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今回読了した黒川博行の「暗礁」(上・下巻)は、建設コンサルタントの二宮とイケイケ暴力団員の桑原の「疫病神コンビ」が活躍する、「疫病神」「国境」に続くシリーズ3作目のハードボイルド小説です。相変わらず達者な関西弁のしゃべくりに引きこまれるが、もちろんこの小説の真髄はこれのみではありません。運送会社から奈良県警交通部に流れている、莫大な賄賂をかすめ取ろうと桑原が計画を立てる。二宮は、運送会社を調べ始めるが、何者かに暴行を受けてしまう。企業と県警の癒着は、暴力団の利権も絡む大掛かりなものだった。政財界に関する作者の黒川博行の正しい歴史認識によって構築された、隙のないヤクザ・ストーリーは重厚であり、崇高でさえあると思う。 >> 続きを読む
2018/05/29 by dreamer
登場人物が多すぎる。『疫病神』では、あまりの多さに作中で相関図を作っていたほどだ。魅力あるキャラクターづくりで、それぞれ個として立っているのに、要の物語に絡んでこれていないというか・・・う~ん、どうなんだろう・・・説明しづらいな。僕は、肌が合わないのかもしれない。 >> 続きを読む
2014/07/20 by 課長代理
関西のノリのエンタメあまり任侠モノとか好んで読んだり映画みたりしないせいか、本作でリアルに土建業とヤクザの関係とか勉強になりました。ていうかもうかなり古くなってますけどもね(;´Д`)20世紀のオハナシで携帯電話も普及してないしバブルの構図がまだ物の見方に残ってる時代なのですが...「シリーズもの」に1作目である。じつはシリーズの最新刊が直木賞をとりまして、読もうとおもってるんですがせめて1作目読んどかないとと思いまして(;´Д`)またまたその新刊、図書館に予約してるんですが順番がくる前にまだシリーズ2作目、3作目と読めたらよんでみましょうか。でも若干、関西のノリが難しいんですよね。地名とかもピンとこないし(;´Д`)漫才コンビみたいで2人の掛け合いは楽しいですけども!(amazon解説)建設コンサルタント・二宮啓之が、産業廃棄物処理場をめぐるトラブルに巻き込まれた。依頼人の失踪。たび重なる妨害。事件を追う中で見えてきたのは、数十億もの利権に群がる金の亡者たちだ。なりゆきでコンビを組むことになったのは、桑原保彦。だが、二宮の“相棒”は、一筋縄でいく男ではなかった―。関西を舞台に、欲望と暴力が蠢く世界を描く、圧倒的長編エンターテインメント。 >> 続きを読む
2018/09/01 by motti
信者五百万人を擁する伝法宗慧教寺。その宗宝『懐海聖人絵伝』をめぐるスキャンダルに金の匂いを嗅ぎつけた、相性最悪の二人組、自称建設コンサルタント・二宮と、イケイケ経済ヤクザの桑原。巨大宗派の蜜に群がる悪党どもは、腐敗刑事、新宿系極道、怪しい画廊の美人経営者。金満坊主から金を分捕るのは誰か。東京まで出張った最凶コンビの命運やいかに。黒川博行さんの人気シリーズの第4弾です。シリーズ1作目の『疫病神』を読んで、2、3を飛ばして本作を読んでしまいましたが、特段の支障は無く、本作単体でも十分に楽しめるコミカル極道エンタメです。全国に数百万の信徒を抱える仏教系伝統教団・伝法宗慧教寺派。その末寺の些細なスキャンダルから、金の匂いを嗅ぎつけた大阪極道・二蝶会・桑原は、さっそく自称建築コンサルタント二宮に連絡をとります。「疫病神」に睨まれた二宮は今回も嫌とは言えず、何が何でも大金を手にしようと躍起になる桑原の悪事の片棒を担ぐ破目に。就教寺住職・木場は宗派宝物の絵巻物『懐海聖人絵伝』を染め抜いた絹のスカーフを大量生産し、信徒相手に大々的に売り出します。1枚7,000円で売り出したものの目論み通りいかず、逆に信徒から「本部の許可を得ているのか」「宗祖の名誉を傷つける」などの抗議が相次ぎ、木場の計画は頓挫します。困ったのはスカーフを作成した京都の染物屋。木場は染物屋に2,000万の約束手形を振り出していました。その手形がアンダーグラウンドをまわりまわって、二蝶会へたどり着いたという話し。菩提寺が就教寺だという理由だけで、木場住職と対峙することになった二宮が、桑原から受けた指令は、件の染め抜かれた『懐海聖人絵伝』そのものの在り処を探り出すことでした。騙しだまされ、『懐海聖人絵伝』全3巻を巡り、東京、名古屋、小田原、大阪と文字通り東奔西走。金の欲に取り憑かれた僧侶、ヤクザ、銀行屋、警察…。2,000万の手形を、どう料理したら1億に化けるのか。桑原の頭の中は、極道ならではの論理・思考法で高速回転します。巻き込まれ型の二宮は、鼻を折り、金属バットで肩を殴られ、挙句に廃屋の井戸に投げ込まれる寸前の窮地に。果たして、最後の最後に笑ったのは誰か。命のやりとりよりも銭勘定。当世の極道の有り様は、実際のところ、この小説にあるようにコミカルなのかもしれません。切った張ったは時代遅れで株や宗教と、合法的にしたたかに金儲けをするヤクザが跋扈する浮世です。ですが所詮、ヤクザはヤクザ。紳士的なルールなどお構いなしに、金づると見るや骨の髄までしゃぶりつくすまで赦しちゃくれません。近寄らないのがいちばんです。北九州のようにヤクザがヤクザらしく残っている地域はともかく、暴対法施行からこのかた東京をはじめ他の都市では、らしい方々は鳴りを潜めているように感じます。悪い人たちが地下に潜ったり、様々な組織、様々なかたちに変容して判別しにくくなってしまっているようです。取り締まる側の苦労も増えたのでは。作中、宗教関係に詳しい新聞記者が、現在の宗教事情についてこう語ります。「慧教寺派に限らず、仏教系伝統教団というのは、ある意味、鵺ですよ。つかみどころがなくて、正体がはっきりしない。…その点、現世利益を前面に出す新興宗教のほうが、ずいぶん理解しやすい。教祖の言葉がそのまま教義になるんですからね。次から次とスキャンダルが出ても、いつのまにかうやむやになるのは、慧教寺派という教団があまりにも巨大で、日本のあらゆる社会階層に深く根を張っているからですよ」なるほど。本作で登場する数多くの生臭坊主の面々のモデルは、そういうところから採ったわけですね、とひとりごちました。確かに、政財界・芸能界、官界、マスコミと多岐にわたって熱心な信者さんを抱える大宗教団体、ありますね。多少のスキャンダルや不始末は身内の中で内々に処理できそうです。不信心な僕は、地方に行って突如として現れる異形の建物や、見上げる高さの仏像にも嫌悪感や恐怖心しか浮かびません。しかし、虎穴に入らずんば虎児を得ず、進んで懐に飛び込まないと儲け話にはありつけないということです。今度からはしつこい勧誘を無下に断らず、少しは耳を傾けてみようと思いました。 >> 続きを読む
2015/06/01 by 課長代理
「疫病神」シリーズ第四弾。今回は仏教寺院の巻物を巡り、坊主、ヤクザ、警察、山師などが入り乱れて騙しあう。桑原の喧嘩っぷりや大阪弁も炸裂して今回も楽しく読むことができた。 >> 続きを読む
2017/04/09 by STALIN
「極道は身代金とるには最高の獲物やで」。大胆不敵な発想でヤクザの幹部を誘拐した三人組。彼らと、面子をかけて人質を取り返そうとするヤクザたちとの駆け引きが始まった。警察署の目の前での人質交換、地下駐車場でのカーチェイス、組事務所への奇襲攻撃…。大阪を舞台に追いつ追われつが展開する痛快小説。黒川さんの本領発揮、大阪を舞台にした小悪党たちの滑稽味たっぷりのエンタテインメント小説です。ちょっと疲れているときに、アドレナリンの生産を活発化して、ふたたび立ち上がる活力を与えてくれる効用があります。暴対法の施行後、本職のヤクザ屋さんの苦境はチラホラと耳に入ります。業界内でも貧富の差、勝ち組と負け組が歴然とし、末端のチンピラ風情では今日の飲み代にも事欠く有り様だとか。1,000円のはした金の貸し借りをやっているようでは、極道稼業に身を窶した甲斐がないいというものです。そんな斜陽の業界人の弱みにさらにつけこんで、大枚をせしめようというカタギの3人。カタギといっても、まっとうなサラリーマンというわけではなく社会の底辺を彷徨う、落ちこぼれ三人組。周到な準備のもと、イケイケの金融ヤクザを拉致し、それに見合う大金を要求するかと思えば、数百万という微妙な数字に固執する様もおもしろく。ピンチあり、駆け引きあり、汚い言葉のオンパレード。最後は友情の大団円と、鉄板の大阪ピカレスク小説です。 >> 続きを読む
2016/05/27 by 課長代理
黒川博行の「落英」は、大阪府警薬物対策課の刑事が主人公の本格警察小説だ。シャブの元締め、卸元、売人、小売人、そして客とすべてを同時に一斉検挙するため、二人の刑事が地道な張込み捜査を続ける前半部が、妙に緊張感を感じさせて読ませるんですね。それは、ディテールがしっかりと書き込まれているのと、刑事たちの歯切れの良い会話によるもので、いつもの"黒川節"が全開なんですね。ただ会話といっても、ユーモアやテンポがあればいいというものではなくて、言葉を削り、選び、絞り込み、読む者をいつの間にか心地良くさせていく。これは、もう一篇の詩でもあるんですね。物語は、容疑者宅から前科のある拳銃---16年前の南紀銀行副頭取射殺事件で使用された、中国製のトカレフが出てきたことで事態が一転する。事件そのものは、すでに時効を迎えていたが、二人はなぜか専従捜査を命じられ、和歌山へと出向くのだった。ここから物語は、次第にダークな色合いが強くなり、悪徳警官ものになっていく。ことに、二人に影響を与える和歌山県警刑事の強烈な個性は、ちょっと忘れ難い。最後までどう転んでいくのかわからない展開の見事さには、ただただ敬服。 >> 続きを読む
2019/02/02 by dreamer
ミステリー作家の黒川博行氏が、日常のダラダラ生活を恥かしげも無く告白。それも、大阪のおばはんそのままのよめはんとの掛合いは漫才そのままである。庭の洗い桶に住みついたカエル。人の気配を感じると水に潜る。あまり長い間潜っていると窒息するので庭の水撒きは5分以内にしてくれと頼む筆者に、「なんで、わたしがカエルに遠慮せなあかんの」「かわいそうやろ。呼吸できへんやないか」「だって、カエルは両生類でしょ」よめさんにとっては、水陸両用の生き物であるらしい。「ほな、イモリはなんや」、「あれはトカゲ類」「サンショウウオは」、「井伏鱒二」「ほな、ワニは」、「ハンドバック」訊くだけ無駄だった。よめはんはわたしをおちょくっている。博打、テニス、映画と遊びにいそがしい筆者、尻を叩かれ仕事をする割れ鍋に綴じ蓋。似たもの夫婦。・・・なんと呼ぶのか、うらやましい夫婦イッケン、ヤーさんに見え、ケイサツにもたてをつく筆者もよめさんには頭があがらない。大阪の夫婦の典型。まあ、尻にひかれていると自覚症状のあるおっさん必読ですな。多少は、自分のよめはんのおしとやかさに感謝するかもしれまへんな。 >> 続きを読む
2013/05/19 by ごまめ
かたや賭場摘発にからんで学校法人理事長を脅迫したことが発覚し、かたや愛人の“ヒモ"に刺され、ともに大阪府警を追われた、かつてのマル暴担コンビ堀内と伊達。競売専門の不動産会社に調査員として働く伊達は、ある日、出張で訪れた東京で、いまは無職の堀内を同業に誘い、二人は大阪に戻る。調査物件は敷地900坪の巨大パチンコ店「ニューパルテノン」。だが調べるほどに、裏で極道や半堅気、警察OBらが寄ってたかって食いものにしている実態が浮かぶ。「パルテノンは金の生る木や」、気づいた二人は……。策略と暴力がからみあい、腐敗のスパイラルはノンストップで奈落に落ちてゆく。黒川ピカレスク小説の真骨頂。「サンデー毎日」誌へ2009年2月から2010年2月に亘って連載されたものを纏めたものです。上下段383ページはかなりのボリュームでしたが、軽快なタッチゆえか重量ほどには読むのに苦労はありませんでした。いわゆる大阪黒川ピカレスクワールドが、フルスロットルでふかされている物語です。元デコスケ、とくにマル暴担ともなると潰しがきかぬように思えるものですが、その知識、ノウハウ、腕力、風貌と揃えば、裏稼業にピッタリ収まるようにできているんですね。警報の専門知識を振りかざしながら、暴力を振るう。こんなに怖ろしい、無敵の存在はないと思います。いつまでもこういう世界に憧れてしまう自分が愚かしいとは思うのですが、ページを手繰る手を止められない現実があります。黒川さんが描くような、太く短い人生を、今からでも味わってみたいものです。 >> 続きを読む
2016/06/12 by 課長代理
【黒川博行】(クロカワヒロユキ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)
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