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土屋政雄

著者情報
著者名:土屋政雄
つちやまさお
ツチヤマサオ
生年~没年:1944~

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このランキングは1日1回更新されます。
      わたしを離さないで
      カテゴリー:小説、物語
      4.2
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      • よかった。すごくよかった。

        この本の背景にあるテーマは重く非常に考えさせられましたが、それだけでなくとっても面白かった。この本はいつかまた絶対に読み返したい。

        以下、ネタバレします。















        医療の発展で失われるはずの命が助かるようになりました。
        しかしその一方で、人間は取り返しのつかない、入ってはいけない領域に足を踏み入れているのかもしれないと思いました。

        本の中に出てくるキャシー、ルース、トミー…。みんな個性的で、あれ?と違和感を持ちつつも感情移入しながら読みました。読み進めるうちにその違和感の意味がわかりましたが、それでもだからといって読み方が変わることもなく物語に入り込んで読みました。

        本当に私たちと何も変わらない、悩んだり、恋をしたり、悲しんだり、怒ったり、見栄をはったり、仲間を大事に思ったり、希望も不安も持つ、そんな登場事物たちはヘールシャムで保護官によって創作活動に取り組むように言われ数々の作品を生み出しますが、最後にその目的が、心を持っていることを証明するためであったことが明らかになります。登場人物たち、つまり私たちが今クローン人間と呼んでいる存在に完全に感情移入した後に明らかになったこの事実は本当にショッキングでした。でも、私たち人間がいかにも考えそうなことです。たとえば実際に同じようなことが行われたとして、心のこもった作品をクローン人間が作ったとして、それがニュースになったとしたら。科学の進歩スゴイ!と思ってしまうかもしれません。その残酷さに気付くこともなく。

        本の中にも出てきますが、では科学は進歩しなくて良いのかと言われるとそうとも言い切れない自分がいます。娘に何かあった時に助かるかもしれない手段があるのだとしたら。私は何としても娘を助けたいと思うのでしょう。

        この本に出てくる大半の登場人物はクローン人間。
        でもクローン人間と聞いて思い浮かべるような、たとえばクローン対人間の戦いというような派手さは全くなく、とっても繊細で、人間らしい、リアリティのある物語。
        ルースの言動なんて、私が知っている誰かを見ているようで。

        だからこそ怖いし悲しいし胸に迫るのだと思います。
        >> 続きを読む

        2017/12/04 by chao

      • コメント 8件
    • 他16人がレビュー登録、 47人が本棚登録しています
      日の名残り
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
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      • 初読。遠い昔の英国が舞台だが、久しぶりに川端や谷崎を味わっているような文学の美しさを堪能。

        最近「品格」を問う出来事が後を絶たないが、経済、国勢が傾くと、品は二の次になるようだ。

        英国のように歴史、文化、伝統が成熟し切った国でも「品格」が揺らいだ時代性と、人生の終焉へ向かうの主人公の心境がシンクロするラストの日の名残りが実にほろ苦く、美しかった。
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        2017/11/24 by まきたろう

    • 他7人がレビュー登録、 21人が本棚登録しています
      終わりの感覚
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
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      • ジュリアン・バーンズの、情けない男の描き方が好きだ。
        若い頃の友人や恋人を回想していた主人公(60代男性、離婚して今は独身)、ふとしたきっかけがあってその恋人と再会し、彼女と昔の友人の死の謎を解いていく、ちょっとサスペンスっぽい雰囲気のある小説です。

        主人公が実に格好悪くていとおしい。若いときも主導権を握っていたのは彼女のほうだし、一度結婚した元妻との会話も、なんだか垢抜けない。いかにもうだつの上がらない男です。

        昔の彼女は実にわがままで、思わせぶりな態度で一を聞いて十を知ることを強要してくるのですが、いやあ、この主人公には無理だろう。言葉を額面通りに受け取るしかしないのでは、到達できない場所があるものです。しかも、察して動く先を間違えると女王様はお怒りになる。難しいですね…無理だろって気もしますが。

        主人公男性の情けない感じもいいのですが、もうひとつ、忘れてはならないのが若くして死んだ友人エイドリアンです。彼は非常に頭のいい少年なのですが、若くして自殺してしまいます。彼の死がこの小説の要なので、詳しいことは書きませんが、すごく良かった。ものすごく良かったです。

        だんだん年を重ねると、回想する材料が増えていくのが楽しい。若いときには記憶のストックがないので、いろいろと考えすぎてしまうように思います。少なくとも私はそうだった、と思う。ストックがないと自分でひねり出すしかないので、思想が偏るのでしょう。だんだん大人になると、昔好きだった人のことだとか、友達とのやりとりだとか、引出の中身が増えていくので、わかってくることが多くなっていく。大人になればわかるよ、なんて、当時はうそだろと思っていましたが、本当でしたね。ジュリアン・バーンズは、この小説に限らず、回想することの効用をよく知っている人だと思います。とても素敵な人だと思う。いい小説でした。
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        2016/12/15 by ワルツ

    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      月と六ペンス
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
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      • 【あらすじ】

        「私」がストリックランドとはじめて出会ったとき平凡な男であるという印象を受けた。17年間株式仲買人をして妻子を養ってきた平凡な男。そんな男がある日 なんの前触れもなくパリに出奔してしまう。夫人の依頼を受けて「私」はストリックランドを連れ戻そうとする。なぜ17年間も連れ添った妻と子供を捨てて、パリに訪れたのかと問うと彼は絵を描きたいからとおよそ常人には理解できない返答をするのだった。

        今でこそ天才画家と称されるストリックランド。彼は有名人の例に漏れず、世間から様々な人物像を描かれることとなる。多少なりともストリックランドと交流があり作家である「私」が、彼がどういう人物であったかを書こうと思う。

        【感想】
        ストリックランドは人でなしとしか言いようのない人物だ。「私」は妻子を捨てたストリックランドに対して常識的な非難を浴びせるのだが、彼は微塵も揺るがない。

        「奥様はどう暮らしていけばいいんです」
        「十七年も食わしてやったんだ。そろそろ自力でやってみてもいいと思わんか」
        「無理です」
        「やらせてみるさ」
        (中略)
        「奥様がどうなってもいいのですか」
        「いいとも」(p81)

        あっさり自分の罪を認めた上で、妻がどうなっても構わないと言い切る場面は「私」と同じく、思わず笑ってしまいそうになった。しかし、世間からどう思われようと気にしないと心から言うストリックランドからは薄情さよりも先に野生の力強さを感じた。

        後にストリックランドはパリで、唯一自分の才能を見出す三流画家のストルーブと出会う。しかし、ストリックランドは散々世話してくれたストルーブの人生を滅茶苦茶にする。ここがこの小説のクライマックスだと思う。鬼畜としかいいようのないストリックランドへの怒りや嫌悪はほとんどわかず、道化として描かれた善人ストルーブへ嘲笑を浮かべさせる構造になっているのはなんとも意地が悪くて面白い。善なるものは時に六ペンスほどの価値もないのかもしれない。

        パリ編が終わり、タヒチ編ではストリックランドの生涯の終わりが描かれる(ロンドン→パリ→マルセイユ→タヒチ)。ここは大きな展開があるわけではなく、彼の生涯を第三者から断片的に聞かされるという構造になるため、エンタメ性がガクッと落ちる。けれど、それがかえってストリックランドという画家の実在感を高めている気がする。理想郷、楽園、黄金時代。社会や常識、文化や文明という鎖を食いちぎり、ここではないどこかへ辿り着いた人間が確かにいたのだ。
        >> 続きを読む

        2016/12/24 by けやきー

    • 他1人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      わたしを離さないで
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
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      • 前置きとして、まず読んで思いに浸りましょう、それぞれに。
        だからちょこっとだけ感想書きます。

        読み終えた時、とても静かな悲しみが自分の周りに広がっていた。冬、誰もいない海岸、目の前の広大な海に、ブイだけがぽつんと浮かんでいる、そんな静かな悲しみ。

        その静かな感じはどこから来るのか?

        カズオ・イシグロが自然に、とても自然にストーリーを運んでいっているからだ。だから主人公のキャシーは次々に起こる死を静かにに受け入れていく。キャシーと同じように私たちも死を(死の場面を)静かに受け入れる。それは私たちが提供者の宿命を分かっているからかもしれないが、カズオ・イシグロのストーリー運びの絶妙さに依る所もかなり大きいと思うのである。

        一番私の心に居座っているのは、我々が他人や自分の死を受け入れる時の心の持ち方を(提供者というフィルターを作品から少し獲得した心で)、改めて考えることである。

        火をつけるとパチパチ火花が勢いよくはぜて、そのうち小さなチリチリになって、そして小さな火の球ほのかに光り、最後にポロッと落ちる、そんな線香花火のような風情の作品だと感じました。
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        2017/10/18 by Reo-1971

    • 5人が本棚登録しています
      IBM奇跡の"ワトソン"プロジェクト 人工知能はクイズ王の夢をみる
      カテゴリー:情報科学
      4.0
      いいね!
      • DeepBlueでチェスの世界王者に勝利したIBMが21世紀に入って次に挑戦したのは人気クイズ番組でクイズ王達との対決に挑むという無謀なプロジェクト。

        コンピューターはどこまで人間に近づくことが出来るのか?前代未聞の挑戦の内情を記録した科学ドキュメンタリー作品。

        全世界の航空管制を担うことが出来るほどの驚異的な性能を誇る2880個の並列POWER7プロセッサと数億ページに相当するテキストデータを収納したストレージを武器に天才たちが育て上げたワトソンプログラムが出題内容を瞬時に理解し回答する・・・。

        自然言葉を理解するというのは人工知能の基本ともいえる機能でSF映画では古くから描かれているものの、現実世界でのその分野は未だ人間の頭脳には遠く及ばない。

        ましてや相手は驚異的な正解率と早押しテクニックを有する二人のクイズ王。果たしてIBMは赤っ恥をかくのか、それともDeep Blue以来の偉業を達成するのか?

        今日ではiPhoneにユーザーの問いかけに答えてくれるSiriが搭載され、チェスよりさらに複雑な将棋でもコンピューターがプロ棋士に勝ち越し、自動運転の車の公道試験が始まるなどなど人工知能の時代の幕開けを身近に感じるようになりました。
        一方でこの作品を通して現在の人工知能の難しさ、限界を知ることができます。

        この作品では後日談は描かれていませんがIBMは「ワトソン」の事業化を目指しているそうです。
        自然言語を理解した上で過去の膨大な医療データ(ビックデータ)から瞬時に症例を導き出しアドバイスする。そんな有能な助手が若手医師を助け医療ミス防止に貢献する日が来るのも近いのかも・・・。
        >> 続きを読む

        2014/05/11 by ybook

      • コメント 5件
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【土屋政雄】(ツチヤマサオ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)

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