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鈴木康行

著者情報
著者名:鈴木康行
すずきやすゆき
スズキヤスユキ
生年~没年:1937~

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      名作コピーに学ぶ読ませる文章の書き方
      カテゴリー:広告、宣伝
      3.0
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      • コピーライターってのは、斬新なキャッチフレーズを作る一言芸人。だと思っていました。当時はね。
        広告文化が注目され、それまで聞いたことが無かったコピーライターという職業が突然時代の最先端に飛び出して、糸井さんなんて方が細野一臣さんやら日比野克彦さんなんかと肩を並べて文化人のトップの顔になっていて…。
        私が就職を考えていたのはまさにその時代。
        本書の著者はコピーライター養成学校の先生です。

        この本はタイトルで期待するようなノウハウ本ではありませんでした。
        文章を書くテクニックや訓練について知りたいなら「第6部☆勉強の方法」だけ読めばよく、むしろ読み物として楽しむタイプの本でしたが、文を書く「行為」についての考えには共感できる部分が多々ありました。

        広告文を作る仕事とは広告主の言葉や思いを代弁する技術を売る商売です。
        派手なキャッチコピーよりも、その下に続くボディコピー、つまり製品説明やサービスの紹介や企業理念や社会へのメッセージなどを読んでもらわなくては意味がない。むしろその部分にこそ、ライターの工夫と人間性が出るのです。まさに文章を書く商売なのです。

        それを理解した上で、名文コピーを味わう時、そこには作家の名文にも似たものが感じられるのでした。

        それは「人に読まれるための文」だからです。

        広告文は万人に共感を与えるのが目的なのですから、自己満足や奇抜なアイディアだけではだめ。広い視野と平衡感覚は不可欠です。
        そこが素人や一部の作家とは異なる立ち位置になる訳です。

        と書きましたが、そもそも人に読まれないことを前提とした「文」はないです。
        自分のためのメモや日記だって自分という読者がいるのです。
        そしてそんなことなら、今ここで教えてもらわなくてもずっと昔に教えてくれた人がいました。

        それはアンネ・フランクです。

        彼女の日記がなぜベストセラーになったのか。わかりますか?
        それは彼女が非業の死を遂げたから?

        違います。

        彼女は日記を読む読者を想定して日記を書いていたのです。
        「キティ」という親友に宛てたという想定でお手紙の様に日記を記していたのです。 『アンネの日記』はほぼ毎回「親愛なるキティーへ」という言葉から始まります。
        あたかもキティが自分であるかのように思えてきます。
        だから彼女の日記は読めば思いが伝わり、意味をなし、感情移入もできる、物語のように感じられるのです。

        (私もマネしてみたのですが、日記を書くという行為が続けられず、数日で諦めたという過去があります)

        このレビューもそうですよね。
        最初は自分のメモ代わりにと思っていましたが今は違います。読んで下さる方を想定して書くことにしています。
        コメントをお寄せいただくことで生まれるつながりが、本当に嬉しくてたまりません。
        この読書ログは、参加される方のレスポンスが高くて、書いたレビューが文章としての役割を果たせたことが確認できる、非常に優れたSNSになっています。

        文を通して人と繋がるのは何て楽しいのでしょう。
        ちょっとだけコピーライターの気持ちが分かった気がします。


        「難しく考えずに、文章は、モノか、コトか、ココロの説明文だと思いましょう。」
        「あらゆる言葉、あらゆる日本の文字を駆使しましょう。」
        「書き直しなさい。文章を書くとは、書き直すことです。」

        名コピーライターの足元にも及びませんが、伝えたいことがあるから真剣に書く。読みやすい工夫をする。という心がけがあればいいと考えることにしましょう。

        この楽しみが長く続けられたらいいなと思いつつ。


        広告文として最高だと思えたコピーをご紹介しておきます。作者は児島令子さん。

        死ぬのが恐いから

        飼わないなんて、

        言わないで欲しい。

        おうちを汚すから飼わないというなら、
        犬はお行儀を身につけることができる。
        留守がちだから飼わないというなら、
        犬はけなげにも、孤独と向き合おうと努力する
        かもしれない。貧乏だから飼わないというなら、
        犬はきっといっしょに貧乏を楽しんでくれる。

        だけど・・・死ぬのがこわいからといわれたら、
        犬はもうお手上げだ。すべての犬は永遠じゃない。
        いつかはいなくなる。でもそれまでは、
        すごく生きている。すごく生きているよ。
        たぶん今日も、日本中の犬たちはすごく生きていて、
        飼い主たちは、大変であつくるしくって、
        幸せな時間を共有してるはず。

        飼いたいけど飼わないという人がいたら、
        伝えて欲しい。犬たちは、
        あなたを悲しませるためにやっては来ない。
        あなたを微笑ませるためだけにやってくるのだと。
        どこかの神様から、ムクムクしたあったかい命を
        預かってみるのは、人に与えられた、
        素朴であって高尚な楽しみでありますよと。

         朝日新聞 2004.2.28 掲載(NPF 日本ペットフード 広告)
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        2016/04/15 by 月うさぎ

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