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島田荘司

著者情報
著者名:島田荘司
しまだそうじ
シマダソウジ
生年~没年:1948~

この著者の本を読んでいる会員ランキング

このランキングは1日1回更新されます。
      占星術殺人事件
      カテゴリー:小説、物語
      3.9
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      • 占星術師の御手洗潔が、ある女性の依頼を受け、40年前の昭和11年に起こった伝説的な未解決猟奇殺人事件に挑む。問題の事件は梅沢一家に発生した三つの殺人が絡む。第一に、画家の梅沢平吉が自身のアトリエで殺害された密室殺人事件。第二に、一人暮らしをしていた平吉の長女、一枝の強姦殺人事件。最後が問題の事件で、平吉の娘や姪などの若い六名の女性が行方不明となった後に、その遺体が日本各地において発見され、六人の娘たちの殺害は、生前に平吉が残したとされる手記に正確に則って実行されていた。手記において平吉が目的としていたのは六名の処女たちの身体の各部を切り取って組み合わせることで、「アゾート」と呼ぶ人体模型を作りあげて悪魔に捧げるという狂気的な試みにあった。

        物語は平吉の病的な手記に始まり、御手洗の友人でミステリ好きのイラストレーター石岡によって梅沢一家殺害の詳細が解説される。これに依頼主である女性が御手洗に提示した、事件に間接的に関わった父が遺した未公開情報が加わり、一連の事件に関する情報が出揃う。ここまでで作品全体の約半分が経過している。

        探偵役の御手洗と助手役にあたる石岡の関係は、ホームズとワトスンのそれである。作中にも二人が探偵ホームズシリーズ作品について問答を繰り広げるシーンが存在する。インスピレーションを得て御手洗が事件の真相に気付く件や、物語全体が石岡の視点によって進む展開についても、ミステリにおける典型的な探偵と助手の役割を踏襲している。事件そのものは、40年前に設定した古めかしさや、悪魔崇拝や猟奇的な殺人内容のおどろおどろしさから、横溝正史作品を連想させられた。

        解決に必要な全ての情報が出揃う段階で、読者に向けられた挑戦状が提示される作品で、本作はその挑戦状が二段階となっていることも特徴である。謎解きを目当てにミステリを読む方にとっては、より楽しみが多い作品だろう。肝心のトリックについても基本的にフェアかつ、驚きもあり納得できる仕掛けだった。全体ついては、かなり過去の事件を扱うという設定上、手記や資料による情報が多いために机上での展開が多い。主人公コンビのやりとりについては紋切型の域を出ないもので、キャラクターにはあまり魅力を感じなかった。

        総じて、トリックについては楽しめたものの、味気ない経過を辿るためにページ数を長く感じる作品でもあった。要するに、トリックの披露に特化して短い紙数に収まっていれば、個人的にはもっと高く評価できる作品だった。時代の移ろいも感じさせる、エピローグにあたる最終章にはミステリを離れた小説らしい手触りもあり、好感をもった。
        >> 続きを読む

        2021/05/04 by ikawaArise

    • 他6人がレビュー登録、 18人が本棚登録しています
      占星術殺人事件
      カテゴリー:小説、物語
      4.2
      いいね!
      • ツイッターで「とにかく素晴らしいトリック」とおススメいただいて、それならば読んでみようと手にした本。
        島田荘司というミステリ界の大御所の名前は存じていたものの、これまで一冊も読んだことがなかったのでこの機会に、と。

        結果ーー
        ごめんなさい、私はダメでした。
        本書はいわゆる<本格モノ>です。
        そして、昔の私は知恵比べともいえるトリックがはられている本格モノが大好きでした。ちょっとでも目を見張るトリックがあると嬉々として読んだものです。
        そのころの私なら楽しめたのかもしれません。

        でも時代が変わってハードボイルドやクライムミステリなども幅広く読み始めると、人間を描けていないもの、人間の描写が薄っぺらいものは受け付けなくなっていきました。

        本書では心に響くセリフや描写が私にとってはないに等しかったです。
        それゆえ読むのが苦痛でした。

        でも、まあ、それはそうなんですよね。
        <本格モノ>なんだから、読む人たちの最大の関心事は「犯人はだれ」「トリックはどういうもの?」ということにあるわけです。
        世間から大絶賛されているこのトリックが明かされる最後の大団円で読者が「どうだ、まいったか~」「まいりました~」となる瞬間のためだけに、この物語の中盤までのすべてがあるわけです。
        だから犯人も殺される人たちも謎解きパズルの一片として配置されています。
        そこには心に響くセリフや描写は必要ないのでしょう。

        一応最後に犯人の独白手記があるんですが、うーん、これでは後付けが過ぎると感じてしまいました。

        現在の私は、どうしてそういう犯罪に手を染めなくてはならなくなってしまったのか、その人間ドラマのほうに感じ入りたいと思っています。

        たとえば『白夜行』では、どうしてあの二人はああいう生き方をせざるをえなかったのか、それがわかった最後では、守ってあげたい、いや、大人こそが守ってやらなくてはならなかったのに…と、それこそ心が震えて涙が止まりませんでした。

        以上、あくまでも現在の私個人の観点から好き勝手なことを述べました。
        お気を悪くされた方がいらっしゃいましたら、平にご容赦ください。

        ただし、これだけは断言できますね。
        本書は「日本の本格モノはこの作品からはじまった」的な位置づけの作品なので、本格モノ好きを自認している方は”必読”の一冊です。

        この本を知らずして「自分は本格モノ好きだ」というのは、そうですねえ、「鬼滅の刃」を知らずして「私はアニメの大ファンだ」といっている感じでしょうか。
        いえね、「鬼滅の刃」にあなたがどういう感想を持つかはどうでもいいんです。でもその分野の「大ファン」と公言するからには、個人の感想は置いておいて、これだけ世間の注目が高まった作品には目を通しておくのは筋なんじゃないかなあと思いますので…。

        ただし、本書を読むおそらくほとんどの方がものすごい忍耐を要するのではないかと思われます。
        事件解決には直接関係のない描写が延々とこれでもかと続くことや(それも物語のキャラクターを生かす方向に行けば読めるんですけど、本書ではそういう方向にいっていませんので)、また現在では回復すべき時代錯誤感のある作者自身の思想を登場人物に語らせたりと、とにかく冗長なのは否めないので。

        まあ、私はそういう部分も全部ひっくるめて、この作品がこの時代の一つの金字塔、このジャンルを切り開いていった一つの形なんだと解釈しております。

        ======データベース=====
        密室で殺された画家が遺した手記には、六人の処女の肉体から完璧な女=アゾートを創る計画が書かれていた。
        彼の死後、六人の若い女性が行方不明となり肉体の一部を切り取られた姿で日本各地で発見される。
        事件から四十数年、未だ解かれていない猟奇殺人のトリックとは!? 
        名探偵・御手洗潔を生んだ衝撃のデビュー作、完全版! 
        二〇一一年十一月刊行の週刊文春臨時増刊「東西ミステリーベスト一〇〇」では、日本部門第三位選出。
        >> 続きを読む

        2021/06/11 by まみー

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      写楽閉じた国の幻
      カテゴリー:小説、物語
      3.8
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      • 島田さんの企画から20年越しの作品。
        その中身は今でも存在が知れない東洲斎写楽に迫ったもの。

        息子を亡くし妻からは離婚も迫られ、そんな時救いの光明は自身が研究していた写楽。
        ある言葉から写楽は平賀源内ではないかと目星を付けるのだが。

        1年もたたずに100枚以上の人物画を残した謎の存在。
        正体が分からないため独自の解釈が可能だが、一番多いのはやはり井原西鶴。

        そもそも写楽以前に平賀源内は死んでいるため、どういう風に読み解くのか。

        現代と江戸のパートで見せるあたりは巧みだし、説かれていない疑問はいつか続編になるのだろうか?
        >> 続きを読む

        2019/08/27 by オーウェン

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      御手洗潔の挨拶
      カテゴリー:小説、物語
      4.3
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      • 再読。
        名探偵・御手洗潔の短編集。
        4つの短編が収められているが、どれもトリックが極めて優れたものであり、長編にしても構わないほどの密度である(オアシスの2ndアルバムみたいな感じである)。
        「数字錠」は推理小説を読む際にトリックを見破る努力を一切しない僕でも真相がわかった(アリバイトリックではなく物理トリックの方)。
        よほど数字に弱い人でない限り、このトリックは喝破できるであろう。
        麻耶雄嵩がどこかのインタビュで「島田荘司がトリックを思いつく頻度は異常である」みたいなことを語っていたが、確かにこれだけぽんぽんトリックを思いつけば、本格ミステリ作家をやっていて楽しくてしょうがないだろう(執筆自体は大変だろうが)。
        島田荘司の本格ミステリは、質・量ともに極めてレベルが高く文章も大変読みやすく、誰にでも安心してオススメできる本格ミステリ作家の一人である。
        海外の本格ミステリ作家で一人オススメするならアガサ・クリスティだが、日本の本格ミステリ作家で一人オススメするなら島田荘司をおいて他にいない。
        >> 続きを読む

        2019/09/01 by tygkun

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      斜め屋敷の犯罪
      カテゴリー:小説、物語
      2.2
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      • 変な館に集められる、という雰囲気はとてもすき。
        ただ、御手洗さんより警察の操作の方が長いし、御手洗さんはさっときて、変人扱いの間にさっさと解決してしまうし、、、トリックが壮大すぎるのもいまいちかな。 >> 続きを読む

        2016/03/02 by NACO

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      ネジ式ザゼツキー
      カテゴリー:小説、物語
      4.3
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      • 御手洗潔は記憶の一部をなくし、記憶を蓄積できない患者と対面する。
        その患者は、一つの奇妙な童話を書いていた。

        「タンジール蜜柑共和国への帰還」、それは、あたかも架空の出来事を描いたような作品であったのだが、御手洗は、その物語と現実との接点を指摘し始める。
        果たして、その導き出される事の真相とは?-------。

        この「ネジ式ザゼツキー」こそが、島田荘司が提唱する"21世紀本格"の代表的な一冊となり得るものだろうと思う。

        「魔神の遊戯」もその流れではあったものの、こちらは若干、ストレートというものではなかったように感じられた。
        よって、この「ネジ式ザゼツキー」から、真の意味での"21世紀本格"が始まっていくのだと思いますね。

        この物語では、終始"ネジ"にこだわり続け、話が進められていくように感じられた。
        これは、ものすごく興味を引かれる事象であり、その解決に導かれるまま、最後まで一気に読み通すことになった。

        ただ、その解答としては、解釈は納得できるものの、割と平凡に収まってしまったなという感じがする。
        ただし、この作品はトリックという面よりも、その"発想"が優れている作品であると感じられた。

        一部の記憶が喪失しており、記憶の蓄積ができない患者が書いた一冊の本。
        この内容から本に描かれている場所やその背景を指摘し、その著者の人生までを辿ってしまうという力技。

        そして、本の解釈のみで話は終わるのかと思いきや、そこから過去の事件を暴き出し、さらに、その解決までを一つの部屋の中のみで行ってしまうのだ。
        この発想、着想は、まさに圧巻というより他はない。

        一つ一つ細かいところに注目すれば、いささか強引であるとも言える。
        しかし、それを1本の繋がった道に並べてしまうという、推理、着想こそが、島田荘司の"奇想"たる所以であろう。

        >> 続きを読む

        2021/07/05 by dreamer

    • 他2人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      写楽閉じた国の幻
      カテゴリー:小説、物語
      3.4
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      • ・相変わらず語彙の誤りが散見
        ・『東洲斎写楽はもういない』が決定打かと思っていたので、挑戦意欲は評価 >> 続きを読む

        2017/04/19 by michi2011

    • 他2人がレビュー登録、 12人が本棚登録しています
      写楽閉じた国の幻
      カテゴリー:小説、物語
      2.8
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      • ・現代編は高橋克彦の浮世絵シリーズを意識しているのか、埋め難い圧倒的な知識量の差(検証物は知識量の差が面白味の優劣と知る) >> 続きを読む

        2017/04/20 by michi2011

    • 他2人がレビュー登録、 8人が本棚登録しています
      御手洗潔のダンス
      カテゴリー:小説、物語
      3.3
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      • 島田荘司の御手洗物の短編集。
        島田ファンなら皆知っていることだが、名探偵・御手洗潔の初期の短編集は異様にクオリティが高い。
        長編級のトリックが惜しげもなく使用されており、島田本人も認めている通り初期の作品は特にトリック濃度が高いため、本格ファンにとっては堪えられない内容となっている。
        「山高帽のイカロス」は、死体出現シーンでジョジョのレッド・ホット・チリ・ペッパに感電死させられた虹村形兆を想起した。
        「ある騎士の物語」は「山高帽のイカロス」同様、壮大な物理トリックが仕込まれている。
        ただ、この作品の御手洗の拝金主義批判は個人的には余り好きになれない。
        映画「タイタニック」にも言えることなのだが、貧乏礼賛は現実的ではないのではないだろうか。
        人生において、やはりお金は大事と思う。
        「舞踏病」における御手洗の女性に対するシニカルな態度はすごく、シャーロック・ホームズお得意の即興推理でも見事にバカにしている。
        「近況報告」でも見取り図(お笑い芸人の方ではない)が出てくるのだが、ミステリでもなんでもないのは笑かしてくれた。
        ところで最近、海外小説(翻訳物)と国内小説を交互に読んでいるが、海外小説は読みづらいのだが読み応え(のようなもの)が多く、国内小説は読みやすいが読み応え(のようなもの)が少ないと思う。
        小説好きには、海外物と国内物両方を読む人と、海外物しか読まない人、国内物しか読まない人の3つに分けられるが、最近は読書ログを見ても国内物しか読まない人が多くなっていると感じている。
        翻訳物の売れ行きはやはり良くないらしく、翻訳物受難の時代であることを痛感した。


        >> 続きを読む

        2020/02/05 by tygkun

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      星籠の海 THE CLOCKWORK CURRENT
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
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      • 瀬戸内海の小島に次々と浮かび上がる身元不明の遺体。

        本作でも御手洗と石岡が事件解決のために飛び回っているのだが、今回は謎のスケールが大きくてワクワクする。

        現代の殺人事件に、黒船とペリー、織田信長と村上海賊などの歴史ミステリーが絡んでくる。

        宗教、原発、薬物、いじめ、アジア諸国との関係。
        とにかくいろんなものを詰め込んだ感があってさっぱり着地点が見えない。

        「星籠」とはなんなのか。
        期待しながら下巻になだれこむ。
        >> 続きを読む

        2015/03/14 by seimiya

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      星籠の海 THE CLOCKWORK CURRENT
      カテゴリー:小説、物語
      3.7
      いいね!
      • 上下巻合わせて900ページ近い長篇にも関わらず一気に読み通すことができた。

        不可解に思われる事件が少しずつ解きほぐされていくのは気持ちが良い。

        「星籠」をめぐる歴史ミステリーの部分も興味深くて、村上水軍やペリー来航時の老中安部正弘についてもっと知りたくなった。

        新興宗教や原発への批判たっぷりなので不快感をおぼえる読者もいるかも。ヒロ君のエピソードなどはかなり具体的で直接的だ。実際に起こっている可能性がある。

        丸腰で言葉にすれば炎上したりもみ消されたりしかねない内容も、小説というフィクションに組み込んでしまえば難を逃れることができるのだと、そんなことを思った。
        >> 続きを読む

        2015/03/15 by seimiya

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      異邦の騎士
      カテゴリー:小説、物語
      3.8
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      • 御手洗の優しさが際立っている。

        主人公の恋人への愛情と御手洗との友情に感動させられる。

        島田作品特有の重厚感のある作品で個人的に好きな小説。
        >> 続きを読む

        2015/03/05 by わきや

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      切り裂きジャック・百年の孤独
      カテゴリー:小説、物語
      3.3
      いいね!
      • よみました。
        切り裂きジャックの事件からちょうど百年後に
        出版された小説なのですね。
        実際の事件の様子と百年後に起きた設定のベルリンの事件。
        (ベルリンの壁崩壊前ですね)
        興味深く読みました。

        本物の事件の犯人は捕まっていないので
        解釈もいろいろ出ていますし、本当に謎。
        まさにミステリー。

        私はこの小説を読んで
        ジョニー・デップの『フロム・ヘル』を
        もう一度観てみたくなりました。

        島田荘司さんの、他の小説も機会があれば読んでみたいですね。
        御手洗探偵さんの話が良いかな?
        >> 続きを読む

        2016/07/24 by ゆ♪うこ

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      溺れる人魚
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
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      • 本格ミステリ作家・島田荘司の短編集。
        「溺れる人魚」というタイトル通りに、人魚をモチーフとした短編集である。
        ただし、厳密な意味での本格ミステリは表題作だけである。
        短編「溺れる人魚」はポルトガル・リスボンを舞台にしたアリバイ物。
        天才スイマ・アディーノとそのコーチのブルーノを巡る物語。
        天性のドルフィン泳法を武器にオリンピックで4つの金メダルを獲得したアディーノが麻薬を嗜んだことによりアスリートとして失速・転落し、数々の暴行事件を起こすようになる。
        また、PSAS(持続性性喚起症候群)により、日中のべつ幕なしにオルガズムを感じるようになり、夫のブルーノに始終性行為をせがむまでになる。
        解決策として夫は彼女にロボトミ手術を受けさせるが、アディーノは廃人同様になってしまう。
        聖アントニオ祭の前夜祭でアディーノは自殺し、彼女のロボトミ手術の主治医・コスタ教授も何者かにより殺害される。
        約2キロ離れた2つの現場で、ほぼ同時刻に両者が同じ銃により射殺されたことを巡る謎。
        トリックとしては、同著者の短編集「御手洗潔のダンス」収録の某短編と対をなしているであろう。
        短編「人魚兵器」「耳の光る児」は名車交遊録という本に収録されたということもあり、ミステリ色はかなり薄め(日本本格ミステリ界では有名だが、島田荘司と森博嗣はポルシェ911の熱狂的なユーザであり、この2短編でも当然のごとくポルシェが登場する)。
        短編「海と毒薬」(遠藤周作の作品名と同一だが、Julian Casablancas 「Out of The Blue」〜System F「Out of The Blue」間と同じくらい雰囲気に差がある)は御手洗潔の親友・石岡和巳がある女性からファンレタをもらった件を物語化しているもの。
        この女性は看護師を目指す短大生だが、ある交通事故で事故に遭った男性を助けた際イケメンだったためキスして、彼が運び込まれた病院を突きとめ、俳優見習いの彼と付き合ううちに避妊もせずに性行為をして中絶するという、なかなか頭の悪い女性である。
        しかし、彼は他の女性と結婚するために彼女に手切れ金の100万円を渡し、彼女は給湯室の熱湯のプールに転落して、左目の視力を失うという重症を負う。
        彼女は彼とその家族に復讐するため、硫酸Dを持ち歩くようになる。
        ラストは伏せておくが、彼女がウェザ・リポート「ブラック・マーケット」を聴くシーンが印象的であった。
        >> 続きを読む

        2021/07/21 by tygkun

    • 他1人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      最後のディナー
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 御手洗潔シリーズ短編集。

        他作品で登場するキャラクタ犬坊里美との後日談でも有る。

        3作品が収録されているが、実際にはプロローグな1作品を除く2作品。

        「大根奇聞」もなかなか意表を突かれたが「最後のディナー」には
        土地勘の有る横浜というロケーションと相まって心を揺さぶられた。

        御手洗氏がほとんど登場しない御手洗シリーズも悪くない。
        >> 続きを読む

        2011/01/16 by ice

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    • 2人が本棚登録しています
      ロシア幽霊軍艦事件
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 最後のロシア皇女アナスタージアの話、実は生きながらえて日本軍に助けられ、最新ドイツの飛行機で芦ノ湖へ着陸していた!歴史推理小説。 >> 続きを読む

        2013/03/06 by Nek-O-ta

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    • 3人が本棚登録しています
      御手洗潔のメロディ 多彩な四つの奇蹟
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 4篇収録の短篇集。

        ミステリ色が強いのは「IgE」と「ボストン幽霊絵画事件」で、あとの2篇は事件性のない御手洗にまつわる思い出についての手記。

        4篇に共通するのはタイトルが醸し出す雰囲気そのままのセンチメンタルさだろうか。

        「SIVAD SELIM」の追憶の甘みのくだりが印象的。

        p104 「どんな陰惨な事件も、時を経れば追憶に甘みが出る。それはまさしくただの酸っぱい水が酒に変わっていく過程なのだが、同時に他人事たる残酷な事件が、ますます他人事になっていく過程と言えないこともない」

        夏になるとテレビ局がこぞって感動系の戦争ドラマを放映する。そんなことを連想した。
        >> 続きを読む

        2015/03/01 by seimiya

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    • 3人が本棚登録しています
      ネジ式ザゼツキー
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • なんだか色々すごかった。
        ある男の欠落した記憶を取り戻すために、御手洗潔の頭脳がフル回転する。
        欠落した部分にはめ込まれた物語、「タンジール蜜柑共和国への帰還」が面白い。単独で読んでもファンタジーとして楽しめるし、全ての謎が解けた後にもう一度読むと、現実と記憶の絶妙なミックスに感動する。
        タイトルの“ネジ式ザゼツキー”は、全ての始まりであり、答えでもある。
        >> 続きを読む

        2014/07/27 by seimiya

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      殺人ダイヤルを捜せ
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 人に言えない楽しみから巻き込まれて行く殺人事件。

        トリックに意外性は有ったものの、深みの無さが島田氏作品としては物足りない。

        感覚的に理解できない楽しみを持つ主人公で有るため、感情移入し辛い面が有ったのは否めないが、核となるトリックの意外性には満足した。
        おそらく現代の電話システムでは無効であろうと思われるが、このような挙動が有ったというのは驚き。

        残念なのは、島田氏作品にはとくに期待してしまう社会派要素が無いこと。
        これまで多くの島田氏作品を読んできたが、ここのところ正直あまり満足できる作品に巡り会えずにいる。

        島田氏ほど多才な方は、作品毎にそれぞれテーマを設け、マンネリ化を防いでいるのは分かるのだが、幾つかの作品により、ガッチリとハートを掴まれている読者としては、出し惜しみされているようで何だか辛い。

        このプロットを生み出す島田氏の発想の幅広さには改めて驚く。
        >> 続きを読む

        2012/02/09 by ice

    • 2人が本棚登録しています
      火刑都市
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
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      • 連続する放火事件の裏に潜む、男女それぞれの闇。

        親子二代に渡る壮大な伏線と都市への歴史観が独特。

        ストーリーが進行するに連れて明らかにされていくことになる
        自身を取り巻く様々な男性達に対して由紀子が抱く感情が、本書全体に対して漂う無常感の源泉で有ると思われる。

        島田氏作品としては決して突出した出来では無いが、次々と繰り出される伏線で、気が滅入るようなシーンの連続を読者にぐいぐいと読ませてしまう腕力は健在である。

        残念なのが江戸と東京という非常に魅力的なテーマに作品自体が
        振り回されてしまったように感じられる点。
        犯人を放火へ突き動かす思いは、自身の生い立ちだけで十分で有り、操作攪乱のために江戸と東京の話が絡んでくる程度で良かったのでは無かったか。

        それぞれ別の作品として世に出ていれば、ともに期待作となったことは疑いないだけに残念である。

        鎮火した火事場に充満する煙のような後味が残った。
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        2011/01/31 by ice

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【島田荘司】(シマダソウジ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)

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