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この分野の大家とも言えそうな著者が語るアジアの友人達。アジアの大らかさに触れることは出来たが、喧騒が無いのが寂しい。アジアというキーワードで本を選んでいると、下川氏の著作の多さに驚かされる。バックパッカーとか貧乏旅行者を対象とした作品では、彼のシェアは相当だと思う。そもそも、アジア貧乏旅行記的な作品を好んで読む人間は、都会の喧騒に疲れ、のんびりアジアの田舎を旅してみたいと思っているタイプか、活気溢れるアジアの喧騒からパワーをもらいたいと思っているタイプに分かれる気がする。もちろん両方とも魅力的では有るのだが、後者により大きな魅力を感じるため、本作品は少し物足りないものが有った。ただしアジア貧乏旅行記としてではなく、一アジア人と一日本人の触れ合いという視点に切り替えると中々味わい深いものを持っている。とくに在日朝鮮人二世の方と、日本で不法就労していたタイ人女性の結婚までの苦労には、本当に頑張ったとお祝いしてあげたいくらい感動した。愛は国境を越えるというが、本当に越えるのは言葉でいうほど簡単ではないはず。アジアのことを考えると良い意味で肩の力が抜けてくれる。実感。 >> 続きを読む
2011/12/04 by ice
アジアハイウェイを辿り、日本からトルコまでを縦断。貧乏旅行モノは数有れど、連続した時間をテーマにしたものは貴重。貧乏旅行モノは大好きで、かなり多くの数を読んできていると思うが、本作品のように、タイムテーブルを辿るようにリアルな時間軸とともに展開して行く作品は非常に珍しい。貧乏旅行である以上、効率的な移動などは求めず、むしろどれだけ怠惰な時間を消費できるかが旅のテーマだったりするものが多いからでは無いかと思う。それに対して本作品。移動手段の料金と、その時間について非常に緻密に語られている。また、旅の道連れが単独旅行には無い深みをもたらしている。慌しい移動で有るため、楽しみにしている各国各地域の下町風情の描写は少ないものの、その分「バス」という共通フィルタを通して語られるそれぞれの風情を楽しめる。読めば読むほど、自分には無理だと確信するわけだが、同時に大学時代に経験しておけば良かったと、またも後悔する。当時に比べると多少余裕の出てきた今、当時の自分に金銭的援助を申し出たい気分だ。こういう作品は現実逃避なのかもしれないが、それも知的ストレス解消法というものだろう。 >> 続きを読む
2012/06/04 by ice
アジアをテーマにした8名の著者による短編集。それぞれにドラマが有り密度の濃い1冊と言える。アジア各国をテーマにした8名の著者による短編集。それぞれにドラマが有り、彩色されているかのように生命力溢れるエピソードが多い。同種の作品で取り上げられることの多い、東南アジアばかりでなく、北はモンゴルまでというバリエーションも魅力。全体的には貧乏旅行者と、現地庶民の触れ合い的な王道パターンの作品が多いが、少女の人身売買を題材とした、長谷川まり子氏の「マイティの少女」は衝撃的。連れさらわれるところから、放り出された後までを追いかけているのだが、あまりにむごい扱いに、怒りに震える思いだった。努力した人としない人が同じ扱いを受けるというような意味の平等には反対だが、基本的人権は何が有ろうと尊重されるべきで、このような重大犯罪を半ば黙認してきたという某両国の政府には呆れてものが言えない。これだけ多くの国が取りげられているにも関わらず、全体に共通する何かが横たわっている気がしてしまう。きっと同じアジアに属する日本人として何かしら共鳴するものが有るのではなかろうか。アジア各国を小旅行した気分になれる、お得な1冊。 >> 続きを読む
2011/10/18 by ice
アジア諸国を貧乏旅行して来た著者が語るアジアの庶民生活。貧乏旅行中に遭遇したエピソードを紹介する形で、アジア諸国の国民性を描く。その他多くの貧乏旅行記と比較しての際立ったセールスポイントは無い。強いてあげれば以下になるが、掘り下げているわけではなく、触れる程度。・外国人から見た日本・アジア諸国それぞれの階級社会事情・トラベルライターの生活の実態とは言え、的を外さずに次々とエピソードが展開していくため飽きることなく読み進めることが出来る。特筆すべき点は、フィリピン人の母と日本の父の間に生まれた、日本に住む幼稚園児のエピソードで、わずか1ページで記されているにも関わらず、強烈なインパクトでアジア女性の心の有り様を主張している。月並みだが、物質世界の充足と精神世界の充足は異なることを改めて実感した。 >> 続きを読む
2011/05/11 by ice
世界各国で起こった旅行者の失敗談集。肩肘張らずにツラツラと流し読みするに最適。長くても数ページ。短いものは一行でエピソードを紹介。その国特有のしきたりを知らないことなどが原因の場合が多いが、・タクシーに乗って・・・・トイレに寄って・・・・税関で・・・など、旅行先で犯してしまった笑える失敗談がまとめられている。特定の国に絞っているわけではないので、海外旅行に行った気になるというような効果は期待できない。少し空いた時間に1ページ読む。というような付き合い方でも十分楽しませてくれる作品である。逆説的では有るが、やはりパックツアーの安心感は捨てがたいと再認識。 >> 続きを読む
2007/12/22 by ice
バックパッカー的にタイを何度も訪れる著者によるタイの生活と発展。現地庶民の目線で描かれるタイでの生活が心地良い。基本線は著者がタイへ旅行した際のエピソードを連ねていくスタイルなのだが、何度も足を運んだ上での作品のため、時系列的な視点が反映されていることに特徴が有る。食生活やバスの乗り方ははもちろんトイレの使い方まで、著者のアンテナに触れたことを雑多に取り上げているのだが、一貫してタイイズム的な空気が流れているのが面白い。また、バブル経済的な好不況の波の前後で、庶民レベルではどのような変化が有ったのかという部分は、旅行記の枠を超え経済論の趣が有る。タイの雰囲気がかなり的確に伝わる作品だと思う。 >> 続きを読む
2011/02/28 by ice
前作に引き続き、アジアを中心とした貧乏旅行記。良くも悪くも前作を踏襲。前作で雰囲気は掴んでおり、期待通りの内容だった。幾つものエピソードが紹介され、すべてとは言わないが、その多くが面白い。海外が舞台なので、日本では(海外でも?)犯罪である話など、とても日本では体験することのできない危ない話も含まれており興味深い。読み進めて行く内に、現地人との触れ合いの素晴らしさを痛感する。なんだなんだ言っても治安に優れた日本と比較すると、確かに怖い思いをすることも多いのだろうが、しっかり守られたパックツアーでは決して味わえない貴重な経験である。学生のときならいざ知らず、一度社会に出てしまうと、なかなか思い切ってリスクの有る旅に出ることはできなくなるからこそ憧れてしまうのだろう。やはりアジアの喧騒は活力を与えてくれる。 >> 続きを読む
2012/10/26 by ice
【下川裕治】(シモカワユウジ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(著者,作家,作者)
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