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大沢在昌

著者情報
著者名:大沢在昌
おおさわありまさ
オオサワアリマサ
生年~没年:1956~

この著者の本を読んでいる会員ランキング

このランキングは1日1回更新されます。
      新宿鮫 長編刑事小説
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
      いいね! fireman
      • 有名な、名作と言われるこの本を読んだことがなかった(やはり何も知らず)
        図書館に返却に行くと予約の本が来てなかったので、見回した書棚からこのシリーズを二冊借りてきた。映画になっていたが裏社会のものだと見ないでいた。

        ところが読み始めると、人気の原因、 鮫島のキャラクターがいい。

        鮫島はキャリアで順調に出世していた。
        公安3課に配されたが、そこは公安調査官と仕事内容がダブっている。左翼に近づいて活動を調査するということだ。
        警部になった鮫島は、右翼寄りの思想を持っていながら左翼のスパイに近づき出世のために利用しようとする警官と衝突する。
        裏ではあくどい仕事のやり方をしている警官だった。
        それを知った鮫島との争いで、切羽詰った警官は、切れない模造刀を振り回し、鮫島は首に重傷を負う。
        警官は死にその結果、鮫島は警衛課に転任させられ、その後また公安外事2課に移動になる。

        そこで間の悪いことに警視が自殺した、かれは鮫島に手紙を託したのだが、それは上層部に恐れられるような内容だった。
        鮫島がそれを持っていることはそれとなく周囲にもわかった。
        鮫島は公開するつもりはなかったのだが、彼はそれから昇進が無くなり、上層部に冷たくあしらわれる。
        ただ一人理解のある課長の計らいで、新宿署に左遷される。
        もちろんそこでは彼と組むものが無く、孤独な、孤立した警官が出来上がった。
        しかし彼は新宿署で高い検挙率を上げ、新宿界隈のやくざから「新宿鮫」と呼ばれて恐れられていく。

        こういういきさつの鮫島というキャラクターが、風紀の乱れた新宿の裏で泳いでいる話だ。面白い。

        警官二人が撃たれた、一人は死に一人は重傷、使われた改造拳銃は、以前鮫島が逮捕して送ったが、すでに出所している木島が作ったものらしい。
        彼は木島を追っていく。木島はホモだった、彼に付いていった男から居場所を知る。
        木島の工作所は川のほとりの目立たない古い倉庫だった。銃撃戦の末、傷つきながら木島を撃ち逮捕する。
        しかしその後も警官殺しは連続して起こり、木島の線をたどってその犯人を追い始める。

        犯人を模倣する電話にも振り回される。

        サブキャラクターがとんでもなく今風の恋人だったり、心の
        底に温かいものを隠している、見せ掛けとは違って鋭い課長の桃井などだったり。
        ただのアクションだけでなく名作と言われる要素満載の愉快な本だった。
        続けて二作目の「毒猿」を読んだが、それが一作目を上回る面白さだった。

        木工所襲撃は1話だったのか、これに繋がる話も面白かった。


        「鮫シリーズ」を夢中になって読んで大沢漬けだったのに、「狩人シリーズ」は知らなかった(いつも何んにもしらない 汗)
        最近、一気に読めるような面白いものはないかと心底思っていた、やはり読書の神様は私の周りにいるらしい(笑)嬉しいな、ありがとうございます。
        >> 続きを読む

        2014/10/18 by 空耳よ

      • コメント 6件
    • 他2人がレビュー登録、 10人が本棚登録しています
      売れる作家の全技術 デビューだけで満足してはいけない
      カテゴリー:文学理論・作法
      5.0
      いいね!
      • 小説を書くにあたり基本的な知識や、細かな技術、より良い作品へとレベルをあげる具体的な方法などが書いてあります。

        趣味で小説を書いていたり、プロを目指してる方は一度は読んでおきたい本かな。

        小説を書いていない人は、へーなるほど、って感じで終わるかもしれないけど、それでも内容的に面白いとは思う。

        なんかの講義内容を書籍にしたものなので、語り口調だから、気楽にスラスラと読める。

        前半が小説自体の講義内容で、後半は講義に参加してた方の作品を通してもっと具体的アドバイスを記したもの。

        自分はよくネット小説書いてて、今までこういうの読んだことがなく完全に我流だったので、確実にタメになったと実感できた。
        >> 続きを読む

        2015/03/08 by せせらぎ

      • コメント 3件
    • 他1人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      B・D・T 掟の街
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 主人公ケン・ヨヨギのたくましさと、近未来の東京には身寄りのない混血児が増加して犯罪都市になっている・・・なんていう設定がとても魅力的だった。 >> 続きを読む

        2011/05/06 by bob

      • コメント 1件
    • 1人が本棚登録しています
      語りつづけろ、届くまで
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • ヤクザの犯罪に巻き込まれる素質がある坂田勇吉シリーズ三作目。
        大手食品メーカで広報を担当する坂田くん。
        今回は新製品の煎餅を宣伝するために、東京の下町でボランティア活動を始める。
        その活動の中で知り合うオカマの詐欺師:玉井。
        そこから、いつもの坂田くんの悲劇が始まる・・・
        「走らなあかん、夜明けまで」ほどのスピード感はありませんが、
        十分に楽しめるストーリー展開。大沢在昌の作品はやはり面白い。
        >> 続きを読む

        2012/12/24 by BobyFK

      • コメント 2件
    • 2人が本棚登録しています
      アルバイト探偵
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • 進路を決めるきっかけになってしまった本である。

        中学生の頃たまたま友人から借りたのが始まり。
        軽いタッチで書いてある本書はハードボイルドの世界にいとも簡単に引き込んでいった。
        そこから、大沢在昌作品を読み漁り、気分はすっかりアルバイト探偵の主人公冴木隆、はたまたはぐれ刑事新宿鮫だった。

        高校に上がる際の進路面談では、「将来は秘密諜報員になりたいです。調べた限り『内閣情報調査室』という場所が怪しいのですが、理系と文系どちらに進むのが有利だと思いますか?」という痛々しい発言をした。
        その時の担任の言葉は、「とりあえず理系に行っとけばつぶしがきくんじゃないかな。内閣情報調査室っていうなら情報系かもね」というもので、私はその通りの進路を歩んだ。

        この本を読まなければ、今全然違う場所にいるかもしれないと思うと感慨深い。

        図書室で格闘技の本を借りては技を覚え、鏡の前ではニヒルな笑いの練習、とハードボイルド病に侵された青春の一時期。
        久々に読み返すとあの頃を思い出し、赤面が止まらなかった。

        中学生くらいの子に是非読んでもらいたい本。
        軽い文体でも、ハードボイルド精神は伝わるはず。
        そして、限りある青春時代をハードボイルドに過ごしていただきたい。
        >> 続きを読む

        2011/11/15 by Iris

      • コメント 2件
    • 5人が本棚登録しています
      走らなあかん、夜明けまで
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • ごくごく普通のサラリーマンが、追い詰められ、弱気な自分を奮い立たせて頑張る姿が上手く表現されていました。
        また、舞台を大阪にしたことで、より臨場感にあふれ、テンポがあり、一気に読むことができました。
        >> 続きを読む

        2011/05/01 by BobyFK

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    • 2人が本棚登録しています
      アルバイト探偵(アイ)拷問遊園地
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 探偵稼業の父と意外に勝ち気な息子が遭遇する国際的トラブル。

        軽快なテンポで展開するアクションにグイグイ引き込まれる。

        相当期待した状態で手に取るため、相対的に評価が厳しくなるはずの大沢氏作品だが、本作も期待に応え、大いに楽しむことが出来、あっという間に読み終えてしまった。

        大沢氏の作品は、もっと硬派な印象が有ったが、文体も適度に砕け、登場人物も魅了的な人物が多く、感情移入も非常にしやすい。

        海外のスパイと入り乱れて、内閣調査室まで登場と有っては、多少、ハデ過ぎないかという疑問も無くは無いが、ここまで楽しませてくれたからには文句は言うまい。

        読後、連作だということに気づいた。このシリーズも必ず読むことにした。
        >> 続きを読む

        2012/03/12 by ice

      • コメント 2件
    • 2人が本棚登録しています
      帰ってきたアルバイト探偵
      カテゴリー:小説、物語
      2.0
      いいね!
      • コミカルで読みやすいのかもしれないが、ちょっと不満。
        だけど、登場人物にはとても惹かれた!りゅうクンとか涼介パパとか、濃いキャラです。 >> 続きを読む

        2011/05/06 by bob

    • 7人が本棚登録しています
      陽のあたるオヤジ
      4.0
      いいね!
      • 週刊プレイボーイに連載されていたエッセイをまとめたもの。

        大沢氏のファン、または作家志望には間違いなく楽しめる。

        日本のハードボイルドでは第一人者で有る大沢氏のエッセイ集。

        文中でも触れられているが、同じくハードボイルド作家である北方謙三氏が、当時、ホットドッグプレスに視聴者からの相談への回答を連載しており、こちらに関してはリアルタイムで目にしたことが有った。

        北方相談室、試みの地平線は「ソープへ行け」等、回答がシュールで、全体的には、若さゆえに反発を感じることが多かったが、大沢氏のエッセイは「モテたい」とか「釣り」など、取り上げられるテーマからして万人向きで有り、少し笑いに走り過ぎている観も有るが、総じて面白い。

        とくに印象に残っているのは、作家という職業の実態についての記述。
        収入や生活パターン。作品の映画化や、作家にとっての文学賞の位置づけなど、作家という職業に興味を持っているせいも有り、大いに参考になった。

        野沢菜の爆発。ハードボイルド作家のエッセイとは思えないが、そこが魅力。
        >> 続きを読む

        2012/02/14 by ice

    • 1人が本棚登録しています
      黄龍の耳
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね! ice
      • 古代中国の皇帝より代々脈々と受け継がれる不思議な能力を持つ少年の活躍。

        非常に魅力的かつ分かり易いキャラクター設定とテンポの良い展開が秀逸。

        ・耳のリングを外すと女性とお金に作用する能力が発揮される
        ・この能力は古代中国の皇帝に由来する
        ・ヨーロッパの修道院で暮らしていたため主人公は自分の能力や生い立ちを知らない
        ・家系に代々受け継がれる能力で、当主にならないと開花しない。
        ・敵対する家系が存在し、代々ライバル関係に有る。
        ・父母は敵対する家系の許されざる恋の結果として主人公を生んだ。

        極めて残念なのが、続編が無さそうなこと。
        純粋に身を任せて楽しむことの出来る作品だけに続編を期待したい。

        あとがきを読んでから知ったのだが、本作品は、週刊少年ジャンプがマンガだけでなく、少年向けの小説にも挑戦して行こうという主旨で企画したもの。

        確かにマンガ的な設定と分かり易いストーリー展開で有り、実際に漫画化もされている様子。

        子供から大人まで主人公になりきって楽しめる作品だと思う。
        >> 続きを読む

        2011/04/14 by ice

    • 1人が本棚登録しています
      悪人海岸探偵局
      カテゴリー:小説、物語
      2.0
      いいね!
      • 若い頃ならしたエキサイティングな街「悪人海岸」で、私立探偵事務所を開き、度胸と腕っ節を武器にして大暴れする連作集。
        ライト感覚で読める本ですが、大沢在昌の作品としては、若干物足りなさを感じました。
        大沢在昌は長編の方が良いと考えます。
        >> 続きを読む

        2011/05/03 by BobyFK

      • コメント 1件
    • 2人が本棚登録しています
      無病息災エ-ジェント
      カテゴリー:小説、物語
      2.0
      いいね!
      • 日英のハーフで超ハンサムだが三枚目のSPの活躍。

        ハードボイルドのイメージが強いため、コメディ調の展開に面食らう面が有った。

        何と言っても「新宿鮫」での強烈な印象が抜け切らず、「アルバイト探偵」でコメディ調の作品の存在も知っていたはずだが、やはり正直すんなりとは受け入れることは出来なかった。

        登場人物の設定は共通している読み切りの短編集。

        魅力的なキャラクター設定は相変わらずだが、それぞれの話に深みが無く手応えを感じられぬまま、あっさりと読みきってしまった。

        著者のかなり若い時期の作品らしいので、その影響も有るかもしれない。
        同じ設定でも、現在の力量でなら魅力的な作品になった気がする。

        大沢氏作品としては外れだが、つまらなくは無い。
        >> 続きを読む

        2011/12/13 by ice

    • 2人が本棚登録しています
      こちら葛飾区亀有公園前派出所 小説
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 超有名な作家たちが(こち亀)30周年記念で両さんを中心に小説を書いてる本です。作家により書く題材も違いテンポよく読めました。おすすめは、京極夏彦の(ぬらりひょんの褌)です。両さんは出てきません。なぜか大原部長の若い頃の話になり、そこのアパートで鍵をしても食べ物がなぜか食べられる事件があり、大原部長は、ぬらりひょんが出たと住人に言ったが信じられず、気持ちが悪いので引っ越しした。そしてひょんなことから、子供の頃のあの人が実は・・・。後は、今野敏の(キング・タイガー)です。この作品は定年した警察官が子供の頃好きだったプラモデルに熱中していく話ですが、近所のプラモ店に飾ってあるプラモは両さんが作った物で、私も子供の頃プラモ作りに夢中になったので懐かしく読みました。こち亀は何巻まで行きましたかな? >> 続きを読む

        2016/07/23 by rock-man

    • 3人が本棚登録しています
      獣眼
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • 腕利きのボディガード・キリのもとに、河田早苗と名乗る女性から警護の依頼が。
        対象者は森野さやか・17歳。
        1週間、昼夜を問わず彼女を守ってほしいという。
        彼女はプロの殺し屋から狙われているらしい。
        さやかに人の過去を見抜ける「神眼」という特殊能力が近々開花するのを恐れ、さやかの抹殺を企てる「ツブシ」と呼ばれる暗殺集団。
        果たして、キリはさやかを守りきれるか?

        500頁を超える大したボリュームですが、内容が浅く、ほとんど会話で進む展開なので、あっという間に読み終えてしまいました。
        登場人物たちの造形もイマイチ、物語も面白味もなく、展開は「」だらけ…本作は、大沢さんのダメな方の作品ですね。
        『アサヒ芸能』誌に連載されていたようですが、たしか以前にも同誌の連載小説が非常に面白くなかったのを覚えています。
        購読層に合わせてわざとそうされたのか、プロ作家ならではの技量の範囲内なのか、とまれこうして一冊の単行本として出版されてしまうと、たとえどんな背景があるにしろ当時の諸事情など我々読み手には関係ない事ですから、純粋に一冊の小説として評価せざるを得ません。

        主人公・キリは凄腕のボディガード。
        容姿端麗で華奢、どこか陰りを持つキリは、およそボディガードらしからぬ風貌です。
        物語の冒頭は、あるロックバンドの護衛を見事に果たすシーンから。
        ハリウッド映画のように、まず「この男は凄い奴なんだ!」という読者への刷り込みから入ります。
        そして、新しい依頼、17歳の少女・さやかを1週間という期限付きで、徹底的に守ってほしいというのです。
        普通の17歳の少女は命を狙われたりはしません。
        実は、さやかには未来を見通す「心眼」という能力が開花する素地があると聞き、半信半疑のキリ。
        しかし、依頼人の話や、さやかを取り巻く特殊な環境から、能力そのものには懐疑心を抱きつつも、護衛を引き受けるキリ。
        「心眼」能力をこころよく思わない社会集団「ツブシ」の存在や、「心眼」の血脈を崇め奉る団体「至高会」。
        事態はやがて、警察やロシアマフィアを巻き込んだ抗争に発展してゆきます。

        あらすじを纏めてみると上記のようになります。
        ネタバレするところまで深く書いていないので、たぶんこれから読もうとなさっている方のご迷惑にはなっていないものと思います。
        一読、アクション小説のようですがアクションでなし、ハードボイルド小説のようですがハードボイルドでなし。
        「心眼」という超能力保持者を巡る戦いが存在していることは間違いないのですが、誰と誰が戦っているのかよくわからず混乱することが。
        また、隠し事が多く、後出しばかり。
        それも、明かされる事実が、ただ勿体ぶっているだけで、大したものでもないので(そういうことが何回もあって、それでページ数を稼いでいるので)、読んでいる間、辟易してしまうことしばし。
        僕は、基本的に大沢在昌さんの作品は娯楽小説と割り切っていて、中身の些末な事柄にはたいてい目をつぶることにしているのですが、それでも上の作品と下の作品に大別され、本作は間違いなく下。
        決して「面白かった」と言える作品ではないですね。


        …文中で、主人公・キリが、事件の鍵を握る人物との対面シーンで、その人物が「心眼」能力が世に知られたらたいへんな事態になる、と自説を展開するのですが、そこだけ「ほー」と感心したので下記に残しておきます。
        僕は頭が悪いので、論説文読解が苦手でした。
        小説家の方が書かれていると、すでにその方がその方なりに咀嚼された考えなので、わりとすっと入ってきます。
        正誤は別として、「なるほど、そうだよな」と思いました。

        「…21世紀に入ってから、世界各地で起きた戦争には共通の理由がある。まず第一はエネルギー資源、簡単に言えば石油を巡る争いだ。第二は、価値観の対立。グローバリゼーションと呼ばれる、価値観の均一化を推し進めようとしている西欧文化に対する反発が、争いの根底にはある。たとえばの話、アメリカ人は、どこの国であっても、自分たちが暮らす土地をアメリカに似せたがる。アメリカ型の住宅を建て、アメリカ人が好む食べ物を持ち込み、音楽、映画、アメリカの文化風俗を広める。好悪はともかく人種の坩堝でもあるアメリカの文化風俗は、どんな国であろうと、若者に受け入れられやすい特質を持っている。ハンバーガーやコーラは、それを生まれて初めて食べる若者の舌にも、なぜか美味しいと感じる味なのだ。そして若者はひとたび新しい文化に染まると、それまで培われてきた古い文化を簡単に否定する傾向に陥りがちだ。伝統的な生き方にこだわり、未来に歴史をつないでゆく義務があると信じる大人たちにとって、それは最も腹立たしい変化と言える。
        文化風俗による侵略は、いずれ人間の価値観を変え、何千年と続いた国家の形を変えかねない。だが文化風俗の侵略を撃退するのは容易ではない。そこで対抗するための原理主義が生まれ、やがて武器をとるのもやむなしという思想にかわっていく。
        武器を向けられた西欧文化は、驚き、そして反発する。よもや戦いで後れをとることはあり得ないと信じ、実際その通りなのだが、個を犠牲にしての攻撃は、まさに西欧文化に対する挑戦に他ならない。
        考えてみたまえ。無人の攻撃機や、誘導でピンポイントを破壊するミサイルは、すべからく個人を犠牲を生じさせないための手段だ。多国籍軍の撤退後、その国の治安を維持するために雇われるのは、PMCと呼ばれる民間の軍隊で、そこではたとえ死者がでようとも、莫大なサラリーとひきかえに自らが選んだ結果であって、決して国家が個人に奉仕を強制した結果ではない。ことほどさように西欧文化においては、個人が全体の犠牲となるのを避ける傾向にある。
        一方、対する側はどうか。女性や子供であっても、戦いに身を委ねるのをためらわない。自らの体に爆弾を巻きつけ、敵もろとも自爆する。まさに、個を犠牲にする戦い方だ。そこには、宗教ともつながる、彼らの価値観がある。殉じることで、あの世での幸福を約束されると信じているのだ。」
        「宗教の対立というわけか」
        キリの言葉に、男は首をふった。
        「西欧文化の侵略を『十字軍』と呼んだ者もいたが、私に言わせれば、これは宗教戦争などではない。なぜなら、どちらの宗教にもあの世の思想はあるが、西欧文化の側がそれを強く信じているなら、個の犠牲をこれほど恐れる必要はない。神を信じ、あの世での幸福を疑わないなら、なぜひとりでも戦場へ送り込む人間を減らそうとするのか。彼らはすでにわかっている。神はいない。そしてあの世も決して存在しない、と。あるのは現世だけで、死んだ人間に何も与えられることはないのだ。そしてその考え方が広まることこそを、古い民、伝統的な生き方にこだわる人々は恐れている。
        先ほど君は、私の考えを宗教の対立という言葉でくくろうとした。私はそれを否定した。双方に信じる宗教があってこその対立で、実は西欧の側にはもはや信じる宗教など存在しない、と。
        それゆえに、価値観の対立ではあっても、宗教の対立ではない。」

        このシーンだけ、大家・大沢降臨という感じがしました。
        >> 続きを読む

        2015/02/08 by 課長代理

      • コメント 4件
    • 3人が本棚登録しています
      鏡の顔 傑作ハードボイルド小説集
      カテゴリー:小説、物語
      1.0
      いいね!
      • 大沢在昌の代表作からのキャラクター「新宿鮫」「ジョーカー」「佐久間公」も登場する、短編ハードボイルド小説集。10ページ程度の超短編も多い。表題の「鏡の顔」は殺し屋とその女、女の元彼であるフォトライターの奇妙な三角関係を描いた、ちょっと切ないハードボイルド。表題と、組織の殺しを請け負っている女の話「ゆきどまりの女」はまあまあだった。ただ読んでもピンとこない話もいくつかあり、大沢在昌の短編はもういいかなという感じ。 >> 続きを読む

        2014/07/29 by モナコ

      • コメント 2件
    • 1人が本棚登録しています
      Anniversary 50 カッパ・ノベルス創刊50周年記念作品
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      •  カッパ・ノベルス創刊50周年記念作品です。
        9人の作家が各々のカラーを出している短編を
        1編ずつ計9話おさめたお得な一冊といえるでしょう。
         
         「50」という数字を必ずストーリーの中に織り込む
        ということだけがルール。
        ミステリー系の作品が多いですね。
         
         個人的には、島田荘司氏の
        「進々堂世界一周 シェフィールド、イギリス」の
        訴えてくる目線が他の作品とは一線を画していて
        面白いと思いました。
        面白いというよりは
        考えさせられると言った方がいいかもしれません。
         
         それ以外にも後半の4作品
        道尾秀介氏  「夏の光」
        宮部みゆき氏 「博打眼」
        森村誠一氏  「天の配猫」
        横山秀夫氏  「未来の花」
        たちは けっこうお気に入りです。
        特に「未来の花」はお見事!と思いました。
        著者の他の作品も読んでみたくなりました。
         
         いろいろな作家の
        いろいろなテイストを味わえる一冊ですから、
        あなたも好みの作家に出会えるかもしれませんよ。
        オススメです。
        >> 続きを読む

        2015/02/04 by kengo

    • 1人が本棚登録しています
      東京騎士団 長編アクションハードボイルド
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • 小さな事件を辿るうちに突き当たった巨大な陰謀。

        オチが納得できない。

        魅力溢れるキャラクターを創出することでは圧倒的な力量を見せ付ける大沢氏だが、本作品でも多くのキャラが立った登場人物を輩出してくれている。

        主役はさておき、その後輩。旧知の知人。謎の老人に、不思議な魅力に溢れる女性。
        そう言えば「おっぱいお化け」なるアバンギャルドなネーミングの女医もいる。

        敵役もナイフ使いやら、無尽蔵なパワーを発揮する者。
        ホワイトカラー?では、厳しい上下関係に統率された世界が構築され、華麗な剣術を披露する悪の華的な人物も登場する。

        もう面白さと満足感は約束されたも同然なはずだったが最後に罠が待っていた。
        どうして、ここまで来て安易な展開に走るのか・・・。と裏切られた気分になった。

        有ろうことか、あわよくば続編も書いてやろう的な著者の仕掛けさえも、垣間見えてしまった気がして450ページ超の作品が最後で一気に萎んだ。

        ドクターとマスター。この設定だけはやり直して欲しいくらいで有る。
        >> 続きを読む

        2012/03/15 by ice

    • 2人が本棚登録しています
      新宿鮫 長編刑事小説
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • どんな間取りがだめなのか、動線は考えられているかなど、どんなことを考えたらいいのか、というのは分かったけれど、じゃあ、どこでそんな物件を見つけられるのかとか具体的なものが分からなかった。
        3LDKなら15畳以上、2LDKなら12畳以上、1LDKなら11畳以上必要らしい。
        >> 続きを読む

        2017/01/11 by kana1102

    • 3人が本棚登録しています
      鮫島の貌 = The Haunt 新宿鮫短編集
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • 大沢在昌の新宿鮫シリーズの短編集。
        なんと「こち亀:両さんが登場」するモノも・・・

        新宿鮫ということで、若干敬遠ぎみの大沢在昌の短編を読んでみました。

        ・巻頭での上司:桃井の視点からの新宿署異動直後の鮫島像。
        ・前述した「こち亀:両さん」の登場。
        ・巻末のシリーズⅨの「狼花」で命を落とした野間の本意。
        などなど。

        新宿鮫シリーズを読まれた方には、間違いなく楽しめる内容だと思います。

        新宿鮫の本編は、長編で緊張感が続く内容ですが、この本はライトに読め、ユーモア(こち亀:両さん)もあり、新宿鮫ファンでない方にも楽しめる本ではないかと・・・
        >> 続きを読む

        2012/09/17 by BobyFK

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    • 2人が本棚登録しています
      小説ルパン三世 オリジナル競作アンソロジー
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 大沢在昌、新野剛志、樋口明雄、光原百合、森詠ら
        5人によるルパン三世をテーマにした競作アンソロジー。
        もともとのルパン三世自体が相当面白いアニメだった故
        この出来上がったキャラクターを操るのは相当に
        難しそうですよねー。でも、全作ソレっぽくなってる!!
        うーん、素敵ぃー。

        中でも秀逸なのは元々の作品だった「十年金庫〜」の
        続編を書いた光原作品が秀逸! 若干の設定に変化は
        あるものの、実際にアニメで今作を見たかの様な気になる。
        森作品は台詞まわしが完璧に表現されており、読みながら
        完璧に映像が浮かんできます。この2作品が突出の出来っ!
        アニメのルパン好きも100%楽しめるアンソロジーで
        思わぬ収穫に満足っす。
        例によって100円コーナーから救出。
        >> 続きを読む

        2013/06/11 by za_zo_ya

      • コメント 9件
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【大沢在昌】(オオサワアリマサ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)

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