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窪島誠一郎

著者情報
著者名:窪島誠一郎
くぼしませいいちろう
クボシマセイイチロウ
生年~没年:1941~

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      戦没画家靉光の生涯 ドロでだって絵は描ける
      カテゴリー:洋画
      4.0
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      • 本の表紙にあるのは、第二次世界大戦にて上海郊外で病没した靉光(あいみつ、ないし、あいこう)の代表作「眼のある風景」(1938年)です。この難しい雅号は、靉タイ=雲がたなびくさまをイメージして自ら命名したそうです。(「タイ」という字は「雲」「逮」の合字で変換できませんでした。)

         この絵は、私がまだ小学生だったころ、当時週刊でばら売りし、束ねて百科事典になるという週刊アルファの記事のなかに見つけて、たいそう驚いたものです。なんて不吉な絵!!・・・その分だけ印象に残っていましたが、この絵画、日本における、いわゆるシュルレアリスムの走りであるとされるようですが、今見て見るに、ちょっと違う。靉光独自の作品だと思います。

         得体の知れない赤っぽいマッス(かたまり)が乳白色の空の下でうごめき、それらを監督するような大きな目玉が一つ・・・そう見ると左右のマッスはまるで拳骨のように見えてくるのです。とにもかくにも、考えさせられたり、感じさせられたりすることの多い絵です。

         その週刊アルファから靉光に関する記事を引いてみます。
        ・・・・・・・・・・・・・・・
        日本の1930年代がうんだ独自性のつよい、知性的な画家(1907-1946)・・・本名を石村日郎といい、広島県のうまれ。わかくして上京、太平洋画会研究所にまなんだ。・・・画風は、きわめて変化がはげしく、はじめは、ゴッホ、ルオーなどの影響をうけたが、のちシュルレアリスムをいれ、しだいに独自の画風をうちたてた。がんらい、中国古典画とりわけ宋元画の伝統にまなぶところがあり、強剛な素描力とあいまって、ユニークな油彩画をえがいた。・・・
        ・・・・・・・・・・・・・・

        靉光は、戦争に協力すること・・・戦意高揚のための絵を描くことを軍部に強要されますが、『わしにゃあ、戦争画は(よう)描けん。どがあしたら、ええんかい』と泣くようにいったという。(←wikipedia)そんなわけで彼は一般の兵卒として徴兵され、中国にやられますが、いざ戦争が日本の敗北に終わった時になり、威張っていた上官たちが我先にいろいろな交通手段で日本に逃げ帰るのに反し、一兵卒だった靉光はなかなか日本に帰れず、上海郊外でマラリアとアメーバ赤痢に同時に罹り、帰らぬ人になりました。
        遺族の元に戻ったのは、彼が使っていた飯盒(はんごう)だけだったそうです。

         生前の彼、靉光は、「泥でだって絵は描ける」と言っていたそうです。(「戦没画家 靉光の生涯  ドロでだって絵は描ける」:窪島誠一郎:新日本出版社より)でも、普通に絵筆を握らせれば泥で描くより素晴らしい作品が描けるのは自明の理です。ああ、靉光を襲った大いなる災禍。生きて帰ってくれば、戦後の画壇において指導者的な役割を演じられたのは間違いなかったでしょう。

        最後に:「眼のある風景」、以上の靉光の履歴を見るに、1938年に描かれたこの絵は、靉光自身を襲う運命、日本を襲う運命を予言するような作品だったと思わざるを得ません。この眼は「威圧する眼」であると同時に「怯える眼」であったのかも知れません。


        **この図書では、「眼のある風景」が良く見えないとのiceさんからの指摘がありました。・・・googleで「眼のある風景」を検索すればすぐ見られます。
        >> 続きを読む

        2013/06/11 by iirei

      • コメント 8件
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      いのち(生命) わたし、画学生さんのぶんまで生きる
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      4.0
      いいね!
      • 学校でいじめられて自殺未遂を図った女の子が、祖父の自画像を見に「無言館」に行き、祖父の分も生きなきゃと思って立ち直る、という物語。

        実話がもとになっているそうである。

        無言館は、もちろん、戦没画学生の絵を集めた美術館で、その子の祖父も二十代で戦死した。

        多くの人が、絵を描きたい、もっと生きたいと思い、一刻一刻のいのちを刻み付けるように絵を描き、そして戦地に赴いていった。

        いま、後世の私たちが、自由に、平和に、絵を見たり描いたり、本を読んだり、家族や友人と過ごすことは、本当はとてもかけがえのない大切なことなのだと思う。

        若くして亡くなっていかなくてはならなかった方たちの分まで、本当は今生きている私たちは生きなければならないということを、あらためて教えてくれる絵本。
        >> 続きを読む

        2012/12/22 by atsushi

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