べた限り『内閣情報調査室』という場所が怪しいのですが、理系と文系どちらに進むのが有利だと思いますか?」という痛々しい発言をした。
        その時の担任の言葉は、「とりあえず理系に行っとけばつぶしがきくんじゃないかな。内閣情報調査室っていうなら情報系かもね」というもので、私はその通りの進路を歩んだ。

        この本を読まなければ、今全然違う場所にいるかもしれないと思うと感慨深い。

        図書室で格闘技の本を借りては技を覚え、鏡の前ではニヒルな笑いの練習、とハードボイルド病に侵された青春の一時期。
        久々に読み返すとあの頃を思い出し、赤面が止まらなかった。

        中学生くらいの子に是非読んでもらいたい本。
        軽い文体でも、ハードボイルド精神は伝わるはず。
        そして、限りある青春時代をハードボイルドに過ごしていただきたい。
        >> 続きを読む

        2011/11/15 by Iris

      • コメント 2件
    • 5人が本棚登録しています
      走らなあかん、夜明けまで
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • ごくごく普通のサラリーマンが、追い詰められ、弱気な自分を奮い立たせて頑張る姿が上手く表現されていました。
        また、舞台を大阪にしたことで、より臨場感にあふれ、テンポがあり、一気に読むことができました。
        >> 続きを読む

        2011/05/01 by BobyFK

      • コメント 1件
    • 2人が本棚登録しています
      アルバイト探偵(アイ)拷問遊園地
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 探偵稼業の父と意外に勝ち気な息子が遭遇する国際的トラブル。

        軽快なテンポで展開するアクションにグイグイ引き込まれる。

        相当期待した状態で手に取るため、相対的に評価が厳しくなるはずの大沢氏作品だが、本作も期待に応え、大いに楽しむことが出来、あっという間に読み終えてしまった。

        大沢氏の作品は、もっと硬派な印象が有ったが、文体も適度に砕け、登場人物も魅了的な人物が多く、感情移入も非常にしやすい。

        海外のスパイと入り乱れて、内閣調査室まで登場と有っては、多少、ハデ過ぎないかという疑問も無くは無いが、ここまで楽しませてくれたからには文句は言うまい。

        読後、連作だということに気づいた。このシリーズも必ず読むことにした。
        >> 続きを読む

        2012/03/12 by ice

      • コメント 2件
    • 2人が本棚登録しています
      帰ってきたアルバイト探偵
      カテゴリー:小説、物語
      2.0
      いいね!
      • コミカルで読みやすいのかもしれないが、ちょっと不満。
        だけど、登場人物にはとても惹かれた!りゅうクンとか涼介パパとか、濃いキャラです。 >> 続きを読む

        2011/05/06 by bob

    • 7人が本棚登録しています
      陽のあたるオヤジ
      4.0
      いいね!
      • 週刊プレイボーイに連載されていたエッセイをまとめたもの。

        大沢氏のファン、または作家志望には間違いなく楽しめる。

        日本のハードボイルドでは第一人者で有る大沢氏のエッセイ集。

        文中でも触れられているが、同じくハードボイルド作家である北方謙三氏が、当時、ホットドッグプレスに視聴者からの相談への回答を連載しており、こちらに関してはリアルタイムで目にしたことが有った。

        北方相談室、試みの地平線は「ソープへ行け」等、回答がシュールで、全体的には、若さゆえに反発を感じることが多かったが、大沢氏のエッセイは「モテたい」とか「釣り」など、取り上げられるテーマからして万人向きで有り、少し笑いに走り過ぎている観も有るが、総じて面白い。

        とくに印象に残っているのは、作家という職業の実態についての記述。
        収入や生活パターン。作品の映画化や、作家にとっての文学賞の位置づけなど、作家という職業に興味を持っているせいも有り、大いに参考になった。

        野沢菜の爆発。ハードボイルド作家のエッセイとは思えないが、そこが魅力。
        >> 続きを読む

        2012/02/14 by ice

    • 1人が本棚登録しています
      黄龍の耳
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね! ice
      • 古代中国の皇帝より代々脈々と受け継がれる不思議な能力を持つ少年の活躍。

        非常に魅力的かつ分かり易いキャラクター設定とテンポの良い展開が秀逸。

        ・耳のリングを外すと女性とお金に作用する能力が発揮される
        ・この能力は古代中国の皇帝に由来する
        ・ヨーロッパの修道院で暮らしていたため主人公は自分の能力や生い立ちを知らない
        ・家系に代々受け継がれる能力で、当主にならないと開花しない。
        ・敵対する家系が存在し、代々ライバル関係に有る。
        ・父母は敵対する家系の許されざる恋の結果として主人公を生んだ。

        極めて残念なのが、続編が無さそうなこと。
        純粋に身を任せて楽しむことの出来る作品だけに続編を期待したい。

        あとがきを読んでから知ったのだが、本作品は、週刊少年ジャンプがマンガだけでなく、少年向けの小説にも挑戦して行こうという主旨で企画したもの。

        確かにマンガ的な設定と分かり易いストーリー展開で有り、実際に漫画化もされている様子。

        子供から大人まで主人公になりきって楽しめる作品だと思う。
        >> 続きを読む

        2011/04/14 by ice

    • 1人が本棚登録しています
      悪人海岸探偵局
      カテゴリー:小説、物語
      2.0
      いいね!
      • 若い頃ならしたエキサイティングな街「悪人海岸」で、私立探偵事務所を開き、度胸と腕っ節を武器にして大暴れする連作集。
        ライト感覚で読める本ですが、大沢在昌の作品としては、若干物足りなさを感じました。
        大沢在昌は長編の方が良いと考えます。
        >> 続きを読む

        2011/05/03 by BobyFK

      • コメント 1件
    • 2人が本棚登録しています
      無病息災エ-ジェント
      カテゴリー:小説、物語
      2.0
      いいね!
      • 日英のハーフで超ハンサムだが三枚目のSPの活躍。

        ハードボイルドのイメージが強いため、コメディ調の展開に面食らう面が有った。

        何と言っても「新宿鮫」での強烈な印象が抜け切らず、「アルバイト探偵」でコメディ調の作品の存在も知っていたはずだが、やはり正直すんなりとは受け入れることは出来なかった。

        登場人物の設定は共通している読み切りの短編集。

        魅力的なキャラクター設定は相変わらずだが、それぞれの話に深みが無く手応えを感じられぬまま、あっさりと読みきってしまった。

        著者のかなり若い時期の作品らしいので、その影響も有るかもしれない。
        同じ設定でも、現在の力量でなら魅力的な作品になった気がする。

        大沢氏作品としては外れだが、つまらなくは無い。
        >> 続きを読む

        2011/12/13 by ice

    • 2人が本棚登録しています
      こちら葛飾区亀有公園前派出所 小説
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 超有名な作家たちが(こち亀)30周年記念で両さんを中心に小説を書いてる本です。作家により書く題材も違いテンポよく読めました。おすすめは、京極夏彦の(ぬらりひょんの褌)です。両さんは出てきません。なぜか大原部長の若い頃の話になり、そこのアパートで鍵をしても食べ物がなぜか食べられる事件があり、大原部長は、ぬらりひょんが出たと住人に言ったが信じられず、気持ちが悪いので引っ越しした。そしてひょんなことから、子供の頃のあの人が実は・・・。後は、今野敏の(キング・タイガー)です。この作品は定年した警察官が子供の頃好きだったプラモデルに熱中していく話ですが、近所のプラモ店に飾ってあるプラモは両さんが作った物で、私も子供の頃プラモ作りに夢中になったので懐かしく読みました。こち亀は何巻まで行きましたかな? >> 続きを読む

        2016/07/23 by rock-man

    • 3人が本棚登録しています
      パンドラ・アイランド
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!

      • 大沢在昌の第17回柴田錬三郎賞受賞作の「パンドラ・アイランド」が実に面白い。

        南海の孤島で保安官として働き始めた元刑事が主人公だ。
        ただ、保安官といっても島の治安を維持する臨時警備員として、役場に雇われた自治職員なのだが。

        この元刑事の高州は、小笠原諸島にある青國島にやってきた。
        25年前、米国から返還された人口千人足らずの孤島だ。

        臨時雇いの保安官としてのんびり暮らすつもりだった。
        だが、着任早々、漁港で老人の溺死体が見つかり、レンタルビデオ店経営者の銃殺事件も発生する。

        こうして島全体が不穏な空気に包まれていく中、高州の闘志は燃え始める-------。

        この作品は、疾走感よりも、削ぎ落した簡潔な文体と会話による、淡々としたムードが強調されていて、実にいいんですね。

        地元の村民たちに対して丁寧な敬語を使いながら、離れ小島の閉鎖的な人間関係に邪魔されながらも、粘り強く聞き込み捜査を続ける高州の執念に胸を打たれます。

        事件捜査を阻む役場の上層部からの圧力に屈しない頑とした姿勢が、気持ちよい透明感を伴って心に染みてきます。

        >> 続きを読む

        2018/05/29 by dreamer

    • 2人が本棚登録しています
      獣眼
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • 腕利きのボディガード・キリのもとに、河田早苗と名乗る女性から警護の依頼が。
        対象者は森野さやか・17歳。
        1週間、昼夜を問わず彼女を守ってほしいという。
        彼女はプロの殺し屋から狙われているらしい。
        さやかに人の過去を見抜ける「神眼」という特殊能力が近々開花するのを恐れ、さやかの抹殺を企てる「ツブシ」と呼ばれる暗殺集団。
        果たして、キリはさやかを守りきれるか?

        500頁を超える大したボリュームですが、内容が浅く、ほとんど会話で進む展開なので、あっという間に読み終えてしまいました。
        登場人物たちの造形もイマイチ、物語も面白味もなく、展開は「」だらけ…本作は、大沢さんのダメな方の作品ですね。
        『アサヒ芸能』誌に連載されていたようですが、たしか以前にも同誌の連載小説が非常に面白くなかったのを覚えています。
        購読層に合わせてわざとそうされたのか、プロ作家ならではの技量の範囲内なのか、とまれこうして一冊の単行本として出版されてしまうと、たとえどんな背景があるにしろ当時の諸事情など我々読み手には関係ない事ですから、純粋に一冊の小説として評価せざるを得ません。

        主人公・キリは凄腕のボディガード。
        容姿端麗で華奢、どこか陰りを持つキリは、およそボディガードらしからぬ風貌です。
        物語の冒頭は、あるロックバンドの護衛を見事に果たすシーンから。
        ハリウッド映画のように、まず「この男は凄い奴なんだ!」という読者への刷り込みから入ります。
        そして、新しい依頼、17歳の少女・さやかを1週間という期限付きで、徹底的に守ってほしいというのです。
        普通の17歳の少女は命を狙われたりはしません。
        実は、さやかには未来を見通す「心眼」という能力が開花する素地があると聞き、半信半疑のキリ。
        しかし、依頼人の話や、さやかを取り巻く特殊な環境から、能力そのものには懐疑心を抱きつつも、護衛を引き受けるキリ。
        「心眼」能力をこころよく思わない社会集団「ツブシ」の存在や、「心眼」の血脈を崇め奉る団体「至高会」。
        事態はやがて、警察やロシアマフィアを巻き込んだ抗争に発展してゆきます。

        あらすじを纏めてみると上記のようになります。
        ネタバレするところまで深く書いていないので、たぶんこれから読もうとなさっている方のご迷惑にはなっていないものと思います。
        一読、アクション小説のようですがアクションでなし、ハードボイルド小説のようですがハードボイルドでなし。
        「心眼」という超能力保持者を巡る戦いが存在していることは間違いないのですが、誰と誰が戦っているのかよくわからず混乱することが。
        また、隠し事が多く、後出しばかり。
        それも、明かされる事実が、ただ勿体ぶっているだけで、大したものでもないので(そういうことが何回もあって、それでページ数を稼いでいるので)、読んでいる間、辟易してしまうことしばし。
        僕は、基本的に大沢在昌さんの作品は娯楽小説と割り切っていて、中身の些末な事柄にはたいてい目をつぶることにしているのですが、それでも上の作品と下の作品に大別され、本作は間違いなく下。
        決して「面白かった」と言える作品ではないですね。


        …文中で、主人公・キリが、事件の鍵を握る人物との対面シーンで、その人物が「心眼」能力が世に知られたらたいへんな事態になる、と自説を展開するのですが、そこだけ「ほー」と感心したので下記に残しておきます。
        僕は頭が悪いので、論説文読解が苦手でした。
        小説家の方が書かれていると、すでにその方がその方なりに咀嚼された考えなので、わりとすっと入ってきます。
        正誤は別として、「なるほど、そうだよな」と思いました。

        「…21世紀に入ってから、世界各地で起きた戦争には共通の理由がある。まず第一はエネルギー資源、簡単に言えば石油を巡る争いだ。第二は、価値観の対立。グローバリゼーションと呼ばれる、価値観の均一化を推し進めようとしている西欧文化に対する反発が、争いの根底にはある。たとえばの話、アメリカ人は、どこの国であっても、自分たちが暮らす土地をアメリカに似せたがる。アメリカ型の住宅を建て、アメリカ人が好む食べ物を持ち込み、音楽、映画、アメリカの文化風俗を広める。好悪はともかく人種の坩堝でもあるアメリカの文化風俗は、どんな国であろうと、若者に受け入れられやすい特質を持っている。ハンバーガーやコーラは、それを生まれて初めて食べる若者の舌にも、なぜか美味しいと感じる味なのだ。そして若者はひとたび新しい文化に染まると、それまで培われてきた古い文化を簡単に否定する傾向に陥りがちだ。伝統的な生き方にこだわり、未来に歴史をつないでゆく義務があると信じる大人たちにとって、それは最も腹立たしい変化と言える。
        文化風俗による侵略は、いずれ人間の価値観を変え、何千年と続いた国家の形を変えかねない。だが文化風俗の侵略を撃退するのは容易ではない。そこで対抗するための原理主義が生まれ、やがて武器をとるのもやむなしという思想にかわっていく。
        武器を向けられた西欧文化は、驚き、そして反発する。よもや戦いで後れをとることはあり得ないと信じ、実際その通りなのだが、個を犠牲にしての攻撃は、まさに西欧文化に対する挑戦に他ならない。
        考えてみたまえ。無人の攻撃機や、誘導でピンポイントを破壊するミサイルは、すべからく個人を犠牲を生じさせないための手段だ。多国籍軍の撤退後、その国の治安を維持するために雇われるのは、PMCと呼ばれる民間の軍隊で、そこではたとえ死者がでようとも、莫大なサラリーとひきかえに自らが選んだ結果であって、決して国家が個人に奉仕を強制した結果ではない。ことほどさように西欧文化においては、個人が全体の犠牲となるのを避ける傾向にある。
        一方、対する側はどうか。女性や子供であっても、戦いに身を委ねるのをためらわない。自らの体に爆弾を巻きつけ、敵もろとも自爆する。まさに、個を犠牲にする戦い方だ。そこには、宗教ともつながる、彼らの価値観がある。殉じることで、あの世での幸福を約束されると信じているのだ。」
        「宗教の対立というわけか」
        キリの言葉に、男は首をふった。
        「西欧文化の侵略を『十字軍』と呼んだ者もいたが、私に言わせれば、これは宗教戦争などではない。なぜなら、どちらの宗教にもあの世の思想はあるが、西欧文化の側がそれを強く信じているなら、個の犠牲をこれほど恐れる必要はない。神を信じ、あの世での幸福を疑わないなら、なぜひとりでも戦場へ送り込む人間を減らそうとするのか。彼らはすでにわかっている。神はいない。そしてあの世も決して存在しない、と。あるのは現世だけで、死んだ人間に何も与えられることはないのだ。そしてその考え方が広まることこそを、古い民、伝統的な生き方にこだわる人々は恐れている。
        先ほど君は、私の考えを宗教の対立という言葉でくくろうとした。私はそれを否定した。双方に信じる宗教があってこその対立で、実は西欧の側にはもはや信じる宗教など存在しない、と。
        それゆえに、価値観の対立ではあっても、宗教の対立ではない。」

        このシーンだけ、大家・大沢降臨という感じがしました。
        >> 続きを読む

        2015/02/08 by 課長代理

      • コメント 4件
    • 3人が本棚登録しています
      ダブル・トラップ
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • ハードボイルドといえばハードボイルドなんだろうけど・・・

        日本のあちらこちらで銃撃戦を繰り広げ、
        絶体絶命の状況でも生き残り、
        でも他の人は死にまくり、
        裏切りだらけでもはや誰も信じられず。

        なぜこの1冊を手にとったのか、読み終わった後に若干の後悔です。
        >> 続きを読む

        2018/03/13 by アスラン

    • 1人が本棚登録しています
      鏡の顔 傑作ハードボイルド小説集
      カテゴリー:小説、物語
      1.0
      いいね!
      • 大沢在昌の代表作からのキャラクター「新宿鮫」「ジョーカー」「佐久間公」も登場する、短編ハードボイルド小説集。10ページ程度の超短編も多い。表題の「鏡の顔」は殺し屋とその女、女の元彼であるフォトライターの奇妙な三角関係を描いた、ちょっと切ないハードボイルド。表題と、組織の殺しを請け負っている女の話「ゆきどまりの女」はまあまあだった。ただ読んでもピンとこない話もいくつかあり、大沢在昌の短編はもういいかなという感じ。 >> 続きを読む

        2014/07/29 by モナコ

      • コメント 2件
    • 1人が本棚登録しています
      Anniversary 50 カッパ・ノベルス創刊50周年記念作品
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      •  カッパ・ノベルス創刊50周年記念作品です。
        9人の作家が各々のカラーを出している短編を
        1編ずつ計9話おさめたお得な一冊といえるでしょう。
         
         「50」という数字を必ずストーリーの中に織り込む
        ということだけがルール。
        ミステリー系の作品が多いですね。
         
         個人的には、島田荘司氏の
        「進々堂世界一周 シェフィールド、イギリス」の
        訴えてくる目線が他の作品とは一線を画していて
        面白いと思いました。
        面白いというよりは
        考えさせられると言った方がいいかもしれません。
         
         それ以外にも後半の4作品
        道尾秀介氏  「夏の光」
        宮部みゆき氏 「博打眼」
        森村誠一氏  「天の配猫」
        横山秀夫氏  「未来の花」
        たちは けっこうお気に入りです。
        特に「未来の花」はお見事!と思いました。
        著者の他の作品も読んでみたくなりました。
         
         いろいろな作家の
        いろいろなテイストを味わえる一冊ですから、
        あなたも好みの作家に出会えるかもしれませんよ。
        オススメです。
        >> 続きを読む

        2015/02/04 by kengo

    • 1人が本棚登録しています
      東京騎士団 長編アクションハードボイルド
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • 小さな事件を辿るうちに突き当たった巨大な陰謀。

        オチが納得できない。

        魅力溢れるキャラクターを創出することでは圧倒的な力量を見せ付ける大沢氏だが、本作品でも多くのキャラが立った登場人物を輩出してくれている。

        主役はさておき、その後輩。旧知の知人。謎の老人に、不思議な魅力に溢れる女性。
        そう言えば「おっぱいお化け」なるアバンギャルドなネーミングの女医もいる。

        敵役もナイフ使いやら、無尽蔵なパワーを発揮する者。
        ホワイトカラー?では、厳しい上下関係に統率された世界が構築され、華麗な剣術を披露する悪の華的な人物も登場する。

        もう面白さと満足感は約束されたも同然なはずだったが最後に罠が待っていた。
        どうして、ここまで来て安易な展開に走るのか・・・。と裏切られた気分になった。

        有ろうことか、あわよくば続編も書いてやろう的な著者の仕掛けさえも、垣間見えてしまった気がして450ページ超の作品が最後で一気に萎んだ。

        ドクターとマスター。この設定だけはやり直して欲しいくらいで有る。
        >> 続きを読む

        2012/03/15 by ice

    • 2人が本棚登録しています

【大沢在昌】(オオサワアリマサ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)

会員登録(無料)

今月の課題図書
読書ログってこんなサービス
映画ログはこちら
読書ログさんの本棚

レビューのある本

失踪者