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古屋美登里

著者情報
著者名:古屋美登里
ふるやみどり
フルヤミドリ
生年~没年:1956~

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このランキングは1日1回更新されます。
      ぼくには数字が風景に見える
      カテゴリー:個人伝記
      4.0
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      •  サヴァン症候群かつアスペルガー症候群で、
        数学と語学に稀有な才能をもつダニエル氏の半生記です。
         
         サヴァンもアスペルガーも自閉症スペクトラムの一種で、
        特にサヴァンは非常に珍しい症状といわれています。
        映画「レインマン」でダスティン・ホフマンが演じた役の
        モデルになった方もサヴァン症候群で、
        著者は彼と会った体験を本書で紹介しています。
         
         自閉症児の父親として興味を持ち、手に取りましたが、
        そうした理由がなくても興味深く読める一冊だと思います。

         数字に色や形がともなって見える「共感覚」。
        非常に面白いですね。
        ウチの息子は
        高機能でもアスペルガーでもサヴァンでもありませんが、
        数字は大好きです。
        彼にはどんな風に世界が見えているのかなぁ。
        ちょっと想像するのに参考になりました。
         
         普通と違うことは
        いけないことではない。
        ただ、ノーマルの側から見れば彼らは異端なため、
        余裕の少ない世界からは迫害されてしまいます。
        その気持ちは理解できるし
        残念ながら自然なことと思いますが、
        できたら世の中が少しずつでもいいから
        彼らにとっても生き易いものになっていってくれたらと思いました。
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        2015/02/03 by kengo

    • 1人が本棚登録しています
      観光
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
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      •    イシグロではない越境文学

         あの人の姿懐かしい  黄昏の河原町
         恋は 恋は弱い女を  どうして泣かせるの
          

         波打ち際でじゃれあうカップルには及ばないものの、はじめての潮干狩りを満喫した都会っ子ほど楽しめた久しぶりの書店。ひとかどのイオンモールに押し並べて出店しているようで、店内の雰囲気はそう悪くない。布はたきで立ち読みを追いはらうせせこましい店員はいないし、それどころか、あちこちに椅子があって試し読みしたくなる。清算まえの商品にコーヒー染みをつけて下さいと言わんばかりにタリーズコーヒーもあり、ちょっとしたくつろぎ空間を演出している。棚に並ぶ本やそのレイアウトもすこぶる大胆で、岩波文庫はほとんどなく、小説の文庫はすべての出版社ひっくるめて著者順、極めつきが、ジャンル違いの関連本をカモフラージュさせていることだ。よろしい、これが未来屋の選択か。と、無性にイタズラしたくなり、吉本ばななの『キッチン』をNHKの料理テキストの上に乗せ、井伏鱒二の『山椒魚』を釣り雑誌の底に沈め、科学雑誌「Nature」を並べて『銀河鉄道の夜』を走らせる。そして手を伸ばした『地球の歩き方 タイ』。バンコックへの観光。
         「観光よ」とバンコックで切符を買った母は失明寸前だった。インフルエンザでも、嵐が来ても、土砂崩れの警報が出ても仕事を休まなかった母が仕事に行かなくなり、浴室のドア鍵をしなくなった。諸々の兆候にぼくは気づいていた。蹴躓き、こぼれるコーヒー、家具にぶつけてできた両脚の痣、いつもより大きな弧が描かれた眉。しかしぼくは、忙しくて大したことだと思わなかった。夏の終わりには北の職業大学に行くつもりでいる。大学周辺の地図を眺めるたびに、失明した母がひとりでこの家にいる姿を想像し、ぼくは本当はどんな息子なのだろう、と生まれて初めて考えるようになる。親子はタイ最南の島へ旅に出る。母といっしょに見る最後の日の出と海。
         著者はタイ系のアメリカ人作家らしい。いわゆる越境文学の担い手のひとりだろうが、この短篇集に比肩する作品集はそうそう見あたらない。頭のなかで想像するしかない美しさがあってイメージは鮮明、残りつづける余韻、アジアの香りが漂う。ラテンアメリカ文学に倣って(「闘鶏師」はバルガス=リョサっぽい)土着的な作風なのに、どうしてなのかしつこくない。わたしの一押しは「徴兵の日」と表題作の「観光」。「国の光を観る。もって王に賓たるに利し」と伝える『易経』同様、この本のいたるところに漲る目映い光は読み手の心を潤すだろう。
        >> 続きを読む

        2017/11/14 by 素頓狂

    • 1人が本棚登録しています
      ネザーランド
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!

      • 「人生には余波がつきものだ」。

        まさに、その通りで、何かが起きる⇒一見、事は収まったかのように思える⇒ところが、その後、時には数年もたった後に、"何か"が及ぼした影響によって波が立つ。

        そして、そうした出来事に伴う記憶は、波紋となって広がっていく。
        いくつもの余波と、数え切れない波紋を内に抱えて、私たちの人生はあるのかもしれません。

        今回読了したジョセフ・オニールの「ネザーランド」は、家族や故郷を、そして自分すら喪失しかけていた一人の男が、余波と波紋をたどるインナートリップによって、人生を再構築していく様を描いていて、静かな感動を与えてくれた、とても内省的な小説です。

        語り手は、オランダ人のハンス。2006年のある春の夕刻、ロンドンで暮らしている彼に、ニューヨーク・タイムズ紙の記者から電話がかかって来ます。
        かつての知人であるチャック・ラムキッスーンが、他殺体となってニューヨークのゴワナス運河で発見された、と。

        ここからハンスのインナートリップが始まるんですね。

        息子の誕生という喜びがもたらされた一方で、9月11日の同時多発テロをきっかけに、妻の気持ちが自分から離れかけているという事実に直面させられた街。

        "生まれて初めて惨めな思いを抱えて過ごした場所"
        ハンスの思いは、一本の電話をきっかけに、1999年から2003年11月まで滞在したニューヨークへと飛んでいくんですね。

        9.11以降、滞在し続けたチェルシー・ホテルで知り合った人々。
        9.11後に、幼い息子を連れてロンドンに帰ってしまった妻。
        ひとりぼっちの寂しさに耐え兼ねて再開した、子供の頃から親しんでいるスポーツ、クリケット。
        クリケットを通じて知り合った、「ファンタスティックなことを考えろ」がモットーのビューティフル・ドリーマーのチャック。

        ニューヨーク時代の回想は、生まれ育ったオランダの街ハーグや、ニューヨークへの渡航前のロンドンの思い出を誘発し、三都市間をめぐる記憶の時差の中で、愛する母やチャックという死者が息を吹き返すのです。

        そんな"余波"を体験することで、ハンスは自分がニューヨークで味わった喪失感が何だったのかを知るんですね。

        ひとつの思い出が、別の思い出を引き出し、いくつもの記憶の"波紋"が、空っぽだった心を満たしていき、やがてハンスは、失いかけていた人生を回復させていく-------。

        現在と過去、生者と死者の境界を横断するハンスの内省的な語りが、読んでいる私の記憶も引き出すという、これは"思い出の呼び水"とでも言うべき小説だと思う。

        派手さは少しもないけれど、読後の余韻がとびっきり深い、素晴らしい作品だと思いますね。

        >> 続きを読む

        2018/08/29 by dreamer

      • コメント 3件
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