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今野敏の「隠蔽捜査」は、毛色の変わった主人公が登場する、"警察官僚小説"とでも呼ぶべき異色作だ。都内とその近郊で起きた、三件の殺人事件。被害者は、いずれも少年時代に凶悪な事件を起こしながら、法律に守られ、短い刑期で社会復帰してきた者ばかりだった。警察庁長官官房の総務課長・竜崎伸也警視長は、マスコミ対策に遺漏のないように、事件の推移を見守っていたが、犯行の間隔から、現職の警察官の犯行ではないかと考える。捜査はその通りに進み、容疑者が特定されるが、予測される警察批判を恐れた、警察庁の上層部の一部に、真相を隠蔽しようとする動きが起きた。竜崎は、断固これに反対するが、自分の息子が重大な法律違反を犯していることを知ってしまうのだった-----。主人公の竜崎は、鼻持ちならない超エリートだが、特権ある者は、重い責務を負うということをモットーに、すべてに原理原則で向き合い、"正義"を全うしようとする姿に心打たれる。この「隠蔽捜査」は、稀代の変わり者ヒーローが誕生した、記念すべきシリーズ1作目の作品だ。 >> 続きを読む
2020/03/13 by dreamer
シリーズ4作目にして初めて竜崎以外のキャラに焦点が当たるスピンオフ作品。竜崎の同期の伊丹に問題が起こり、それを間接的に竜崎が助言していくという話。伊丹はひたすら悩んで結論を出すが、竜崎はあっさりと決断をすればいいと諭す。同期の絆を感じさせるとともに、伊丹がいかに竜崎を信頼しているかを伺わせるエピソードが多い。どの話もすらすらと読みやすく、キャラの魅力を増す作品。次作以降も更に各個のキャラの活躍が楽しみになる。 >> 続きを読む
2018/01/23 by オーウェン
長編5作目は仕事場で議員の誘拐と、家庭では息子の受験という二つの課題が課せられる。元来仕事人間の竜崎は家庭で対応に四苦八苦。そして現場では管轄区の違いによって生まれる軋轢が大きな見所。具体的には神奈川県警との縄張り争いが繰り広げられる。県警がでしゃばるなだとか、警視庁に任せられるかといった押し問答が竜崎を介して話を盛り上げる。伊丹との関係性も深くなった印象がありで、後のシリーズも更に楽しみになった。 >> 続きを読む
2018/01/29 by オーウェン
同期から始まったシリーズ2作目。宇田川と蘇我の同期に加えて、同じ3人目の大石が同僚勤務となる。だが彼女は立て籠もり事件の人質となり、犯人に連れ去られる。警察は必死に捜査の行方を追うが、そこには裏が。新たに加わる同期の大石が女性というのがポイントで、彼女の求心力が宇田川の閃きに繋がり、蘇我の援護という形となる。このシリーズ1作目もそうだが、海外のスパイというおおよそ現実らしくない敵を作り出している。それが同作者の隠蔽捜査と分ける点。次作は最終作なので、同期という絆がより試されるだろう。 >> 続きを読む
2018/02/19 by オーウェン
図書館本。ST「色」シリーズ第四弾。結城翠に焦点が当てられている。名器ストラディバリウスが盗まれた。所有者の人気バイオリニストがリハーサルの際にすり替えられたという。STが調査を進めるうちに、コンサートマスターが密室で殺害される。二つの事件のミステリは単純だが、本作の面白さは異常に発達した聴覚の世界に生きる翠の苦悩が描かれていることにある。普通の聴覚に生まれていたらどんなによかったか、という翠の言葉に同情した。常人離れした聴覚を生かして潜水艦のソナー手になりたかったが、極度の閉所恐怖症のためにそれもかなわず、STでは黒崎と組んで「人間嘘発見器」として活躍している翠を応援したくなった。巻末の解説で「読者に絶対の安心感と満足を与えてくれる作家」として今野氏を絶賛しているが、まったくその通りだと思う。 >> 続きを読む
2019/09/07 by Kira
リオ・オリンピックなので、リオを読んでみた(笑) この本は五年前位に読んだのですが、内容は忘れてしまいました。内容は新聞配達の集金の人がお客さんの所に来たとき、同じマンションの階で殺人事件が起きて、物語が始まります。主人公の樋口はよく言えば、冷静で悪く言えば意見を言わない人で、相棒の氏家はよく言えば、裏表がない、悪く言えばしゃべりすぎの人。後半はこれが逆転します。犯人は以外な人で驚いたね。殺人現場に美人高校生が目撃され、事件に絡んできます。男は美人に弱い事が最後に分かりました。 >> 続きを読む
2016/08/07 by rock-man
凄く暑すぎて何を読もうか迷っていたら、この「朱夏」が目に止まりかなり前に読んだがまた読む事にしました。たぶん、(夏)の文字に反応したと思います。 まず面白い、そして読みやすい、警察小説だがあまり小難しい内容では無い。ある日(樋口顕)の妻(恵子)が家に帰らない事がおきて、その内帰るだろうと思っていたが帰らず誘拐の線が強くなった。でも妻なので事件にできず、同僚の(氏家)と二人だけで捜査を始める。タイムリミットはあとわずか。何故なら別の事件の捜査本部が開始する。二人で犯人を追いつめる。このビンジョウ感は読み手をひきつけます。犯人は以外な人物だった。 そして、文中に今は兄弟が二人、一人っ子が多く特に一人っ子は親が特に母親が息子を溺愛して、父親をバカにして父親の帰る場所も無くなり会話も無くなり、そして何も出来ない(男)が出来るそうです。私の職場にも何を考えているか何も喋らない人がいます。この様な人って人とコミニケーションが出来ないんですよね。挨拶も出来ないし、声も小さいし。 最後に「朱夏」とは「青春」の次です。「青春」「朱夏」「白秋」「玄冬」の順です。勉強になります。 >> 続きを読む
2017/07/16 by rock-man
今作はアメリカ大統領来日のためシークレット・サービスとの共同戦線を張る。いきなりスケールアップした任務にいち署長が何をするのかという葛藤があるが、そこはやはり竜崎。いつものように立場の違いをあっさりと越えるため、日本とアメリカの立場のやり取りが始まる。それに加えて竜崎が女性の警護官に恋に似たものを感じ取りあたふた。伊丹との真面目なやり取りが逆に可笑しさを誘う。痛快という感じではないが、ある意味番外編のような印象を受けた。 >> 続きを読む
2018/01/22 by オーウェン
心霊番組を収録していたテレビ局。その収録中に、チーフディレクターの細田が死亡した。収録していた部屋で亡くなった人物と同じように、首を骨折して。川那部検視官をはじめ、警察は<事故死>と断定した。しかしこれに疑問を持った、STメンバーは、単独で捜査をする事に。タイトルから分かるように、今回のメインは「青山翔」です。彼の素晴らしいプロファイリングが活躍する話でした。 >> 続きを読む
2015/08/27 by ゆずの
「ST 色シリーズ」、第5弾です。そしてこれで「ST 色シリーズ」は完結です。その最後を飾ってくれる色が「黒」つまり、黒崎勇治です!歌舞伎町で起きる、謎の発火事件。そして同じ時に、ワンクリック詐欺に遭い、その犯人に仕返しをしようとする青年。この2つの事件が、ラストに近付くにつれて、急展開を見せて行きます。そこが一番の見どころで、面白かったです。 >> 続きを読む
2015/10/31 by ゆずの
まずこの「ビート」は、ダンスミュージックのビートを指す意味の様です。主人公の樋口顕は「杉下右京」の様な天才では無く、正反対に地味な存在です。でも誰も気にしない所に目が行き、そこから事件が動く感じです。あらすじは、銀行にガサ入れが入りでも空振りにおわる。それが、銀行員と警察官が柔道の先輩後輩の関係で警察の息子も柔道家で子供の頃銀行員に教わりそこからガサ入れの情報が洩れ、そこから殺人事件が起こり・・・。文中に「汗は嘘をつかない」と出てくる所にグッと来た。これだから、読書はやめられない。 >> 続きを読む
2017/07/30 by rock-man
竜崎は、息子の不祥事で大森署に移動になる。署長になっても、前例を引くまでも無くわが道を行く。部下たちはまごまごするが、困らせることが本意ではない。竜崎も少し譲り新しい任地は動き出す。高輪の強盗事件で大森署でも緊急配備をしいた。ところが犯人たちはそれをすり抜け、先で待機していた機捜が身柄確保をした。どこであっても捕まえればいいことだ。ではすまなかった。友人の伊丹捜査部長から、管理官に手を回し穏やかに収めようとするが、勇みたって管理官が来るというので、緊張している署員に竜崎は言う。---「驚くことはない、向こうが無茶をいってきたんだ」「所轄が方面本部や本庁に楯突くことはまずありません」「警察組織と言うのは、上位下達が基本だ。軍隊と同じで、上の作戦を現場が滞りなく遂行することが第一だ。そういう意味では、所轄は、うえの指示に逆らったりしてはいけない。だがね、上が明らかに不当なことを言ってきている場合は別だ。方面本部の管理官の面子など、職務上意味がない」---近隣のパトロールに出ていた地域課の報告で、小料理屋で喧嘩が有ったらしい。開店も遅れている。それが緊配に引っかからなかった犯人の一人か。訪問しようとした係員に向けて二階から発砲された。逃げた強盗のうちのひとり、実行犯だろう。人質をとって立てこもったのだ。強行犯係が来る、先に捕まえた仲間が言うには、引き籠り犯は10発以上の銃弾を持っているという。竜崎は署員のとめるのも聞かず現場に出る。SITも出動、SATも出てくる。大森署はSITの指揮下に入った。SITは人命を尊重し、時期が来るまで説得し調査し、解決しようとする。竜崎はSITの小平係長の指揮下に入る。しかし犯人はまた発砲し、時間切れと判断して、SATが突入となり、竜崎は狙撃命令を出す。犯人は射殺され人質は救出される。事件は無事解決。のはずだったが。犯人が持っていた拳銃には弾が入っていなかった。それについての情報は事前に確認した。その上での突入、狙撃命令だったが、空砲を撃った犯人を射殺したことは問題になる。事件は混乱してくる。そのとき、竜崎に酷く反感を持っているはずの戸高が、経験上なにか腑に落ちない点があると言ってくる。竜崎は再調査を許可する。面白かった。竜崎の家では奥さんが救急車で運ばれ、家庭に疎い竜崎は困ってしまい娘や息子の助けを借りる。次第に家族のことを考え直す。人並みに妻のストレスに気が付いて家族を思い遣る気持ちが沸いてくる。官僚の社会から話は主に地方警察の内部に移るが、竜崎のぶれない気持ちは健在であり、そこに家族の話も加わって、少しやわらかい風味が増してきた。「SIT」は「捜査一課特殊班」の頭文字だそうだ。覚えやすい(^^) >> 続きを読む
2014/10/02 by 空耳よ
図書館本。任侠シリーズ第三弾。このシリーズ、面白すぎる。阿岐本組の組長が今回引き受けたのは、経営難で潰れかけた病院の再建。医師の資格が必要な理事長にはなれないので、組長は監事となって経営を圧迫している問題をあぶり出す。すると、病院内の雑事を外注している会社が高額のマージンを取り、そのバックに暴力団が絡んでいることがわかる。折しも、阿岐本組の地元で暴力団追放の運動が起こり、組員は不自由を強いられる。売られたけんかに阿岐本組は勝てるのか。前二作では交換条件で組長が経営陣から手を引いたが、今回は納得のいく結末だった。組事務所の前で追放キャンペーンをされて、外出もままならなくなった組員たちが自炊を始めるのだが、その食事がおいしそうだった。阿岐本組の絆は強い。 >> 続きを読む
2019/04/07 by Kira
図書館本。安積警部補を主人公とする警察小説シリーズ中の一冊。順番がわからないので短編集から読んでみたが、安積の人柄が気に入ったのでシリーズをもっと読みたくなった。本書に五篇収録されている短編は所轄の日常的な描写が多く、安積班長を慕う部下の心情も会話の中で丁寧に描かれている。安積と警察学校が同期で交通機動隊小隊長の速水警部補が豪放で格好よく、何かと安積の助けになっている名脇役。「薔薇の色」は捜査の話ではなく、安積班行きつけの小さなバーで安積と速水、部長刑事の須田と村雨の四人が推理ゲームを楽しむ話。某アンソロジーに収録されているのを見かけたことがある。「月齢」は、満月の夜に何かが狂い始めていく過程を描いた話で興味深く読んだ。メモ旧ベイエリア三作『二重標的 東京ベイエリア分署』『虚構の殺人者』『硝子の殺人者』神南署シリーズ四作『蓬莱』『イコン』『警視庁神南署』『神南署安積班』新ベイエリアシリーズ五作『残照』『陽炎』『最前線』『半夏生』『花水木』(2009年当時) >> 続きを読む
2019/02/07 by Kira
再読。読んだのは文庫版。単行本既読。何度読んでも楽しくて夢中になる。初読みのときはむさぼるようにして読んだが、今回はじっくり味わった。単行本にはなかった巻末の解説を読むと、ドラマではシーズン5から安積が警視庁に異動になって、原作とはちがう路線を進むらしい。でも原作はこのままのメンバーで、個人的に傑作だと思っている短編集『捜査組曲』を経て今に至る。今野氏は近々、任侠シリーズの新作を出すようだが、安積班の新作も待ち遠しい。 >> 続きを読む
2020/05/22 by Kira
安積班シリーズで九篇収録の短編集。神南署シリーズとしては最終巻。五話目の「刑事部屋の容疑者たち」をはさんだ前半四話が、いつもの捜査ストーリー。後半の四話では、臨海署が復活するという噂が呼ぶ波紋が描かれる。「異動」では、安積班の若手刑事桜井が噂を耳にして動揺し、安積の評価を気にして手柄を焦る。「ツキ」は、不思議なツキに恵まれている須田刑事の信じがたい英雄譚。「部下」では、神南署の視察に来た野村管理官が、安積に臨海署に戻りたいかと尋ねる。安積は、できれば今の部下と離れたくはないと答える。野村管理官はやがて、臨海署の署長になる。「シンボル」では、安積はベイエリア分署のシンボルだという須田の言葉が印象に残った。神南署では交通課にいる速水警部補が、交通機動隊の小隊長としてパトカーで疾走する日々に戻れる時も近い。 >> 続きを読む
2019/05/16 by Kira
図書館本。歌舞伎町特別診療所シリーズ第一弾。今野氏の作品をいくつか読んできたが、こんなに違和感を覚えて納得がいかないのは初めて。悪徳警官に一泡吹かせようとする元暴力団組員に、犬養医師が関わってトラブルになるというストーリーは悪くなかった。線条痕を照合する場面が出てくるまでは。わかりきったことをなぜ照合するのか、何度読んでもわからない。その場面以降は混乱して、クライマックスもなんとなく嘘臭く思えた。期待して読んだ作品だっただけに、納得のいかない読後感が惜しい。 >> 続きを読む
2019/04/12 by Kira
図書館本。STのメンバーの名前にちなんだ「色」シリーズ第一弾。ノベルス版二段組み。新シリーズの始めにこの人をもってくるということは、やはり青山翔はSTを代表しているのだろうか。安積班シリーズの短編で顔を出すのも青山だけである。「恐ろしいほどの美貌」と毎回表現されているのだが、それがどんな美貌なのかいつも想像できないでいる。青山の言葉使いに少し幼さを感じるせいかもしれない。でも、謎解きにはいつも楽しませてもらっている。本作はシリーズ初期の三作の後なので、STを認めていない検死官も出てくるし、百合根もメンバーの扱いに戸惑っている。先日読んだ『プロフェッション』からすると、なんだか懐かしい気がするのも面白かった。 >> 続きを読む
図書館本。ノベルス版二段組み。STのメンバーの名字にちなんだ色シリーズ第2弾。面白すぎて、どんどんページをめくった。主に活躍するのは法医学担当の赤城左門。インフルエンザで大学病院の診察を受け、処方された薬を飲んだ男性が急死する。遺族が起こした民事訴訟は遺族側の敗訴となるが、遺族は刑事告訴する。業務上過失致死の疑いで捜査を始めるSTの前に、病院側が壁となって立ちはだかる。難航する捜査に、赤城は自身の過去をかけて挑む。STのリーダー的存在の赤城は、かつて対人恐怖症だったが、その辛い過去を初めてメンバーに明かす。それによって、メンバーの結束が強まったように思う。赤城がどうやって病院側の過失を暴くのか気になって、クライマックスではどきどきした。シリーズ屈指の面白さで、大満足の読後感だった。 >> 続きを読む
2019/04/02 by Kira
図書館本。ノベルス版二段組み。STのメンバーの名字にちなんだ色シリーズ第3弾だと思う。主に活躍するのは、ふだんはなんとなく影の薄い山吹才蔵。僧侶でもある山吹は、いつも現場でお経をあげる。化学担当であるが、現代的な問題に禅の教えからのアプローチをすることもある。ある宗教団体の若い信者四人が、マンションの一室で一酸化炭素中毒死する。検死官はカルト的な集団自殺だと決めつけるが、STが現場の不審な点を調査し始めると、自殺に加わらなかったもう一人の若者が浮上する。最後の謎解きも面白かったが、百合根警部が山吹の寺で座禅をして体験する癒しの描写がとてもよかった。過去の辛い体験を乗り越えて今の穏やかな山吹があるとわかって、山吹に対する親近感がわいてきた。 >> 続きを読む
2019/03/29 by Kira
【今野敏】(コンノビン) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)
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